2月定例県議会の開会に当たり,県政運営の基本的な考え方や来年度における施策の概要等を申し上げた上で,ただ今提出いたしました平成26年度当初予算案をはじめとする諸議案等の概要を御説明いたします。
まず,経済・雇用の情勢についてでございます。
国内の景気は,生産が増加し,企業収益も改善していることから,緩やかに回復しており,先行きについても,輸出が持ち直しに向かい,各種政策の効果が下支えする中で,家計所得や投資が増加するなど,景気の回復基調が続くことが期待されております。
一方,県内の景気についても,輸出が自動車を中心に増加し,生産が緩やかに増加するなど,企業の業況感や収益も,中小企業を含め改善の動きが広がっており,緩やかに回復しております。
また,雇用・労働情勢につきましては,一部に厳しさが残るものの,12月の有効求人倍率が1.11倍となるなど,緩やかに改善しております。
しかしながら,業種や企業規模によるバラツキが引き続きみられ,原材料費などの高止まりのほか,4月からの消費税率の引き上げなど,中小企業等の事業活動を取り巻く環境につきましては,先行きが不透明な部分もあり,県内企業への影響などについて,今後も引き続き注視して参ります。
次に,平成26年度施策の基本方向について申し上げます。
これまでの4年間,「ひろしま未来チャレンジビジョン」に基づき,イノベーションを通じて強い経済をつくり,魅力ある雇用環境を創出するため,新たな施策や先駆的な事業などに取り組んで参りました。
平成26年度は,チャレンジビジョンの中盤を迎える重要な時期であり,これまでの取組を更に推し進め,成長への好循環に道筋をつけていくため,「イノベーションが生まれる最適環境」を創り,本県経済の持続的発展につなげること,また,「広島の強みや基盤」を活かして,魅力ある豊かな広島県を実現すること,この二つを政策の基本方向として,重点的に施策を推進していきたいと考えております。
まず,「イノベーションが生まれる最適環境」を創るため,大学や企業,金融機関,行政などが,相互につながり,持続的にイノベーションを生み出す事業環境を構築する取組を進めるほか,イノベーションの担い手でもある人材の集積の幅を広げ,厚みを増すよう,多様な人材を集め,育てる取組を進めるとともに,将来,イノベーションを生み出していく人材を継続的に輩出するため,学校教育の更なる充実に取り組んで参ります。
さらに,こうした多様な人材の広島への定着を促し,集積を後押しするため,ファミリー層をターゲットに,子育て支援や,都市と自然が織りなす豊かな暮らしを実現できる「ファミリー・フレンドリー」な環境を創って参ります。
また,広島の強みや基盤を活かすことにより,住んでいる人にとっても,訪れる人にとっても魅力ある豊かな広島県を実現していくことが必要であります。
このような観点から,瀬戸内海や平和など,国内外から多くの人を惹きつける魅力的な地域資源を,本県ならではのブランドとして活用することによって,広島のプレゼンスを高め,内外から人や投資が集まる環境を創るとともに,中山間地域の地域力強化や,信頼される県内医療体制の構築など,生活基盤を強化するための取組を推進して参ります。
次に,ただ今申し上げました施策の基本方向を基にして構築いたしました重点施策等の概要につきまして御説明いたします。
【イノベーションが生まれる最適環境】
まず一点目は,これまでの取組により,様々な場面で生まれつつあるイノベーションを,より幅広い分野に拡大していくため,「イノベーションが生まれる最適環境」を創る取組について,御説明いたします。
(事業環境)
まずは,企業活動を行う上での土壌となる「事業環境」を整備する取組についてでございます。
活力ある経済を実現するためには,雇用増加やイノベーションの担い手となる多様な創業や新事業展開が必要となります。創業し易い環境を創出するため,「ひろしま創業サポートセンター」による創業セミナーの開催や,中小企業診断士などの専門家による創業プラン策定等の支援を実施するとともに,円滑な資金調達等に向けた支援として,企業の技術力や経営力を評価した「評価書」を発行するなどの取組を,引き続き進めて参ります。
さらに,広島市と共同で昨年7月に設置した「ひろしまIT融合フォーラム」を運営し,引き続き,ITを活用した新たなビジネスの創出等を促進して参ります。
また,こうした取組に加え,創業や新事業展開し易い環境を更に整備するためには,新事業に意欲的にチャレンジする意識を更に高めるとともに,多様な人材の知恵を集め,分野を越えて連携協力するネットワークを形成することが必要であると考えております。
