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令和6年広島県議会6月定例会(令和6年6月21日)

印刷用ページを表示する掲載日2024年6月21日

知事説明要旨

6月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、本年度主要施策の取組状況及び当面する県政の課題への対応について、御報告いたします。

1.令和6年度主要施策の取組状況

 

【【賃上げと物価上昇の好循環に向けた取組】防災への対応

まず、「賃上げと物価上昇の好循環に向けた取組」についてでございます。

本県経済につきましては、今年3月の「観光庁宿泊旅行統計調査」で、外国人延べ宿泊者数が19万8,510人、前年同月比プラス121%となるなど、宿泊業や観光業において、インバウンド需要の好調が続く一方、物価高からの節約志向の動きもあり、個人消費全体では回復ペースはやや落ち着いております。

さらに、製造業では、海外需要の影響等もあり、持ち直しテンポが緩やかになっていることから、県内景気は緩やかな回復基調にあります。

また、昨年の県内の賃上げ率は30年振りの高水準となりましたが、今年3月の「毎月勤労統計調査」において、従業員30人以上の事業所における本県の実質賃金が前年同月比マイナス2.4となるなど、物価上昇に給与の伸びが追いついていない状況にございます。

こうした中、本県といたしましては、生産性向上等による収益力の強化を通じて、賃金と物価の好循環を起こし、経済の正のスパイラルを生み出していくために、DXの推進や労働市場の流動化、スタートアップ等に果敢に挑戦できる環境整備などの取組を、引き続き進めてまいります。

具体的には、まず、DXの推進につきましては、昨年度、「DX実践道場」を通じて得られた成功事例や教訓事例といったDXの進め方をとりまとめたDX実践ガイドブックや、自社の課題を簡易的に診断でき、その解決に役立つ事例や補助金等を紹介するDX簡易診断ツールなど、民間事業者等がDXを実践する際に参考となるツールを開発したところでございます。

今年度は、金融機関や商工団体などの地域の支援機関と連携し、これらのツールの利活用を促進するとともに、地域の支援機関とITベンダー等が、それぞれの持つ強みを生かし、民間事業者等が抱える課題と様々なデジタルサービスとのマッチングを支援するための環境を構築してまいります。

また、既にデジタル化に取り組んでいる民間事業者等が更にビジネス変革を実現できるよう、バックオフィス業務全体のプロセス改革や生産工程全体の最適化による生産性向上等を社内で推進できる中核的人材の育成などにも取り組むこととしております。

加えて、新たな取組として、県内の高校生を対象に、AIを理解し、活用する力を身に着ける機会を提供する「ひろしまAI部」が、産学官連携により今月からスタートいたします。

世界を見渡すと、無限の可能性を秘めたAIの開発を牽引しているのは、まさに20代の若者が中心となっており、ここ広島からAI界の次世代リーダーが誕生することを期待しております。

これらの取組を通じて、AIをはじめとした様々なテクノロジーを活用できる人材の育成・確保につなげ、全県的なDXを加速してまいります。

次に、労働市場の流動化につきましては、人的資本経営の促進に向け、今年度からリスキリングや働き方改革、女性の活躍促進などの関係施策を集約し、人への投資に関する施策を総合的に展開できるよう、「人的資本経営促進課」を新設したところでございます。

人的資本経営の普及と理解促進に向けて、来月を人的資本経営の強化月間とし、「人の力で『かち』に行く!」をスローガンに多様な働き方・リスキリング・女性活躍など、毎週異なるテーマでセミナーを開催いたします。

また、女性活躍につきましては、女性管理職のもつ幹部昇進への課題や悩みを解消していくことを目的として、女性管理職による、業種を超えた社外交流ネットワーク「WE-Hubひろしま」を新たに構築してまいります。

スタートアップ等に果敢に挑戦できる環境整備につきましては、「ひろしまユニコーン10」プロジェクトにおいて、これまでの2年間で28社を伴走支援し、資金調達に向けて、発信機会やつながりの場を提供してきたところ、公表ベースで6社・14億円の資金調達に成功したほか、各種報道により、このプロジェクトの認知度が更に高まってきたと考えております。

