9月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、本年度主要施策の取組状況及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
はじめに、先月末に発生し、東海、九州地方をはじめとする各地で甚大な被害をもたらした台風第10号についてでございます。
この台風により犠牲となられた方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
本県におきましては、甚大な被害は生じなかったものの、台風が多く発生する時期を迎えておりますことから、引き続き、緊張感をもって対応に当たってまいります。
県民の皆様には、災害への備えとして、再度、避難場所や避難経路を御確認いただき、避難情報が発令された際には、速やかに避難行動をとっていただくようお願い申し上げます。
次に、本県を取り巻く情勢についてでございます。
本年6月に発表された日銀短観におきまして、業況判断指標は8年ぶりの高い水準となり、同じく設備投資では平成19年度実績以来の高い計画となっているなど、投資意欲の旺盛さもみられており、本県経済は、緩やかな回復基調にあります。
また、「観光庁宿泊旅行統計調査」におきましては、円安基調も追い風となり、本年6月の外国人延べ宿泊者数が13万6,430人、前年同月比プラス33%となるなど、宿泊業や観光業では、インバウンド需要の好調が続いております。
一方、株価の乱高下等不安定な状況に加え、金利上昇に伴う県経済への影響が不透明であることや為替動向や物価高により、国内全体の消費マインドの落ち込みが懸念されることから、引き続き県経済の動向を注意深く見ていく必要があると考えております。
続きまして、本年度主要施策の取組状況について御報告いたします。
まず、「人口減少・人手不足への対応」についてでございます。
先月、全国知事会において、我が国が直面する最大の危機である人口減少問題に立ち向かうために「人口戦略対策本部」を設置いたしまして、47都道府県が一致結束し、人口減少への構造的潮流を食い止め、地方部も大都市部も共に地域経済の成長を図り、子育てなど安心して生活できる新たな社会づくりに挑戦していくこととしております。
本県におきましても、今後予測される人口減少は避けられないとの認識の下、「県民の希望出生率」と「社会動態の均衡」の実現による人口減少の抑制を目指し、取組を進めております。
まず、「社会動態の均衡」に向けて、全庁を挙げて対策に取り組むため、本県では、全国知事会の人口戦略対策本部に先駆けて、本年4月に「若者減少・人手不足対策プロジェクト・チーム」を設置いたしました。
この体制のもと、現在、1万人規模のWebモニターアンケート調査に加えて、7千社を超える県内企業、包括連携協定先の企業、県内大学のキャリアセンター、県人会、高校・大学の同窓会等に協力を依頼し、若年層の進学時や就職時を中心とした転出要因等について調査・分析を進めているところでございます。
また、人手不足対策につきましても、プロジェクト・チームを中心として、建設業界、運輸業界、介護業界など、様々な業界団体や企業へのヒアリング訪問を実施し、ヒアリングから得た情報を基に、担当者会議やワークショップなどを通じて、各業界の構造を捉えた人手不足の中核課題の把握に努めているところでございます。これらの調査・分析の結果を踏まえ、若者の集積や人手不足の解消につながる既存施策の磨き上げや新たな取組について検討を行ってまいります。
次に、「県民の希望出生率」の実現に向け、男女が共に家事・育児に主体的に参画する「共育て」の定着を図るため、男性の家事・育児への参画を促進する戦略的なプロモーションの取組を進めてまいります。
また、少子化対策・子育て支援施策の強化のため、幅広い年代の方や企業の代表者等との車座会議を全5回開催し、「社会全体で子育てを支えるってどういうこと」などをテーマに、県民の皆様から様々な御意見を聴取してきたところであり、今後、次期「ひろしま子供の未来応援プラン」の策定に向けて、御意見を踏まえながら、注力する施策の方向性について検討してまいります。
次に、「AIで未来を切り開くひろしま」の実現についてでございます。
