6月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症への対応及び本年度主要施策の取組状況について、御報告いたします。
新型コロナウイルス感染症につきましては、本県では、先月4日から新規の感染者が発生しておらず、先月22日に外出自粛や休業要請等の制限を解除して以降も状況は安定しております。
こうした中、先月25日には、全国で緊急事態宣言は解除されましたが、国の対処方針において、新しい生活様式の定着等を前提として、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げることとされました。
これを受け、県では、他の地域の感染状況等を踏まえて、引き続き移動の自粛やイベント開催条件等の制限に取り組み、段階的に移動自粛の対象地域を解除してまいりましたが、今月19日には、リスクが高い地域への移動や施設の利用は控えることとした上で他の都道府県への移動の自粛を解除するとともに、イベントの人数条件を緩和したところでございます。
各種制限の解除により、本県全体の人の流れは、徐々に増えてきておりますが、一方、依然として国内では新規感染者が発生しており、引き続き警戒を緩めず、対策を行う必要がございます。
また、県内の経済情勢につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により 4月の鉱工業生産指数が前月と比較して23.6パーセント低下するなど、生産が急速に減少するとともに、個人消費も大きく落ち込むなど、極めて厳しい状況にございます。
このため、PCR検査の拡充や医療提供体制の確保など、次なる波への備えを進めるとともに、本県経済の早期回復に取り組むこととし、必要な経費を6月補正予算に計上しております。
その主な内容を御説明いたします。
はじめに、「感染拡大防止対策」についてでございます。
感染拡大防止と経済・社会活動を両立させるためには、徹底的な調査・検査体制を確立し、広範かつ早期に感染者を発見することで、ウイルスの封じ込めを行うことが必要と考えております。
このため、短期的には県外の民間検査機関の活用も視野に入れつつ、大規模にPCR検査能力を拡大する必要があると考えており、まずは、広島大学と連携することで、本県の検査能力を現在の1日約270件から440件に拡充してまいります。
さらに、今年度中に県内で2,400件程度の検査体制確保を目指すこととし、保健所設置市である広島市、呉市、福山市との連携はもとより、検査可能な医療機関へ積極的に働きかけ、検査機器等の導入を支援することにより、検査体制を段階的に強化してまいります。
また、医療従事者を介した感染拡大防止の徹底に最優先で取り組むこととし、感染症医療機関等の医療従事者を対象に定期的なPCR検査を実施してまいります。
あわせて、妊婦を対象としたPCR検査を実施するとともに、抗原検査及び抗体検査の効率的・効果的な実施についても、広島大学や関係機関と連携を図り、県民が安心して日常生活を継続していくための検査体制の充実を戦略的に行ってまいります。
こうした県独自の取組に加えて、国においても検査体制の大幅な拡充が必要であることから、国への提言を行っております。
次に、「医療提供体制の確保」についてでございます。
現在、医療機関の協力を得て18病院266床の入院病床を確保するとともに、軽症者等が宿泊療養するための施設としてホテルを借上げ、130室を運用しております。
これらは、いずれもひっ迫した状況にはありませんが、今後の感染拡大に備え、320床の入院病床と、ホテルにつきましては500室を確保して、患者数に応じて効率的・弾力的に運用してまいりたいと考えております。
医療機材につきましては、ピーク時に必要な台数を確保するため、追加整備を行うこととしております。
このうちECMOにつきましては、県内の重症者の発生割合や専門家の意見を踏まえ、広島大学病院と福山市民病院の2か所に集中させ、計4台を、また、人工呼吸器につきましては、購入済みの2台のほか、15の医療機関で、計50台の発注準備を進めておりますとともに、日本呼吸療法医学会のECMOプロジェクトの研修などにより、専門人材を育成しております。
次に、「3密を避けた事業継続と雇用維持」についてでございます。
本県経済の回復に向けましては、短期的な取組として、感染拡大により厳しい状況にある事業の継続と雇用維持を支える取組を行いながら、中長期的な取組として、新しい生活様式に対応した事業の展開を支援するとともに、経済活動の安定的発展に向けた取組を推進していく必要があると考えております。
