2月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、来年度における施策の概要及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
はじめに、本県の新型コロナウイルス感染症の感染状況につきましては、昨年10月下旬から感染が再拡大し、年明けには一日の新規感染者数が8,000人を超える日が続くなど、第7波に近い水準となっておりましたが、その後、更なる感染の拡大は抑えられ、第7波のピークを超える状況には至っておりません。
しかしながら、昨年11月以降の死亡者数は400人を超え、これまでの波と比べ最多となっており、感染者数も依然として高い水準で推移していることから、引き続き基本的な感染防止対策を県民の皆様にお願いしているところでございます。
また、高病原性鳥インフルエンザにつきましては、昨年12月16日に世羅町の採卵養鶏場において、今シーズン初めて疑似患畜が確認され、本県では、ただちに危機対策本部を設置し、農林水産省や市町などの関係機関と連携して、発生農場等における殺処分や農場の消毒などの防疫措置、また、感染が拡大しないよう関係車両等の消毒を実施してまいりました。
その後、本日までに三次市を含めて合計6例の疑似患畜が継続して確認されたところであり、このうち、5例の防疫措置は完了し、現在は、残る1例における農場の防疫措置を継続しているところでございます。
この間、長期にわたる防疫措置におきましては、県職員とともに、関係・周辺の8市町、JAグループ広島、陸上自衛隊、農林水産省などの多くの職員の皆様に御協力いただいたことに心より感謝申し上げます。
引き続き、今回の発生事例におけるまん延防止対策や他の養鶏場での発生予防に全力で取り組むとともに、発生養鶏場の経営再開に向けた支援や、鶏卵等の移動制限により売上が減少した経営体に対する損失補てんなどの支援に取り組んでまいります。
続いて、令和5年度の主要施策の概要について、御説明いたします。
来年度は、まず、足元の喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症への対応と、物価高騰等への対応に注力するとともに、5月に開催される広島サミットに向けて取組を進めてまいります。
また、欲張りなライフスタイルの実現に向けた取組を着実に推進するとともに、地方を挑戦の場に変革していく、「ローカル・トランスフォーメーション」を実践していくため、「生産性向上」、「DXの推進」、「リスキリングの推進と円滑な労働移動の実現」に注力することにより、ウィズ・アフターコロナにおける経済の発展的回復につなげ、「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」(「・」は右向き白三角)における「目指す姿」の実現に向けて取り組んでまいります。
はじめに、「新型コロナウイルス感染症への対応」についてでございます。
昨年12月16日に、県独自で「医療非常事態警報」を発出し、同月23日から病床数を緊急フェーズ2に引き上げて対応してまいりましたが、1月中旬以降、新規感染者数、入院患者数ともに減少傾向が継続していることから、感染はピークアウトしたと判断し、先月31日に「医療非常事態警報」を解除いたしました。
また、今月1日には病床数を1段階低い緊急フェーズ1へ引き下げたところでございます。
一方で、季節性インフルエンザが流行していることから、先月26日には県内全域に3シーズンぶりとなる「インフルエンザ注意報」を発令しております。
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザとの同時流行による発熱外来のひっ迫を防ぐため、重症化リスクの低い方は医療機関を受診せず、新型コロナウイルス感染症の抗原検査キットで自己検査を行い、陽性の場合は陽性者登録センターへ登録することを、引き続き呼びかけてまいります。
また、先日、国において、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けを、5月8日から5類感染症に変更する方針が決定されました。
本県におきましては、こうした国の動きを踏まえ、高齢者など重症化リスクの高い方を守ることも念頭に、必要な感染対策を講じながら、ウィズコロナの取組を更に進めてまいります。
次に、「物価高騰等への対応」についてでございます。