昨今、すさまじいスピードで進化するAI技術は、地域社会が抱える様々な課題を克服できる大きな可能性を秘めております。
本県においては、「イノベーション立県」の実現に向けて、これまで、「ひろしまサンドボックス」をはじめ、あらゆる分野で、挑戦者を「オール広島」で後押しする環境づくりを推進してきたところであり、AI分析等によるカキ養殖手法の確立、路面状態のAI解析による道路の維持管理の高度化、AIを用いた船の自律航行技術の確立など、AIを有効に活用した様々な先進的取組にチャレンジしております。
こうしたことも踏まえ、広島県は、AIで未来を切り開くべく、AIとデータを活用できる環境整備と、人材集積を進め、イノベーション・エコシステムの形成を目指し、挑戦してまいります。
具体的な取組といたしましては、県内産業や地域の課題解決に向け、チャレンジできる環境を提供する「ひろしまAIサンドボックス」の取組を開始し、県内外の民間企業等との共創によるAIを活用した新たなソリューション開発を支援することにより、AIを活用して新ビジネスに挑戦しようとする企業・人材を広島に集積させ、広島でのAIの取組をさらに加速させてまいります。
加えて、県庁内部でも、AIの利活用を探索し、挑戦する、「広島AIラボ」の活動を開始し、庁内の文化や風土を変え、新しい価値を生み出すような活用アイデアの創出に向け、探索・研究を進めてまいります。
このほか、本年度から、産学官連携により取り組んでおります、高校生を対象とした、AIを理解し、活用する力を身に着ける機会を提供する「ひろしまAI部」など、AIの分野で将来活躍する人材輩出を目指してまいります。
こうした取組を、「HIROSHIMA AI TRIAL 失敗を生かそう」のスローガンのもと、推進することにより、広島がAI活用をリードし、地域課題の解決と新たな価値の創出へとつなげてまいります。
次に、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」についてでございます。
はじめに、県民の健康づくりと持続可能な医療・介護提供体制の構築についてでございます。
県民の健康づくりに向けた取組といたしまして、本県の健康寿命は着実に延伸しているところでございますが、女性の健康寿命が全国平均を下回っていること等を踏まえ、女性の健康課題の要因を分析する調査を本日から開始したところであり、今後、その結果に基づいて必要な対策を講じてまいります。
次に、高度医療・人材育成拠点の整備に向けた取組といたしましては、新病院の運営主体である地方独立行政法人への統合を予定しているJR広島病院について、令和7年4月の病院事業の取得に向けて、来月、譲渡契約を締結することから、これに伴い必要となる債務負担行為を9月補正予算に計上しているほか、引き続き、新病院の基本設計や地方独立行政法人の設立に向けた準備等を進めてまいります。
次に、地震・防災対策についてでございます。
先月8日の宮崎県日向灘を震源とする地震の発生に伴い、国は初めて南海トラフ地震臨時情報を発表し、国民に対して防災対応をとるよう呼びかけを行いました。
その後、臨時情報の発表に伴う呼びかけは終了いたしましたが、大規模地震はいつ発生してもおかしくないため、県民の皆様には、避難場所や避難経路の確認、非常持ち出し品や水・食料などの備蓄品の準備など、改めて日頃からの地震への備えをお願いいたします。
本県における地震防災対策といたしましては、南海トラフ巨大地震を始めとする大規模地震が発生した場合に備えて、能登半島地震で顕在化した課題などを踏まえ、ハード・ソフト一体となった地震防災対策の強化について検討しており、とりわけ、被災者支援の強化に向けては、有識者等による検討会を開催し、御意見を伺いながら進めているところでございます。
特に、着手可能な対策については、順次実施することとしており、大規模災害発生時の孤立集落における通信及び物資輸送の強化を図るため、市町などと連携した実証実験に必要な経費を9月補正予算に計上しております。
激甚化・頻発化する水災害への対策といたしましては、あらゆる関係者が協働して流域治水に取り組んでいるところであり、特に流域内の市街化など土地利用の変化が著しい黒瀬川水系などにおいて、早期に治水効果を発現させるため、特定都市河川流域の指定に向けた検討を進めてまいります。