まず、事業継続と雇用維持を支える取組でございます。
中小企業者の資金繰りを支援するため、実質無利子・無担保の融資制度を創設し、今月16日までに7,751社に対し、約1,257億円を融資しているところであり、この度、国の第2次補正予算の成立に対応して、融資上限額を3,000万円から4,000万円に拡充しております。
また、社会保険労務士による電話相談窓口の設置や各商工団体と連携した経営相談窓口体制の強化、雇用調整助成金の申請手続きに必要な費用の支援を行っており、固定費の負担軽減が重要となりますことから、国の雇用調整助成金や持続化給付金、家賃支援給付金を積極的に活用していただきたいと考えております。
県の休業等の要請にご協力いただいた事業者の方々への協力支援金の給付につきましては、申請期限の今月8日までに17,558件の申請を受け付けており、そのうち約9割の支給を済ませております。
引き続き迅速な支給に努め、今月末までには支給が完了するよう取り組んでまいります。
観光・飲食関連事業者等のクラウドファンディングを活用した経営支援につきましては、現在、参加事業者の募集を行っているところであり、宿泊事業者等の観光関連事業者については今月26日から、飲食事業者については来月20日から出資の募集を開始し、資金調達による経営の継続を支援してまいります。
あわせて、移動自粛が緩和されている状況を踏まえ、安心・安全を確保しつつ、対象エリアを段階的に拡大した誘客を促進していくことが重要であることから、県内宿泊事業者による宿泊割引プランや、旅行業者による広島県内の旅行割引プランに対し、支援を行ってまいります。
さらに、消費が縮小し、販売に苦慮している県内の事業者を支援するため、農林水産品や工芸品などの県産品を一元的に紹介し、効果的に購入いただくためのキャンペーンサイト「ひろしまモール」を今月9日に開設したほか、外食需要等の減少により、在庫が急激に増加している水産物の学校給食への提供を新たに支援してまいります。
次に、新しい生活様式を踏まえた事業の展開の支援や経済活動の安定的発展に向けた取組でございます。
県民の皆様が安心して飲食店や理美容所等を利用していただけるよう、店舗における感染症対策の取組を「見える化」する仕組みとして、先月27日から順次、新型コロナウイルス感染症対策取組宣言店の取組を開始しており、これまでに1,000件を超える店舗から宣言をいただいております。
今月19日には、より幅広い業種の方々にも、この取組に積極的に参加いただけるよう宣言項目の見直しを行っており、引き続き、関係団体等を通じて活用を推進してまいります。
飲食店等が行うテイクアウトやデリバリー等への参入支援につきましては、申請件数が1,000件を超えるなど、意欲的に取り組む事業者が多いことから、更に予算規模を拡大して、引き続き支援を行ってまいります。
また、国の持続化補助金を活用して販路開拓や非対面型ビジネスモデルへの転換等に意欲的に取り組む小規模事業者の事業継続を後押しするほか、本県への持続的な誘客促進に向け、3密を避ける仕組みの導入など新しい生活様式に対応した観光プロダクトの開発の強化に取り組んでまいります。
さらに、国が実施しているサプライチェーン対策のための補助金や、製品開発・生産プロセスの改善等に必要な設備投資などを支援するものづくり補助金等に加え、厳しい経営環境下においても、県内のものづくり企業が、持続的な発展に向けた活動を継続するために、将来の成長の基盤となる研究開発への投資を支援してまいります。
次に、「安心・安全な県民生活」についてでございます。
新型コロナウイルスの影響による休業や失業などで収入が減少し、一時的に生活費が必要となった世帯を対象とした生活福祉資金貸付制度につきましては、今月18日時点で、8,494件の申請を受け付けており、更なる貸付の増加に対応するため、追加の経費を計上しております。
また、子育て家庭の支援につきましては、新型コロナウイルスの影響による生活環境の変化により、家庭でのストレスや不安が高まる中、子育て中の保護者が、オンライン上で気軽に相談・交流できる「おしゃべり広場」を4月下旬から開設し、全市町で展開しております。
さらに、新型コロナウイルスへの不安を抱える妊産婦が安心して妊娠・出産できるよう、先月1日から産後ケア等の利用者負担の半額助成を開始したほか、今後、妊婦に対するPCR検査の実施や助産師によるオンライン相談に取り組んでいくこととしております。
