navi.gif
TOPページへ BACK NEXT navi
2 循環型社会システムの推進

 
(1)循環型社会システムの必要性
   現代の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済システムは,資源エネルギーの枯渇問題や廃棄物処分場の逼迫,ダイオキシン問題など,我々の生存基盤や次世代の生存権を脅かす極めて深刻な問題を引き起こしている。特に国土が狭く,天然資源に乏しいわが国では,従来の生活様式や価値観を根本的に転換し,経済活動のあらゆる面で環境に対する配慮がなされ,資源をできる限り長期間にわたり有効かつ効率的に活用する「循環型社会システム」の構築が緊急の課題となっている。

 循環型社会とは,採取された天然資源が製造・加工,流通を経て消費される動脈経済と,排出された廃棄物が分別,回収を経て再(生)利用される静脈経済の双方が循環の輪を完結させ,適度なバランスを保ちつつ発展を遂げる経済社会のことである。
 循環型社会システムの構築に向けては,発生抑制(リデュース)に最大限努力した後に,できるだけ長期間にわたって製品を再活用(リユース)し,やむを得ず排出された廃棄物について可能な限り再生利用(リサイクル)を進めることを基本原則とし,県民,事業者,行政が適切な役割分担のもとにその具体化へ向けた行動基盤を形成するとともに,とりわけ社会システムの根幹を担う産業については,動脈・静脈一体型の産業構造・技術基盤を形成することが強く求められている。


(2)国における動向(法の制定について)
   循環型社会の形成に向けた法体系上の整備としては,次のとおり,循環型社会形成推進基本法のほか,各種リサイクル関連法等が制定されるとともに,既定の環境関連法律の一部改正が行われている。
 これらの法律の一体的な運用により,実行ある取組みの推進が期待されている。
 また,最近の動向としては,国及び各地方公共団体において,環境保全推進のための経済的手法の一つとして,大気汚染物質や廃棄物の発生抑制などを目的とした,いわゆる環境税の検討が行われている。

@循環型社会形成推進基本法
 廃棄物・リサイクル対策を総合的・計画的に推進するとともに,個別の廃棄物・リサイクル関係法律と一体となって循環型社会の形成を図るため,平成12年5月,循環型社会形成推進基本法が制定された。
 この法律は,初めてごみ処理やリサイクルの取組みの優先順位を定めるとともに,事業者等の「排出者責任」,生産者が生産する製品等について最終処分に至るまで一定の責任を負う「拡大生産者責任」の一般原則を確立している点が特徴である。また,この法に基づき政府が策定する「循環型社会形成推進基本計画」は,循環型社会の形成に関して,他の法に基づく全ての計画の基本として位置付けられるものである。

A各種リサイクル関連法の制定・施行
・  容器包装リサイクル法(法律名:容器包装に係る分別収集及び再商品化の
  促進等に関する法律)
・  家電リサイクル法(法律名:特定家庭用機器再商品化法)
・  建設リサイクル法(法律名:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)
・  食品リサイクル法(法律名:食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)

Bその他
 以上の法律の制定と同時に,既存の法律である廃棄物処理法及び資源有効利用促進法の改正が行われ,それぞれ拡充強化・整備されているほか,再生品購入促進のためのグリーン購入法が制定されている。


(3)循環型社会システム構築への具体的方策
 循環型社会システムの構築に向けて,動脈部門については,製品のライフサイクルにおける環境への負荷を低減するための評価手法を広く定着させる等,生産工程での廃棄物の発生を極力抑えることが必要であり,静脈部門については,先進的なリサイクル技術の確立及び施設の整備を積極的に推進する等,リサイクル工程の強化を図ることが必要である。
 また,理念から実行へ移すためのモデルケースとして,独自性・多様性を活かした地域単位での取組みが重要であり,これにより,地域内廃棄物の削減のみならず,廃棄物処理に係る経済効率性の向上,環境産業の振興,高度な環境意識の形成など,循環型社会をキーワードに,新たな地域活性化を図ることが可能となる。
 本県では,具体的な循環型社会システムのモデル地域として備後地域22市町村を対象とした「循環型経済拠点構想〜びんごエコタウン構想〜」を策定し,リサイクル技術,施設を有する循環型施設群の集積を図り,関連する企業・産業間の連鎖の形成を促進するとともに,その継続的発展の基盤となる革新的なリサイクル技術等の研究・開発機能の充実を図ることとしている。

■循環型社会のイメージ図
■循環型社会形成推進のための法体系


navi.gif