本県経済につきましては、昨年10月以降、水際対策の緩和や全国旅行支援による観光需要の回復に向けた後押しもあり、小売業や宿泊業など、個人消費に持ち直しの動きがみられていることに加え、供給制約の影響が和らぐ中で、自動車などの製造業も改善するなど、足元は緩やかに持ち直しております。
一方、ウクライナ情勢などを背景とした物価高騰は、家計や価格転嫁の困難な企業の収益を引き続き圧迫しており、さらに、世界経済の動向、ウクライナ情勢の今後の展開、それに伴う資源価格の動向、国内外の感染症の動向などがリスク要因として懸念されており、不確実性は極めて高い状況でございます。
こうした状況の中、経済の持ち直しを下支えしていくため、国の補正予算を活用し、公共交通事業者への燃油高騰に対する支援や、学校給食等における食材費の価格上昇分への支援を行ってまいります。
また、農林水産業者への支援といたしまして、肥料や配合飼料、漁業に使用する燃料に係る経費の一部支援の外、酪農経営体に対する子牛の市場取引価格の下落に応じた緊急的な支援などを実施してまいります。
さらに、県内の中堅・中小企業を対象として、省エネ・CO2削減対策の支援などを行うとともに、いわゆるゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための借換えや、事業再構築等の前向きな取組に対する資金を円滑に供給するため、「伴走支援型特別資金」を創設し、資金調達を支援してまいります。
今後とも、物価高騰などによる県内産業や県民生活への影響を十分注視しながら、影響を受ける事業者や県民の皆様に必要な支援が行き届くよう、必要な対策を講じてまいります。
次に、「広島サミットの開催」についてでございます。
昨年末、政府において、「グランドプリンスホテル広島」を首脳会議場とすることや、「広島県立総合体育館」を国際メディアセンターとすることが決定され、サミット開催に向けた動きが具体化してまいりました。
また、年が明けて、日本がG7議長国となり、先月には、岸田内閣総理大臣が、G7各国を歴訪され、広島サミットに向けた外交をスタートされたところでございます。
こうした中、明日2月8日で、サミットまで残り100日となります。
地元開催県といたしましては、時間が限られる中、取組の基本方針に掲げる5つの柱に沿って、より一層、準備を加速させてまいります。
まず、「安全・安心で円滑なサミットの開催支援」の取組といたしましては、各国首脳等の安全かつ円滑な移動を確保し、一般交通への影響を最小限に抑えるための交通総量抑制対策や、報道関係者などサミットに併せて来広される多くの方々が安心して行動できるようにするためのインフォメーションセンターの設置、また、そうした場で活動する学生ボランティアの確保などを進めております。
これらに加え、各国要人等の移動ルートにおける公共インフラの整備や、消防特別警戒体制の構築、救急医療体制の整備、さらには、要人警護等の警備体制の構築など、安全・安心かつ円滑なサミットの開催に向けて、ハード・ソフト両面から、着実に準備を進めてまいります。
次に、「おもてなし」の取組といたしましては、花を活用した歓迎ボードの設置や、電車・バスなど公共交通機関への車体ラッピングの実施などに取り組んでおります。
また、民間企業等が主体となって実施する応援・協賛の取組は、1,300件を超えるまで拡大しており、引き続き、官民が一体となって、歓迎機運の醸成に取り組んでまいります。
「平和の発信」の取組といたしましては、被爆地広島から、核兵器廃絶に向けた力強いメッセージが発信され、広島サミットが、核兵器のない世界を目指す国際機運を再び盛り上げる大きな転換点となるよう、引き続き国に働きかけてまいります。
また、県民会議におきましては、今月26日に、100日前イベントとして、中学生・高校生を対象に、平和をテーマとしたユースフォーラムを開催することに加え、サミット参加国の主要メディア等を広島に招へいし、被爆の実相や広島の復興を伝えることなどにより、広島から平和のメッセージを世界に発信してまいります。
次に、「広島の魅力の発信」の取組といたしましては、海外メディアを対象にしたプレスツアーの開催、県内の観光地や産業、文化等、様々な情報を発信する広島情報センターの設置や、アンテナショップTAU等を活用した「多彩なひろしまの食フェア」の開催など、広島の魅力をPRするための取組を進めております。
