ものづくりのまち福山だからできることがある
ものづくりのまち福山だからできることがある
宇田製菓株式会社 経営企画室 室長
一般社団法人 福山青年会議所 直前理事長
宇田 貴美 さん
2022年3月29日
楽しさ面白さを作り出し、Uターンしたくなるまちを目指して
東京の大学を卒業後、東京・新宿で勤務していた宇田貴美さん。
「大学入試で山手線に乗車したとき人身事故が起きて、とてもハラハラしたのを覚えています。しかし東京の生活が長くなると、そんな日常に次第に慣れてきて、事故に遭っても『また遅延か』としか思わなくなった自分に違和感がありました」と当時を振り返ります。
その頃、両親の強い懇願があり、2008年、福山へUターン。家業の宇田製菓(株)に入社し、経営企画室の室長として励みつつ、時には現場もこなしています。
宇田さんの出身高校は進学校で、同級生のほとんどは首都圏で活躍しています。仕事の楽しさや面白さはあっても、「地元に帰っても遊ぶ友達がいない」「都会は楽しいのに」と感じていたところ、「あなたにぴったりの団体がある」と勧められたのが一般社団法人 福山青年会議所(JC)でした。入会したことで同世代の知人、友人が増え、今は「どうやってこのまちを面白くするか」「楽しいことをどう発信していくか」で盛り上がるのだそう。
入会時に口にした「Uターンしたくなるまちにしたい」という気持ちは、JCでの数々の要職を経て、後方支援する立場となった今もぶれることはなく、人生の軸となっています。
福山祭企画実行委員長歴任 福山の宝「ばら」でまちづくり
福山ばら祭は、ファミリー向け一大イベントとして福山の地に定着していますが、「ゆっくり過ごしたい大人の女性も楽しめるように」という新しい視点から、JC以外の仲間とも一緒に2016年に開催したのが「福山ローズナイト」。ナイトタイムに、おいしいお酒と楽しい音楽と一緒にばら公園で過ごす一夜は大成功に終わりました。このイベントをきっかけに、宇田さんは「福山に住む若者に、地域の楽しさに気付いてもらおう」と思うようになりました。
2018、19年と、福山祭企画実行委員長を歴任。宇田さんが付けたばら祭のテーマ「福山に恋して 未来に恋して!」にも、福山を愛する思いが溢れます。「自分が住んでいるまちに恋するって素敵でしょう?と発信し続けました。まずは住んでいる人に楽しいって思ってもらわないと」。19年のばら祭のテーマは「きっと見つかるあなたの宝物」。来場者一人一人に、何か一つ宝物を見つけて帰ってほしいと願い、自分自身もSNSで市内のばら園の様子を発信し続けました。3日間開催していた福山夏祭りを2日間に短縮、11年ぶりに駅前大通りをメイン会場とする決断には反対もあったそうですが「前向きに話せば分かってもらえました」と振り返ります。
福山城築城400年を前に 福山JC女性理事長に就任
2021年度に、12年ぶり史上2人目となる福山JC女性理事長に就任。JCの先輩が作ってきたことを継承し、新たな形へとつないでいく役割も担います。宇田さんの入会前年に始まった「福山城幸盛ナイト」は、福山のもう一つの宝、福山城の天守閣を会場にしたナイトイベント。コロナ禍でも、ニューノーマルな時代らしくオンライン開催されました。
2022年は、福山城築城400年という特別な年。宇田さんは、福山市などで組織する「福山城築城400年記念事業実行委員会」の一員として奔走し、福山JCとして「全国城下町シンポジウム」の誘致に成功しています。
「今後は、いろんな人を巻き込んで、持続可能なまちづくりを考えていくことも必要」と考える宇田さん。JCの枠にとらわれない広い視野、柔軟な考え方で、ばらのまちづくり団体の一般社団法人ローズシティ福山の理事や地域課題を解決する(一社)ふくやま社中の理事としても高校生とのワークショップをするなど、幅広い活動を続けています。
まちを元気に、楽しく! ポテンシャルの高い福山をPR
ものづくりのまちとして知られる福山。宇田さんは、経営者の比率が高いこと、業界シェア率が高い企業、オンリーワン企業が多いという特徴がありながら、まだまだ生かし切れていない、PR不足だと感じています。
コロナ感染症が拡大し始め、医療用ガウンが不足し、東京在住の高校同級生から「福山でどうにか調達できないか」と相談されたときのこと。製造業、医療法人、社会福祉協議会などと連携し、無事ガウンを送り届けたばかりか、新たな事業も生まれ、福山のポテンシャルの高さ、底力、スピードを実感したそう。「社長が多く、ものづくりのまち福山だからできることがある。やりたいことを言葉にすれば実行に移せる力がある」と悟ると同時に、その力に気付いてもらうこと、そのために外へ発信していくことの重要性も感じました。今年は、福山での誘致に関わった「世界バラ会議」のアデレード大会が開催される予定で、宇田さんにとっては福山を世界へPRする絶好の機会でもあります。
「私は活力を自家発電できると自負しています。とにかくまちを元気にしたい、楽しくしたい。若者のワクワク感を刺激していきたい」。その思いは、かつてJC入会時に口にした「Uターンしたくなるまち」に、まっすぐつながっています。
宇田 貴美(うだ たかみ) さん
宇田製菓株式会社 経営企画室 室長
一般社団法人 福山青年会議所 直前理事長
東京からUターンし、家業である宇田製菓に入社。一般社団法人 福山青年会議所(JC)に入会し、2018、19年、福山祭企画実行委員長、2021年度に史上2人目となる福山JC女性理事長に就任。自称「活力を自家発電できる人」。福山のポテンシャルの高さを感じつつ、「Uターンしたくなるまち」を目指し、周囲の人たちを巻き込んで精力的に活動中。今の楽しみは、自身も誘致に関わった「世界バラ会議」の、アデレード大会(2022年10月)に着物で参加すること。