引き続き、国、市町、関係者と連携しながら、県民の皆様が将来にわたって安全・安心に暮らすことができるよう、防災・減災対策の充実・強化に取り組んでまいります。
次に、ネット・ゼロカーボン社会の実現に向けた取組についてでございます。
家庭における省エネ家電への切り替えを進めるとともに、環境に対する意識向上を図るため、CO2削減効果の高いLED照明機器の導入を支援する「LED照明器具購入応援キャンペーン」を本年度も6月から実施しており、県民の皆様から、先月末現在で、前年度比110%となる9,337件の申請を受け付けているところでございます。
また、企業における自家消費型太陽光発電設備の導入にあたりましては、休日等の余剰電力の活用が課題であることから、その課題解決に資する事業を公募し、採択したところであり、今後、得られた成果により課題解決モデルの創出を図ってまいります。
県におきましても、事務事業にあたって排出される温室効果ガスを削減するため、県有施設として初めてPPA方式による太陽光発電設備を導入し、本庁舎における発電を先月から開始したところでございます。
「ひろしまものづくりカーボンニュートラルビジネスプロジェクト」におきましては、本年度、製品単位のCO2排出量の見える化などの企業が抱える課題をテーマとして、解決策を検討するためのワークショップの第1回を7月に開催したところでございます。
引き続き、こうしたワークショップの実施や実証支援を通じて、モデルとなる先進事例を創出するなど、カーボンニュートラルを起点とした主体的な事業変革を推進してまいります。
次に、「ひろしまブランド」の価値の更なる向上に向けた取組についてでございます。
広島の食のブランド力強化につきましては、県内各地の生産者や観光事業者、飲食店など、食に関わる様々なステークホルダーの方々と広島の食の魅力を共に創る更なる取組として、来月2日に「おいしい!広島」プロジェクトの再始動イベントを開催いたします。
こうしたPR企画やプロモーションを順次展開し、県内外の共感を得ながら広島の「おいしい」イメージの定着につなげてまいります。
スポーツに関しましては、先日開催されたパリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会では、県ゆかりの選手22名が出場しました。
セーリング混合470級で銀メダルを獲得した吉岡美帆選手や、車いすラグビーで金メダルを獲得した長谷川勇基選手、ゴールボールで金メダルを獲得した田口侑治選手を始め、県ゆかりの選手の活躍は、県民のみならず日本中に大きな夢や感動をもたらしました。
県といたしましても、この機運の高まりを好機と捉え、スポーツを通じて、広島の魅力や元気を全国に向けて発信するとともに、引き続き、県民の皆様誰もがスポーツを楽しむことで健康と豊かさを実感し、スポーツの力によって本県及び地域社会への愛着や誇りが醸成されるよう取り組んでまいります。
こうした様々な取組を推進し、「ひろしまブランド」の価値を向上させる好循環を生み出すことにより、県民の皆様一人一人が「安心」の土台と「誇り」により、夢や希望に「挑戦」できる広島県を実現してまいります。
次に、県経済の持続的な発展に向けた産業イノベーションについてでございます。
「ひろしまユニコーン10」プロジェクトにおきましては、スタートアップ企業等のニーズや成長段階に応じた伴走支援プログラムでは、採択企業13社に対し、資金調達や協業・連携へ向けたベンチャーキャピタルや事業会社との接点づくりに取り組んでおります。
また、海外進出支援プログラムといたしましては、採択企業6社に対し、企業ニーズの高い東南アジアでのフィールドワーク等を通じて、事業展開に必要となるネットワークの構築や拠点設置等を支援しているところでございます。
ひろしまサンドボックス「サキガケプロジェクト」におきましては、スタートアップ企業等の商品・サービスを社会実装する過程で、障壁となる規制への対応や、新たなルール作りの支援として、これまで支援している7件に加え、本年度新たに2件を採択し、県内での実証を開始したところでございます。
引き続き、県内企業等との共創につなげ、新たな技術と知見の集積を図ってまいります。
