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みんなが幸せになることが平和につながること

みんなが幸せになることが
平和につながること

自然の森 MGユースホステル ペアレント
「おかえり」という鍵を持つ人

和知啓子 さん

2023年11月24日

メインビジュアル

ここはいろんな人の人生を変えるエネルギーを持った場所

ユースホステル(以下ユース)とはその名の通り若者向けの宿である。

良心的な価格と温かいもてなしを求めて日本でも1970年代を中心に流行した。

府中市上下町の「MGユースホステル」は1959年に誕生した県内初のユースである。

「私は生まれも育ちも上下の箱入り娘(笑)。ここを知ったのは高校生の時でしたけど衝撃的で。全国からたくさんの若い人がやって来るし、お客さんに『おかえり』って言う。

みんなで一緒に歌を歌ったり夢を語り合ったりして。そういう話を聞くのが楽しくてよく遊びに来てたんです」。

県内初1959年に誕生した府中市上下町のMGユースホステル

ユースの管理人はペアレントと呼ばれるが、現在のMGユースで「親がわり」を務めるのが和知啓子さんだ。45歳の時、思い出のMGユースに存続の危機が訪れた。

当時、和知さんは病院で医療秘書をやっていたが「自分にとってなくてはならない場所だし、私と同様になくてはならないと思ってる人がたくさんいる」と感じて一念発起、引き受けた。

「ここはいろんな人の人生を変えるエネルギーを持った場所なんです。不登校の子や拒食症の子が滞在して、その後立派な大人になって訪れたりする。みんなが幸せになっていく姿を見るのが私の生きがいです」。

​​紅葉がきれいなユースホステルの敷地で両手を広げて微笑む女性

創業者のご主人は被爆者、ユース創設の志を永遠に残したい​​​

​近年は上下町への移住希望者の受け皿となり、地域の人が集まる場としても活用されている。クラウドファンディングで敷地内のログハウス「幸せロッジ」の再建にも取り組んだ。町内外の人が交わる「もうひとつの家」、その裏には広島ならではの切なる願いが存在する。「MGユースの創業者である森岡まさ子さんのご主人は被爆者。パパが言ってたのは許す愛なんです。家族愛に地域愛、人類愛…みんなが幸せになることが平和につながる。

それを現代の若者に伝えたくてこのユースを始めたという経緯があるんです。誰もが幸せになれるこの場所が次世代に引き継がれていけば、パパの志も永遠に残るんですよね」。

MGはモダン・ガイドの略で、志の原点は「人生の案内人」。

森の中の宿のあかりは平和の灯だったのだ。

MGユースホステルの創業者である森岡まさ子さんの自画像

​ひろしまの好きなところ「上下の四季」

今も紅葉がきれいですが、初夏の時期はホタルがすごく飛ぶんです。冬は銀世界。そして春を待つ――秋はキノコや栗、新米など美味しいものが多くて楽しみもいっぱいです!

紅葉がきれいな背景で両手を広げ微笑む女性

紹介人物画像

和知 啓子(わち けいこ) さん

自然の森 MGユースホステル ペアレント
「おかえり」という鍵を持つ人

府中市上下町出身。病院で医療秘書を務めていたが、府中市上下町にある、1959年創業の広島県初の民営のユースホステル「自然の森MGユースホステル」を創業者より引き継ぎ、来年2月で丸20年。ペアレントとして、管理運営を行う傍ら、JR福塩線上下駅にある、観光案内・無料休憩所としても利用でき、曜日によって出店者が変わるというスタイルの飲食店「上下まんまる屋」の責任者として関わる。クラウドファンディングを利用し、敷地内にある創業者のログハウス「幸せロッジ」の再建にも取り組んでいる。また上下まちづくり協議会、教育委員会など、地域にこの場所を残したいという思いから地域活動を幅広く行っている。