また、これまでの取組に加えて、今年度は、県内スタートアップ企業等の海外進出を後押しするため、支援ニーズの高い東南アジアを中心とした現地の日系団体と連携し、ネットワークの構築や拠点設置等を支援することとし、今月末には支援先企業を採択する予定でございます。

こうした海外市場を狙うスタートアップ企業等の支援を通じて、産業イノベーションを生み出す起爆剤となる企業の創出につなげてまいります。

これらの取組に加えて、「広島イノベーションベース」など多くのスタートアップ支援機関との連携により、引き続き、挑戦心のある企業の事業成長を後押ししてまいりたいと考えております。

【人口減少・人手不足対策】​

次に、「人口減少・人手不足への対応」についてでございます。

今年4月に、民間の経済人や研究者などの有識者で構成される人口戦略会議が発表した「地方自治体『持続可能性』分析レポート」によると、本県の「消滅可能性自治体」は6市町で、10年前に公表された際の12市区町から減少いたしましたが、人口減少が続く基調に変わりはなく、依然、厳しい状況にあると認識しております。

こうした中、本県では、今後予測される人口減少は避けられないとの認識の下、「県民の希望出生率」と「社会動態の均衡」の実現による人口減少の抑制を目指し、これまでも様々な施策を総合的に講じておりますが、人口減少や少子化の進展に歯止めが掛けられていないため、対策を一層強化していくことが喫緊の課題となっております。

県民の皆様の希望出生率の実現につきましては、県が実施した「少子化対策・子育て支援に関する調査」によると、家庭内における家事・育児の負担が女性に偏っている傾向が見られ、国の調査においても、男性の家事・育児時間と出生率に相関関係が見られることから、男性の家事・育児への参画を促進する戦略的なプロモーションを展開していくこととしております。

今後とも、少子化の進展に歯止めを掛けるため、注力する施策の方向性について、県民の皆様から幅広い御意見をいただきながら、検討してまいります。

次に、社会動態の均衡につきましては、現在、若年層の進学・就職時等の転出要因や県内企業の採用力など、若者側・企業側双方のニーズや需給ギャップなどについて調査・分析を行っているところであり、9月末にとりまとめを行う予定としております。

 

また、人手不足への対応につきましても、2024年問題に直面する運輸、建設業界をはじめとした業界団体等へのヒアリング訪問を実施し、各業界で直面している人手不足の問題やその要因の把握に努めているところでございます。

こうした調査・分析などを踏まえた上で、施策の再構築を行い、その結果を次期「県政運営の基本方針」に盛り込むほか、早期に着手する必要がある施策については、機動的に対応してまいりたいと考えております。

【それぞれの欲張りなライフスタイルの実現】

次に、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」についてでございます。

はじめに、県民の健康づくりと持続可能な医療・介護提供体制の構築についてでございます。

県内における死因のうち、「がん」に次いで2番目に多い脳卒中や心臓病といった循環器病は、発症してから元の生活に戻るまでに、医療、介護及び福祉サービスに係る様々な情報を得ながら、治療やリハビリを進めていく必要がございます。

このため、今年4月に、循環器病に係る相談対応や情報提供の中心的な役割を担う「広島県脳卒中・心臓病等総合支援センター」を広島大学病院内に設置いたしました。

引き続き、県民の皆様がどこにいても脳卒中や心臓病に関する相談ができ、適切な情報を得ることができる体制を整えてまいります。

次に、地域医療構想の実現に向けた取組についてでございます。

まず、新病院の建設につきましては、「高度医療・人材育成拠点基本計画」に基づき、今年3月末に基本設計の委託契約を締結したところであり、今後は、令和8年度からの建築工事の着手に向け、着実に事業を進めてまいります。

また、統合対象となる病院等の一体的な運営を行うため、令和7年4月1日に地方独立行政法人を設立することとしており、これに向けて、法人が達成すべき中期目標案や、この目標を達成するための中期計画案の策定などの準備を進め、全国トップレベルの医療の提供や、中山間地域をはじめとする県内全域の医療提供体制の確保を目指してまいります。