また、「ひろしまサンドボックス実装支援事業」におきましては、昨年度、12市町で26件の実証プロジェクトが実施され、現在、各市町において実装に向けた導入効果の検証が進められております。
本年度は、14市町が参画し、現在、各市町におきまして、スタートアップ企業等の提案の選考を行っているところでございます。
引き続き、県内市町とスタートアップ企業等のマッチングを支援することで、新たなデジタル技術やビジネスモデルを活用した商品・サービスの社会実装を進め、地域課題の解決につなげてまいります。
次に、観光産業の振興についてでございます。
令和5年における本県の総観光客数と延べ宿泊者数は、コロナ前、令和元年のほぼ同水準に回復しており、また、観光消費額については、4,726億円と過去最高となっております。
こうした状況を的確に捉え、来月27日に開催いたします国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ2024」につきましては、海外からのエントリーを含む約3,500人の参加者に対し、世界に誇るしまなみ海道の魅力を存分に体感していただくとともに、その魅力を広く発信することで、令和7年に開催される大阪・関西万博や世界バラ会議福山大会も見据えながら、国内外からの更なる誘客促進につなげてまいりたいと考えております。
また、今後の観光施策を拡充・強化していくための財源確保策として検討しております、宿泊税の導入につきましては、市町や宿泊事業者などの観光関連事業者等に対するヒアリングやアンケートを行ったところでございます。
観光施策を進める上で必要であるという意見を頂いた一方、修学旅行等の学校行事への配慮など、様々な意見を頂いており、こうした意見を踏まえ、修学旅行等を課税免除とする方向で検討しております。
引き続き、関係者から丁寧に意見を伺いながら、税制度や新たな観光施策等の整理・検討を進めてまいります。
広島空港の国際線につきましては、上海線が7月末から1往復増便され、週4往復となったところでございます。加えて、コロナ禍以降運休している香港線の11月からの復便にあたり、航空会社への運航経費に係る支援を行うこととしております。
あわせて、県内事業者の貨物輸送の選択肢の拡大など、物流環境の改善に寄与する広島空港への貨物専用機の定期就航を促進するため、トライアルチャーター実施への支援も行うこととし、これらの支援に必要な経費を9月補正予算に計上しております。
また、航空燃料の供給不足による国際線の復便等への影響につきましては、6月に、全国に先駆けて国に対して安定供給に関する緊急要望を実施いたしました。
その結果、「航空燃料供給不足への対応に向けた官民タスクフォース」が設立され、現在、緊急対策が行われております。
この対策により、広島空港における航空燃料の供給不足は、一旦解消したところでございます。
今後も、空港運営権者等と連携し、広島空港の航空ネットワークの拡充による、更なる利便性の向上に努めてまいります。
広島港海田地区の国際フィーダー機能の強化につきましては、海田コンテナターミナルに隣接する土地等の取得により、不足している公共ふ頭用地を拡張することとし、その取得に必要な経費を9月補正予算に計上しております。
これにより、阪神港経由で北米・欧州等に輸出入している貨物について、阪神港との間の海上輸送が可能となるなど、県内企業の物流効率化にも寄与するものと考えております。
引き続き、県内企業の生産性向上・物流効率化に資する、国際競争力の高い物流拠点の形成に取り組んでまいります。
次に、生産性の高い持続可能な農林水産業の確立についてでございます。
農業経営体の雇用確保を支援する「雇用就農マッチング促進事業」につきましては、現在、雇用を受け入れる経営体と雇用就農希望者双方の希望をもとに雇用就農の定着率向上を目指す「お試し就農」を実施しているところでございます。
加えて、経営体の雇用環境の整備や人材確保に必要なスキルなどを学ぶ研修を並行して行っているところであり、こうした取組を通じて、常時雇用を確保し、経営力の強化を支援してまいります。
スマート農業の推進につきましては、昨年度、軟弱野菜や青ねぎ、ぶどうに係る実証により確立された技術の普及に向けて、生産者に対しトライアル利用を推進するなど伴走支援を行っているところでございます。
