2月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、来年度における施策の概要及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
はじめに、感染力が非常に強い、新型コロナウイルスのオミクロン株による感染の急拡大に際して、最前線で県民の皆様の尊い命と健康を守っていただいている医療・介護や保健関係者の皆様に対し、心からの敬意と感謝を申し上げます。
また、県民や事業者の皆様には、基本的な感染防止対策のほか、外出の半減や営業時間短縮などの対策に取り組んでいただきまして、厚く御礼を申し上げます。
厳しい状況が続いておりますが、県民の皆様と共にこの難局を乗り越え、早期の社会経済活動の回復を目指し、全力を尽くしてまいります。
続いて、令和4年度の主要施策の概要について、御説明いたします。
来年度は、まず、足元の喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症への対応に注力し、アフターコロナを見据えた社会・経済の発展的回復を目指します。
また、「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」(「・」は白抜き右向き三角)における「目指す姿」の実現に向けて、新型コロナなどにより顕在化した構造的な課題への対応に取り組むとともに、引き続き県民の挑戦を後押しする取組や、本県の特性を生かした適散・適集な地域づくりに資する取組を推進してまいります。
その際には、「デジタルトランスフォーメーションの推進」や「ひろしまブランドの価値向上」、「生涯にわたる人材育成」の視点を持って企画立案することにより、それぞれの取組を加速してまいります。
まず、「新型コロナウイルス感染症への対応」についてでございます。
年明け以降、過去に経験したことのない感染の急拡大を受け、社会機能の維持が困難になることも懸念される、厳しい状況となっております。
このため、先月9日から、まん延防止等重点措置の適用を受け、さらに今月20日まで延長し、全県を対象に集中対策を実施しているところでございます。
現在、感染の急拡大は抑えられているものの、依然として新規感染者数は高い水準で推移しておりますことから、引き続き、県民、事業者の皆様に基本的な感染防止対策の徹底と積極的な検査を要請するとともに、PCRセンターや薬局等における検査体制の拡充、入院病床の確保など、必要な検査体制や保健・医療提供体制を全力で確保してまいります。
特に、保健・医療提供体制につきましては、軽症又は無症状の自宅療養者の増加に対応するため、日々の健康観察を行うフォローアップセンターや、療養中の症状悪化に対応するオンライン診療センターを設置するとともに、入院病床及び宿泊療養施設の確保や、経口治療薬の相談ダイヤルの設置など投薬体制の整備と併せて、重症化の防止と、症状に応じた迅速・適切な医療提供体制の確保に努めております。
ワクチン接種の促進につきましては、現在、ワクチンの効果を持続させるための追加接種を進めているところであり、年明けからの急激な感染拡大を踏まえ、県におきましても、広島市及び福山市において、県主体の大規模接種会場を1か月程度前倒しして設置するなど、市町の接種体制確保を支援しております。
引き続き、県民の皆様が円滑にワクチン接種を受けられるよう、市町や医師会等と連携して取り組んでまいります。
次に、「アフターコロナを見据えた社会・経済の発展的回復に向けた取組」でございます。
本県経済につきましては、昨年秋以降、持ち直しの動きが続いており、12月までの個人消費や生産などの経済統計にもその動きが表れております。
しかしながら、先月からの感染の急拡大により、影響の度合いは業種により異なるものの、本県経済の先行きに影響を及ぼすものと考えております。
特に、飲食業や宿泊業などにつきましては、まん延防止等重点措置の適用に伴う営業時間短縮や外出抑制などにより、厳しい状況となっております。
一方、製造業につきましては、持ち直しの動きが続いておりますが、自動車関連を中心に、世界的な半導体の供給不足による影響が継続しております。
加えて、原油高や原材料価格の高騰が続いており、製造業を含めた様々な事業者に影響を及ぼしておりますことから、これらの動きを引き続き注視してまいります。
