広島県は、野生鳥獣による農作物被害のさらなる低減を目指して、市町と連携しながら県域で効果的な鳥獣被害対策に取り組むプロフェッショナル組織(以下「市町支援組織」という。)を、鳥獣対策専門事業者の協力を得て、令和5年9月29日(金曜日)に設立し、令和6年度から本格稼働しています。
全県を対象として、集落等に対する鳥獣被害対策の技術指導を民間企業にアウトソーシングする仕組みの導入は全国初となります。
【市町支援組織について】
名称:一般社団法人 広島県鳥獣対策等地域支援機構(通称:tegos(テゴス))
※ 広島弁で手伝うを意味する「てごうする」が由来
広島県は、県内の全市町と連携して、「環境改善」、「侵入防止」及び「加害個体の捕獲」による総合的な鳥獣被害防止対策を推進してきた結果、被害額はピーク時(平成22年度)と比較して半減していますが、近年は約4億円と横ばいで推移しており、下げ止まり傾向となっています。
鳥獣被害対策は、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」により、市町が主体となって取り組み、県はその取組を支援することとなっていますが、担当職員の定期異動等により、被害地域に対して指導できる技術の蓄積を図りにくく、積極的な地域への働きかけ等、戦略的な対策の展開が難しい状況があります。
また、鳥獣は市町境に関係なく移動・拡大するため、その対策を、市町ごとに実施するだけでは、被害額の下げ止まり傾向を劇的に改善することは難しい状況です。
このため、高度な技術力を有し、広域的な視点を持つ市町の専門職員(以下「市町専任者」という。)が、全県を対象に着実に被害低減に取り組む体制を構築することを目的として、中間支援組織を立ち上げることとしました。
テゴスの本部を県立総合技術研究所農業技術センター(東広島市)の敷地内に、この組織に参画する市町に駐在拠点をそれぞれ設置します。
駐在拠点に、高度な技術力を有し、広域的な視点を持つ市町の専門職員(以下「市町専任者」という。)を配置し、集落等に「環境改善」や「侵入防止」を中心とする対策の指導に当たります。
本部には、市町専任者の育成等を行うマネージャーを配置します。
現在の参画市町は以下の図の通りですが、今後駐在拠点を全県に拡大していくことで着実に被害低減に取り組む体制を構築していきます。
中間支援組織(市町専任者)による効果として、次のことを想定しています。
【直接的な効果】
・技術を有した市町専任者が、被害地域において、住民との信頼関係を構築しながら、スマート技術の導入などに取り組むことで、戦略的な対策を加速することができる。
・市町境を超えて移動・拡大するシカやサルなどの被害情報の共有などにより、広域的な対策を効果的に展開することができる。
【間接的な効果】
・県及び市町は、戦略的な対策に加えて、農業者等からの相談を含めた現場対応業務を中間支援組織に委託することにより、企画立案の業務に専念でき、施策の質を向上させることができる。