下校時の見守り状況 |
広島市安芸区と安芸郡熊野町に接した海田町は,中央に流れる瀬野川河口に開けた町で,その南側に南幸町が位置します。南幸町は近年一般住宅やマンションの増加により750以上の世帯が居住し,交通量も増加している地域です。
この南幸町では,自治会単位で海田南小学校の児童を見守るなど安全安心のための取組みを長年続けています。
児童の見守り活動の開始は平成13年4月です。当時から南幸町自治会の会長であった中岡長一さんは,児童の登校時,一部の道路において交通上危険な箇所があることに気づき,午前7時30分から8時までの間,一人で通学路の交差点において児童の交通安全指導や誘導を始めました。この登校時における交通安全誘導等は,後に保護者も交替で行うようになり,継続して活動が行われていました。
平成17年11月,隣接する安芸区において小学校児童が殺害される事件が発生し,海田南小学校では低学年児童の集団下校を毎日行うようになりました。その様な中,自治会長の中岡さんも自治会の役員会において,役員等によるボランティアでの児童の見守りを取り決め,登下校時に数箇所の交差点で見守り活動を行うことになり,現在まで小学校の開校日には毎日活動を行っています。
海田町南幸町自治会で活動を行う主な構成員は,自治会役員,子供会役員,地域安全推進委員など約50名です。
※ 海田町南幸町自治会は「広島県減らそう犯罪・なくそう交通事故パートナーシップボランティア団体」の登録団体です。
海田南小学校児童の集団下校 |
海田町南幸町自治会では,小学生の登下校時に毎日見守りや交通誘導などを行っています。この活動は基本的に有志による活動で,当番制などで強制することはありません。現在は朝・夕ともおおむね6~7名が常時活動を行っており,通学路の交差点3~4箇所で見守ります。朝は午前7時30分ころから8時ころまで,登校する児童を見守ります。下校時については,児童の下校時間についてあらかじめ学校から中岡自治会長に連絡があり,それに基づいて見守りを行っています。基本的に低学年は集団下校で,その後高学年が下校しており,中岡さんたちはその時間に合わせて下校時の見守りを行います。したがって下校時の見守りは,日によっては集団下校する低学年の見守りと,その後の高学年の下校の見守りの2回行います。取材当日,下校時間帯に交差点で2時間近く立ち続けた中岡さんは,「毎日見守っていると,子ども達の顔をある程度覚えます。朝見た子どもがまだ下校していないことが分かるので,だいたい最後の子が下校するまで見守っています。」「子どもが交通事故などの被害に遭ってはいけないとの思いで続けていますが,毎日規則正しく見守りを行うことによって健康になりますし,こちらが助かっていると思います。」と何でもない口調で語られました。
海田南小学校児童の見守りは,南幸町においては南幸町自治会が行っていますが,それ以外の地区についても,地域のボランティアによって見守り活動が行われており,児童は地域の方々に見守られて成長しています。
南幸町自治会では,児童の見守り活動以外にも地域の夜間パトロールが行われています。南幸町の地域安全推進委員3名により,毎週土曜日午後10時から1時間程度実施されており,それ以外では夏休みや冬休みに,自治会全体の活動として自治会員等60名程度による集団パトロールを毎年行っています。
代表者の中岡さんは20年近く自治会長をされ,各方面から頼られる存在となっています。子どもの見守りについても9年近く行っており,見守ってきた子どもも成長しています。今では見守り活動中に,顔見知りの中学生や高校生から声をかけられることも多いそうです。
南幸町自治会が30年近く発行している広報誌「コミュニティー みなみさいわい」第70号 |