先月には、県内のかき事業者が農林水産省から、世界で最も厳しい衛生管理基準といわれる「EU-HACCP」の施設認定を受け、今月から、全国初となるEUに向けた冷凍殻付きかきの輸出が開始されました。
こうした県産品の海外での販路拡大やブランド化を更に進めながら、広島サミットという、世界が注目する絶好の機会を生かし、広島が持つ多彩な魅力や価値を、積極的に発信してまいります。
「ポストサミットを見据えた若者の参画」の取組といたしましては、「G7広島サミットジュニア会議」の開催や、現役の外交官による、児童・生徒を対象としたサミット塾などの取組を展開し、サミットの機会を通じて、広島の未来を担う若者の国際感覚やチャレンジ精神が涵養されるよう取り組んでまいります。
サミット開催前の最後となる今次定例会におきましては、安全・安心で円滑なサミットの実現に向けた環境整備に要する経費や、サミット後の本県の更なる発展を見据えた取組に要する経費を計上しております。
引き続き、広島サミット県民会議が中心となり、本県をはじめとした、官民一体によるオール広島で、サミットの成功に向け、スピード感を持って、着実に準備を進めてまいります。
次に、「ウィズ・アフターコロナにおける経済の発展的回復に向けたLXの実践」についてでございます。
はじめに、「生産性向上」の取組についてでございます。
生産性の向上に向けましては、多様な人々と協働して新たな価値を創造することのできる人材の育成に向けた教育と、果敢に挑戦する人材が地方において活躍できる環境整備の両面から、取組を進めてまいります。
まず、教育分野につきましては、初等・中等教育において、児童生徒の主体的な学びを促進する教育活動を充実させるため、これまで実施してきたカリキュラムの質的向上、探究的な学びに必要な学習環境の充実、教員の資質・能力の向上に取り組んでまいります。
また、高等教育では、叡啓大学におきまして、リベラルアーツや語学、デジタルリテラシーなど、複雑・多様化する課題の解決に必要な知識やスキルを学び、課題解決演習や留学・インターンシップにおける実践・応用を繰り返す中で、実社会の課題を解決し、新たな価値を創造できる人材の育成を進めてまいります。
次に、果敢に挑戦する人材が活躍できる環境整備につきましては、イノベーション創出の担い手となる企業の育成を目指す「ひろしまユニコーン10」プロジェクトにおいて、スタートアップ企業等を対象に、昨年10月から、短期間で事業成長につながるプログラムを提供しているところでございます。
今後は、県全体でスタートアップ企業等の機運醸成を図るため、今月にベンチャーキャピタルや事業会社向けのプレゼンテーションイベント、来月に成果発表会を実施し、資金調達や協業、連携へ向けた接点づくりに取り組んでまいります。
また、デジタル技術の社会実装に向けたチャレンジの場である「ひろしまサンドボックス」におきましては、国と連携しながら、事業化において課題となる規制への対応を進めるとともに、これまで開発された商品・サービスの市町などへの共同調達を促進することとし、県内への更なる横展開を図ってまいります。
さらに、今後大きな市場として成長が見込まれるカーボンリサイクル関連技術の研究拠点化に向けましては、国の取組と一体となって取組を進めており、産学官による協議会、通称「CHANCE」には、設立から約1年半で110を超える企業や研究者が参画しております。
来年度は、協議会を通じた新規プロジェクト創出や会員同士のマッチング支援、次世代教育プログラムの提供に加え、県内外の研究者やスタートアップ等を対象とした県独自の支援を拡大するなど、カーボンリサイクル関連技術の拠点化を加速してまいります。
次に、「DXの推進」についてでございます。
「広島県DX加速プラン」に基づき、県内の様々な主体に対するDXへの理解・実践意識の醸成や、DXの実践までのモデルケースの創出などにより、民間事業者等による自律的な取組を後押しすることで全県的なDXを推進するなど、全62事業、約84億円の規模で、行政、仕事や暮らしなどの各分野における取組を着実に進めてまいります。
行政におけるDX推進につきましては、県と市町が共同でデジタル人材の確保・育成を行う枠組みとして、「DXShipひろしま」を立ち上げ、情報システム人材の確保・育成をはじめ、共同での研修の実施や情報共有などにより、県全体でDXを推進してまいります。
人材育成分野につきましては、県内全ての大学・短大において、デジタルリテラシーを修得できる環境整備に向け、県立広島大学・叡啓大学と連携し、デジタル分野のカリキュラム提供や教員派遣など、各大学等の取組を支援してまいります。
