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令和3年広島県議会2月定例会(令和3年2月15日)

印刷用ページを表示する掲載日2021年3月15日

追加議案(令和3年2月22日)はこちら

追加議案(令和3年3月15日)はこちら

知事説明要旨

2月定例県議会の開会に当たり、県政運営の基本的な考え方や来年度における施策の概要等を申し上げた上で、ただいま提出いたしました令和3年度当初予算案を始めとする議案等の概要を御説明いたします。

1. 令和3年度政策の基本方向

まず、令和3年度の政策の基本方向について申し上げます。

昨年10月に策定した「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」の初年度となる来年度は「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現を目指して県民一人一人の挑戦を後押しする」ことを基本姿勢として、「新型コロナウイルス感染症対策の強化」、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」、「創造的復興による新たな広島県づくり」に取り組んでまいります。

また、全ての施策を貫く視点として、「先駆的に推進するデジタルトランスフォーメーション」、「ひろしまブランドの強化」、「生涯にわたる人材育成」を掲げるとともに、様々な取組を相互に関連させ、相乗効果を創出してまいります。

とりわけ、新型コロナウイルス感染症につきましては、県民生活や本県経済に大きな影響を及ぼし、県民の皆様の将来に対する様々な不安を高めていることから、感染拡大の防止と社会経済活動の早期回復を両立させていくため、感染拡大防止対策や医療提供体制の確保、並びに事業の継続や雇用維持などの経済活動を支える取組に、引き続き注力してまいります。

「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大をはじめ、県民の皆様が抱く様々な不安を軽減し「安心」につなげ、県民の皆様の「誇り」を高めていく取組に併せて、県民一人ひとりの「挑戦」を後押しする取組を進めることで、目指す姿の実現に向けた第一歩を踏み出してまいります。

また、新型コロナウイルス感染症は、日常生活における基本的な安全・安心の大切さを改めて認識させるとともに、過度に進行した「密集・密接・密閉」を避けて、人と人との距離を保つ「分散」がもたらす価値に気付かせました。

このため、本県の強みである密過ぎない都市と、美しく自然豊かな中山間地域による「都市と自然の近接性」を最大限生かした「適切な分散」と、多様なイノベーションを創出する知の集積などに必要な「適切な集中」を組み合わせ、それぞれの地域特性を生かした適散・適集な地域づくりを進め、県全体の持続的な発展につなげてまいります。

「創造的復興による新たな広島県づくり」につきましては、来年度、平成30年7月豪雨災害の発災から3年を迎える中、これまで「復旧・復興プラン」に基づき、被災者の方々の生活再建や県内企業等の経済活動の再生への支援、被災したインフラの早期復旧などに取り組んでいるところでございます。

引き続き、被災前よりも更に良い状態に県全体を押し上げていくよう、創造的復興による新たな広島県づくりに全力で取り組んでまいります。

2. 令和3年度主要施策の概要

続いて、この基本方向に基づき編成いたしました令和3年度の主要施策の概要について、御説明いたします。

【新型コロナウイルス感染症対策の強化】

まず、政策の基本方向の第一、「新型コロナウイルス感染症対策の強化」に向けた取組でございます。

新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、昨年12月12日から「集中対策」を実施し、先月18日からは「第2次集中対策」として、広島市につきましては、飲食を伴う場面への対策を中心とし、それ以外の地域につきましても、外出機会の半減や出勤者の7割削減を要請するなど、厳しい対策を実施してまいりました。

これらの対策を継続してきたことにより、本県の感染状況につきましては、直近1週間の人口10万人当たりの新規報告者数が、広島市、県全体のいずれも本県が独自に設定している警戒基準値「4人」を下回る水準に到達いたしました。

多くの県民や事業者の皆様に、対策に関して御理解と御協力をいただいたおかげであり、改めまして、県民や事業者の皆様に厚く御礼を申し上げます。

一方、他の自治体では、新規感染者数が減少傾向となったことを踏まえて、飲食店への営業時間短縮等の対策を解除した後に、感染が再拡大している事例もあることから、本県の現状も、未だに予断を許さない状態だと認識しております。

さらに、専門家の皆様からは、「集中対策は一気に緩めるのではなく、段階的に緩和しながら一定期間継続することが望ましい」、「人と人との接触の機会を減らすことは継続的かつ着実に進めるべき」などの御意見をいただきました。

こうしたことから、現在の状況が安定的に推移することを、高い警戒レベルを維持しつつ注視していかなければならないと考えており、対策の全面的な解除は行わず、段階的に対策を緩和しながら、引き続き集中的な感染防止対策に取り組みつつ、営業時間の短縮要請など強い措置の解除を目指していく「第3次集中対策」を、今月8日から21日までの間、取り組んでいるところでございます。

その内容といたしましては、人と人との接触機会の低減や酒類を提供する飲食店に対する営業時間短縮を引き続き要請するとともに、これらの対策の一部を緩和しております。

また、感染者の早期発見、積極的疫学調査の強化、PCR検査体制の充実、クラスター対策の強化等に継続して取り組むことで、新規感染者を確実に減少させてまいります。

これらの対策により、全県において各種指標が警戒基準値を下回り、ステージ1の状態で安定的に推移することを目指してまいります。

さらに、感染経路を可能な限り断ち、確実に感染拡大を抑え込む必要があるとの考えの下、広島市中区など4区の居住者並びに事業者の皆様を対象に、無症状者や軽症者を把握するため、PCR検査を集中実施することとしておりましたが、広島市の感染者が急激に減少していることから、集中実施は現時点においては、保留することとし、次なる感染の急拡大に備えることといたしました。