あわせて、県立広島病院跡地の活用につきましては、昨年9月に整理した利活用の方向性の実現に向け、引き続き、地域に必要な医療機能などについて検討を進めてまいります。

次に、能登半島地震を踏まえた地震防災対策についてでございます。

今年1月に発生した能登半島地震では、様々な課題が顕在化しており、改めて地震防災対策の重要性を認識したところでございます。

本県における地震被害想定につきましては、現在、国が進めている南海トラフ巨大地震による被害想定の改定内容や、能登半島地震における被害の要因を踏まえて見直すこととしており、先月、「第1回広島県地震被害想定調査検討委員会」を開催し、専門家の御意見を聴取するなど、来年10月末の改定に向けて、検討を進めております。

地震防災対策の強化につきましては、ハード対策として、ゼロメートル市街地等における河川・海岸堤防の耐震化、緊急輸送道路のネットワーク強化に向けた法面対策や橋梁耐震補強、木造戸建住宅等の耐震化などを図るほか、各水道事業者が実施する水道施設の老朽化対策への支援に取り組んでまいります。

また、ソフト対策のうち、避難所の生活環境の改善につきましては、災害応急救助物資の備蓄、避難所開設・運営マニュアルのガイドラインの改定などに取り組み、市町における避難所の運営を支援してまいります。

流域治水につきましては、特定都市河川流域として指定した、江の川上流域における総合的な浸水被害対策をとりまとめた「流域水害対策計画」を3月に策定したところであり、既に策定済みの竹原市の本川流域の計画と併せて、国や市町と連携しながら着実に計画を推進するとともに、新たな特定都市河川の指定に向けて取り組んでまいります。

また、今年度は、住民・事業者等を対象としたシンポジウムを開催するなど、流域治水の意義や必要性についての理解を深める取組を進め、あらゆる関係者が協働し、流域治水を推進していくための環境づくりを行ってまいります。

引き続き、将来にわたって県民の皆様が安全・安心に暮らすことができるよう、国、市町、関係者と連携しながら、ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策の充実・強化に取り組んでまいります。

続けて、出水期への備えについてでございます。

近年、台風や線状降水帯などに伴う、短時間の記録的な豪雨により、大規模な河川の氾濫や土砂災害が全国各地で相次いでいることから、出水期を迎えている本県におきましても、災害への最大限の注意が必要となっております。

県といたしましても、より多くの県民の皆様に適切な避難行動をとっていただくため、先月、新たに広島県公式LINEアカウントに、マイ・タイムラインを簡易に作成できる機能を実装したところでございます。

県民の皆様には、災害への備えとして、再度、避難場所や避難経路を御確認いただき、避難情報が発令された際には、速やかに避難行動をとっていただくようお願い申し上げます。

次に、「ひろしまブランド」の価値の更なる向上に向けた取組についてでございます。

まず、広島の食のブランド力強化につきましては、G7広島サミットで高まった広島のプレゼンスを生かし、県民の皆様や広島を訪れた人々に、広島の食の魅力を体感していただき、美味しいと実感していただけるよう、県内の多様な主体との共創による取組を進めてまいります。

こうした取組の輪を広げ、県内を「おいしい」で溢れさせていくことで、広島のおいしいイメージを醸成してまいります。

また、スポーツ界におきましては、先月、バスケットボールの広島ドラゴンフライズがBリーグで見事初優勝に輝きました。

勇猛果敢にワイルドカードから挑戦していく姿は、まさに「ひろしまの姿」を体現し、県民の皆様に大きな感動を与えてくれるものでございました。

さらに、今月11日には、サッカー「FIFAワールドカップ26」アジア2次予選のシリア戦が、エディオンピースウイング広島において開催され、広島の都心にできた新たな賑わいのシンボルを全国に御披露目することができました。

こうした広島における多様なスポーツを通じて、広島の魅力や元気を全国に向けて発信してまいります。

また、G7広島サミット開催からちょうど1年目の節目となった先月19日には、広島の地で歴史的なサミットが開催されたことを、改めて想い起こしていただく契機となるよう、首脳会議で使用された円卓など、代表的な品々等を展示した「G7広島サミット記念館」をオープンいたしました。

開館後5月31日までの入館者は1万1千人を超えるなど、反響の大きさを感じております。

こうした様々な取組を推進し、「ひろしまブランド」の価値を向上させる好循環を生み出すことにより、選ばれ続ける未来の広島県を創造してまいります。

次に、県経済の持続的な発展に向けた産業イノベーションについてでございます。

ひろしまサンドボックス「サキガケプロジェクト」につきましては、先月から、支援企業が、3Dプリンターによる建築技術の実証を行い、将来の「鉄骨・鉄筋レス」での工法の実現に向けて、無筋施工方法及び施工時間短縮効果等の検証を行っているところでございます。