また、情報系人材の県外への流出防止及び県内企業等への定着促進を図るため、情報系学部・学科等で学ぶ学生を対象に、県内就職を返還免除の要件とする「ひろしまDX人材育成奨学金」を創設し、本年4月からの貸付開始に向けて、大学等関係する高等教育機関と準備を進めております。
今後、この奨学金貸付制度の実効性を確保するため、産学官連携の協議会において、地元就職の促進策等について検討してまいります。
投資促進・企業誘致促進につきましては、昨今の電気・ガスなどのエネルギーや原料の価格高騰により経営の悪化が懸念される、製造業等をはじめとする県内企業に向けた、創エネや、省エネ・DX等による生産性向上のための期間限定の助成制度を昨年9月に創設し、設備投資の後押しを着実に進めております。
また、デジタル系企業を中心としたオフィス系企業につきましては、シェアオフィス事業者等と連携し、官民連携による企業誘致体制の構築に向けた実証事業に取り組むなど、これまでの取組を強化しております。
こうした取組により、より一層の企業の投資促進やデジタル系企業の集積を図り、県経済の持続的な発展につなげてまいります。
農業分野につきましては、ひろしま型スマート農業の実装に向けて、新たに3つのテーマでスマート農業技術の実証試験に取り組む企業グループを決定し、これまで着手したテーマと併せて9つのテーマの技術実証を行ってまいります。
特に、昨年度から取組を開始した3つのテーマにつきましては、実証試験の最終年度を迎え、実証成果を基に、中山間地域に対応した収益性の高い経営モデルを構築するとともに、データ駆動型農業の実装に向けた環境の整備を進めることにより、スマート農業技術の普及に取り組んでまいります。
また、水産業スマート化推進事業といたしまして、デジタル技術の活用によるかき養殖の生産安定化や水産資源回復に向けた漁場環境改善の取組に加え、新たにICTを活用した効率的な漁獲技術の実証や、研修プログラムの高度化を図ることで新規就業にも活用できる技術の普及を目指してまいります。
建設分野につきましては、インフラマネジメント基盤「DoboX」に、道路規制情報や雨量観測情報を追加するなどデータの一層の充実を図るとともに、利用者のニーズを踏まえた機能を拡張するなど柔軟な見直しを加えながら、更なる活用につなげてまいります。
また、建設事業者のデジタルリテラシー向上に向けた取組といたしまして、三次元設計データの作成など実践的な講習を行う「ICTチャレンジ実践講座」を先月から開始したところであり、今後も内容の充実を図りながら実施してまいります。
次に、「リスキリングの推進と円滑な労働移動の実現」についてでございます。
県内企業の生産性向上や成長分野での競争力強化を図るため、リスキリング推進宣言の登録促進や、デジタルスキルの習得支援に取り組むほか、「広島県リスキリング推進検討協議会」の議論を踏まえ、円滑な労働移動の実現を見据えたロードマップの検討等に取り組んでまいります。
さらに、労働市場の流動化を踏まえ、近年、人材をコストではなく投資の対象として捉え、中長期的な企業価値向上につながる経営の在り方である「人的資本経営」を推進する必要性が高まっていることから、県内企業に対して、その重要性を普及啓発するとともに、先進事例などの情報を提供することにより、人的資本経営の導入の促進を図ってまいります。
また、働き方改革に向けた企業の自発的・自律的な取組の支援を強化するため、民間専門機関のコンサルティングの活用を促進する仕組みの構築や、リスキリング推進人材の育成研修を実施してまいります。
次に、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」についてでございます。
はじめに、子供の健やかな育ちを支える取組についてでございます。
ひろしま版ネウボラにつきまして、来年度は、現在の17市町に加え、新たに1市が導入支援市町として、令和6年度のネウボラ実施に向けた準備を行うこととなっているほか、新たに子育て家庭を対象としたネウボラの利用促進のための戦略的PRモデル事業に取り組んでまいります。
AIを活用した子供の予防的支援につきましては、モデル4市町において、福祉や教育のデータを集約し、児童虐待等のリスク予測を行うことにより、支援が必要な家庭を確認し、具体的な支援を行ってまいります。