一方で、今後の実施に備え、運用の精度を高めるため、今月19日から、中区の一部地域の居住者や事業所の就業者の皆様を対象に、部分的に試行いたします。

次に、新型コロナウイルスの感染拡大の防止と社会経済活動を両立するための、主な取組の状況を御説明いたします。
はじめに、「感染拡大防止対策」についてでございます。

感染者を早期に発見し、感染の連鎖を遮断するため、身近な医療機関で診療・検査を受けることができる体制を構築しているほか、県内5箇所にPCRセンターを設置しており、引き続き、検査の対象者が速やかに受検できる体制を維持してまいります。
あわせて、感染者の急増をいち早く探知し、感染拡大局面で早めの対策を打つため、日々の陽性率をモニタリングしてまいります。

県内では、医療機関や高齢者施設等でクラスターが発生しておりますことから、施設外からの感染を防止するため、これらの施設の従事者に対する定期的な検査を継続して実施してまいります。

また、新型コロナウイルスのワクチン接種に向けて、接種までの流れや接種後の副反応など、県民の皆様からの問い合わせに対応する相談窓口の設置や、各種広報媒体を通じて、適切な情報を周知するとともに、県民の皆様が円滑にワクチンを接種できるよう、市町と連携して取り組んでまいります。

オンライン診療・服薬指導につきましては、コロナ禍において医療機関の受診を控える県民の皆様等に対して、県内全域でモデル的に実施し、その安全性や有効性を検証し、効果的に普及する方法を検討してまいります。

次に「医療提供体制等の確保」についてでございます。

感染者の急増に対応するため、入院病床を477床、軽症者等の宿泊療養施設を1,038室確保しております。

また、病床を確保する医療機関等の設備整備や、医療従事者の宿泊施設の確保、新型コロナウイルス感染症患者に対応する医療従事者に対して特殊勤務手当を支給する医療機関への支援などに引き続き取り組むことで、感染者の受け入れ態勢を確保してまいります。

次に「県内経済対策」についてでございます。

本県経済につきましては、一時、持ち直しの動きが見られたものの、全国的な新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う外出自粛や観光客の減少などにより、飲食業や宿泊業をはじめ、幅広い業種で厳しい状況になっております。

さらに、雇用面におきましても、県内の有効求人倍率が低下するなど、本県経済は、先行き不透明な状態であると認識しております。

こうした中、本県では、これまで、中小企業への迅速な資金繰り支援として、実質無利子・無担保の融資制度を創設し、今月9日までに30,381社に対し、約4,452億円を融資しております。

国におきましても、様々な経済的支援が実施されており、雇用調整助成金では、申請に要する費用の支援など制度の活用を市町と連携して行い、本県では先月29日時点で5万5,080件、約613億円の助成金が支給されております。

あわせて、持続化給付金や家賃支援給付金などの支援策も実施されており、各商工団体と連携した経営相談窓口体制の強化に取り組むなど、これらの制度の積極的な活用促進を図ってまいりました。

そのほか、テイクアウト・デリバリーなど新たな取組への新規参入に対する支援やクラウドファンディングを活用した資金調達の支援などにも取り組むなど、感染拡大により厳しい状況にある県内事業者の事業の継続と雇用維持を支えてまいりました。

現在も多くの事業者が厳しい経営状況に置かれていると認識しており、引き続き、国や商工団体などと連携して、相談窓口や預託融資制度などの支援を実施してまいります。

また、昨年12月からの飲食店や飲食の場に的を絞った集中対策により、飲食店等におきましては、広島市内に限らず県内全域で売上が大幅に減少するなど、極めて厳しい状況にあることから、市町と連携して売上が減少した県内全域の飲食店等を応援する新たな支援金制度を創設し、本日から申請の受付を開始したところでございます。

飲食事業者以外の方々への支援につきましても、国の動向を見極めながら検討してまいりたいと考えております。

さらに、収益が悪化するなどの影響を受けた農林漁業者に対しまして、セーフ  ティネット資金等の活用を周知するとともに、畜産経営体における運転資金等の調達に係る負担を軽減するため、融資に対する利子補給の支援を引き続き実施してまいります。

雇用につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による離職に加えて新卒者などにも厳しい環境となる恐れがあり、離職者をはじめ、再就職を希望する子育て世代の女性や新卒学生等の円滑な就職の支援として、求人ニーズの掘り起こしや、民間サイトとの連携による求人情報の発信強化、専門カウンセラーによる支援などに取り組み、これらの求職者の早期就職を図ってまいります。

これらの取組に加えて、中長期的な視点から新しい日常に対応した事業の展開を支援するとともに、経済活動の安定的発展にも取り組んでまいります。

昨年11月から、新しい日常に適応する製品やサービスなどの提案を全国から募集したところ、391件の応募があり、このうち最大30件を選定して、開発から県内フィールドでの実証実験を支援してまいります。

また、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、広島発の新たなビジネスモデルを構築していくため、デジタル技術を活用した非接触型ビジネスなどのプロジェクト等の募集や、県内企業をモニターとする実装支援に取り組むとともに、企業の事業継続に向けた新事業の展開や業態の抜本的な転換を後押しするため、経営コンサルタントの派遣等によるプッシュ型の支援にも、継続して、取り組んでまいります。

さらに、厳しい経営環境下においても、県内ものづくり企業による持続的な発展に向けた活動を継続していくため、将来の成長の基盤となる研究開発への投資を引き続き支援してまいります。

感染拡大を防止することが最大の経済対策であるとの観点から、引き続き、新規感染者の発生を低いレベルに抑え込むとともに、事業者の皆様に対して適切な支援を実施していくことで、早期に県民の皆様が安心して生活できる社会を取り戻してまいります。

【それぞれの欲張りなライフスタイルの実現】

次に、政策の基本方向の第二、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」に向けた取組でございますが、「デジタルトランスフォーメーションの推進」、「県民の挑戦を後押し」、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」の3つの柱で取り組んでまいります。