次に、「教育機会の確保」についてでございます。
臨時休業中の学習機会の確保といたしまして、これまで各学校では、生徒の自宅パソコンを利用して、健康観察、動画配信など、様々な手法で生徒の学習支援に取り組んでまいりました。
生徒へのICT機器貸出も先月上旬から順次実施しており、引き続き、再度の感染拡大が生じた場合に備えるとともに、臨時休業中に実施した自宅学習課題の配信の継続など、各学校の学習の遅れへの対策を支援するため、必要な機器の確保に努めてまいります。
学校の再開に当たっては、文部科学省が示した「学校の新しい生活様式」を踏まえ、感染症対策を徹底しているところであり、県立学校における教室の空調設備の整備やトイレの洋式化による衛生環境の改善に取り組むほか、私立学校等における感染症対策の取組を支援してまいります。
また、臨時休業による学習の遅れに対応するため、補習等を実施する学習指導員を追加配置いたします。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により全国大会等が中止となっていることから、生徒がこれまで部活動などで練習してきた成果を発揮する機会を確保するため、その代替となる地方大会の開催を支援してまいります。
新型コロナウイルス感染症につきましては、依然として国内で新規感染者が発生しておりますことから、検査・医療体制の充実を図ることで感染拡大防止に取り組むとともに、本県経済の早期回復に引き続き全力を尽くしてまいります。
続きまして、平成30年度7月豪雨災害からの復旧・復興及び県民の皆様の欲張りなライフスタイルの実現を一層応援するための施策について、主な事業の取組状況を御説明いたします。
まず、「創造的復興による新たな広島県づくり」に向けた取組でございます。
平成30年7月の災害発生から間もなく2年を迎えます。
これまで、被災された住民の皆様の一日も早い回復が図られるよう、復旧・復興プランに基づき、速やかな復旧・復興に最優先で取り組むとともに、この災害を起点として、被災前よりも更に良い状態に県全体を押し上げていく創造的復興を成し遂げるべく取組を推進してまいりました。
はじめに、被災された方々の住宅再建につきましては、発災後2年間での仮住居の解消に向けた取組を進めた結果、先月末時点で入居世帯は284世帯となり、ピーク時の約2割まで減少いたしました。
現在入居されている世帯のうち、災害関連事業の進捗等により住宅再建が遅れる約80世帯の方々につきましては、応急仮設住宅の供与期間の延長手続きを進め、延長後の期間内での仮住居解消に向けて取り組んでまいります。
また、そのほかの世帯の方々につきましては、応急仮設住宅の供与期間である入居から2年以内に住宅再建できるよう、引き続き、市町と連携しながら、関係団体の協力を得て専門家派遣を行うなど、被災された方に寄り添ったきめ細かな支援により、早期の住宅再建に向けて取り組んでまいります。
次に、インフラの復旧についてでございます。
早期の復旧・復興に向けて取り組んでおります災害関連工事の進捗状況といたしましては、公共土木施設の災害復旧事業では、先月末時点で全2,550箇所のうち、1,868箇所の工事に着手し、このうち985箇所の工事が完成しております。
農地・農業用施設の災害復旧事業では、全4,456箇所のうち、先月末時点で2,199箇所の工事に着手し、このうち1,150箇所の工事が完成しております。
砂防・治山の災害関連緊急事業につきましては、本県が実施する全170箇所のうち、先月末時点で157箇所の工事に着手し、これまで42箇所が完成しております。
また、これらの災害関連工事で未着手の箇所につきましても、本年度中に全ての箇所で工事に着手できるよう取り組んでまいります。
これまで、これらの工事につきましては、復興係数・復興歩掛の導入などの受注環境の整備や、県全体として効率的な執行となるよう必要な対策を講じながら事業を進めてまいりました。
しかしながら、全国的に頻発している災害による人手不足に加えて、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い県外からの事業者や労働者の確保が困難となったことなどから、依然として、一部の地域において不調・不落や工事進捗の遅れが生じております。
このため、発災から3か年にあたる今年度中の復旧完了を目標としております災害復旧事業につきましては、公共土木施設で全体の約2割、農地・農業用施設で被災箇所が多い市町の一部につきまして、工事の完成が令和3年度にずれ込む見通しでございます。