さらに、国の動きを踏まえ、低年齢期の子育て家庭が安心して子育てができる環境を整備するため、市町において、面談などによる相談支援を実施するとともに、妊娠届出時及び出産届出後にそれぞれ5万円相当の電子クーポン等を給付することとしております。
本県といたしましても、電子クーポン等の給付を広域的に実施するためのプラットフォームを構築するなど、市町と連携して取り組んでまいります。
そのほか、児童虐待防止対策につきましては、一時保護件数の増加に対応するため、現在狭隘化している東部こども家庭センター一時保護所の増改築を進め、本年7月の供用開始に向けて、適切に被虐待児童等を保護できる体制を整えてまいります。
次に、教育分野についてでございます。
産業教育につきましては、県立高校において、新たに、産業界で必要な資質・能力の育成を図るための学科の枠を超えたカリキュラムの開発に向けた検討や、学校と産業界をつなぐコーディネーターの試行的な配置などを実施してまいります。
また、休日における中学校部活動の段階的な地域移行に向けて、市町に対する委託による実証事業及びプロスポーツチーム等と連携し、地域の指導者や教員等を対象に、指導スキルや運営方法等の研修を実施してまいります。
次に、持続可能な医療・介護提供体制の構築と健康づくりについてでございます。
地域医療構想の実現に向けた取組といたしましては、昨年11月に策定した「高度医療・人材育成拠点基本構想」に基づき、新病院の具体的な医療機能や施設整備等に関する検討を進めるため、先月27日に再編対象病院等と連携した基本計画を策定するための会議を開催したところでございます。
来年度は、関係機関と引き続き連携し、新病院の具現化に向けた協議を着実に進めるとともに、医療機関の再編の影響が予想される地域につきましては、地域完結型医療を補完する身近な医療機能等の整備に向けた検討を行ってまいります。
また、現在「広島県自殺対策推進計画」の改定を進めており、来年度は改定後の計画に基づき、悩みを抱えている人が適切な支援に早期につながることができる環境の整備に取り組むことにより、自殺者ゼロの社会の実現を目指してまいります。
次に、地域共生社会の実現についてでございます。
令和2年4月に策定した「広島県地域福祉支援計画」に基づき、住民主体による課題解決活動のモデル実施や、包括的な支援体制の構築を図る市町の取組を支援してまいりました。
来年度は、地域等の様々な「つながり」に係る実態の把握・分析を進めながら、今後取り組むべき課題と施策の方向性を整理し、「第2期広島県地域福祉支援計画」を策定してまいります。
また、医療的ケア児やその家族への支援につきましては、来年度、新たに「医療的ケア児支援センター」を設置し、医療的ケア児やその家族からの様々な相談への対応や、積極的な情報発信、支援を行う市町のサポートなどを実施し、医療的ケア児やその家族が、県内のどこにいても必要な支援を受けられる体制の確立に取り組んでまいります。
また、通学中の医療的ケアを理由にスクールバス等が利用できない医療的ケア児に対しましては、訪問看護ステーション等の看護師が同乗したタクシーの運行などの通学支援に取り組んでまいります。
次に、治安・暮らしの安全の確保についてでございます。
水道の広域連携につきましては、広島県水道広域連合企業団の事業開始に向け、先月31日、水道企業団議会において、事業運営に必要な条例や令和5年度当初予算などが可決されたところであり、来年度から、水道企業団において、施設の最適化や危機管理体制の強化、DXを活用したサービスの向上など、持続可能な水道システムの構築に向けた取組を着実に進めてまいります。
また、この度の水道企業団に参画していない7市町とも、先月27日に情報交換会を開催し、水道DXの取組状況など、水道事業の効率化に向けた情報交換を行ったところであり、今後とも、県内の水道事業の経営基盤の強化に努めてまいります。
次に、ネット・ゼロカーボン社会の実現に向けた取組についてでございます。
地球温暖化対策の推進につきましては、国の新たな温室効果ガス削減目標を踏まえ、「広島県地球温暖化防止地域計画」及び「地球温暖化対策実行計画」の改定作業を進めているところでございます。
来年度からは新たに、家庭における省エネ機器導入に向けた支援や、中小企業に対する省エネ設備改修を促進するための総合相談会の開催などの取組を強化するとともに、県自らも率先して取組を進め、県民や事業者の皆様、市町と一体となって、ネット・ゼロカーボン社会の実現に取り組んでまいります。
