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特別編:おいしいHIROSHIMA Key Party【比婆牛】

特別編:おいしいHIROSHIMA Key Party【比婆牛】

作る人・育てる人・食べる人

小野敏史さん、田中高志さん、キムラミチタ さん

2024年10月25日

メインビジュアル

広島県民でもめったに食べられない!?「比婆牛」の美味しさを徹底討論

比婆牛の画像

美味しさの宝庫である広島県。食欲の秋ということで、数ある食材の中でも格別な比婆牛をテーマに、中区三川町のダイニングバー『牡蠣と肉と酒 MURO』にてトークイベントと食事会が催された。

トークイベントの様子

聞いたことはあるのに口にする機会が少ない比婆牛。それもそのはず、比婆牛と呼べるのは広島和牛の中でもごくわずか。牛の父、母の父、母の母の父のいずれかが広島県種雄牛であること、肉質等級が3等級以上であることなど、厳しい条件をクリアしたものだけが名乗れる希少な牛肉なのだ。

 

話してくれたのはこの3人

トークイベント登壇者のプロフィール画像

イベントではまず、「育てる人」代表の田中高志さんがトーク。始めて45年という、自身の牧場での牛の肥育について語った。

「牛舎の『床替え』、人間で言うシーツ交換をしっかりやっています。長くて1カ月、短くて2週間に1回が一般的ですが、うちは1週間に1回」。これを可能にするのが、隣にある木材チップの工場。そこで出る樹皮を牛の敷物に使えるよう粉砕して貰っている。

暑かった今年は特に大苦労。体温を下げるために水を飲む牛は、汗をかかないので大量の尿を出す。それが下に溜まらないよう、いつもより頻繁に手入れする。「人間だって家はきれいな方がいい。牛のストレスが少なくなれば大きくなり、いい肉ができる」。

田中さんの画像

牛の管理も大変で、独自に編み出した『6時間ルール』を徹底。「4本の脚を伸ばしてゴロンと寝た牛は、振りをつけて起きるのですが、時々失敗して起きられなくなる。放置すると窒息してしまうので5、6時間に1回は見回り、牛が起きるのを手伝います」。さらに牛が食べる牧草も、堆肥化した牛糞を入れて耕した自らの畑で育てる。この堆肥は近隣の農家へもお裾分け。地域で資源を循環する仕組みを築き上げている。

牛の画像

「昔はどの家にも1頭や2頭お母さん牛がいた環境だった」。田中さんがこの道に進んだのは自然の流れだったそう。農協から、今の施設を大きくしないかと誘われ、学校卒業後に「ひば高原田中牧場」を始めた。最初は30~40頭から、県の補助金で牛舎を建て、180頭の牧場に育て上げた。現在庄原市内の肥育牧場は、農協直営が2カ所、 個人が2カ所。その中で最大の肥育頭数を誇る。

田中さんの牧場でも180頭のうち1割強という希少な比婆牛。それをグランドメニューで提供しているのが、本日の会場である『MURO』だ。オーナーシェフの小野敏史さんが、「もてなす人」代表として、その美味しさを語った。「一般的に言われる、脂が甘くて美味しいということ。あとは、赤身の強さ。お客様からも好評を得ていて僕はそこが特徴だと思う」。

小野さんの画像

しかし仕入れは一苦労だ。「流通量が少ないから一般の飲食店がなかなか買えない。僕らが買うのにも、最低半頭単位」。ここで、広島のいい食材を県外や海外に出す循環構造作りに奔走してきた中で培った小野さんならではのノウハウが生きる。「瞬間冷凍の工場を4年前に立ち上げているので、半頭買っても瞬間冷凍をしておけるし、ひと手間加えればクオリティの高いものが提供できる」。「飲食店は体験の場」と言い切り、企画や流通、発信にまで手広く携わってきた小野さんの研究の賜物ということだ。

比婆牛を調理した画像

比婆牛にまつわる話が進む横で、「早く食べたい!」と思いを募らせるのが「食べる人」代表、キムラミチタさん。実は「比婆牛を食べます」と意識して口にするのはこの日が初めてだそう。美味しさの裏側の秘話を聞き、「人に言いたいネタばかりで、1本番組や映画が作れる勢い」と伝える気満々だ。地元の人がハレの日に食べられる場所があり、みんなが比婆牛の美味しさを知っている。そんな状況が、「広島にとってスペシャル」なのだと話す。「レアさをちゃんと自覚して世界に発信し、『広島に食べに来んさい』となればいいですね」。

キムラミチタさんの画像

トーク後は、広島で食にまつわる活動をするゲストと一緒に、全8品の比婆牛料理に舌鼓。酒販店『大和屋酒舗』がセレクトした、比婆牛の里である県北の日本酒とのペアリングを楽しんだ。広島県では現在、比婆牛がもっと身近に食べられるよう、「比婆牛流通強化プロジェクト」を実施中。レストランで見かけたら、ぜひ注文してみてほしい。

比婆牛と日本酒のペアリングを楽しむ様子の画像

 

参加者スナップ 比婆牛どうでした?

参加者スナップ

(左)日本ソムリエ協会広島支部長・川崎健太さん

赤ワインもいいが、日本酒の甘みで楽しみたくなる。日本人ならではのペアリング!

(中央)観光業・三村理紗さん

めっちゃ美味しい…。特にカブリのステーキ! こんなに綺麗なお肉あるの?って驚きました。

(右)サタケ・大橋奈央さん

旨みが凝縮された"リブロース×ラーメン"の美味しさたるや♡ 感動のあまり一瞬でペロリでした

 

比婆牛とは?

https://www.pref.hiroshima.lg.jp/lab/topics/20221122/01/

紹介人物画像

小野敏史さん、田中高志さん、キムラミチタ さん

作る人・育てる人・食べる人

牡蠣と肉と酒 MURO 小野敏史さん
飲食店のみならず食関連の企画・販売・卸事業に幅広く取り組む。比婆牛はじめ県産食材を使った新たなブランド価値創出モデルに挑戦し、令和4年度「Hiroshima FOOD BATON」プログラムに採択される。

ひば高原田中牧場 田中高志さん
広島県庄原市出身。牛の繁殖農家に生まれ、20代で自ら肥育牧場を立ち上げて以来40年以上。肥育する和牛は広島県畜産共進会・枝肉の部において最優秀賞を何度も受賞するなど確かな実績を持つ。
※「高」は正しくは「はしごだか」

フリーパーソナリティ キムラミチタさん
広島県廿日市市出身。パーソナリティー、放送作家、防災士、専門学校講師など多彩な顔を持つ通称「広島の音楽アニキ」。広く地域を知り、食を含めたまちの魅力を発信。広島県営SNS『日刊わしら』編集部員。