(デジタルトランスフォーメーションの推進)

はじめに、「デジタルトランスフォーメーションの推進」についてでございます。

本県では、あらゆる主体がDXを実践することにより、社会課題の解決と経済発展の双方の実現を図っていくことを目指しております。

そうした中、新型コロナウイルス感染症を契機に、デジタル技術活用の有益性が再認識され、県民生活や経済活動においてデジタル技術を活用した変革の必要性が一層高まっていることから、「仕事・暮らし」、「地域社会」、「行政」などの様々な分野のDXを加速することで、県民の皆様の豊かな暮らしを実現してまいります。

具体的には、中山間地域が大半を占める本県におきまして、スマート農業技術の導入により、収益性の向上や人手不足に対応するための省力化を推進することが重要であり、民間企業やデジタル技術の専門家などと連携し、デジタル技術を活用した収量の増加や省力・効率化技術を開発・実証することで、本県に対応した生産性の高い経営モデルを構築し、広く農業者に普及を図ってまいります。

また、水産業分野では、水温センサーや水中ドローンなどのデジタル技術を活用することで、かき養殖に必要なデータの収集・分析や漁場改善効果の検証などを行い、生産の安定化や水産資源の回復などに取り組んでまいります。

公共交通等の利便性と持続可能性を高めるため、交通事業者や利用者、商業施設等が連携した「新しい交通サービス」を提供する「広島型MaaS」につきましては、実証実験を通じてモデルの構築に取り組むとともに、県内全域へのモデル展開に向けた基盤づくりに取り組んでまいります。

インフラマネジメントにつきましては、デジタル技術を活用して、県民の皆様の安全・安心や利便性の向上等を目指す「広島デジフラ構想」を推進してまいります。

このうち、道路や河川等のインフラデータを一元化・オープン化し、官民のデータ連携を可能とする「DoboX」につきまして、令和4年からの運用開始に向けてシステム構築を進めており、このシステム基盤を活用し、個人ごとの災害リスク情報のリアルタイムな発信や、県土全体の3次元デジタル化による新たなサービスや付加価値の創出につなげてまいります。

子供の育ちに関わるリスクを早期に把握し、問題を未然に防止する子供の予防的支援の構築につきましては、モデル市町の府中町において、AI予測システムの試験運用の開始に向けて開発を進めており、来年度は、AI予測から支援までの実証試験を開始いたします。

また、府中市におきましても、このシステムの開発を進めるとともに、新たに海田町でも、導入に向けた準備を進めてまいります。
これらの取組に加えて、行政・民間ともに、依然として、DXに対する理解や実践意識の醸成が十分に進んでおらず、DXを推進する人材も不足していることから、産学金官の連携による「広島県DX推進コミュニティ」の活動を通じて、機運醸成に取り組むとともに、今年度実施している県内企業等において求めるデジタル人材像等を把握するための調査結果を踏まえ、今後の人材の確保・育成の在り方について検討してまいります。

(県民の挑戦を後押し)

【県民が抱く不安を軽減し『安心』につなげる】

次に、「県民の挑戦を後押し」に向けた「県民が抱く不安を軽減し『安心』につなげる」取組でございます。
はじめに、「子供の健やかな育ちを支える環境の充実」についてでございます。

ひろしま版ネウボラの全県展開に向け、導入済市町に加え、未導入の市町に対しても、伴走型の支援を実施してまいりました。
来年度は、導入済みの6市町に加え、新たに7市町が加わり、計13市町で、ひろしま版ネウボラが導入される予定となっております。

今後、更なる評価の検証を進めるとともに、ネウボラに携わる人材の育成など、ひろしま版ネウボラの全県展開に向けた取組を進めてまいります。

また、保育所及び認定こども園等の待機児童を解消するため、入所決定に必要な選考作業にAIを導入することで最適化・効率化を図るとともに、それにより得られた時間などを活用して、保護者への個別対応を充実させてまいります。

あわせて、市町の窓口に行かなくても、パソコンやスマートフォンから保育所等の入所申込を可能とするなど、県民サービスの更なる向上を図ってまいります。

次に、「新たな価値を創造する人づくりの実現」についてでございます。

教育の分野につきましては、来年度は、多様な学習機会と場の提供等を通じた「個別最適な学び」を推進するとともに、日常的にデジタル機器等を活用する環境を整え、情報モラルを含めた子供たちのデジタルリテラシーの向上や教育活動の充実を図ってまいります。

また、デジタル技術を活用した遠隔教育システムによる学習環境を整備することにより、中山間地域等の県立高等学校の生徒が、地域を越えて専門性の高い授業や多様な人々との交流学習など質の高い学びを享受できる機会を増やすなど、「学びの変革」を更に加速させてまいります。

学びのセーフティネットの構築につきましては、家庭の経済的事情等に関わらず、全ての子供の能力と可能性を最大限高めることができるよう、小学校低学年段階からの学習のつまずきに対応した学力向上対策を強化するとともに、相談支援体制の強化や経済的な支援の拡充に取り組んでまいります。

本年4月に開学を予定しております叡啓大学につきましては、現在、入学者選抜を実施しているところであり、国内外から多様な学生を受け入れ、先行き不透明な社会経済情勢の中、文理の枠を越えた知識やスキルを身に付け、解のない課題に果敢にチャレンジし、新たな価値を創造する人材の育成に取り組んでまいります。

また、遠隔講義システムの活用による県内大学・短大のネットワーク化を進め、単位互換など、大学連携による取組の強化を通じて、魅力ある高等教育環境の構築を図ってまいります。

