|
1 環境への負荷の低減に配慮した地域づくりの推進 |
(3) 騒音・振動・悪臭の防止 |
|
近年の騒音公害は,都市化の進展や生活様式の多様化等に伴う近隣騒音が問題となっている。
振動公害は,工場,建設作業,交通機関等による人為的な地盤振動が原因で,建物を振動させて,物的又は感覚的被害を与えている。
悪臭公害は,その発生源が多種多様であり,様々な臭気物質が混合して生じていることなど,その態様は複雑である。 |
1.概況 |
|
a. |
騒音については,一般住環境で16.7%,自動車騒音で69.4%(全時間帯)が環境基準を達成できていないなど厳しい状況にある。
また,12年度に行った自動車騒音の面的評価では,主要15路線で16.0%(全時間帯)の住居等で環境基準を達成していなかった。 |
|
b. |
振動については,道路及び新幹線鉄道の振動調査を実施した結果,それぞれ振動規制法に基づく要請限度及び振動対策指針値を満足している。 |
|
c. |
悪臭については,発生源が化学工業等の大規模なものから畜産業等の小規模なものまで広範囲に及んでおり,その様態は複雑化している。 |
|
(4) 化学物質による環境リスクの低減 |
|
今日の経済社会活動のいろいろな場面で,様々な化学物質が製造・使用されており,これらの化学物質の中には,人の健康や生態系への影響が懸念されているものがある。
化学物質による環境汚染を未然に防止するため,平成11年7月に制定されたPRTR法に基づき,総合的な取組が進められているところである。
特に社会的な関心が高いダイオキシン類については,「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づき,ダイオキシン類の耐容1日摂取量(TDI)や環境基準の設定のほか,その主な発生源とされている廃棄物焼却施設等に対し,排出規制が行われる等の対策が進められている。
また,動物の体内でホルモン作用を攪乱し,人の健康や生態系への影響が懸念されている化学物質―いわゆる環境ホルモン―の調査・研究が国において進められている。 |
1.概況 |
|
a. |
PRTRについては,平成14年から排出量等の届出がはじまる。 |
|
b. |
ダイオキシン類については,大気,水質,土壌について環境の常時監視を実施しており,調査したいずれの地点とも環境基準に適合している。
なお,平成14年12月から現行より厳しい恒久排出基準が適用される。 |
|
c. |
環境ホルモンについては,県内の汚染状況の把握が十分でない。 |
|
d. |
多種多様な有害大気汚染物質のうち,その有毒性や大気中の濃度から健康リスクが高いと考えられるものをいい,国において,現在22物質が選定されている。 |
アクリロニトリル・アセトアルデヒド・塩化ビニルモノマー・クロロホルム・1,2−ジクロロエタン・ジクロロメタン・テトラクロロエチレン・ニッケル化合物・ヒ素及びその化合物・1,3−ブタジエン・ベリリウム及びその化合物・ベンゼン・ホルムアルデヒド・マンガン及びその化合物・六価クロム・クロロメチルメチルエーテル・酸化エチレン・水銀及びその化合物・タルク・ダイオキシン類・ベンゾ(a)ピレン |
2.対策 |
|
a. |
PRTRの推進
化学物質の排出量などが適切に届出されるよう啓発,指導に努めるほか,届出情報の公表に伴い事業者と住民の相互理解(リスクコミュニケーション)が円滑に進むよう準備する。 |
|
b. |
ダイオキシン類対策
現行の排出基準の遵守を徹底するほか,平成14年12月から適用される恒久基準へ事業者が円滑に対応できるよう指導するとともに,環境の汚染状況の監視を地域の状況に応じて適切に実施する。 |
|
|
ダイオキシン類排出抑制対策事業の概要
立入指導 |
○法の基準の導守徹底
○ダイオキシン類排出濃度の自主測定・記録の指導 |
行政調査 |
ダイオキシン類排出濃度の測定・チェック |
ダイオキシン類環境汚染状況調査の概要
調査地点 |
○大気27地点,水質46地点,底質19地点,土壌27地点 |
調査回数 |
年1〜4回 |
ダイオキシン対策に係る環境保全資金の融資
対象施設 |
○産業廃棄物処理施設
○一般廃棄物処理施設 |
限度額 |
8,000万円 |
|
|
c. |
環境ホルモン対策
引き続き,県内の汚染状況の概要を把握する。 |
|
d. |
大気汚染防止対策
有害大気汚染物質のモニタリング・排出抑制指導 |
|
e. |
水質汚染防止対策
水質環境調査・排出規制 |
|
f. |
生物・食品の汚染対策
魚介類等の汚染状況調査,養殖カキの衛生対策 |
|
|
悪臭対策
悪臭の規制は,特定悪臭物質による濃度規制に加え,臭覚による臭気指数の規制が平成7年の悪臭防止法の改正で導入された。この臭気指数基準は,物質の濃度規制基準では生活環境の保全が十分でないと認められる区域において定めることができるとされている。
環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)
