多様な人が行き交う広島、可能性は無限大。僕も、教え子も。
多様な人が行き交う広島、可能性は無限大。僕も、教え子も。
「みんな違う」という鍵を持つ人
広島叡智学園
クリストファー・ロックウッド さん
2024年11月25日
来日のきっかけは、「ハガレン」。気づけば島にもう5年
国内外から生徒がやってくる大崎上島町「広島叡智学園」。クリストファー・ロックウッドさんはここで7月から、高校生に英語で文学を教えている。教材は本だけではなくポスター、映画などさまざま。表現に込められた意図や目的を感じ取る力を子どもに身につけてほしい。「皆の『普通』が違う学校。教えていてとても楽しい」と笑う。
来日は2019年。きっかけは「ハガレン」だった。大学で友人が教えてくれた人気アニメ『鋼の錬金術師』を知り、遠い日本、特に日本語という言語に興味が湧いた。
ALT(英語指導助手)としての赴任先が大崎上島に決まった。グーグルストリートビューで見ると、冬の風景が現れ、抱いた印象は「緑が少ない!」。いいイメージがないまま着任したが、幼稚園から中学校まで島内各地で勤務し、ガラッと印象が変わった。元気な子たち、温かい人々、豊かな自然、穏やかな内海、そしてハッとするほどきれいな夕日。同じ大崎上島でも、例えば人口が比較的多い大崎地区とそうでない東野地区では子どもたちの雰囲気も違う。「広島はとっても暮らしやすい」。気づけば5年が過ぎていた。
人生は長いし、世界は広い。子どもとともに成長する日々
「歴史も文化もそれぞれ違う。その違いを受け入れ、互いをリスペクトする」。アメリカで生まれ、小学校入学から高校卒業までドイツで育ち、現地校にもインターナショナルスクールにも通った、そんな自身の体験も踏まえ、教育者としてのモットーをそう説明した。「人生は長いし、世界は広い。選択肢はさまざまだから、自分の可能性を狭めないで」。
自然豊かなのんびりした大崎上島には、子どもが感性を育んでいく土壌があると感じる。子どもたちとともに自分自身もここでもっと教師として成長したい。それが、生まれたばかりのこの学び舎の歴史となり、ひいてはそれが大崎上島の活性化にもつながればと願う。「HIROSHIMAは世界的にみても日本で最も有名な場所の一つ。いろんな国の人たちとの交流ができる場所だから」。
休日は家で読書したりゲームしたり。時々、広島市内や県内各地に友達と遊びに行くが、「最終のフェリーが早いのが惜しい」
ひろしまの好きなところ「広島弁の温かさ」
広島弁には粗いイメージがあるみたいだけど、そう思わないですね。「しないといけないから」が「せんといけんけえ」に変化するのがおもしろい。最近覚えたのは「はぶてる」です。
クリストファー・ロックウッド さん
「みんな違う」という鍵を持つ人
広島叡智学園
1993年アメリカコロラド州生まれ。その後オレゴン州、ドイツで育ち、アメリカの大学へ進学。ALT(外国語指導助手)の仕事に就くために2019年来日。2020年には大崎上島へ移住。「木江小学校」「大崎上島幼稚園」でALTを務め、「大崎上島中学校」を経て、今年から「広島叡智学園」へ。現在はALTではなく、高校生に英語文学を教える仕事をしている。好きな食べ物は日本食。「はるみ」が柑橘の中で一番好き。趣味は読書、音楽、犬。家族は両親がドイツ、妹がフィリピンと各国に散らばっている。