次に、「人生100年時代を見据えた健康寿命の延伸」についてでございます。

人生100年時代を迎える中、生涯にわたって健康を維持していくためには、若い時期からの健康管理が重要ですが、県内の従業者の約8割を占める中小企業では、「健康経営」の取組が十分に進んでいない状況にあります。

このため、従業員の健康づくりに特に積極的に取り組む企業への表彰や経営者を対象としたセミナーの開催などに加え、企業、大学等と連携し、デジタル技術を活用した健診情報等による生活習慣の改善について実証試験を行い、効果的な促進策を検討してまいります。

次に、「持続可能な医療・介護提供体制の構築」についてでございます。

本県の医療を将来にわたって持続可能なものとするため、限られた医療資源を効率的に配置し、役割分担と連携によって、地域で治し、支える地域完結型医療への転換を基本に取り組んでいるところでございます。

来年度は、新型コロナウイルス感染症により顕在化した課題への対応も含め、中長期的視点に立った、医療圏ごとの目指すべき体制と将来像について方向性を整理するとともに、その実現に向けた推進方策を検討してまいります。

また、市町等と連携し、県内125圏域で構築した地域包括ケアシステムの質の向上を図り、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう取り組んでまいります。

次に、「地域共生社会の実現」についてでございます。

本県では、誰もが住み慣れた地域でつながり、生きがいや役割を持ち、助け合いながら生き生きと暮らしていくことができる地域共生社会の実現を目指して、施策を推進しております。

地域の生活課題を住民から専門職、関係機関に切れ目なくつなぎ、必要な支援が受けられる「重層的なセーフティネット」を構築するため、住民と民生委員、企業・ボランティアなどの多様な主体が課題を共有し、その解決を図る取組を支援するとともに、アウトリーチによる課題の掘り起こしや住民と専門職との協働を後押しするコーディネーターの育成などに引き続き取り組んでまいります。

また、災害時に自ら避難することが困難な方につきましては、福祉専門職と地域住民が協同し、実効性のある個別計画を策定することで、平時から災害時まで切れ目のない包括的な支援体制の構築に取り組んでまいります。

さらに、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向けて、引き続き収容頭数の削減等に取り組むとともに、令和5年度の開設を目途に移転整備を行う新動物愛護センターについて、PFIによる入札・契約等を進めてまいります。

次に、「治安・暮らしの安全の確保」についてでございます。

県民の皆様の安全・安心な暮らしを支えるため、耐震性がなく、老朽化も進んでいる広島南警察署の防災拠点及び治安拠点としての機能を強化するため、建替整備を進めることとしております。

新庁舎につきましては、令和5年度中の開庁を目指して、現在、設計業務を進めているところであり、来年度から建設工事に着手することとしております。

水道事業につきましては、持続可能な水道システムを構築するため、統合に賛同する市町と、令和4年度の企業団設立に向けて準備を進めるとともに、統合以外の連携を選択する市町とは、研修の共同実施などの具体的な連携方策の検討を進めてまいります。

また、下水道事業につきましては、市町とともに広域化・共同化の具体化に向けた検討を行い、先日、計画案を取りまとめたところであり、引き続き、市町と調整を行い、年度内に広域化・共同化計画を策定し、施設の統合などの具体的な取組を進めてまいります。

さらに、水道事業における広域運転監視システムの整備や、AIによる管路の劣化予測ツールの導入に着手するなど、業務の効率化や県民サービスの維持向上に取り組んでまいります。

次に、「働き方改革・多様な主体の活躍促進」についてでございます。

働き方改革につきましては、平成29年度からの4年間で、働き方改革実践企業として、300社を目標に取り組んできたところ、351社が認定されるなど、県内企業の取組が広がりを見せております。

来年度は、テレワーク等の時間や場所に捉われない柔軟な働き方など、誰もが働きやすい職場環境の整備とともに、従業員の働きがいや達成感につながる取組を更に推進するため、経済団体等とも連携し、経営者層への働きかけを強化するなど、企業成長をもたらす働き方改革への理解と実践を促進してまいります。

移住の促進につきましては、AI移住相談窓口「あびぃちゃん」の本格運用により、全国からの移住相談に24時間対応できる体制を構築し、これまでに約2万人の方に登録いただいております。

来年度は、コロナ禍により地方移住への関心が高まった幅広い層に対して、希望に応じた仕事や暮らしをマッチングする仕組みづくりなど、本県への更なる移住促進に取り組んでまいります。

次に、「交流・連携基盤の整備」についてでございます。

来月14日には尾道市と三原市を結ぶ一般国道2号木原道路が開通予定であり、引き続き、一般国道2号東広島・安芸バイパスの整備など、人・モノの流れを支える道路ネットワークの構築を進めるとともに、企業活動のグローバル化等に対応するため、広島港・福山港における大水深岸壁の整備を推進するなど国際物流拠点の基盤整備を進め、広域的な交流・物流機能の強化を図ってまいります。

また、広島空港につきましては、本年7月から空港運営の開始が予定されている広島国際空港株式会社等と連携しながら、県といたしましても、航空ネットワークの維持・拡充に向けた取組など、空港機能の強化を図ってまいります。

次に、「環境への負荷の少ない持続可能な社会の構築」についてでございます。

世界的に地球温暖化による影響や海洋プラスチックごみ等の環境問題が懸念される中、本県といたしましても、地球温暖化対策や瀬戸内海の環境保全に率先して取り組む必要があると考えております。

現在策定中の次期「広島県環境基本計画」におきましても、温室効果ガスの排出を実質ゼロとする「ネット・ゼロカーボン社会」の実現に向けて、二酸化炭素を資源として捉え、生産活動における再利用や、石油由来プラスチックからの代替などを促進し、「広島型カーボンサイクル」の構築に取り組むこととしております。