また、県内企業のカーボンニュートラルの実現に向けましては、今年度、先行的に取り組む企業に対して専門家による伴走型支援を実施したところでございます。
来年度は、それにより得られた課題や知見を基に、専門家派遣など企業の取組状況に応じた支援に加え、業種を超えて取り組む仕組み等を検討することにより、県内企業のカーボンニュートラルへの取組を拡大・加速させてまいります。
加えて、広島港及び福山港のカーボンニュートラルポート形成の取組につきましては、昨年12月26日に、国土交通省
中国地方整備局と共同で「カーボンニュートラルポート形成準備会」を開催いたしました。
来年度は、両港のカーボンニュートラルポート形成計画の策定に向け、民間事業者や関係行政機関等で構成される協議会を設立し、港湾とその周辺地域の脱炭素化に向けた検討を進めてまいります。
次に、観光地ひろしまの推進についてでございます。
昨日策定いたしました、新たな「ひろしま観光立県推進基本計画」に基づき、市町、観光関連団体、県民や事業者の皆様など、観光に携わる様々な主体と連携しながらオール広島で持続可能な観光地づくりを進めてまいります。
具体的には、観光事業者のみならず、異業種を含む幅広い事業者が連携した、付加価値の高い観光プロダクトの開発促進や、おもてなしの質向上に向けた事業者の自発的な取組への支援、広島の魅力を自ら発信してもらえる広島ファンの増加などに取り組んでまいります。
特に、来年度におきましては、広島サミットを契機に、令和7年の大阪・関西万博なども見据え、インバウンド施策を強化し、本県への国内外からの観光客数のV字回復を図ってまいります。
また、広島空港の国際線の運航再開につきましては、先月4日から、約2年9か月ぶりに、台北線が週4便で運航再開したところであり、引き続き、空港運営権者である広島国際空港株式会社と連携し、広島空港の国際航空ネットワークの早期回復に努めてまいります。
そのほか、外国クルーズ客船の受入れにつきましても、県内港湾での受入環境を整え、3月からの受入れに備えるとともに、引き続き、外国船クルーズの再開が地域の活性化につながるよう取り組んでまいります。
次に、スポーツ・文化の振興についてでございます。
スポーツの振興につきましては、広島横断型スポーツ応援プロジェクト「TeamWISH」を中心に、県内チームの認知度やスポーツへの関心の向上に取り組んでまいります。
また、パラスポーツにつきましては、「東京2020パラリンピック競技大会」や、昨年本県で開催された「2022ハンザクラスワールド」、「スペシャルオリンピックス2022広島」を契機として、パラスポーツへの関心や、多様性が尊重される共生社会の実現に向けた機運が高まりつつあるところでございます。
来年度は、「普及啓発・認知向上」「場の充実・機会の確保」「競技力向上」に取り組むことで、パラスポーツを通じた活力ある共生社会の実現を目指すとともに、競技団体、指導者、民間企業など、多様な主体が一体となってパラスポーツを推進する体制の構築にも取り組んでまいります。
文化の振興につきましては、地域の文化拠点の機能強化を図ることなどを通じて、各地域に受け継がれてきた伝統文化が抱える課題の解決支援等につなげてまいります。
次に、平和への取組についてでございます。
ロシアによるウクライナ侵略が続く中、核抑止に代わる新たな安全保障政策づくりを進めるため、海外研究機関等と連携した政策提言プロジェクトや、NPT運用検討会議準備委員会等での議論拡大に向けた働きかけを進めてまいります。
また、国連の次期開発目標に核兵器廃絶を位置付けるため、昨年4月に設立した国際市民社会グループ「グローバル・アライアンス」の活動を通じて、多様な団体とのネットワーク化を図り、賛同者を拡大するとともに、各国政府関係者をメンバーとする、核軍縮と持続可能性に関する「フレンズ会合」の設立に向けて、準備を本格化してまいります。
こうした取組を「へいわ創造機構ひろしま」を主体として進め、核兵器のない平和な世界の実現に、具体的に貢献してまいります。
次に、特性を生かした適散・適集な地域づくりについてでございます。
中山間地域の振興につきましては、持続可能な中山間地域の実現に向けて、「人づくり」、「仕事づくり」、「生活環境づくり」の3つの柱に沿って、積極的に取組を進めてまいります。