引き続き、県内企業等との共創につなげ、新たな技術と知見の集積を図ってまいります。

令和3年度から取り組んでおりますカーボンリサイクルにつきましては、県独自に創設した研究・実証支援制度において、これまで23件の研究テーマを採択し、二酸化炭素をコンクリートに固定し製造したコンクリートベンチの実装や、ボイラーの排ガスを利用して、貴金属回収の特性を有する微細藻類の培養に成功するなど、カーボンリサイクル技術の研究成果が県内で出始めております。

今後とも、本県がカーボンリサイクルの研究拠点となり、新しい産業の集積地となるよう取組を進めてまいります。

次に、観光産業の振興についてでございます。

国内外からの観光客の更なる誘客促進につきましては、昨年は、G7広島サミットの開催による本県への注目の高まりなどにより、県内における宿泊者数は、約1,112万人泊と、令和4年と比べ30%増、コロナ前の令和元年と同程度まで回復しているところでございます。

こうした状況を的確に捉え、10月27日に開催いたします国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ2024」につきましては、尾道市、愛媛県等の関係団体と連携を図り、世界に誇るしまなみ海道の様々な魅力を、国内外からの参加者の皆様に存分に楽しんでいただくよう取り組んでまいります。

また、令和7年に開催予定の大阪・関西万博においては、本県も、8月5日から8月9日の5日間出展する予定であり、本県の魅力を効果的に発信するための準備を進めてまいります。

広島空港の国際線につきましては、先月12日に、中四国初となるベトナム・ハノイとの直行便が新規就航したところでございます。

これにより、ベトナムと本県との往来の利便性が高まり、ビジネスや観光など幅広い分野での相互交流が一層活発になっていくものと期待しております。

引き続き、空港運営権者等と連携し、広島空港の国際航空ネットワークの充実等を図ってまいります。

クルーズ客船の受入れにつきましては、今年3月30日に「広島港クルーズターミナル」が供用開始され、出入国審査の円滑化や待合空間の快適性向上など、受入環境の充実が図られたところでございます。

今年度、広島港においては、クルーズ客船の寄港予定回数が、先月末時点で過去最高となる73回となっており、今後も、クルーズ客船の誘致を通じた地域の活性化に取り組んでまいります。

また、観光を県経済の成長を支える産業の一つとしていくためには、県内全域での周遊促進や滞在時間の更なる増加を図るための施策をはじめ、今後も増加が見込まれる外国人観光客への対応や、観光関連事業者の人手不足対応等の観光産業の持続的成長に向けた施策など、新たな観光施策を進めていくことが重要であると考えております。

こうした施策を実施していくため、中長期にわたって、一定の規模を安定的に確保できる新たな財源が必要となることから、宿泊税の導入に向け、県議会や市町をはじめ、宿泊事業者など観光関連事業者等の意見を丁寧に伺いながら、税制度や観光施策について、検討を進めてまいります。 

次に、生産性の高い持続可能な農林水産業の確立についてでございます。

はじめに、多様な業種の企業が連携し、新たな「食」のビジネスを創出する、食のイノベーション推進事業「ひろしまフードバトン」につきましては、新規市場の開拓により、売上げを伸ばすなど、順調に成果も得られてきております。

今年度からは、水産分野にも対象を広げており、今後、革新性や将来性の高いプロジェクトチームの組成や実証を支援することにより、県内の農水産事業者の「稼ぐ力」を更に高めてまいります。

次に、スマート農業の推進につきましては、令和3年度に実証を開始し、AIによるぶどうの摘粒作業の省力化や、カット用青ねぎの自動収穫機による収穫時間の短縮化といった技術が確立されたところであり、今後、関係機関と連携しながら多くの農業者に対して普及を進めてまいります。

かき養殖につきましては、年間2万トンの生産に向けて、夏の水温上昇により発生している「へい死」を低減させるため、リアルタイムに各海域の水温データを提供するシステムを、多くの生産者に利用していただけるよう講習会を行い、普及を図っております。