また、海洋プラスチックごみによる新たな汚染ゼロに向けて、飲料メーカー等の製造業から流通、小売業まで、関係団体と幅広く連携し、プラスチックごみの海洋流出防止対策に取り組むなど、新たな環境施策を総合的に推進してまいります。

【県民の『誇り』につながる強みを伸ばす】

次に、「県民の『誇り』につながる強みを伸ばす」取組でございます。

はじめに、「県経済の持続的な発展に向けた産業振興」についてでございます。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、本県の経済活動は依然として深刻な状況が続く一方で、企業の地方移転に対する関心が高まっております。

こうした状況を踏まえ、期間限定の企業立地促進助成制度を創設するとともに、積極的なPR活動を展開したことなどにより、本県における今年度の本社機能・研究開発機能等の移転・拡充件数は20件となっており、昨年度の実績を既に超え、過去最高となっております。

製造業を中心とした企業についても、助成制度を創設し、コロナ禍における企業の設備投資の後押しを着実に行っているところでございます。

これらの取組の検証や、事業環境の変化等を踏まえて、企業立地促進助成制度の大幅な見直しを行い、大規模事業所の休止・閉鎖が公表された場合における、取引企業の設備投資についても助成の対象としております。
また、Webを活用したプロモーションについてもこれまで以上に強化することなどにより、企業の投資をより一層促進してまいります。

さらに、市町に対する産業団地造成交付金を来年度、初めて福山市に交付する予定としているほか、広島港江波地区での官民連携による取組を着実に進めることなどにより、多様な主体による産業用地の確保に取り組んでまいります。

次に、「成長産業の柱の一つとなる観光産業の確立」についてでございます。

観光戦略の基礎となるマーケティングを強化し、新型コロナウイルス感染症の影響などを踏まえた新たな観光ニーズの把握・分析等を行うとともに、これらに基づいた観光プロダクトの開発や受入環境の整備、ターゲットに応じた戦略的なプロ モーションなどに取り組んでまいります。

こうした取組により、新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、落ち込んだ観光需要の早期回復や、自立的・継続的な観光産業の確立につなげることで、本県のブランド価値の向上と更なる来訪者の増加の好循環を実現し、観光が本県経済の成長を支える産業の一つとなることを目指してまいります。

次に、「特色ある資源を生かしたスポーツ・文化の振興」についてでございます。

県内各市町のスポーツ資源を活用した取組「わがまち・スポーツ」※の推進に向け、福山市、府中市、北広島町の3つのモデル市町において、戦略策定や事業実施などの様々な支援を行っております。
※「・」はハートマーク

来年度は、この取組を更に拡げることにより、引き続き、スポーツを活用した地域活性化に取り組んでまいります。

また、コロナ禍ではプロスポーツチームを直接応援することが難しくなっていることから、スポーツの新たな応援スタイルを実証するプロジェクトに取り組んでおり、今月下旬には、バーチャル空間でファン同士の交流ができ、また、チームの新たな収入確保策となる「バーチャルワールド広島」の本格的な実証を開始いたします。

次に、「国際平和拠点ひろしまの形成」についてでございます。

先月22日に、採択から3年半を経て、核兵器を包括的に禁止する核兵器禁止条約が発効しました。

今後は、締約国のさらなる拡大につなげるとともに、条約の実効性を担保するため、核兵器国や核の傘の下にある国に対して、条約の署名・批准や締約国会議へのオブザーバー参加を粘り強く働きかけてまいります。

また、米国新大統領に就任されたバイデン氏には、核兵器廃絶に向けた確固たる決意を示していただくとともに、新型コロナウイルス感染症が収束した後には、ぜひ被爆地広島を訪問していただき、平和に向けた強いメッセージを発信していただけるよう、働きかけてまいります。

あわせて、被爆75年を契機に、核兵器のない平和な世界の実現に向けた取組を強化するため、「ひろしまイニシアティブ」を策定し、国連における核兵器廃絶目標の合意や核兵器を拒否する世界的規範の強化、核軍縮の促進と核兵器に依存しない安全保障の探求などを推進してまいります。

また、多様な主体の参画を促すプラットフォームを構築するため、世界平和経済人会議の開催やウェブサイトを通じた賛同者の拡大を推進するほか、平和に関する資源の集積機能や研究機能などを備えた、仮称ではございますが、「ひろしま国際平和創造センター」を設置することなどにより、核兵器のない平和な世界の実現に具体的に貢献してまいりたいと考えております。

【県民一人一人の夢や希望の実現に向けた『挑戦』を後押し】

次に、「県民一人一人の夢や希望の実現に向けた『挑戦』を後押し」の取組でございます。

はじめに、「イノベーション立県の実現」についてでございます。

産業を横断的に支えるイノベーション・エコシステムの形成に向けまして、これまでの取組に加えて、新事業の創出や創業を支援するインド最大級の施設である 「T-Hub」との連携による、インドのデジタル人材と県内企業との共創プログラムの実施や、社会課題解決を目指す起業家を育成する「ソーシャル・イノベー  ション・スクール」の開催などの取組を推進してまいります。

また、最新のデジタル技術を活用した実証実験の場である「ひろしまサンドボックス」の協議会には、先月末現在、1,800者を超える会員が新たなチャレンジに取り組もうと集まっております。

現在、製造業や島しょ部での農業、かき養殖などの分野で取り組んでいる9つの先進的な実証プロジェクトにおいて、技術実証やプロトタイプ開発が進んでいるほか、各実証プロジェクトで得られたデータについて、データ利用希望者と提供者がデータを共有できるよう支援することで、様々な分野間のデータ連携を促進し、  オープンイノベーションによる広島発の新たなサービスやビジネスの創出に取り組んでおります。