「人づくり」につきましては、昨年末現在で570名に達した「ひろしま里山・チーム500」登録者による活動が、地域に効果をもたらすものとして、将来にわたって主体的かつ継続的に展開されていくよう、市町と連携し、積極的な後押しを進めるとともに、地域づくり活動への参画に向けて一層の機運醸成を図ってまいります。
「仕事づくり」につきましては、県内12市町における、サテライトオフィス誘致の取組を引き続き支援するとともに、新たに、副業・兼業による外部人材の活用モデルを、市町と連携してつくり出し、中小企業における経営課題の解決に向けた支援を強化してまいります。
「生活環境づくり」につきましては、デジタル技術の活用による中山間地域の生活環境の向上に向けた市町の取組に対して、企画段階から実装段階にかけて伴走支援を行いつつ、その効果を把握した上で、更なる横展開を目指してまいります。
あわせて、厳しい状況に置かれた集落の実態を踏まえ、必要な生活機能、持続可能な地域運営の仕組みや最適化された行政サービスの在り方などについて、関係市町と連携しながら検討を進めてまいります。
このほか、東京圏からの移住を促進することを目的として、来年度から、移住支援金に子育て加算を導入するとともに、地域の農産物の加工品を販売する店舗の開設など、農林水産業を含めた地域活性化に資する事業等を幅広く対象とした起業支援金も支給することとしております。
こうした取組を通じて、将来にわたって持続可能な中山間地域の実現につなげてまいります。
次に、持続可能なまちづくりについてでございます。
広島市都心につきましては、現在、県庁舎敷地の有効活用に向けて、公募型プロポーザルによる事業運営予定者の選定を進めており、県民の皆様に親しまれる新たな都心の憩いの空間の創出に向けて取り組んでいるほか、昨年12月に、本通3丁目地区において検討されている市街地再開発事業の区域が拡大されるなど、都心のまちづくりが着実に進んでいるところでございます。
福山駅周辺地区につきましては、昨年11月に実施した、福山駅前に人が集う広場を創出する実証実験の検証を行っているほか、駅周辺地区を再生するプロジェクトの愛称を広く一般から公募し、今月中旬の公表に向け選定を進めているなど、福山駅前の再生に向けた取組が進められております。
「広島県地域公共交通ビジョン」につきましては、今年度から策定を進め、これまで3回にわたる法定協議会を通じて、県内の公共交通における目指す姿を整理したところであり、今後は、目指す姿の実現に向けた施策の方向性について議論を重ね、今年度中の骨子案の取りまとめに向けて、取り組んでまいります。
次に、激甚化・頻発化する気象災害等への対応についてでございます。
平成30年7月豪雨災害により被災した公共土木施設の災害復旧事業につきましては、全2,550箇所のうち、先月末時点で94パーセント、今年度末時点では99パーセントが完成、残る箇所についても次期出水期までに概ね完了する見込みとなりました。
なお、災害復旧助成事業として実施している三篠川につきましては、約5割の工事が完成しており、引き続き、用地取得を進めるとともに、用地取得できた箇所から築堤や護岸整備、河道掘削を進め、早期完成に向けて取り組んでまいります。
農地・農業用施設につきましては、全4,252箇所のうち、先月末時点で89パーセント、今年度末時点では95パーセントが完成の見込みとなり、残る箇所についても、引き続き、早期完成に向けて取り組んでまいります。
平成30年7月豪雨災害において被災された方々の住宅再建につきましては、ピーク時に約1,300世帯あった仮住居への入居世帯が、今月末で全て解消する見込みとなりました。
令和3年7月及び8月豪雨等に伴う災害につきましては、県が管理する公共土木施設では全951箇所のうち約6割、山地・治山施設、林道、農地・農業用施設では全1,074箇所のうち約8割の工事を契約しており、引き続き、早期完成に向けて取り組んでまいります。
また、令和3年豪雨により甚大な浸水被害が発生した6河川における改良復旧プロジェクトにつきましては、三原市を流れる天井川では、堤防強化のための築堤工事などが9割程度進んでいるほか、東広島市の三津大川や竹原市の本川では、調査・設計が概ね完了し、地元説明会や用地取得のための境界立会を実施するなど、着実に事業を進めております。
流域治水につきましては、本川流域及び江の川上流域を特定都市河川流域として指定し、関係者で構成する協議会において、「流域水害対策計画」策定に向けた協議を進めており、本川流域については3月の計画策定に向けて取組を進めております。
