12月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、本年度主要施策の取組状況及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
はじめに、本年11月に発生した豪雨災害についてでございます。
この度の豪雨は、11月における1日当たりの降水量としては、県内各地で観測史上最高を記録し、1名が行方不明となられているほか、住家や公共土木施設などに被害をもたらしました。
被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
県民の皆様には、出水期に限らず、いつ起きるか分からない災害への備えとして、再度、避難場所や避難経路を御確認いただき、避難情報が発令された際には、速やかに避難行動をとっていただくようお願い申し上げます。
続いて、本県を取り巻く情勢についてでございます。
本県経済につきましては、AIなど半導体需要の押し上げや、引き続きインバウンド需要が好調であることなどから、緩やかな回復基調にございます。
また、消費者物価が長期にわたり上昇を続け、消費マインドに影響を与えている中、10月1日に最低賃金が50円引き上げられ、1,020円となったことなどから、物価高に負けない賃上げの定着に期待しているところでございます。
一方で、米国の政権交代後の関税引き上げの懸念や、中国の内需の停滞などによる県経済への影響が不透明であることから、引き続き本県を取り巻く情勢について、注視する必要があると考えております。
続きまして、本年度主要施策の取組状況について御報告いたします。
国の新たな「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を踏まえ、本県におきましても、物価高への対応や国土強靱化を図るため、必要な経費を12月補正予算に計上しております。
具体的には、物価高による影響の緩和といたしまして、LPガス料金や特別高圧電気料金の高騰に対する支援や、配合飼料価格高騰の影響を受けている畜産経営体への支援などを実施してまいります。
また、将来を見据えた構造的な課題に取り組む事業者などへの支援といたしまして、県内製造者等が取り組む応用・実用化開発への支援や、県内中小企業における再生可能エネルギー設備の導入支援などに取り組むこととしております。
加えて、公共事業につきましては、資材価格の高騰などに適切に対応しながら、早期の事業効果の発現を図るため、国の総合経済対策を活用し、防災・減災対策等に係る社会資本整備を推進してまいります。
次に、「人口減少・人手不足への対応」についてでございます。
本県におきましては、今後予測される人口減少は避けられないとの認識の下、「県民の希望出生率の実現」と「社会動態の均衡」による人口減少の抑制を目指し、取組を進めております。
まず、「県民の希望出生率」の実現に向けましては、男女が共に家事・育児に主体的に参画する「共育て」の定着を図るため、男性の家事・育児への参画を促進する戦略的なプロモーションの取組を進めてまいります。
また、若い世代に、子供を持つことに対してポジティブなイメージを持っていただけるよう、高校生や大学生を対象に乳幼児と直接触れ合う体験会を10月から実施しており、参加した学生においては、「子育てしたいという気持ちが強くなった」など、意識に変化がみられております。
さらに、子育て当事者などと直接意見交換を行った車座会議におきましては、「支援制度や支援団体が知られていない」、「子育てに対するネガティブなイメージを払拭したほうが良い」などの意見があったことから、子育て支援情報の総合的な周知や子育てに対するポジティブなイメージの更なる浸透を図りたいと考えており、次期「子供の未来応援プラン」にも反映させてまいります。
次に、「社会動態の均衡」に向けましては、若年層の進学時や就職時を中心とした転出要因等について調査・分析を行い、就職先を重視する若者の多くが大企業や成長を感じられる企業を求めて大都市へ流出している実態や、居住地を重視する若者の多くが広島県を選んでいる一方で、一部では、漠然とした憧れから、大都市へ流出している実態などについて、そのボリュームとともに把握いたしました。
今回の調査・分析結果を踏まえ、県内市町や経済界などとも連携し、オール広島で、若者が広島に対して抱くポジティブなイメージを高めるとともに、若者にとって働きやすく、充実した生活が送れる環境づくりに取り組んでまいります。
こうした様々な取組を総合的に推進し、県民の皆様の子育てに係る希望の実現や、若者のチャレンジを全力で応援する広島県づくりを進めていくことで、広島県に多くの人々を惹きつけ、人口の好循環を作り出してまいります。