公共土木施設につきましては、今後、社会情勢を見極めながら遠隔地からの労働者確保に重点的に取り組むなどの対策を講じながら、県民生活に影響の大きい箇所につきましては、来年の出水期までに完成させるほか、残る箇所につきましても、可能な限り工事進捗を図ってまいります。
また、農地・農業用施設につきましては、事業主体である市町において、詳細な測量・設計に時間を要したことに加えて、工事規模が小さく、地権者等との調整が必要なことから、建設業者に受注を敬遠される傾向にあり、発注が遅れているところでございます。
このため、広範囲に土砂が流入した農地の復旧など、被災箇所の一部を県で受託し、工事箇所をまとめて発注することで進捗を図ることとし、必要な経費を6月補正予算に計上しております。
さらに、災害関連緊急事業につきましては、令和2年度末までに概ね完成する予定でございますが、全体の約1割にあたる箇所が令和3年度中の完成となる見通しでございます。
このような箇所につきましても、ダム本体の工事に着手している箇所は一定程度の安全度が確保できる見込みとなっているほか、着手できていない箇所ではワイヤーネットの設置などにより、現状よりも確実に安全度が向上するように取り組んでまいります。
引き続き、これらの災害関連工事について、少しでも早く工事が完了するよう不断の取組を進めるとともに、土砂災害警戒区域の認知度向上などのソフト対策も講じながら、県民の皆様の安全・安心が確保されるよう取り組んでまいります。
ため池の総合対策につきましては、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」に基づく届出を、市町と連携して所有者等に働きかけた結果、先月末までに全体の約6割に当たる11,379箇所の届出がございました。
届出がされていないため池につきましては、再度、提出をお願いするとともに、所有者等が不明な場合には、より詳細な調査を行うなど、利用や管理の実態の把握に努め、今後のため池に対する管理体制の維持・強化に向けた仕組みの検討を進めてまいります。
次に「みんなで減災」県民総ぐるみ運動についてでございます。
災害が発生するおそれが生じた際の行動や、自分と家族の避難のタイミングを、あらかじめ決めておく、「ひろしまマイ・タイムライン」につきまして、各市町教育委員会等の協力を得て、県内の全ての小学校の授業などで作成していただくこととしており、来月中に全ての児童に教材を配付できるよう準備を進めております。
また、自主防災組織による避難の呼びかけ体制の構築を加速するため、昨年度実施したモデル事業から得られたノウハウや実例を取りまとめたマニュアルを、本年4月に市町に配布し、全ての自主防災組織での活用を進めるとともに、市町と連携して、自主防災組織の連絡網の整備を進めているところでございます。
今後、市町と連携して、避難の呼びかけ体制づくりに向けたセミナーや図上訓練などのワークショップの実施にも取り組んでまいります。
さらに、新型コロナウイルスによる感染リスクが不安視される中、出水期を迎え、大雨等による避難勧告などの避難情報の発令も想定されます。
このような非常時の避難先で感染症を予防するためには、より多くの避難先を確保することが非常に重要と考えており、県民の皆様には、緊急時に身を寄せられる親戚や知人宅など、複数の安全な避難先を確保いただき、これまで以上に早めの避難行動を心掛けていただくよう取り組んでおります。
加えて、間仕切りや消毒液などの避難所における感染症対策に必要な資機材・物資につきましては、順次調達を進めており、今月10日以降、市町に順次配布しているところでございまして、概ね今週中に配布を完了する見込みでございます。
引き続き、避難時における感染症予防の備えを進めるとともに、より効果の高い被害防止策を実施し、災害に強い広島県の実現を目指します。
次に、「欲張りなライフスタイルの実現」に向けた取組についてでございます。
はじめに、「デジタルトランスフォーメーションの推進」についてでございます。
本年4月にデジタルトランスフォーメーション推進チームを設置し、「行政」「仕事・暮らし」「地域社会」のデジタル化を推進しております。
「行政」のデジタル化につきましては、新型コロナウイルス感染症対策にも、積極的にデジタル技術の活用を進めております。
携帯電話会社のデータにより県内の人の流れを毎日把握することで、その状況を県民の皆様へお知らせし、外出自粛要請等の効果測定を行ったほか、新型コロナウイルス感染症対策取組宣言店の取組では電子申請を活用することで事業者の皆様が速やかに宣言を行える仕組みを構築いたしました。