来年度は、サンドボックスに集積した企業や人材とDXを目指す県内企業等との連携を深め、ウィズ/アフターコロナ時代における課題解決につながる新たな  ソリューションが創出できる、より多様な人材が集積する好循環を作り出してまいります。

今後、更なる成長が期待される環境・エネルギー産業の育成につきましては、これまでの海外展開を中心とする取組に加え、大崎上島町を中心とした国の取組とも連携しながら新たにカーボンリサイクル技術の推進に取り組むとともに、産学官連携による新ビジネスの創出を図っていくことなどにより、環境・エネルギー産業が広島県の新たな産業の柱の一つとなるよう、企業等の集積促進を進めてまいります。

次に、「生産性の高い持続可能な農林水産業の確立」についてでございます。

現在策定中の「2025広島県農林水産業アクションプログラム」につきましては、素案を昨年12月に議会にお示しし、県民の皆様の御意見も踏まえて検討を進めており、来月の策定を目指してまいります。

来年度は、基本理念として掲げている「生産性の高い持続可能な農林水産業の確立」に向けて、スマート農業の実装等を通じた生産性の向上を図るとともに、経営力の高い経営体の育成を進めてまいります。

また、デジタル技術の活用によるかき養殖の生産安定化や水産資源回復に向けた漁場環境改善などの総合的な対策により、かき及び瀬戸内の地魚を安定的に供給する体制を目指してまいります。

さらに、比婆牛のブランド向上のための新たな価値要素を追求することにより、「ひろしま」ブランドにつながる広島和牛の生産体制の構築を図ってまいります。
林業につきましては、森林経営管理制度を活用した林業経営適地の集約化や、県産材の新たな需要確保に向け、住宅の主要部材などに県産材の利用を拡大する取組を進め、これらの取組により、本県農林水産業の競争力の強化と持続性を高めてまいります。

(特性を生かした適散・適集な地域づくり)

次に、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」の取組でございます。

はじめに、「県全体の発展を牽引する魅力ある都市の形成」についてでございます。

広島市都心の拠点性向上につきましては、これまで「ひろしま都心活性化推進協議会」におきまして、民間企業を中心に、具体的なまちの姿やまちづくりのルールの在り方、様々な関係者が連携しながら「ひろしま都心活性化プラン」を実現していくための体制構築に向けて検討を進めてまいりました。

来月末には、経済界と行政の連携による広島都心のまちづくり推進を目的とした新たな組織を設立することとしており、その活動を支援してまいります。

引き続き、広島市や経済界などと一体となって都心の活性化に向けた取組を推進してまいります。

サッカースタジアムにつきましては、中央公園広場におけるスタジアムと広場エリアに求められる機能等について、サッカースタジアム建設推進会議に係る4者で議論を進め、期待する整備の方向性を先月取りまとめたところでございます。

この方向性におきましては、集客目標を220万人に定め、その内訳や求める施設の機能イメージなどを盛り込んだところであり、広島市が行う設計施工の事業者や広場エリアのにぎわい施設整備事業者の選定に活用いたします。

また、先月25日に開催されましたサッカースタジアム建設推進会議におきましては、引き続き、4者で連携して取り組んでいくことを確認したところでございます。

引き続き、県議会の皆様の御意見を伺いながら、広島の新たなシンボルとして、年間を通じて、県内外から集客が期待でき、県全体の活性化につながる拠点の実現に向け、事業主体である広島市と連携して取り組んでまいります。

福山駅前地区につきましては、旧キャスパの解体が今月末に完了する予定であり、昨年12月に事業者より、新型コロナウイルスを踏まえた建物概要の変更と工事着工時期の発表が行われるなど、福山駅前の再生が進められているところでございます。

引き続き、福山市と連携して、三之丸地区の再生やエリアマネジメントの活性化に向けた人材育成及び機運醸成への支援など、備後圏域の拠点性の向上に向けた取組を支援してまいります。

次に、「自然豊かで分散を生かした中山間地域の形成」についてでございます。

先月、令和3年度から7年度までの5年間を計画期間とする「第2期広島県中山間地域振興計画」を策定いたしました。

今後は、この計画に基づき、「笑顔で幸せな生活を営むことができる中山間地域」の実現に向け、引き続き、「人づくり」、「仕事づくり」、「生活環境づくり」の三つの柱に沿って、施策を推進していくこととしております。

まず、「人づくり」につきましては、地域づくりをリードする人材のプラット   フォームである「ひろしま里山・チーム500」へ378人の方々が登録され、各地で地域課題の解決に向けた活動が展開されております。

来年度は、オンラインによる未来博の開催を通じた人材の裾野の拡大や、地域貢献に関心の高い企業による活動支援の仕組みづくりなどに、積極的に取り組んでまいります。

「仕事づくり」につきましては、市町において実施される、企業の「お試し勤務施設」の整備や、民間事業者による「コワーキング施設」の整備を支援し、中山間地域へのサテライトオフィスの更なる誘致に取り組んでまいります。

「生活環境づくり」につきましては、中山間地域が抱える生活に身近な課題について、デジタル技術を活用して解決するための新たなサービスを導入しようとする市町の取組を支援し、広く中山間地域での普及展開につなげてまいります。

次に、「利便性の高い集約型都市構造の形成」についてでございます。

災害リスクが低く利便性の高いエリアへ居住が誘導された集約型都市構造の形成や、地域の特性を生かした魅力的なまちづくりの推進を図るため、来年度から新たに、大都市圏では得られない広島ならではの「ゆとりと魅力ある居住環境の創出」に向け、市町等と連携し、モデル地域でのビジョンの策定支援などに取り組んでまいります。