また、人手不足対策につきましても、建設業界、運輸業界、介護業界など、様々な業界団体や企業へのヒアリング訪問を実施し、各業界の人手不足の実情や支援ニーズの把握を行いました。
この結果を踏まえ、人手不足の問題を引き起こす業界特有の構造の変化を促すとともに、生産性や労働供給を向上させる取組を業界横断的に実施するなど、各業界が直面している人手不足の問題に対応してまいります。
次に、「AIで未来を切り開くひろしま」の実現についてでございます。
県内産業や地域の諸課題解決に向け、チャレンジできる環境を提供する「ひろしまAIサンドボックス」におきましては、県内企業に本事業への参画を促すための説明会などの準備を進めております。
今後、数多くの企業に参画いただき、AIを活用した新たなソリューション開発を支援することにより、AIを活用して新ビジネスに挑戦しようとする企業・人材の集積を目指してまいります。
また、産学官が連携して高校生と共にAIを理解し、活用する力を身に付ける「ひろしまAI部」におきましては、AI基礎の学習を修了した高校生達が、AIを使った社会や企業の課題解決をテーマにアイデアを競う成果発表会に向け、企業訪問などを通じて、実際の活用事例を学ぶとともに、実社会でのAIの活用可能性を探求しており、こうした取組を通じて、AI分野で将来活躍する人材を輩出することを目指してまいります。
さらに、AIのポテンシャルを十二分に引き出し、地域課題の解決と付加価値の創出を図るため、9月に県庁内に配置した「広島AIラボ」につきましては、庁内の文化や風土を変え、新しい価値を生み出すような活用アイデアの創出に向けて、企業や大学、研究室へのAI技術の最新動向調査や、県内市町や企業との意見交換を通じた地域課題調査などを実施しており、今後、外部人材も活用しながら、取組を加速させてまいります。
引き続き、「HIROSHIMA AI TRIAL 失敗を生かそう」のスローガンの下、こうした取組に挑戦し続けることで、広島に、新たなビジネスや社会課題の解決に挑戦する人材、企業が集積するとともに、将来を担う人材が育成されることで、本県の生産性の向上や、新たな付加価値の創出につなげてまいります。
広島県が目指す「元気・おいしい・暮らしやすい」のブランドイメージにおいて重要な要素の一つである「おいしい」に関わる、広島の食のブランド力強化につきましては、10月に実施した、「おいしい!ひろしまプロジェクト決起会」を契機に、現在、地域の食の魅力を高め合う「FooDrinpic HIROSHIMA」を始め、食に関わる料理人や生産者、市町などと共に、様々な企画やPRなどを集中的に展開し、県内での盛り上がりを創出しております。
これらの機運の高まりに加え、来年5月に開催される世界バラ会議福山大会などの広島に注目が集まる機会や、大阪・関西万博などを最大限に活用し、主に首都圏の食に対する興味関心が高い層をターゲットに、本県の食の魅力を発信するなど、「広島」と「おいしい」を結びつけるプロモーションを展開することとし、これに伴い必要となる債務負担行為を12月補正予算に計上しております。
こうした取組により、県内外から「広島は美味しさの宝庫である」というブランドイメージを更に高め、「ひろしまブランド」の価値を向上させる好循環を創出してまいります。
次に、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」についてでございます。
はじめに、地域医療構想の実現に向けた取組についてでございます。
まず、高度医療・人材育成拠点の整備に向けた取組といたしましては、「高度医療・人材育成拠点基本計画」に基づき、新病院の基本設計などを進めるとともに、新病院の運営主体である地方独立行政法人の、令和7年4月1日の設立に向けて、法人が達成すべき中期目標や、法人に県立病院の職員を引き継ぐ条例などの議案を今次定例会に提出しております。
あわせて、県立広島病院跡地の活用につきましては、 昨年9月に整理した利活用の方向性の実現に向け、様々な事例の調査や関係者へのヒアリングなどを進めており、引き続き、県民の皆様や医師会等関係者の御意見を伺いながら、地域に必要な医療機能などの検討を進めてまいります。
また、県内の医療提供体制の確保に向けましては、地域の実情に応じて必要な医師を、公立・公的医療機関に限らず必要な医療機関に柔軟に配置できるよう、広島県医師育成奨学金について、医師として従事することができる医療機関を見直す条例改正案を今次定例会に提出しております。
これらの取組を通じて、全国トップレベルの医療の提供や、中山間地域を始めとする県内全域の医療提供体制の確保を目指してまいります。
次に、地震・防災対策についてでございます。
南海トラフ巨大地震を始めとする大規模災害により、孤立集落が発生した場合などに備えて、10月に、過去の災害での孤立経験がある竹原市下野町において、住民の皆様や竹原市などと連携して、スターリンク及びドローンを活用した通信・物資輸送の強化に係る実証実験を実施し、運用時の手順などを確認したところであり、この結果も踏まえ、今後、訓練を繰り返し実施してまいります。