そのほか、デジタル技術を活用した最適なインフラマネジメントの実現に向けて、公共土木施設に関するあらゆる情報を一元化し、各種データの融合や市町・民間企業との連携により、新たなサービスや付加価値の創出が可能となるシステム基盤の構築について、今月より具体的な業務に着手しております。
さらに、「ひろしまサンドボックス」では、新たに、先月末から、より多くの地点で水位状況を把握することで、詳細な河川防災情報の提供が可能となるよう、低コストな簡易型水位計や水位観測カメラについて、県内外から広く提案を募集しているところでございます。
また、「仕事・暮らし」「地域社会」のデジタル化に向けましても、産業界や市町との意見交換や情報収集を行い、現状や課題の把握、具体的な取組方針についての検討を進めているところでございます。
新型コロナウイルス感染症を契機として、デジタル技術の有益性が改めて認識されており、「新しい生活様式」に対応しながら、今後の経済回復と発展を図るため、引き続き、デジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。
次に、「社会で活躍する人材の育成」についてでございます。
来年4月の開学を目指しております叡啓大学につきましては、設置認可に向けた文部科学省との調整やカリキュラムの具体化、大学説明会等の広報活動、施設の改修など、開学に向けた準備を進めており、1法人2大学による運営体制の構築に必要な公立大学法人県立広島大学の定款の一部を変更する議案を提出しております。
次に、「子供の健やかな育ちを支える環境の整備」についてでございます。
先を見通すことが難しい時代を迎える中、生まれ育った環境に関わらず、全ての子供たちが健やかに夢を育むことのできる社会の実現を目指し、今年3月に「ひろしま子供の未来応援プラン」を策定いたしました。
地域や子供の育ちに関わる関係者、企業など、県民全体でこのプランを共有し、目指す姿の実現に向けて子供・子育てに係る施策を総合的に推進してまいります。
中でも、乳幼児期の取組と児童虐待の防止対策に、特に注力して取り組む必要があると考えており、「ひろしま版ネウボラ」の構築や、県と市町、関係機関、地域などが結集して、児童虐待の防止や早期発見・対応につなげる体制づくりを進めてまいります。
次に、「多様な投資誘致の促進」についてでございます。
広島港五日市地区で造成を進めている工業用地につきまして、広島港を利用して輸出入等を行う、グローバルな大規模生産拠点の立地を計画する企業を公募した結果、菓子・食品等製造業のカルビー株式会社と、ポンプ・タービン等製造業の株式会社シンコーの2者に決定し、先月20日に立地協定を締結いたしました。
地域経済の活性化に大きく寄与することが期待され、令和5年頃から予定されている立地に向けて、計画的な利用環境の整備に取り組んでまいります。
次に、「担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立」についてでございます。
本県農業の持続的な発展に向けて、大規模団地の整備や企業の農業参入を進めているところでございますが、この度、県が、安芸高田市に整備した大規模団地に、県外から2社目となる大型農業法人の参入が決定いたしました。
引き続き、ニーズを踏まえた農業団地の整備や農地確保などの取組を進め、意欲のある企業の参入を進めてまいります。
次に、「中山間地域の地域力強化」についてでございます。
「中山間地域振興計画」につきましては、次期計画の策定に向けて、目指すべき姿や計画推進に当たっての基本的な考え方について、来月、中間的な取りまとめを行うこととしております。
中山間地域においては、人口減少の加速と高齢化が避けられない現状にあるものと認識しております。
次期計画においては、こうした現実を直視した上で、デジタル化社会の到来や、今般の新型コロナウイルスをきっかけとする暮らし方・働き方への影響など、今後の変化にも対応できる地域づくりへの道筋をお示しすることが必要であると考えております。
このため、「人」、「仕事」及び「暮らし」の3つの柱に沿って、現状と課題を整理した上で、関係市町の意見などをしっかりとお伺いしながら、地域の現状を踏まえた取組の方向性を検討し、計画に反映してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で、売上が落ち込んでいる「道の駅」の地域産品について、売上額の回復及び販路の拡大を図るため、今月15日から、県内14の「道の駅」において、既設のサイトを活用したインターネット販売が開始されたところであります。