雇用面につきましては、コロナ禍の影響を受けている離転職者や産業構造等の変化に伴う事業縮小や倒産による離職者に対し、引き続き、「働きたい人全力応援ステーション」における就業支援などに取り組み、これらの求職者の円滑な就職を支援してまいります。
また、県内事業者の事業継続と雇用維持を支えていくため、先月から集中対策の取組の影響を受けて売上げが減少している中小企業者に対する県独自の幅広い支援を実施するとともに、飲食店の休業又は営業時間短縮の影響を大きく受けている事業者に対しては、追加支援を行うこととしたところでございます。
さらに、国の補正予算を活用して、コロナ禍で苦しんでいる小規模事業者の販路開拓の取組や、商店街の運営の支援に取り組むほか、離職者を新たに雇用する建設業者等に対する助成や、デジタル化及びカーボンニュートラル等の環境変化に対応するための前向きな研究開発を行う県内ものづくり企業への支援を実施してまいります。
加えて、アフターコロナを見据えた新たなビジネスモデルの構築や業態転換に取り組む中小企業への支援を始め、新事業展開などの経営革新に取り組む意欲的な事業者への支援や、医療機関、介護サービス等事業所に勤務する職員の賃上げ効果が継続されるための取組などを行ってまいります。
次に、「イノベーション環境の整備」についてでございます。
最新のデジタル技術を活用した実証実験の場である「ひろしまサンドボックス」につきましては、先月末時点で2,400を超えた協議会会員が県内をフィールドに新たなチャレンジに取り組んでおり、実証実験を契機とした県内への拠点開設や事業化に向けた資金調達などの動きが表れ始めております。
来年度は、社会実装に向けて課題となる規制緩和や関係者との調整等に対する支援に加え、これまで開発された商品・サービスの県内への実装を進めてまいります。
また、「イノベーション・ハブ・ひろしまCamps」を中心に取り組んでおります、人材育成や新規事業開発への支援に加え、広島から、世界に羽ばたき大きく成長することを志す、ユニコーンと呼ばれるような、有望なスタートアップ企業を対象にした成長支援、国内外の企業及び投資家の広島進出を促すためのプロモーションを実施するなど、世界に選ばれる「イノベーション創出拠点ひろしま」としての活動を促進してまいります。
次に、「企業誘致・投資誘致の促進」についてでございます。
コロナ禍を契機として、デジタル企業を中心に、地方移転への関心が高まる中、充実した企業誘致促進助成制度や積極的なPR活動の展開により、今年度の本社機能・研究開発機能等の移転・拡充件数は、28件と昨年度の過去最多の31件に迫っております。
また、製造業等を中心とした企業に対しても、AI、ロボット化などの生産性向上や拠点機能強化に向けて、企業の設備投資の後押しを着実に進めております。
さらに、デジタルマーケティングを活用するホームページの構築など、ウェブによるプロモーションもこれまで以上に強化することにより、より一層の企業の投資の促進やデジタル企業の集積を図り、県経済の持続的な発展につなげてまいります。
次に、「ブランド価値の向上につながる魅力づくり」についてでございます。
新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、落ち込んだ観光需要の早期回復や、自立的・継続的な観光産業の確立に向けた取組を推進していくことにより、本県のブランド価値の向上と更なる来訪者増の好循環を実現してまいります。
具体的には、コロナ禍による観光客のニーズの多様化や、今後も起こりうる急激な環境変化に柔軟に対応できるよう、観光客のニーズや動向等を的確に把握し、より精度の高いマーケティングに基づいた観光プロダクトの開発や、おもてなしの質向上に向けた受入環境の整備、広島の魅力を自発的に発信してもらえる広島ファンの増加などに取り組んでまいります。
また、本年10月30日には、国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ 2022」を開催することとしており、世界に誇るしまなみ海道の様々な魅力を参加者の皆様に楽しんでいただけるよう、準備を進めてまいります。
次に、「新型コロナなどにより顕在化した構造的課題への対応」についてでございます。
はじめに、「デジタルトランスフォーメーションの推進」についてでございます。