また、激甚化・頻発化する水災害への対策といたしましては、あらゆる関係者が協働して流域治水に取り組んでおり、今月2日に、住民や企業の方々を対象に、まずは流域治水を知っていただくことを目的としたシンポジウムを開催いたしました。
こうしたシンポジウムの開催などを通じて、県民の皆様の流域治水の意識醸成を図るなど、国、市町、関係者と連携して、防災・減災対策の充実・強化に取り組んでまいります。
次に、県経済の持続的な発展に向けた産業イノベーションについてでございます。
「ひろしまユニコーン10」プロジェクトにつきましては、スタートアップ企業等に対して、ベンチャーキャピタルからの資金調達や事業会社との協業・連携へ向けた伴走支援のほか、海外進出先での事業展開に必要となる人的ネットワークの構築を後押ししております。
こうした取組の結果、公表ベースでは13社が累計で約25億円の資金調達に成功したほか、上場企業との業務提携を実現した企業もあり、着実に成果が出始めていると考えております。
さらに、先月、民間事業者が主導して開催した、県内事業者と国内外のスタートアップ企業をマッチングする大規模カンファレンス「TSUNAGU広島2024」への参画や、スタートアップ企業を対象とする首都圏イベントへのブース出展など、より多くの企業や人材の集積を図るため、イノベーションエコシステムの形成に向けた取組を進めております。
カーボンリサイクルにつきましては、先月から、国において、令和4年度に開設された大崎上島の実証研究拠点を活用し、技術を支える人材の育成と産学官の連携促進を目的とした人材育成講座がスタートいたしました。
本県におきましては、これまで、県独自の支援制度を創設し、研究や事業化活動への支援を行っており、こうした国の取組との連携を通じて実証研究拠点の更なる魅力向上を図るなど、カーボンリサイクルに関連する企業・人材が集まる環境整備を進めてまいります。
次に、人的資本経営の促進につきましては、令和4年度から取り組んできた本県の施策が、日本経済新聞社主催の「日経リスキリングアワード2024」において、全国の自治体の中でも先進的かつ県内一体的に取り組まれている事例として、公共団体部門で最優秀賞を受賞するなど、評価していただいております。
また、県内中小企業の人的資本情報の開示を行いやすくするため、人的資本経営・開示に関心を持つ中小企業が集まる研究会において、情報開示に有効な指標を体系化した「広島県人的資本開示ツール」の提供を、先月15日から開始いたしました。
このツールは、専門的な知識などがなくても作業を進められるよう、作業手順を示したガイドラインや指標を自動算出できる機能等を有しており、人的資本開示レポートの作成に係る負担を極力軽減したものとなっております。
引き続き、リスキリングの推進や人的資本情報の開示などにより、県内企業の人的資本経営の実践に向けた取組を一層後押ししてまいります。
次に、交流・連携基盤の強化についてでございます。
広島港海田地区において、公共ふ頭を拡張し、国際フィーダー機能の強化を図るため、マツダ株式会社が所有するKDセンターの土地及び建物の取得契約に関する議案を今次定例会に提出しております。
これにより、北米・欧州航路がある阪神港へ貨物を陸送している県内企業が海上輸送を選択することが可能となります。
今後、県内企業の物流効率化に向けて、効果的なポートセールスを実施し、海田地区の利用促進を図るとともに、トラックなどの陸上輸送から海上輸送などへ転換するモーダルシフトによる環境負荷の低減や、物流2024年問題の影響の緩和にもつなげてまいります。
次に、観光振興についてでございます。
観光産業におきましては、コロナ禍からの回復傾向が続いており、推計ではございますが、令和6年の本県の総観光客数は9月までで、コロナ前の令和元年と比較すると96%、前年比では110%となっております。
また、外国人宿泊者数は9月までで、コロナ前の令和元年と比較すると143%、前年比では141%となっております。
来年に開催される大阪・関西万博や世界バラ会議福山大会も見据えながら、国内外からの更なる誘客促進を図ってまいりたいと考えております。
また、滞在時間の延長や宿泊の増加につながる旅行者の満足度の向上、今後も増加が見込まれる旅行者の受入環境の充実などに向け、これまで以上に大幅にスケールアップした規模で観光施策を進めるため、宿泊税の導入に向けて検討を行ってまいりましたが、これまで市町、宿泊事業者を始めとした関係者から頂いた御意見などを反映し、令和8年4月からの開始を目指しまして、宿泊税導入に関連する条例案を提出しております。
次に、生産性の高い持続可能な農林水産業の確立についてでございます。