とりわけ、農業用ビニールハウスに設置したセンサーと、気温や日射量等を制御する機器を連動させ、作物に最適な栽培環境を自動で保つ技術については、先月末時点で県内農家約30戸に導入されており、省力化や作物の高温障害の減少、出荷時期の拡大など、生産者の収益向上につながっております。
引き続き、農業者の意見を聞きながら、更なる技術の改良や普及を進めてまいります。
次に、平和の取組についてでございます。
本年7月、原爆ドーム対岸の親水テラスにおいて、G7広島サミット1周年を記念したコンサート「文化芸術の夕べ」を開催いたしました。
コンサートでは、被爆ピアノの演奏や広島神楽の公演、サミットの記録映像の投影を通じて、国内外の多くの皆様に、平和メッセージや広島の魅力を発信したところでございます。
また、7月に、米国・ニューヨークで開催された「持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム」の機会を捉え、現地で国連関係者等と面会し、持続可能性の観点から、核軍縮を呼びかける新しいアプローチについて提案し、賛同を得ることができました。
同じく7月にスイス・ジュネーブで開催された「NPT運用検討会議第2回準備委員会」に参加して、2つのサイドイベントを開催し、持続可能性と安全保障の観点から核兵器廃絶の重要性を訴えたほか、各国政府関係者との面会やバナー展示等を通じて、本県の取組への賛同を得ることができました。
また、派遣いただきました県議会訪問団の皆様と共に平和の取組を推進する姿勢を示すことができ、大変意義深いものとなりました。
引き続き、核兵器廃絶に向けて国際的な合意形成を目指し、各国政府関係者をメンバーとする「フレンズ会合」の設置準備を進めてまいります。
さらに、「ひろしまラウンドテーブル」での議論をもとに、各国の核軍縮に関する義務の履行状況を明らかにし、行動を促す政策提言「ひろしまウォッチ」を8月5日に公表し、国連に加盟する全193か国に送付したところでございます。
また、8月6日には、国連訓練調査研究所との共催で、広島の若者や日本政府の拠出により国連が創設した「ユース非核リーダー基金」事業に参加する若者と、核軍縮・不拡散の専門家との対話イベントを開催し、核兵器のない平和な世界の実現に向けて理解を深めたところでございます。
今後も、こうした取組を通じて、核兵器廃絶の実現に向けた賛同者の拡大と国際社会への働きかけを行うとともに、若者の人材育成推進に一層取り組んでまいります。
次に、治安・暮らしの安全確保についてでございます。
インターネット利用の低年齢化を背景に、青少年がSNSを通じて会った相手から性被害を受けたり、性的な画像を提供させられる事案が発生し、深刻な問題となっております。
こうした現状や、昨年行われた性犯罪に関する刑法改正を踏まえ、青少年の性被害防止対策の強化を図るため、青少年健全育成条例の改正議案を今次定例会に提出しております。
今回の改正は、淫行やわいせつ行為を勧誘又は強要する行為や、性的な画像の提供を要求する行為を規制するとともに、原則、設定が義務付けられているフィルタリング機能を利用しない場合の保護者が行う手続きなどの規定を新設するものでございます。こうした規制等により、青少年の性被害の未然防止対策の強化及び青少年のインターネット利用環境の整備を図ってまいります。
また、7月から8月初旬にかけて多発した交通死亡事故への対応につきましては、お盆期間中のイベント等を通じた広報啓発や、交通事故に直結する悪質・危険な交通違反の取締りなどの緊急対策を実施したところでございます。
引き続き、関係機関・団体と連携の上、特に、秋口以降に増加傾向にある薄暮時間帯等における交通事故の抑止に向け、交通安全対策を一層推進してまいります。
加えて、令和5年下半期以降、SNSを通じ、金銭等をだまし取るSNS型投資詐欺等の被害が急増し、本年8月末現在での被害額は、すでに昨年1年間を大きく上回る約27億円となっており、危機的状況にあります。
被害防止のためには、県民の皆様への幅広い周知が必要であることから、金融機関等事業者、関係機関と連携を図り、広報啓発活動に取り組んでまいります。