デジタル技術を活用して、様々な社会課題の解決と更なる県民生活の向上や経済発展を実現していくために、様々な分野におけるDX施策に取り組んでおります。
建設分野につきましては、「広島デジフラ構想」に基づき、洪水予測の高度化に向け、予測精度の向上につながる危機管理型水位計の設置・拡充を進めるとともに、維持管理の高度化・効率化に向け、ドローンを活用した河川施設の土砂の堆積等の状況や、水面下の港湾施設の損傷箇所の把握などの実証実験を開始いたしました。
農業分野につきましては、中山間地域に対応したスマート農業技術を実証し、収益性の高い経営モデルの構築に取り組んでおり、来年度は、六つのテーマの技術実証を実施してまいります。
あわせて、実証フィールドで技術開発に取り組んでいる企業との交流会を実施し、技術を知り、試す機会を提供するとともに、生産データを農業者間などで共有する仕組みの構築を進め、導入効果を最大限発揮できる環境を整えてまいります。
健康分野につきましては、若い時期からの適切な生活習慣の定着に向けて、健康経営に取り組む企業と連携し、健診データやデジタル技術を活用した効果的な介入方法を検討するための実証試験を開始したところであり、今後、試験から得られるデータの検証や分析を行いながら、検討を進めてまいります。
産業分野につきましては、企業従業員の新たなスキルや知識の習得、いわゆる「リスキリング」を産業界全体で推進していくため、デジタル基礎知識の習得支援を行うとともに、産学官で連携し、円滑な労働移動の実現に向けた対応策を検討してまいります。
教育分野につきましては、必要なデジタルリテラシーを修得できる環境整備に向けて、遠隔講義システムの導入を通じた県内大学等のネットワーク化を促進するとともに、広島大学などのデジタル関連科目をベースにした動画を作成し、県内の他大学へ提供するなどの取組を開始いたします。
また、「広島県DX推進コミュニティ」を核として、DXに対する理解と実践意識の醸成に向けた研修に取り組むとともに、県内企業が必要とするDX人材の確保と育成策や、様々なデータ基盤をつなぐプラットフォームの構築について検討してまいります。
加えて、こうした取組の考え方や進捗状況などを県民の皆様に分かりやすくお伝えすることにより、全県的に一体感を持って、DXを推進してまいりたいと考えております。
次に、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」についてでございます。
はじめに、「県全体の発展を牽引する魅力ある都市の形成」についてでございます。
広島市都心の拠点性向上につきましては、昨年4月に設立された広島都心会議において、会員企業と広島市都心で活動するエリアマネジメント団体などとの交流会が開催されるなど、具体的な活動が加速しております。
また、基町相生通地区の再開発事業につきましては、今年度中の都市計画決定に向けた手続が広島市において進められており、紙屋町・八丁堀地区の活性化を目指す官民連携のリーディングプロジェクトとして、県の中枢拠点性の向上に資する都心空間の形成が図られるよう、再開発事業者に対して必要な支援を行ってまいります。
サッカースタジアムにつきましては、事業主体である広島市において事業者選定が完了し、スタジアムと広場エリアの全体像が示されたところでございます。
事業者の提案内容は、「街なかスタジアム」である好立地を生かし、スタジアムと広場が一体となって新たな賑わいの拠点を生み出すことで、都心の回遊性向上が期待できるとともに、年間を通じて広域から幅広い世代を集客し、県内各地を訪れるきっかけとなる魅力発信も期待できるなど、県が求めてきた、県全体の活性化や中枢拠点性の向上への効果が期待されるものとなっております。
こうしたことも踏まえ、整備費用のうち、交付税措置額を除いた自治体負担分を県・市で2分の1ずつ負担することとし、必要な経費を予算に計上しております。
福山駅周辺地区の拠点性向上につきましては、三之丸町の旧キャスパ地区の再開発において、今月末までに中棟が完成する予定であり、エフピコRIMにつきましては、4月の一部オープンに向けて、施設の整備が進められております。
また、持続可能な地域公共交通の実現に向け、県、市町、交通事業者、利用者などの全ての関係者が、公共交通の「目指す姿」とその実現に向けた方向性を共有し、一体的に取り組むことを目指し、県全域を対象とした地域公共交通政策のマスタープランとなる「広島県地域公共交通ビジョン」の策定に取り組んでまいります。