スマート農業の推進につきましては、9つのテーマで実証や普及に取り組んでいる中で、現在、3つのテーマにおいて試作機の実演や開発したアプリケーションの体験など、普及に向けたセミナーを行い、技術的な課題などについて御意見を頂いており、引き続き、中山間地域に適したスマート農業技術の確立に取り組んでまいります。
野生鳥獣による農作物被害対策につきましては、今年度から、プロフェッショナル組織「tegos」が活動を開始しており、侵入防止柵の設置・修繕や追い払いなどについて指導した結果、鳥獣被害がなくなったという声が多数寄せられております。
今後は活動成果を市町等の関係者と共有するとともに、参画する市町の拡大に向けて取り組み、農作物の被害低減を図ってまいります。
高病原性鳥インフルエンザ対策につきましては、昨年度、開放鶏舎での発生があったことや、国が実施したウイルス分析から、農場周辺地域の野鳥での感染も確認されたことも踏まえ、野生動物の侵入対策などの衛生対策を強化しております。
また、外国人も含めた従業員を対象とした7か国語での基本行動研修会を、10月に4回開催するなど、引き続き、関係者一体となって高い水準での発生予防意識の維持に万全を期してまいります。
超過堆積している、かき殻につきましては、現在行っている、海砂採取跡地の漁場環境改善、かき養殖場の底質改善、増殖場造成への活用について現地調査を進めております。
今後は、調査結果を基に、活用の方向性を明らかにし、漁業者自らが実施可能な、かき殻を活用した漁場環境改善ガイドラインの策定などにつなげ、適切な対策を講じてまいります。
次に、平和の取組についてでございます。
まずは、日本原水爆被害者団体協議会が今年のノーベル平和賞を受賞されたことに対し、改めてお祝いを申し上げますとともに、長年にわたり被爆の実相を発信し、核兵器廃絶を訴え続けてこられた被爆者の皆さまの努力と貢献に敬意を表します。
核兵器を取り巻く国際情勢が厳しさを増す中、この度の受賞は大変意義深く、世界中の人々が改めて核兵器廃絶に取り組む強い決意を持って行動していくことを期待しております。
本県といたしましても、来年は、被爆・終戦から80年を迎え、被爆地広島への注目が高まることから、核兵器廃絶と恒久平和の実現に向けた本県の取組を、更に強化していく必要があると考えております。
先般、米国・ニューヨークで開催されました「国連未来サミット」に合わせ、へいわ創造機構ひろしまのプリンシパル・ディレクターを現地に派遣し、サイドイベントへの登壇や、国連や各国政府関係者などとの面会を通じて、持続可能性の観点から核兵器廃絶を呼びかけるアプローチについて提案し、本県の取組への賛同を得ることができました。
今後とも、核兵器のない平和な世界の実現に向けた賛同者の拡大や国際的な合意形成を目指し、「核軍縮と持続可能性に関するフレンズ会合」の立ち上げなどに向けて、各国政府関係者への働きかけを強めるとともに、広島の経験や被爆者の思いを次世代につなぐ若者の人材育成にも、一層取り組んでまいります。
次に、海外との交流についてでございます。
まず、本年10月下旬に県議会団や広島グアナファト親善協会などの皆様と共に、グアナファト州との友好提携締結10周年の機会を捉え、メキシコを訪問し、グアナファト州知事との会談におきましては、更なる交流の促進や、現地の日本人が安心して暮らせるような治安維持対策の継続実施などについて合意いたしました。
また、中南米最大級のセルバンティーノ国際芸術祭では、本県からの神楽団が、会場からあふれた観客を含め5,000人を超える皆様からスタンディングオベーションをいただき、大変な好評を得たところでございます。
さらに、先月中旬、友好提携締結40周年を迎える中国四川省を、県議会団や広島県日中親善協会などの皆様と共に訪問し、県産酒類の販売促進に向け、商談会でPRを行ったほか、省長との会談におきましては、今後の更なる交流促進について合意したところでございます。
この度、県議会団を派遣いただき、県を挙げて交流促進に向けた姿勢を示すことができましたことは、大変意義深いことであり、今後とも、県議会の皆様と一層の連携を図りながら、本県と友好提携先双方の発展につながる、幅広い分野の交流を推進してまいりたいと考えております。
次に、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」についてでございます。
持続可能な中山間地域の実現につきましては、中山間地域の集落が今後直面することが見込まれる地域の変化に鑑み、10月に、「第2期広島県中山間地域振興計画」を補完する計画として、今後の集落対策の推進計画を策定したところでございます。
この計画に基づき、市町との密接な連携の下、地区・集落の将来見通しを踏まえた、住民の皆様の話合いに基づく対応への合意形成のサポートなど、あらゆる主体が一体となった効果的な集落対策の推進に、スピード感を持って取り組んでまいります。
