もっと起業や挑戦が当たり前になればいい
もっと起業や挑戦が当たり前になればいい
「イノベーションを起こす」という鍵を持つ人
KGモーターズ
楠 一成 さん
2024年6月25日
道の狭い呉で育って、コンパクトな車の必要性を実感していた
モビリティ、自動運転、ロボティクス…広島で今、見たことのない乗り物が誕生しようとしている。東広島市志和にある一見何の変哲もない倉庫で開発が進んでいるのは1人乗り小型モビリティ「mibot(ミボット)」。「KGモーターズ」代表の楠一成さんは以前YouTube「くっすんガレージ」で人気を博し、現在は気鋭のスタートアップとして車の実用化に専念している。そう、「K(くっすん=楠)、G(ガレージ)」なのである。
「YouTubeを始めた時は明確なビジョンはなくて。1つ思ってたのは自分はYouTuberになりたいんじゃなく、大きなことをやるための武器としてYouTubeを使うってこと」。
バイクを改造したり、ラジコンをパワーアップさせたりと遊び心あふれるモノづくりコンテンツはやがて「EVメーカーになる!」という途方もない夢に辿り着く。1人乗り電気自動車のゼロからの開発。現在の環境問題や将来的な人口減少を考えても、1人乗りEVは課題解決に結びつく。その発想の原点には広島ならではの住宅事情があるという。
「僕は呉の出身で十代の頃、新聞配達のバイトをやってたんです。両城って地域は坂道は多いし、道も狭い。どうしてもっと小さい車がないんだろうといつも思ってたんです」。
広島は1人乗り小型EV「mibot」が初めて公道を走る街になる
コンパクトで、お手軽で、なおかつカワイイmibotは今後自動運転機能を備え、移動の選択肢の一つになることを目指している。来年には300台を販売開始。広島はmibotが公道を走る初めての街になる。市民の“足”を変えるイノベーションがこの街から始まっているのだ。
「広島ってスタートアップに挑戦する人が少ないと思うんです。それは環境のせいもあって。自分の周囲に起業家がいないとイメージって湧かないですよ。ベンチャーって都会のキラキラした印象だけど、僕らだってやってるんだから(笑)、もっと当たり前になればいいと思います」。
志和のガレージから世界を変える。痛快なドラマは快調進行中だ。
ひろしまの好きなところ「挑戦者を応援してくれる風土」
広島は保守的と言われるけど、チャレンジする人を応援してくれる風土はある気がします。郷土愛が強い人が多く、広島の会社だからって応援してくれる人も多いですね。
1人乗りEVモビリティ「mibot」。原付ミニカー規格で車検不要! 価格は100万円程度を想定! EVだから静か!
KGモーターズ
ケージーモーターズ
東広島市志和町七条椛坂1698−1
楠 一成(くすのき かずなり) さん
「イノベーションを起こす」という鍵を持つ人
KGモーターズ
呉市出身。元々は自動車のアフターマーケットパーツ開発の会社を経営していたが、世界的な脱炭素の流れを受け、2018年に小型モビリティ事業への参入を決意。影響力拡大をめざしてYouTubeチャンネル「くっすんガレージ モーターズ」をスタート。従来の自動車産業の商慣習を覆し、YouTubeを通じて開発者を集め、資金を調達。2021年、Google Japanが選ぶ「世界に影響を与えるクリエイター101人」に選ばれる。2022年7月、株式会社KGモーターズ創業。東広島市志和町から一人乗りEVのミニマムモビリティ・コンセプトモデルを開発・発表し、大きな注目を集める。現在「くっすんガレージ モーターズ」のチャンネル登録者数は19.6万人。