次に、「自然豊かで分散を生かした中山間地域の形成」についてでございます。
昨年9月から12月にわたり開催した「ひろしま さとやま未来博2021」につきましては、3万3千人を超える方々が参加されました。
参加者の中には、体験プログラムを通じて、地域づくり実践者との交流や、自ら地域づくり活動を開始する方もおられるなど、取組の成果が見え始めております。
来年度は、こうした取組を生かしながら、引き続き、地域づくり人材の裾野の拡大に努めるとともに、地域づくりをリードする人材のプラットフォームである「ひろしま里山・チーム500」の登録者による、地域を巻き込んだ活動の立ち上げを支援することで、中山間地域に暮らす人々が、将来に向けて、地域の元気を実感できる環境の創出を目指してまいります。
中山間地域へのサテライトオフィスの誘致につきましては、市町において実施する、企業の「お試し勤務施設」の整備や企業の求める人材の確保及び企業誘致活動を支援してまいります。
また、中山間地域に住む県民の皆様が安心して暮らすことができる生活環境づくりを進めるため、中山間地域における生活に身近な課題について、デジタル技術を活用して解決しようとする市町の取組を、専門的な知見に基づく助言などを取り入れながら、積極的に支援してまいります。
中山間地域を始めとした生活交通の維持・確保に向け、県内へのモデル展開を目指す「広島型MaaS」につきましては、安芸太田町において、定額タクシーの導入に加え、マイナンバーカードと連携した交通データの取得・活用に向けた実証計画の作成を進め、庄原市においては、本年度実施したAIデマンドバスの実証実験の検証を行ってまいります。
加えて、鉄道網を地域資源として活用し、中山間地域ならではの地域交流の拡大や地域の利便性向上に取り組む、市町や沿線協議会が企画する利用促進事業への支援などを行ってまいります。
中山間地域の高等学校における遠隔教育の推進につきましては、都市部の拠点校の教員が中山間地域の連携校の生徒にオンライン授業を行うなどの取組を、順次、進めており、引き続き、配信校と受信校の連携の在り方や授業の運営方法などについて、検証や改善を重ね、令和5年度の本格実施につなげてまいります。
「ひろしまの森づくり事業」につきましては、制度を5年間延長し、手入れ不足の人工林の間伐や、鳥獣被害対策及び防災・減災対策などを目的とした里山林の整備を進め、県土の保全や水源かん養などの公益的機能を維持してまいります。
次に、「欲張りなライフスタイルの実現に向けた取組」でございます。
はじめに、「子供の健やかな育ちを支える環境の充実」についてでございます。
子育て家庭の安心感の醸成に向けた取組といたしまして、ひろしま版ネウボラに加え、AIを活用して、子供の育ちに関わるリスクを早期に把握し、問題を未然に防止するための予防的支援を進めており、これらの取組を相互に関連させ、効果を発揮することにより、目指す姿が実現していくものと考えております。
ひろしま版ネウボラにつきましては、来年度は、現在の13市町に加えて新たに4市町が参加する予定となっており、全県展開に向けて、取組の評価と検証を行いながら、市町における取組の改善や好事例の展開などに取り組んでまいります。
また、AIを活用した予防的支援につきましては、府中市と府中町において、実際にAIのリスク評価を参考にしたアセスメントから支援につなげるまでの一連の取組を試験的に行うとともに、海田町と三次市では、導入に向けた準備を進めてまいります。
次に、「学びの変革の推進」についてでございます。
広島叡智学園におきましては、本年4月から、一期生が高校1年生になり、外国人生徒も入学してまいります。
開校から3年間、学習者を基点とした主体的で深い学びを促す授業や、実社会との結び付きを重視した課題発見・解決型学習を推進しており、これらの成果につきましては、指導主事の訪問指導などを通じて、他の県立学校や市町教育委員会への普及に取り組んでおります。
そのほか、来年度から、小中学校間で系統的に資質・能力を育むことを目指したカリキュラムの開発や、高等学校では実社会に即した教科横断的な学びを実践するカリキュラムの開発に取り組んでまいります。
次に、「高度医療機能と地域の医療体制の確保」についてでございます。