次に、魅力ある都心空間の創出についてでございます。
広島市都心につきましては、9月末に基町相生通地区第一種市街地再開発事業の起工式が開催され、令和9年度の高層棟竣工に向けて、建築工事に着手するなど、都心の拠点性向上の取組が進められております。
また、福山駅周辺地区につきましては、福山駅前広場の交通結節機能と都市の広場機能が融合した、居心地が良く歩きたくなる空間への転換に向けて、民間事業者と連携した広場運営や、交通施設の再配置を想定した実証実験が10月に実施されるなど、福山駅周辺の再生に向けた取組が進められております。
引き続き、広島市や福山市などと連携して、広島市都心の活性化や福山駅周辺地区の拠点性の向上に向けて取り組んでまいります。
次に、「当面する県政の諸課題への対応」について、御報告いたします。
まず、ローカル鉄道についてでございます。
「芸備線再構築協議会」につきましては、10月に第2回の協議会が開催され、新たに安芸高田市が構成員となり、全線にわたる広域的な議論ができる環境が整ったところでございます。
また、これまで幹事会で積み重ねてきた議論をもとに、調査事業やその後の実証事業が進められていくことが承認され、本県からは、今後の議論や取組に当たって、構成員のほか、住民の皆様の理解と納得を得ながら進めていくことが重要であり、こうした点に配慮しながら進める必要があることなどの意見を申し入れたところでございます。
さらに、国に対しては、再構築協議会の議論を進める上での大前提である「全国的な鉄道ネットワークのあり方の整理」について、内部補助の考え方を含め、早期に示していただくことを改めて求めたところであり、引き続き、全国知事会や国への施策提案など、あらゆる場面を通じて、国に訴えてまいります。
次に、三原市の産業廃棄物最終処分場についてでございます。
先月、県の行政検査において、最終処分場からの浸透水の水質が、廃棄物処理法の基準を超過したことから、事業者に対して産業廃棄物の搬入を停止し、改善措置を講じるよう警告しており、現在、事業者において、原因の究明と対策を進めております。
今後とも、地域住民の皆様の御懸念を重く受け止め、廃棄物処理法に基づき、改善措置の徹底を図るとともに、三原市とも連携し、処分場下流水路の調査を継続するなど、不安の軽減や解消に努めてまいります。
次に、瀬野川水系からPFOSなどが検出された件についてでございます。
昨年12月のPFOS等の検出以降、様々な機会を捉えて防衛大臣などに使用実態や水質調査の実施などについて、東広島市長と共に要望してまいりました。
9月には、川上弾薬庫内におけるPFOSを含む泡消火剤の使用履歴などについて回答があり、これを受け、先月28日の施策提案において、防衛大臣に米軍による敷地内の環境調査の実施について求めたところでございます。
また、施策提案に併せ、在日米国大使館に対しても同様の要請を行ったところであり、今後も県民の皆様の安心・安全のため、市と連携して取り組んでまいります。
次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。
まず、一般会計補正予算案につきましては、9月補正予算編成後の状況変化などを踏まえ、必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として、編成しております。
具体的な補正の内容でございますが、物価高への対応や、「安心▷誇り▷挑戦 ひろしまビジョン」に掲げる、それぞれの欲張りなライフスタイルの実現に向けた取組などに、時機を逃さず対応するための経費について、予算を計上しております。
また、職員の給与について、去る10 月18日に行われました、人事委員会の勧告などの趣旨を尊重し、給料月額や期末・勤勉手当などを引き上げる措置を講ずることとしております。
これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、290億4,115万円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆1,344億4,872万円となります。
次に、予算以外の議案といたしましては、「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」などの条例案12件、人事案件として、「広島県公害審査会委員の任命の同意について」など2件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など22件を提出しております。
また、報告事項として、専決処分報告を提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。