また、海面漁業につきましては、ICTを活用した定置網の遠隔監視や操業データの見える化などにより、操業の効率化や生産性向上を目指した実証に取り組んでまいります。

需要が低迷している「かき殻」につきましては、かき殻の新たな有効活用方法の検討、かき殻を利用した水産生物の増殖の場の造成の効果検証、海底の環境改善に向けたガイドラインの策定に取り組むこととしており、現在、調査海域の漁業者や関係者との調整を行っております。

東部海域を中心に大量発生しているミズクラゲの被害軽減対策につきましては、先月中旬から、クラゲの切断機を備え付けた漁船によって駆除する実証試験を開始しているところでございます。

また、発生源となるポリプの駆除方法の検討に向けて、漁業者と情報共有を進めるとともに、専門家の助言を得ながら調査手法の検討や実証試験の準備を進めております。

野生鳥獣による農作物被害対策につきましては、県域で戦略的な鳥獣被害対策に取り組むプロフェッショナル組織「テゴス」の活動が、4月より本格稼働しており、現在、適切な被害対策に取り組むモデル集落を選定すべく、集落の実態を把握しているところでございます。

今後、選定モデル集落において、動物行動学の知見と経験を基に、スマート技術などを取り入れた被害対策を実践し、確実に成果を上げることで、他の集落へ波及させてまいります。

次に、平和の取組についてでございます。

イスラエル・パレスチナの武力紛争はいまだに解決の糸口が見通せず、ロシアによるウクライナ侵略が長期化するなど、国際情勢が混迷を極める中、核兵器問題を巡る亀裂は核兵器国・非核兵器国の間だけではなく、それ以上に、核兵器国間で深刻化し、核問題に係る合意形成を一層難しくしております。

こうした各国の状況について、核軍縮・不拡散等の分野ごとにとりまとめた「ひろしまレポート」を4月に発表したほか、今月には、海外の研究機関と連携し、防衛や安全保障の専門家を交え、深刻化する国際安全保障環境に対する理解を深めるための公開イベント「変容する国際安全保障と核兵器」を開催し、県民の皆様に核兵器を取り巻く国際情勢や安全保障の課題について、より深く理解していただく機会を提供したところでございます。

また、公開イベントの登壇者を中心に、対面ワークショップをあわせて開催し、核抑止に替わる安全保障政策づくりに向けて、核兵器のない世界のあり方についての議論を深めることができました。

来月には、スイスのジュネーブで開催されるNPT運用検討会議準備委員会の機会を捉えて、核軍縮と持続可能性に関する「フレンズ会合」の設置を目指し、各国政府や市民社会の賛同者拡大に向けて、私自身が積極的に働きかけてまいります。

引き続き、核抑止に替わる安全保障政策づくりを進めるとともに、多様な主体と連携して国際社会への働きかけを行い、核兵器のない平和な世界の実現に向けた取組を進めてまいります。

次に、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」についてでございます。

持続可能な中山間地域の実現につきましては、今年2月、有識者で構成する検討会議において、「広島県における今後の集落対策」がとりまとめられたところでございます。

今年度は、そのとりまとめを踏まえ、住民の皆様が安心して暮らし続けていくための対策として早期に着手することが必要とされた、地区・集落住民の合意形成のサポートや基礎的な生活サービスの確保に向けた取組に着手したところであり、今後の取組についても、市町と連携しながら整理を行ってまいります。

また、地域づくり活動の担い手育成につきましては、地域づくり人材のプラットフォームである「ひろしま里山・チーム500」の活動を支援するこれまでの取組に加え、地域と連携した活動のノウハウを学ぶ学習プログラムを新たに立ち上げ、より深く地域とつながり、地域課題の解決を目指す人材の育成に取り組んでまいります。

次に、魅力ある都心空間の創出についてでございます。

広島市都心につきましては、エディオンピースウイング広島に続き、隣接する広場エリアも8月の開業に向け、順調に整備が進められているほか、県庁舎敷地有効活用事業につきましては、県民の皆様や広島を訪れた方々がほっと一息つける憩いの空間の創出に向けて、施設整備に着手しております。

福山駅周辺地区につきましては、三之丸町の旧キャスパ等跡地の再開発が3月に竣工し、9月のグランドオープンに向けて周辺エリアのまちづくりとも連携するなど、福山駅周辺の再生に向けた取組が進められております。