引き続き、様々な機会を通じて積極的なPRに努め、出品されている生産者の皆様の所得向上につながるよう、しっかり支援してまいります。
さらに、急速に生息域が拡大しているニホンジカによる農林業被害の拡大抑制と防止を図るため、5箇所のモデル地域を設定し、センサーカメラ等のIoT技術を活用した、低コストで効果的な捕獲方法等の検証を進めているところでございます。
次に、「都市圏の活力強化」についてでございます。
広島市都心の拠点性向上につきましては、本年3月に経済界を中心とした広島都心のまちづくりの検討を行う「ひろしま都心活性化推進協議会」が発足し、経済界と行政が連携しながら都心のまちづくりを推進するため、具体的なまちの姿や、まちづくりのルールの在り方とその運用方法などの検討が行われているところでございます。
引き続き、広島市や経済界などと一体となって都心の活性化に向けた取組を推進してまいります。
サッカースタジアムにつきましては、本年3月に、県民の皆様や有識者の方などからの多様な御意見を踏まえた基本計画を策定いたしました。
現在は、この計画に基づき、民間事業者の意見も伺いながら、発注に向けた準備を進めているところでございます。
引き続き、広島の新たなシンボルとして年間を通じて賑わいを生み出す拠点の実現に向け、事業主体である広島市と連携して取り組んでまいります。
福山駅前地区につきましては、福山市において、本年3月に「福山駅前再生ビジョン」を具現化するための「福山駅周辺デザイン計画」が策定されたところでございます。
引き続き、福山市と連携して、三之丸地区の再生やエリアマネジメントの活性化に向けた人材育成及び機運醸成へ向けた取組など、福山駅周辺デザイン計画が着実に推進されるように取り組み、備後圏域の拠点性の向上に向けて支援してまいります。
次に「地域共生社会の実現」についてでございます。
本年4月に策定いたしました広島県地域福祉支援計画におきましては、住民、専門職、関係機関が切れ目なくつながり、地域が抱える生活課題の早期発見から解決まで着実に導く「重層的なセーフティネット」の構築を進めていくこととしております。
このため、新たに、多様な主体が連携・協働して地域生活課題の解決に取り組む地域共生プラットフォームの設置などの取組を複数の市町でモデル的に実施することとしており、現在、市町などの関係者と調整を行っているほか、本年8月から地域支え合いコーディネーターの養成研修の開催を予定しております。
引き続き、地域共生社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
次に、「地域の安全・安心」についてでございます。
「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動は、これまでのアクション・プランに基づく取組により、刑法犯認知件数は減少を続け、昨年は、ピーク時である平成14年の約8割減となるなど、大きな成果を挙げてきたところでございます。
次期アクション・プランでは、これまでの成果を継承するとともに、県民の皆様はもとより本県を訪れる誰もが日本一の安全安心を実感できる広島県の実現を目指し、本年11月の策定に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、「国際平和拠点ひろしまの形成」についてでございます。
本年8月に集中的に実施することとしておりました、被爆・終戦75周年記念事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、オンライン等を活用して実施してまいります。
このため、世界平和経済人会議については、オンラインを活用し、世界的にも影響力のある経済人などに御登壇いただき、新型コロナウイルス感染症との闘いを踏まえた経済と平和の関わりについての議論を深めてまいります。
また、グローバルに活躍できるリーダーの育成を目指す、核兵器と安全保障を学ぶ広島―ICANアカデミーについても、ウェブセミナーを本年7月から8月に実施し、広島での実地研修を延期して実施いたします。
こうした取組を通じて、被爆・終戦75周年となる今年、被爆地広島から核兵器廃絶の実現に向け、力強い平和のメッセージを発信してまいります。
次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