地域医療構想の実現に向けた取組として、全国トップレベルの高度医療機能や、専門人材の育成機能などを有する新たな拠点を創出するための拠点ビジョンが、今年度末を目途に有識者会議において取りまとめられます。
来年度は、有識者会議からの提言を踏まえ、新たな拠点の整備に向けて、広島都市圏を中心とした関係医療機関との医療機能の分化・連携に向けた協議を行うなど、ビジョンの実現に向けた取組を着実に進めてまいります。
次に、「地域共生社会の実現」についてでございます。
住民と多様な主体の連携・協働により課題の解決が図られる土壌の仕組みづくりに向け、地域住民が主体となって実践するモデル活動への支援や、その活動をコーディネートする人材の育成などを進めております。
来年度は、これまでの取組の振り返りや、地域活動に係る県内の実態把握を進めながら、今後の施策展開の新たな方向性について検討してまいります。
また、外国人材の受入れ・就労が適正かつ円滑に行われ、外国人が安心して生活できる環境を整備するため、引き続き、国や市町等と連携して、外国人材の受入れに必要な情報を提供する企業向けセミナーや出前講座を実施するとともに、外国人が地域とつながりを持ちながら生活に必要な情報を共有できる仕組みづくりや、地域日本語教室の新規開設などに取り組んでまいります。
次に、「環境への負荷の少ない持続可能な社会の構築に向けた取組」でございます。
ネット・ゼロカーボン社会の実現に向けて、国の新たな温室効果ガス削減目標を踏まえ、広島県地球温暖化防止地域計画を改定し、削減目標を見直すとともに、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入促進などの取組を強化してまいります。
カーボンリサイクルにつきましては、今年度は、産学官による協議会を設立し、具体的な取組をまとめた推進構想を策定したところであり、来年度からは、本県を舞台にした研究・実証の支援や、産学官の共同研究やプロジェクト創出を目的としたマッチング支援などに取り組んでまいります。
海洋プラスチックごみ対策につきましては、事業者や関係団体が参画するプラットフォームにおいて、ペットボトル回収に係る実証事業などの流出防止対策に取り組んでおり、来年度は、プラスチック資源循環促進法の施行を踏まえ、ワンウェイプラスチックの削減や循環的利用の高度化に向けたモデル事業などを実施してまいります。
次に、「治安・暮らしの安全の確保」についてでございます。
県民の皆様の安全・安心な暮らしを支えるため、今月から、犯罪情報や不審者情報などを提供する安全安心アプリ「オトモポリス」の運用を開始するとともに、犯罪被害者等の支援を総合的かつ計画的に推進するため、今次定例会に「広島県犯罪被害者等支援条例」を提案いたします。
水道事業につきましては、持続可能な水道システムを構築するため、企業団への参画に賛同する市町と、本年11月に企業団を設立し、令和5年4月の事業開始に向けて準備を進めるとともに、統合以外の連携を選択する市町とは、研修の共同実施などの連携策に取り組んでまいります。
また、広域連携の取組と併せ、水道事業における広域運転監視システムの整備など、上下水道DXを推進し、業務の効率化や県民サービスの向上に取り組んでまいります。
次に、「生産性の高い持続可能な農林水産業の確立」についてでございます。
地域の核となる農業経営体と、食品関連など様々な分野の事業者が連携し、広島の誇る新商品や新サービスなど、新たなビジネスを創発する取組を進め、農業経営体の「稼ぐ力」を高めてまいります。
広島和牛のブランド構築につきましては、比婆牛のブランド化の取組を進めており、今年度策定したブランド戦略に基づき、料理人と連携した営業実証の強化や魅力の訴求により、取扱店舗の拡大に取り組んでまいります。
瀬戸内地魚のブランド化の推進につきましては、漁業者や市場流通などの関係者と連携して、多様な旬の白身魚を、瀬戸内の四季に合わせて、広島を訪れる人に提供する取組を新たに開始いたします。
次に、「特色ある資源を生かしたスポーツ・文化の振興」についてでございます。
県内のスポーツ資源を活用した地域づくりにつきましては、これまで6市町において、戦略策定などの様々な支援を行っており、来年度は新たに尾道市及び大崎上島町で取組を進めてまいります。