【創造的復興による新たな広島県づくり】

次に、政策の基本方向の第三、「創造的復興による新たな広島県づくり」に向けた取組でございます。

はじめに、被災された方々の住宅再建につきましては、先月末時点で入居世帯は54世帯となり、ピーク時の4パーセントまで減少いたしました。

このうち、災害関連事業の進捗などにより住宅再建が遅れる世帯の方々につきましては、応急仮設住宅の供与期間の再延長が、昨年12月末に国から認められたところであり、今後、延長の手続を進めてまいります。

また、そのほかの世帯の方々につきましては、個別訪問の強化等により、個々の事情や状況に応じたきめ細かな支援を実施するなど、市町や関係機関と密に連携しながら、全力で早期の住宅再建に向けて取り組んでまいります。

次に、インフラの復旧についてでございます。

早期の復旧・復興に向けて取り組んでおります災害関連工事の進捗状況といたしましては、公共土木施設の災害復旧事業では、先月末時点で全2,550箇所のうち、2,338箇所の工事に着手し、このうち1,468箇所の工事が完成しております。

砂防・治山の災害関連緊急事業につきましては、本県が実施する全170箇所のうち、先月末時点で169箇所の工事に着手し、このうち125箇所が完成しております。

農地・農業用施設の災害復旧事業につきましては、全4,323箇所のうち、先月末時点で3,637箇所の工事に着手し、このうち2,051箇所の工事が完成しております。

これらの災害関連工事につきましては、県実施の工事では、引き続き、市町と連携しながら着実に工事を進め、令和3年度中の完了を目指して取り組むとともに、市町が事業主体である農地・農業用施設の復旧では、早期に完了させ、営農再開へつながるよう市町を支援してまいります。

また、近年、激甚化・頻発化する気象災害等から人命を守るとともに、社会経済活動への影響を最小限としていくためには、ハード・ソフト両面から安全・安心を支える総合的な県土の強靱化に取り組んでいく必要がございます。

そのため、現在、策定を進めている次期「社会資本未来プラン」やその関連計画におきましては、防災施設の整備や既存インフラの適切な機能維持など、ハード対策などによる事前防災を着実に進めるとともに、きめ細かな防災情報の提供や災害リスクに対する適切な土地利用の促進など、ハード・ソフト一体となったより効果的かつ効率的な防災・減災対策を推進してまいります。

このうち、治水対策につきましては、水害の激甚化・頻発化に備えるため、あらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる「流域治水」を推進することとしております。

現在、国が進めております一級水系に続いて、本県が主体となり取り組んでいく二級水系につきまして、県、市町及び地域の関係者などで構成する流域治水協議会を先月設置したところであり、今後は、河川や下水道等の管理者だけではなく、農林、まちづくりなどの関係者とも連携しながら、流域全体での事前防災に取り組んでまいります。

ため池対策につきましては、昨年10月に施行された「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」に基づき、ため池の劣化など危険性を評価した上で、計画的に防災工事を進めてまいります。

また、ため池の適正な管理体制を構築するため、「広島県ため池支援センター」を新設し、ため池の管理者に対する適正管理に向けた助言などを行ってまいります。

引き続き、県民の皆様の安全・安心の確保に向けて、関係者と連携・協力しながら、防災・減災対策の充実・強化に取り組んでまいります。

「みんなで減災」県民総ぐるみ運動につきましては、平成30年7月豪雨災害に関する県民の避難行動の調査・分析結果などを踏まえ、避難行動の促進につながる取組を重点に、今後5年間の指針として、第2期の「みんなで減災」県民総ぐるみ運動行動計画を策定いたしました。

この計画に基づき、「災害死ゼロ」の実現に向け、「ひろしまマイ・タイムライン」の更なる普及促進や、デジタル技術を活用した個別最適なリアルタイムでの災害リスク通知発信のためのシステム構築等による避難行動の促進、自主防災組織による避難の呼びかけ体制の構築を加速するなど、より効果の高い被害防止策に取り組み、「みんなで減災」県民総ぐるみ運動の強化を図ってまいります。

3. 当面する県政の諸課題への対応

次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

まず、「旧広島陸軍被服支廠」についてでございます。

旧広島陸軍被服支廠につきましては、令和2年度に実施した詳細調査で得られた結果と「1棟保存、2棟解体」の対応方針案を整理した考え方を踏まえ、県議会の皆様としっかり議論させていただき、最終的な方向性を整理するとともに、4号棟の所有者である国や、被爆建物の保存に取り組んでいる広島市にも、当時者の立場で議論に加わっていただき、利活用策の検討を進めていくこととしております。

このため、詳細調査につきましては、建物の安全性を確保するための建物補強案とその概算工事費等について、有識者の意見を踏まえて、昨年12月に、取りまとめたところであり、先月、県議会にも、御説明させていただいたところでございます。

また、この調査結果を国や広島市へ説明したところ、県において利活用や保存棟数などの具体的な方向性が示されれば、費用負担を前提とした協議へ参画する旨の回答を得たところでございます。

さらに、「1棟保存、2棟解体」の対応方針案を整理した視点に基づき、この詳細調査の結果について整理を行い、先日、御説明させていただいたところでございます。

今後は、国や広島市に当事者の立場で参画いただきながら、利活用策の検討を進めていくとともに、今定例会における県議会の皆様との議論を踏まえ、最終的な方向性を整理してまいります。

次に、「広島高速5号線」についてでございます。

まず、シールドトンネル工事につきましては、事業主体である広島高速道路公社において、二葉の里地区側から工事を進めてきたところであり、今後、牛田地区において住民説明会を開催し、地表面沈下の抑制対策等について説明した上で、牛田地区の掘削に入っていく予定でございます。

また、公社における再発防止や公社改革の取組につきましては、強靭な組織力の構築に向けて、昨年12月に「公社改革の方向性」が取りまとめられ、この方向性に基づく取組が順次実施されているところでございます。