「動物の生体内に取り込まれた場合に,本来,その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質」のことをいい,環境庁が設置した専門家の研究会によると約65の化学物質が指摘されている。
野生生物では,生殖機能障害や生殖行動の異常などの事例が世界各地から報告され,その原因としてこうした環境ホルモンの影響が疑われているが,環境ホルモンが体内に摂取された後,どのような過程を経て正常なホルモン作用を攪乱するのか,あるいは天然のホルモンと比べてどの程度の強さで影響を及ぼすのか,濃度と人体や生体系への影響の関係など,科学的に未解明な部分も多く残されている。 |
|
|
2 物質環境に配慮した社会システムの構築 |
(1) エネルギーの有効利用 |
|
本県のエネルギーの消費量は,年々増加している。
電気及び都市ガスの販売量では,家庭用が大きなウエイトを占めているなど,産業部門での取組と同様,家庭部門での取組も重要である。
資源の有効活用とエネルギーの安定供給,地球温暖化や酸性雨などの地球環境問題の防止などの観点から,エネルギーの消費量をできるだけ小さくすること,エネルギーを有効に活用することが大切である。 |
[概況] |
|
a. |
平成12年度の電灯・電力消費量,都市ガス販売量は,前年に比べそれぞれ3.4%,5.3%増加し,燃料販売量は,前年に比べて1.2%減少した。 |
|
b. |
平成12年度末現在の県内の自動車総数は,約174万台で一貫して増加している。 |
|
c. |
さらに,平成10年度の二酸化炭素の排出量は,3,918万トンで,平成2年度と比べ5.3%増加している。 |
|
|
|
(2) 廃棄物の対策 |
|
廃棄物の排出量は,ここ数年間,一般廃棄物,産業廃棄物とも概ね横ばいの傾向が続いているものの,廃棄物最終処分場の残余年数は,一般廃棄物で12.3年(平成10年度末,全国平均),産業廃棄物で3.3年(平成10年度末,全国平均)の状況にあり,依然として逼迫した状況にある。
一方,廃棄物処理施設設置の困難性,コスト要因によるリサイクル市場の停滞など廃棄物の処理を取り巻く環境は厳しくなっている。
環境への負荷の低減や省資源・省エネルギーの推進,焼却に伴うダイオキシンの削減といった観点を重視した対策を必要としており,生産・流通・消費の各段階にわたって廃棄物の排出抑制・減量化への取組を目指して,資源循環型社会の構築が求められている。 |
1.概況 |
|
県内のごみの排出量(平成11年度)は,10年前と比べて,19%増加しており,この間の計画収集人口の伸び2%を大きく上回っている。廃棄物の多様化も進んでおり,プラスチック系廃棄物や大型家電,先端技術部品を使用した廃棄物等処理の困難なものも増えている。
a. |
平成11年度のごみの排出量は,1,079千tで前年度の1,030千tと比べ,5%の増にとどまったが,10年前と比べると17%増加している。 |
b. |
県民1人1日当たりの平均排出量は1,030gとなっている(全国平均:1,118g〜平成10年度) |
|
|
県内の産業廃棄物の発生量(平成11年度)を平成7年度に実施した実態調査により推計すると,約1,430万tで,業種別には製造業が60%,種類別では鉱さいが41%を占めている。発生量の85%が資源化・リサイクル等の有効利用及び焼却等の中間処理による減量化が図られ,残りの15%が埋立等により最終処分されている。
|
2.対策 |
|
a. 廃棄物の減量化,リサイクルの推進 |
|
|
○ 福山リサイクル発電事業
○ リサイクル推進ネットワーク事業
○ 廃棄物排出抑制プラン作成指導
○ 廃棄物再生事業者登録制度の推進 等 |
|
b. 廃棄物の適正処理の推進 |
|
|
○ 一般廃棄物処理施設整備の促進及び監視・指導
○ 産業廃棄物排出事業者等に対する監視・指導
○ 公共関与による埋立処分事業の推進 |
■ ごみ排出量の推移
ごみ処理の状況
|
平成6年度 |
平成7年度 |
平成8年度 |
平成9年度 |
平成10年度 |
平成11年度 |
処理量
(t/日) |
処理率
(%) |
処理量
(t/日) |
処理率
(%) |
処理量
(t/日) |
処理率
(%) |
処理量
(t/日) |
処理率
(%) |
処理量
(t/日) |
処理率
(%) |
処理量
(t/日) |
処理率
(%) |
焼却 |
2,023 |
74.4 |
2,047 |
75.0 |
2,129 |
76.6 |
2,152 |
77.0 |
2,130 |
75.5 |
2,207 |
74.7 |
埋め立て |
473 |
17.4 |
446 |
16.4 |
405 |
14.6 |
386 |
13.8 |
389 |
13.8 |
422 |
14.3 |
資源化・
その他 |
223 |
8.2 |
236 |
8.6 |
244 |
8.8 |
255 |
9.2 |
302 |
10.7 |
327 |
11.0 |
計 |
2,719 |
100.0 |
2,729 |
100.0 |
2,778 |
100.0 |
2,793 |
100.0 |
2,821 |
100.0 |
2,956 |
100.0 |
|
県一般廃棄物対策室調べ |
|