引き続き、広島市や福山市等と連携して、広島市都心の活性化や福山駅周辺地区の拠点性の向上に向けて取り組んでまいります。

2.当面する県政の諸課題への対応​

次に、「当面する県政の諸課題への対応」について、御報告いたします。

まず、ローカル鉄道についてでございます。

JR芸備線の再構築協議会につきましては、今年3月に第1回協議会が開催され、先月には第1回の幹事会が開催されたところでございます。

持続可能な地域社会の実現に向けて、芸備線沿線地域のまちづくりや観光振興の視点も含めて議論していくことが、構成員間の共通認識とされたところであり、今後は、関係者が一体となって、芸備線の可能性を最大限追求するためのあらゆる取組を展開し、積極的な議論に努めてまいります。

また、先月、JR西日本から木次線の備後落合駅と出雲横田駅の区間について、地域の移動実態に応じた持続可能な交通体系を、地元と相談したい旨の発言があり、こうした一部の区間を切り出し、そのあり方について検討を進めたいとするJRの表明が全国各地で続いております。

こうした状況を踏まえ、「内部補助の枠組整理を踏まえた全国的な鉄道ネットワークの方向性」や、JRの代替交通への責任などの「実質的な持続可能性」について、可能な限り早期に整理いただくよう、引き続き、国へ要望してまいります。

次に、広島高速5号線についてでございます。

シールドトンネル工事につきましては、地表面変位の抑制などの対策を取りながら掘削を進め、先月、牛田地区を通過したところでございます。

今後の掘削や設備工事等を踏まえますと、トンネル工事の完成は令和10年上期の見通しとなりますが、出来るだけ早い完成を目指してまいります。

また、受注者から建設工事紛争審査会への調停申請の件につきましては、審査会から調停打切りの通知があったところでございます。

広島高速道路公社と受注者は、これまでと同様に、安全・安心を第一として早期完成を目指し工事を継続していくこととしており、今後、公社において工事費の精査を行いながら、必要な契約変更の手続きを進めてまいります。

引き続き、公社や広島市と連携し、住民の皆様の不信や不安を可能な限り払拭できるよう、適切かつ丁寧な対応に努めながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。

次に、瀬野川水系からPFOS等が検出された件についてでございます。

昨年12月に瀬野川水系からPFOS等が目標値を超えて検出されたことを受け、関係市と連携して、実態を調査し、米軍川上弾薬庫周辺で高濃度のPFOS等の検出を確認いたしました。

このため、今年2月に、防衛大臣等に使用実態や水質調査の実施等について、東広島市長と共に要望したところでございます。

3月には、東広島市と連携して、川上弾薬庫周辺の追加調査を実施し、その結果を基に、今月4日に、防衛大臣等に重ねて要望を行ったところでございます。

今後も県民の皆様の安全・安心のため、市と連携して取り組んでまいります。

次に、日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区の跡地利活用についてでございます。

防衛省から「多機能な複合防衛拠点」の提案があり、今年3月28日に、防衛省、県、呉市、日本製鉄をメンバーとして四者協議を行ったところでございます。

しかしながら、本提案の地元経済や社会に対する影響は不明であることから、今後、防衛省から丁寧に話を伺いたいと考えております。

引き続き、地域経済の活性化につながり、地域住民の皆様にとって将来に希望が持てる日鉄跡地の利活用となるよう、複合防衛拠点案以外の選択肢も幅広く検討してまいります。

3.令和6年度補正予算案等の概要

次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。

まず、一般会計補正予算案につきましては、老朽化が進んでおります埋蔵文化財センター及び文書館観音書庫の移転整備に向けた設計に係る経費を計上しております。

また、当該移転整備及び県立施設の指定管理者の選定に係る債務負担行為予算を計上しております。

以上の結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、1,362万円となり、本年度予算の累計額は、1兆957億1,362万円となります。

次に、予算以外の議案といたしまして、「職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」などの条例案8件、人事案件といたしまして、「広島県公安委員会委員の任命の同意について」の1件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など3件を提出しております。

また、報告事項として、専決処分報告のほか、令和5年度繰越明許費繰越計算書、県が資本金の四分の一以上を出資等している法人の経営状況説明書などを提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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