盛土への対応につきましては、静岡県熱海市の土砂災害を踏まえ、本年5月に「宅地造成及び特定盛土等規制法」が施行される予定でございます。
本県といたしましては、法施行後速やかに本法に基づく新たな規制区域を指定するとともに、既存盛土の基礎調査を実施するなど、盛土等に伴う災害の防止に向けた取組を進めてまいります。
「みんなで減災」県民総ぐるみ運動につきましては、小学校等での出前講座の実施に加え、中学校におけるe‐ラーニング教材を制作し、展開するなど、「ひろしまマイ・タイムライン」を活用した防災教育を推進してまいります。
また、自主防災組織による呼びかけ体制構築や維持・充実の取組と、マイ・タイムライン作成を一体的に展開することにより、地域で起こり得る災害と個人の避難行動を身近な問題として結び付け、地域における適切な避難行動につなげてまいります。
引き続き、関係者と連携・協力しながら、ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策の充実・強化に取り組んでまいります。
次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
まず、「広島高速5号線」についてでございます。
シールドトンネル工事につきましては、慎重に工事を進めている中で、地表面変位が二次管理値に到達したため掘削を一旦停止したところであり、今後、地元住民の皆様に丁寧に説明を行い、必要な対策を実施してまいります。
また、受注者から建設工事紛争審査会に調停申請されていることにつきましては、事業主体である公社や広島市と連携し、適切に対応してまいります。
引き続き、住民の皆様の不信や不安を可能な限り払拭できるよう、適切かつ丁寧な対応に努めながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。
次に、ローカル鉄道についてでございます。
昨年11月のJR芸備線利用促進検討会議におきまして、国の提言で示された法制度を待つことなく、JR西日本から「特定の前提を置かない将来の地域公共交通の姿の議論」について、今後の進め方を国に相談したいという発言がございました。
本県といたしましては、JRの経営・事業構造や、ローカル鉄道の持続可能性を判断する上でも、全路線の収支が開示され、それを踏まえた上での個別路線の議論ができる仕組みを作っていただくことなどを、全国知事会等を通じて要請しているところでございます。
こうした中、JR芸備線沿線地域全体の活性化と、持続可能な地域交通の確保につなげていくため、今月1日、岡山県と共に、JR西日本の内部補助の考え方を含めた経営状況や、国の法制度化や支援メニューの具体的な検討状況など、議論に必要な情報を共有するヒアリングの場を開催いたしました。
JR西日本からは、社会環境の変化による利用者数の減少や、大量輸送などの鉄道の特性が発揮できていないなどの説明がありましたが、本県の求める内容に対しての説明がなされておらず、引き続き説明を求めてまいります。
今後、国の法制度化に向けた検討状況を注視するとともに、再構築協議会が設置されることになった場合は、存続・廃止の、いずれもありきといった前提を置かず、ローカル鉄道と沿線の活性化を含めた幅広い議論が行われるよう対応してまいりたいと考えております。
次に、令和5年度当初予算案の概要を申し上げます。
まず、新型コロナウイルス感染症への対応に709億円、物価高騰等への対応に125億円、社会的基盤の強化に524億円、ウィズ・アフターコロナにおける経済の発展的回復に向けたLXの実践に211億円、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に732億円、広島サミットの開催に31億円を計上するなど、重点施策へ経営資源を重点的に配分したところでございます。
この結果、来年度の一般会計当初予算の規模は、総額1兆1,403億2,000万円となり、対前年度比37億円、0.3パーセントの減となっております。
予算以外の議案といたしましては、「広島県職員退職手当基金条例」など条例案15件、人事案件といたしまして、「広島県監査委員の選任の同意について」の1件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など28件を提出しております。
また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。