また、デジタルコンテンツを活用した情報発信により、県内のスポーツチームの応援環境を充実させるための「広島横断型スポーツ応援プロジェクト」を展開してまいります。
文化芸術の振興につきましては、市町や公立文化施設間のネットワーク体制を新たに構築し、取組事例を共有するとともに、住民参画型の文化芸術事業を実施し、その事例を展開していくことで、地域における文化拠点を強化し、県民の皆様の身近なところから、文化芸術を鑑賞する機会の充実を図ってまいります。
次に、「国際平和拠点ひろしまの形成」についてでございます。
国連等と連携し、核兵器廃絶に向けた国際的な合意形成を目指す多国間枠組みの形成を図るため、NPT運用検討会議での各国政府関係者等への働きかけや、各国政府関係者をメンバーとするフレンズ会合の設置準備を進めてまいります。
また、核抑止に替わる新たな安全保障政策づくりを進めるため、海外研究機関との共同研究や核軍縮研究国際ネットワーク会議の開催などを引き続き実施していくほか、平和の取組への賛同者拡大を図るため、国際会議などの場を利用して、働きかけやキャンペーンを実施してまいります。
こうした取組を、昨年4月に設置した「へいわ創造機構ひろしま」を主体として、着実に推進し、核兵器のない平和な世界の実現に具体的に貢献してまいります。
次に、「激甚化・頻発化する気象災害等への対応」についてでございます。
平成30年7月豪雨災害により被災した公共土木施設の災害復旧事業につきましては、先月末時点で全2,550箇所のうち、約8割の箇所の工事が完成しております。
一方で、建設事業者の手持ち工事量が増大している中、昨年の豪雨により早急に対応が必要な箇所が生じたことなどから、今年度末までの完成は全体の約9割となる見込みであり、引き続き建設事業者の確保に向けた対策などを講じながら、早期完成に向けて取り組んでまいります。
農地・農業用施設の災害復旧事業につきましては、先月末時点で全4,279箇所のうち、4,101箇所の工事に着手し、このうち約8割に当たる3,211箇所が完成しております。
令和3年7月及び8月豪雨等に伴う災害につきましては、昨年12月に全ての災害査定を終了し、県が管理する公共土木施設では951箇所、山地・治山施設、林道、農地・農業用施設では1,080箇所について、優先順位を踏まえながら計画的な復旧に取り組んでまいります。
また、甚大な浸水被害が発生した三津大川や天井川など県内6河川につきましては、改良復旧事業の着手に向けて準備を行っているところであり、今後、対策の実施区間や手法、スケジュールなどを取りまとめて公表するなど、きめ細かく丁寧な情報発信に取り組み、地域住民の皆様の安心につなげてまいります。
「みんなで減災」県民総ぐるみ運動につきましては、県内全ての小学校で「ひろしまマイ・タイムライン」の作成に取り組んでいただくため、学校のニーズや学年の習熟度に対応した出前講座の実施メニューの拡充を図るほか、中学校へも出前講座が展開できるよう、市町の教育委員会との連携を進めてまいります。
また、より多くの県民の皆様に、防災アプリでマイ・タイムラインを作成していただくため、梅雨や台風シーズンなど、自然災害への意識が高まっている時機を捉え、効果的なプロモーションを展開してまいります。
引き続き、「災害死ゼロ」の実現に向けて、県民の避難意識の醸成を強力に推進してまいります。
次に、「当面する県政の諸課題への対応」について、御報告いたします。
まず、「G7サミットの誘致」についてでございます。
G7、先進7か国首脳会議の広島への誘致につきましては、官民一体で誘致活動を進めていくため、先月26日に、「2023年G7サミット広島誘致推進協議会」を設置いたしました。
また、翌27日には、広島市長、広島商工会議所会頭と共に、岸田内閣総理大臣、及び林外務大臣に開催の要望を行ったところであり、引き続き、オール広島で誘致の実現に取り組んでまいります。
次に、「旧広島陸軍被服支廠」についてでございます。
本年1月に、有識者等で構成する懇談会と幅広い世代の方々で構成するワークショップを開催し、被服支廠の歴史や価値などの共有を図りながら、活用の方向性のとりまとめに必要な視点などについて、議論いただきました。
そのほか、安全対策に係る建物3棟の実施設計や、重要文化財の指定に向けた建築物の価値調査につきましても、今月7日に、有識者等による検討会議を開催し、今後の進め方などについて議論いただいたところであり、引き続き、これらの取組を進めてまいります。