次に、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」についてでございます。
持続可能な中山間地域の実現につきましては、中山間地域の集落が今後直面することが見込まれる地域の変化に鑑み、集落対策を更に推し進めていく必要があることから、「第2期中山間地域振興計画」を補完する計画の来月の策定に向けて、現在、計画素案に係るパブリックコメントを実施しているところでございます。
今後、本計画を基に、あらゆる主体が一体となって、効果的な集落対策を進め、安心して暮らすことができる中山間地域を目指してまいります。
次に、魅力ある都心空間の創出についてでございます。
広島市都心につきましては、ひろしまスタジアムパークが、先月、全面開業したほか、広島城三の丸でも、商業施設や多目的広場の整備が進められるなど、新たな賑わい拠点の整備が着実に進んでいるところでございます。
また、福山駅周辺地区につきましては、三之丸町の商業施設「NEW CASPA」が今月1日にグランドオープンし、駅前の新たな拠点として周辺の事業者と連携した賑わいの創出を図るなど、福山駅周辺の再生に向けた取組が進められております。
引き続き、広島市や福山市等と連携して、広島市都心の活性化や福山駅周辺地区の拠点性の向上に向けて取り組んでまいります。
次に、「当面する県政の諸課題への対応」について、御報告いたします。
ローカル鉄道についてでございます。
本年3月に議論が始まった、「芸備線再構築協議会」につきましては、7月に第2回の幹事会が開催され、今後、再構築協議会が主体となって、沿線地域のまちづくりや観光振興の観点を含めた調査事業を行うことが示されたところであり、地域における芸備線の役割の再確認や、今後の効果的な実証事業の実施につなげてまいります。
こうした調査事業の実施にあたる構成員間の負担割合について、国土交通省から考え方が示されたところであり、今次定例会において、必要な経費を9月補正予算に計上しております。
引き続き、国に対しては、国鉄改革の経緯や現在のJRの経営状況を踏まえ、JRの内部補助によりどこまでローカル線を維持していくのか、また、将来の国土のあり方を見据えて、鉄道ネットワーク全体はどうあるべきかなど、「全国的な鉄道ネットワークのあり方」について、整理を求めてまいります。
次に、三原市の産業廃棄物最終処分場についてでございます。
7月に県が実施した、浸透水の行政検査におきまして、法の基準を超えた鉛が検出されたことから、事業者に対して産業廃棄物の搬入を停止して、改善措置を講じるよう勧告を実施し、原因を分析した上で対応策を講じさせ、今月4日に改善されたことを確認したところでございます。
処分場下流の水路で鉛は検出されなかったことから、生活環境への影響はないと考えておりますが、地域住民の皆様の御懸念を重く受け止め、引き続き、廃棄物処理法に基づき、監視指導を徹底してまいります。
次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。
まず、一般会計補正予算案につきましては、能登半島地震で顕在化した課題などを踏まえた地震防災対策の強化や、AIを活用した新しいソリューション開発の支援といった「安心▷誇り▷挑戦 ひろしまビジョン」に掲げる、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に向けた取組に係る経費などを計上しております。
この結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、78億1,349万円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆1,035億2,711万円となります。
次に、予算以外の議案といたしまして、「広島県手数料条例等の一部を改正する条例」などの条例案4件、人事案件といたしまして、「広島県教育委員会委員の任命の同意について」など2件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など7件を提出しております。
また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。