県といたしましては、引き続き、公社や広島市と連携し、住民の皆様の御不信や御不安を可能な限り払拭できるよう取り組むとともに、公社改革等の取組を進め、適切かつ丁寧な対応に努めながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。

また、県の公共調達における取組といたしましては、公共事業の着手前段階において、事業計画の妥当性などを客観的に評価、公表する事前評価制度を令和3年度新規事業分から導入しております。

その他、随意契約について、適正な運用を図るよう、周知徹底を図ったほか、会計管理者への事前合議の対象に委託契約などを追加したところであり、引き続き、リスク管理の徹底及び適正な契約事務の確保に努めてまいります。

次に、「広島市東部地区連続立体交差事業」についてでございます。

当事業につきましては、昨年6月に県、広島市及びJR西日本が工事基本協定を締結し、同年10月に三者共同で住民説明会を開催し、1期区間である向洋駅周辺における鉄道工事に着手したところでございます。

引き続き、共同事業者である広島市と連携し、地元住民の皆様の御理解と御協力を得ながら鋭意工事を進め、できるだけ早期の事業効果の発現に向けて取り組んでまいります。

次に、「鞆地区道路港湾整備事業」についてでございます。

山側トンネルを含むバイパスの整備につきましては、来年度のトンネル工事の着手に向け、地元に丁寧な説明をしながら、現在、用地買収や接続道路の工事の発注準備を進めているところでございます。

今後とも、福山市と連携・協力し、バイパスや防災施設、交通・交流拠点等の整備に全力で取り組むなど、鞆のまちづくりが着実に進むよう県としてしっかり下支えをしてまいります。

次に、「高病原性鳥インフルエンザへの対応」についてでございます。

昨年12月に県内で初めて発生した高病原性鳥インフルエンザにつきましては、先月8日に全ての防疫措置が完了いたしましたが、国内では依然として発生が続いていることから、警戒体制を継続し、養鶏場における発生防止のための取組を徹底してまいります。

4. 令和3年度当初予算案等の概要

次に、令和3年度当初予算案の概要を申し上げます。

まず、新型コロナウイルス感染症対策の強化に452億円、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に向けた主要事業に1,333億円、創造的復興による新たな広島県づくりに453億円を計上するなど、重点施策へ経営資源を重点的に配分したところでございます。

この結果、来年度の一般会計当初予算の規模は、総額1兆938億4,000万円となり、対前年度比33億4,000万円、0.3パーセントの増となっております。

予算以外の議案といたしましては、「広島県ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金条例」など条例案13件、人事案件といたしましては、「広島海区漁業調整委員会委員の任命の同意について」の1件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など22件を提出しております。

また、報告事項として、請願の処理の経過及び結果報告を提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

追加議案【令和3年2月22日】

ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。

新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、昨年12月12日以降、3次にわたって集中対策を実施いたしましたところ、県民や事業者の皆様の御協力により、全県及び広島市における各種指標が警戒基準値を下回り、急拡大前の11月中旬の状況まで落ち着き、安定していることから、現状はステージ1の状態にあります。

このため、昨日をもちまして集中対策を終了し、外出機会の削減や営業時間の短縮などの要請を原則、解除いたしました。

しかしながら、感染の再拡大につながるリスクは依然として存在しており、営業時間の短縮などの再度の行動制限は社会的・経済的にも大きな影響を与えることから、感染状況を低く抑え込み続ける必要がございます。

県におきましては、積極的疫学調査や検査体制の強化を行い、引き続き感染者の早期発見とクラスター対策に力を入れるほか、警戒基準値等のモニタリングを強化し、必要な場合には、PCR検査の集中実施を行うことなどにより、状況が悪化する前の段階で、感染の拡大を抑え込んでまいりたいと考えております。

続きまして、令和2年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。

まず、新型コロナウイルス感染症緊急対策などを実施するため20億931万円を追加計上しております。

これは、これまでの集中対策における飲食店等への営業時間の短縮要請等による影響を受けておられる、飲食店と直接の取引がある中小事業者の皆様に対する支援や、外出機会の削減要請による影響を受けておられる中小事業者の皆様に対して支援を実施する市町への補助など、緊急的な支援を実施するものでございます。

次に、国の令和2年度3次補正予算を活用し、令和3年度当初予算と一体的に、「新型コロナウイルス感染症対策の強化」や、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」、「創造的復興による新たな広島県づくり」に向けた取組などを実施することとし、507億71万円を追加計上しております。

あわせて、社会保障関係費などの事業費の確定に伴い、減額の対応を行うとともに、公共事業につきましても、国の認証や事業内容の調整などによる事業費の確定に伴う減額を行うなど、515億2,205万円の減額の整理を行うこととしております。

また、本年度予算のうち、やむを得ず、翌年度に繰り越して実施する事業について、繰越明許費を計上しております。
以上の結果、一般会計につきましては、新型コロナウイルス感染症緊急対策の20億931万円の増額、国の令和2年度3次補正予算を活用した507億71万円の増額、事業費の確定に伴う515億2,205万円の減額により、合計で11億8,797万円の増額となり、本年度予算の累計額は1兆2,686億6,141万円となります。

また、特別会計補正予算案は10会計で、73億4,394万円の増額、企業会計補正予算案は5会計で、50億4,554万円の減額となっております。

予算以外の議案といたしましては、教育委員会教育長の任命につきまして県議会の同意を求める議案を提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

追加議案【令和3年3月15日】

ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。

新型コロナウイルス感染症の集中対策として、飲食店等に対し、休業や営業時間の短縮要請を行ってまいりました。

この要請に御協力いただいた飲食店等に対する協力支援金につきまして、これまでの申請状況を踏まえ、必要な経費を追加計上しております。

この結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は32億1,328万円となり、本年度予算の累計額は1兆2,718億7,469万円となります。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 

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