次に、「黒い雨体験者の救済」についてでございます。
いわゆる「黒い雨訴訟」の原告と同じような事情にあった方々の救済につきまして、昨年末、国から示された審査指針の骨子案は、疾病が要件とされている一方で、高齢化して迅速な救済が必要な方々を幅広く救済できるものと考え、この案を受け入れることといたしました。
県といたしましては、引き続き、疾病要件を外すように国に求めていくとともに、本年4月の運用開始に向けて、県内市町の協力を得ながら、新しい制度の周知を始め円滑な被爆者援護事業の実施に努めてまいります。
次に、「JR芸備線」についてでございます。
今月7日に第3回検討会議を開催し、本県からは、秋の臨時増便に合わせたイベントや、現在実施中である通学利用拡大の取組を報告いたしました。
また、移動手段の鉄道転換策の検討に取り組んでいるところであり、今後も、JRや沿線自治体と連携し、利用促進に取り組んでまいります。
次に、「二期トンネル整備事業」についてでございます。
当事業につきましては、想定よりも長い区間で硬い岩盤が出現し、工事の進捗に遅れが生じていることから、今年度改めて地質調査を実施し、残りの掘削区間の地質の再設定を行いました。
これにより、工期の延長と事業費の増額が見込まれることから、工事の工区境界を変更するなど、計画の見直しを行うことといたしました。
このことを重く受け止め、今後は進捗管理を徹底するとともに、地質の影響を大きく受ける水道施設の工事に当たりましては、事前に慎重かつ丁寧な調査を行い、適切な事業計画の策定とその執行に努めてまいります。
次に、令和4年度当初予算案の概要を申し上げます。
まず、新型コロナウイルス感染症への対応に 781億円、アフターコロナを見据えた社会・経済の発展的回復に 174億円、新型コロナなどにより顕在化した構造的な課題への対応に 584億円、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に 828億円を計上するなど、重点施策へ経営資源を重点的に配分したところでございます。
この結果、来年度の一般会計当初予算の規模は、総額 1兆1,440億2,000万円となり、対前年度比 501億8,000万円、4.6パーセントの増となっております。
予算以外の議案といたしましては、「広島県犯罪被害者等支援条例」など条例案 23件、人事案件といたしまして、「広島海区漁業調整委員会委員の任命の同意について」の1件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など9件を提出しております。
また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。
まず、令和3年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。
国の令和3年度補正予算を活用し、新型コロナウイルス感染症への対応や アフターコロナを見据えた社会・経済の発展的回復、新型コロナなどにより顕在化した構造的な課題への対応、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に向けた取組などを、令和4年度当初予算と一体的に実施することとし、334億9,262万円を追加計上しております。
あわせて、社会保障関係費などの事業費の確定に伴い、減額の対応を行うとともに、公共事業につきましても、国の認証や事業内容の調整などによる事業費の確定に伴う減額を行うなど、193億5,915万円の減額の整理を行うこととしております。
また、本年度予算のうち、やむを得ず、翌年度に繰り越して実施する事業について、繰越明許費を計上しております。
以上の結果、一般会計につきましては、合計で141億3,347万円の増額となり、本年度予算の累計額は1兆4,040億5,672万円となります。
また、特別会計補正予算案は10会計で、181億7,449万円の増額、企業会計補正予算案は5会計で、22億2,455万円の減額となっております。
予算以外の議案といたしましては、副知事の選任につきまして、議会の同意を求める議案を提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。