鳥獣による農業被害対策を効果的に進めていくには,集落で取組むことがポイントのひとつです。そのためには,まずは情報共有のステップを経て,PDCAサイクルの取組を進めていくのが効果的です。
このページでは,主に市町担当者などの指導者向けに,集落での取組手順の一例をご紹介します。
情報共有
(1)対象集落の選定
集落での被害対策の普及については,対象集落の選定がポイントです。集落に組織的な機能があり,集落のリーダーが存在することは重要です。なお,集落によって事情は様々ですので,柔軟に対応しましょう。
まずは被害状況,対策内容について把握することが重要です。集落実態調査等を活用しましょう。
(2)集落役員への説明
集落での対策実施には,集落の役員の理解を得ることが前提となります。まずは対策の基礎を説明し,先進事例を紹介しましょう。続いて,「集落での餌付け,人慣れ度チェックリスト」を活用して集落の現状を振り返り,「鳥獣被害対策の検討シート」で対策内容をイメージして,進め方を理解してもらうとよいでしょう。場合によっては,実際に被害を受けている現地で点検を行い,試験的なモデルほ場の設置を提案することも有効です。
被害対策を進めていくにはPDCAサイクルの取組が重要です。集落役員と一緒に進めることで,負担感も払拭されるでしょう。また,先進地の視察を行うことも有効です。
※様式の例です。必要に応じてダウンロードしてお使いください。PDF形式のファイルです。
(3)集落全員研修会
集落役員の理解が得られたら,集落全員に向けた研修会を開催し,獣害対策の基本を集落の皆さんに学んでいただきましょう。研修会の内容としては,対策の基本の説明と先進事例の紹介,現地点検による問題提起が望ましいです。
この研修会において,今後の取組に向けたアンケート調査をすることも重要です。被害の有無や対策実施への希望を把握して,次の取組に進めましょう。
計画 P
(4)アンケート調査による現状把握
次に,「被害程度アンケート」や「被害記録地図用アンケート」などを使って,住民のみなさんが具体的な課題や解決方法を見いだすための手掛かりを整理し共有しましょう。
ア 集落の被害状況の把握
地図を用いたアンケートにより被害状況を可視化して,被害状況マップを作成します。
イ 被害対策の取組状況の整理・分析
追払いの実施状況や柵の点検頻度など,問題点と思われるものを数値化や可視化します。
ウ 被害の指数化や金額換算(定量化)
被害状況を可視化するだけでなく,それを金額換算するなどして,被害対策の動機付けなどにも用いることができます。また,対策後の効果検証にも有用です。
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(5)集落点検による問題の共有
(4)で作成した集落の被害状況マップを元に,問題のありそうな場所を住民のみなさんが点検することで,課題整理と対策を立案をすることができます。
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(6)ワークショップによる課題共有と対策検討
アンケート結果や集落点検の結果に基づき,対策の提案やアドバイスをまとめましょう。具体的な「できること」を決めていくことが重要です。課題を「個人でできること」「地域でできること」「行政でないとできないこと」などに分けて,具体的な方策を上げていくといいでしょう。そして課題と改善策を整理しましょう。
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実行 D
(7)被害対策の実施
ワークショップで導き出された対策内容について,具体的な対策を地域で実施しましょう。
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確認 C
(8)効果の確認
実施した対策を確認しましょう。この時,対策内容と実施時期を確認することは,正しい評価につながります。
改善 A
(9)改善策の検討
短期間ですべての獣害を解消するのは困難です。上手くいっている点といかなかった点を正しく評価し,正しい対策の継続と,反省点の改善を次に繋げることで,地域の持続的な被害対策が可能になります。そのため,アンケートなどで効果を定量的に把握し,改善点などを共有し次年度につなげましょう。
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