まず、旧広島陸軍被服支廠についてでございます。
現在、建物の壁面補強調査・設計業務を実施しているところであり、今後、示される工事の具体的な仕様や費用などを踏まえて、早急に安全対策の方針を検討してまいりたいと考えております。
また、利活用策の検討につきましては、幅広い分野から御意見を伺う必要があることから、有識者等へのヒアリングを行うとともに、具体的な検討の進め方を議論しているところでございます。
次に、広島高速5号線についてでございます。
広島高速道路公社における再発防止に向けた取組状況につきましては、広島県監査委員による監査が県及び公社を対象に実施され、本年3月には、外部役員の登用も含めて幅広く検討すること、取組状況の確認・検証等を定期又は随時に実施していくことなどの意見をいただいたところでございます。
県といたしましては、引き続き、広島市と連携して、公社における再発防止策の実施状況を確認するとともに、この度の監査結果も踏まえながら、公社の業務執行体制や組織体制等の改善を図り、その状況を節目節目で議会へ報告するなど、県民の皆様に対しまして、適切かつ丁寧な対応に努めながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。
次に、広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。
当事業につきましては、鉄道工事着手に向けた事務を進めており、今月18日にJR西日本と1期区間である向洋駅周辺について、工事基本協定を締結したところでございます。
引き続き、できるだけ早期に事業効果が発現できるよう、共同事業者である広島市と連携し、取り組んでまいります。
次に、水道事業の広域連携についてでございます。
県内水道事業の広域連携を推進するため、今月、広島県水道広域連携推進方針を策定いたしました。
この方針において、広域連携の基本的枠組は、県内水道事業の経営組織を一元化する統合が適当としており、県といたしましては、今後、市町の理解を得ながら、統合を推進してまいりたいと考えております。
次に、新たな総合計画についてでございます。
本県では、これまで、平成22年に策定した「ひろしま未来チャレンジビジョン」に基づく様々な取組によりまして、経済成長や人材の育成など、一定の成果が現れ、新たな成長に向けた芽も育ちつつあります。
新たな総合計画の策定に向けましては、骨子案を本年3月に取りまとめ、次の10年における新たな広島県づくりの方向性について、県議会や広島県総合計画審議会の皆様の御意見を伺いながら、検討を進めているところでございます。
今後、計画素案の取りまとめに当たりましては、新型コロナウイルスの影響による様々な社会経済環境の変化を的確に捉え、変化をチャンスに転換することができるよう、引き続き、皆様の御意見を伺いながら、取り組んでまいります。
次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。
まず、一般会計補正予算案につきましては、5月補正予算に引き続き、新型コロナウイルス感染症緊急対応策を実施するとともに、令和2年度当初予算編成後の状況変化等を踏まえ、必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として、編成しております。
具体的な補正の内容でございますが、新型コロナウイルス感染症緊急対応のほか、創造的復興による新たな広島県づくりや「欲張りなライフスタイル」の実現に向けた取組などに、時機を逃さず対応するための経費について、予算を計上しております。
これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、719億2,967万円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆2,063億3,770万円となります。
次に、予算以外の議案といたしまして、「広島県手数料条例及び広島県立総合技術研究所設置及び管理条例の一部を改正する条例」などの条例案6件、人事案件といたしまして、「広島県公安委員会委員の任命の同意について」の1件、その他の議案では、「財産の出資について」など4件を提出しております。
また、報告事項として、県が資本金の四分の一以上を出資等している法人の経営状況説明書などを提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。