本日、臨時県議会を招集いたしましたところ、議員各位には御参集いただき、誠にありがとうございます。
はじめに、県民の皆様、日々県民の皆様の尊い命と健康を守っていただいている医療従事者及び保健関係の皆様、営業時間の短縮などの対策に御協力いただいている飲食店や事業者の皆様、そして、新型コロナウイルス感染症の対策に関わっていただいている全ての皆様に深く感謝申し上げます。
新型コロナウイルス感染症につきましては、広島市を中心とした感染者の急増に対応するため、昨年12月12日から先月17日までの間、「集中対策」として、外出機会の削減やテレワークの活用等による人と人との接触機会の低減、アクリル板等の設置や換気の徹底による飲食店等における飛沫感染防止、飲食店における酒類の提供時間と営業時間の短縮要請などに取り組んでまいりました。
これらの対策により、感染経路として「飲食の場」が減少し、広島市での感染の急拡大に歯止めをかけたものの、「家庭内」や「職場」の件数、割合が増加し、「高齢者施設等」でのクラスター等も増え、結果として、新規感染者の発生は高止まり状態が続いておりました。
このため、県民の皆様の社会経済活動への影響を最小化し長期化を回避するために、「早く、強く、短く」という考え方の下、先月18日から今月7日までの間、「第2次集中対策」として、4つの戦略に基づき緊急事態措置に準じた対策を実施し、広島市はもとより全県における感染状況の早期改善に取り組んでいるところでございます。
具体的には、1つ目の戦略「知人等の間の個別接触の遮断強化」といたしまして、家庭内や職場での感染が、再度、飲食の場や職場、学校での感染を通じて再拡大していく「感染拡大のループ」を遮断するため、飲食店等の営業時間の短縮を継続するとともに、対象を広島市全域に拡大し、家庭や職場内での感染防止対策の徹底についても改めて要請いたしました。
次に、2つ目の戦略「人と人との接触全般の削減の強化」といたしまして、県民や事業者の皆様に、外出機会を半分に削減し、また、出勤者も7割削減することなど、広島県全体での人出の更なる削減を要請いたしました。
次に、3つ目の戦略「陽性者の早期発見による感染リンク遮断」といたしまして、県内5箇所に設置しておりますPCRセンターにおいて、検査対象の方であれば、どこのセンターでも検査ができる体制を整備いたしました。
最後に、4つ目の戦略「増加する施設内クラスター対策の強化」といたしまして、医療機関・高齢者施設等の従事者に対するPCR検査等を強化し、広島市、福山市等の一部の介護施設従業者は、月2回程度の検査を実施しております。
こうした中、先月8日及び14日には、11都府県で緊急事態宣言が発出されましたが、本県では、県民や事業者の皆様の御協力の下、昨年12月から、これらの集中対策に取り組んだことにより、広島市内の感染は減少傾向にあり、感染状況は国が示すステージ4相当から、現状では、ステージ2相当となっております。
このように県内の感染状況は改善しつつありますが、感染者が急増する前にアクションを起こす目安として、本県が独自に設定している警戒基準値と比較した場合、広島市では、直近1週間の人口10万人当たりの新規報告者数は警戒基準値「4人」に対して7.5人、同じく全療養者数は警戒基準値「6人」に対して12.9人となっており、引き続き高い水準となっております。
また、感染経路不明割合は、数値が確定しております先月20日までの1週間平均で、県全体の36.5パーセントに対して広島市が46.4パーセント、PCR検査の陽性率は、先月24日までの1週間平均で県全体の2.0パーセントに対して広島市が5.4パーセントとなっており、いずれも広島市の数値が依然として高いことから、市中感染のリンクを遮断して、感染を減少させる必要がございます。
加えて、他の自治体では、新規感染者数が減少傾向となったことを踏まえて対策を緩和し、その後、感染が再拡大している事例もあることから、このような事態に対する十分な警戒が必要であると認識しております。
このため、県といたしましては、感染の再拡大に警戒しつつ感染の収束を確実にしながら段階的に対策を緩和するとともに、これまでの集中対策の影響を受けた飲食事業者に対する支援を実施するため、この度、補正予算案を編成したところでございます。
その主な内容を申し上げます。
感染状況は予断を許さない状況にあることから、今月8日以降につきましては、酒類を提供する飲食店に対する酒類提供時間及び営業時間の短縮を1時間緩和して要請することを念頭に、この要請に御協力いただいた店舗に対する支援のための予算を計上しております。
具体的な要請の内容は、直近の感染状況や専門家の皆様の御意見等を踏まえて改めて決定してまいります。
また、県内全域において、集中対策に基づく「飲食の場・飲酒の場における対策」の影響を受けて、売上が減少した飲食事業者に対する支援を市町と連携して実施してまいります。
さらに、無症状者・軽症者からの感染をできる限り遮断するため、広島市の中区、東区、南区、西区におきまして、居住者や就業者の方々に対する集中的なPCR検査を実施したいと考えております。
これまで新規感染者の発見は、積極的疫学調査において、濃厚接触者に限らず幅広い接触者を対象に徹底的に検査を行うとともに、有症状者に対しましては、身近な医療機関等で早めの受診・検査を行ってまいりました。
さらに、クラスター対策として、医療機関、高齢者施設等の従事者の定期検査を行ってきたほか、無症状者に対しましても、PCRセンターで一定の対象者に幅広く検査を実施してきたところでございます。
しかしながら、これらの対策では昨年12月の感染拡大を防げなかったほか、その後、これまで講じてきた集中対策により新規感染者は減少傾向にあるものの、警戒基準値を上回っており、広島市において市中感染が継続している状況でございます。
どこにいらっしゃるかわからない無症状や軽症の方からの感染については、対策を行うのが非常に困難であり、これらの方が無自覚に家族や知人、職場へと感染を広げてしまう恐れもございます。
感染が再拡大すれば医療体制をひっ迫させることとなり、また、感染の拡大と制限の緩和を繰り返すようでは、経済の正常な回復は困難となります。
今後、市中感染を抑え込み、感染状況を安定させ、社会経済活動を安定的に回復させるには、これまで県内では実施していない更なる追加対策が必要と考えており、集中的なPCR検査を実施したいと考えております。
この検査の実施により、積極的疫学調査で感染拡大を防止できる低い水準まで感染レベルを抑え込むことができれば、医療体制をひっ迫させることなく、経済的な損失を最小限に抑え、早期に社会経済を回復させることができるものと考えております。
これらの取組に係る一般会計の歳入歳出補正予算額は55億597万円となり、本年度予算の累計額は1兆2,674億7,344万円となります。
また、このほか、専決処分報告5件を提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。