そのため,来年度は,「イノベーション・マインドの醸成」や「多様な人材が集まる場づくり」などの取組を進めるとともに,リーダー人材の育成や,産業界と大学が長期的な方向性を共有した上で,地域に資金と成果等が循環する環境の構築に向けた検討を始めるなど,イノベーションの創出に必要な環境の「基盤づくり」に重点的に取り組んで参ります。
こうした環境の整備には,長い時間を要し,すぐに結果が出にくいものと考えておりますが,長期的な視点に立ち,一歩一歩着実に取り組んで参ります。
次に,「産業競争力の強化」についてでございます。
産業クラスター形成に向けた取組のうち,「医療関連産業」分野につきましては,「ひろしま医療関連産業研究会」の活動を通じて,会員企業による先進的な治療用機器,リハビリや各種トレーニング用器具などの製品開発や,ITを活用した新たな医療関連ビジネスのプロジェクトが多数進行しており,引き続き,「アクションプラン」に基づき,ニーズ発掘,研究開発,販路開拓などの総合的な支援を講じるとともに,ひろしま発のビジネスを創出し,県内医療関連産業の振興と集積を図って参ります。
また,「環境浄化分野」につきましては,「ひろしま環境ビジネス推進協議会」を通じて,ベトナムやシンガポールにおける商談会や展示会の実施など,具体的な販路開拓の取組を進めながら,様々な課題も洗い出し,地域の実情に応じた事業展開を図って参ります。
また,激変する事業環境下においても,自動車や造船,電気,一般機械などの県内ものづくり企業が持続的に競争優位性を確保するため,県内企業が行う研究開発の支援などを通じて,新技術の芽出しの活動から実用化に向けた一連の研究活動を,開発段階に応じてきめ細かく支援して参ります。
次に,「世界と直結するビジネス支援」につきましては,県内経済の持続的な発展を図るため,成長する新興国の市場を取り込み,海外での売り上げを伸ばすことや,意欲や技術力を有する県内企業が,海外拠点の設置等により競争力を強化することを支援して参りたいと考えております。
具体的には,香港,マレーシア,中国四川省での物産展や商談会への出展等を通じて,県産品の販路拡大の加速化を図るとともに,JETRO等の支援機関と連携した現地調査や商談の実施などにより,海外進出や海外での業務提携を促進するなど,中長期的な視点から県内企業の海外市場の獲得を支援して参ります。
また,海外ビジネスを支える交通・物流ネットワークの確立に向けた取組といたしましては,今年5月に予定される春秋航空日本株式会社による成田線への新規就航を機に,当該路線の認知度向上及び路線定着を図るほか,県内の港湾におけるコンテナ取扱貨物量の増加を図るため,引き続き,荷主企業に対する助成制度を実施するとともに,国際コンテナ航路開設当初の船会社の負担を軽減する支援制度の拡充を図ることにより,アジア地域とのコンテナ航路ネットワークの拡充に取り組んで参ります。
(人材)
次に,イノベーションが生まれる最適環境を創るために,「事業環境」とともに重要な要素である,イノベーションの担い手となる「人材」を集め,育てる取組についてでございます。
まず,イノベーションの原動力となる高度で多様な人材の集積を図るため,人を惹きつける優れたリーダーのもと,県内外の人材が参加し,自らのアイデアを実現できるプロジェクトを実施するとともに,これらの参加者が県内で活躍できる仕組みの構築にも取り組んで参ります。
また,高度で多彩な産業人材の育成につきましては,派遣効果の高い長期研修の補助率を引き上げるなど,支援内容の見直しを行うほか,企業の海外展開に必要なキーパーソンの確保につきましても,これまでの取組に加え,グローバル人材の積極的活用に向けた機運醸成を図るためのセミナーを開催するなど,取組を一層加速して参ります。
留学生の受入・定着につきましては,広島県留学生活躍支援センターを核として,新たに,ひろしま留学大使による広島の魅力発信や,就職コンシェルジュによる留学生の就職相談などに取り組み,県内への留学生倍増の実現に向けて,引き続き,受入から就職までを総合的に支援して参ります。
また,県内産業の次代を担う大学生等の県内企業への就職促進につきましては,県外での合同企業説明会の開催などによりU・Iターン就職を支援するとともに,ものづくりインターンシップの実施を通じて,県内外の学生に対して県内企業の魅力を発信して参ります。
(産業として自立できる農林水産業)
次に,「産業として自立できる農林水産業」についてでございます。
本県農業が,将来に渡って持続的に発展していくためには,効率的で安定的な力強い経営体が,農業生産の大半を担う農業構造への転換を図る必要があります。このため, 「2020広島県農林水産業チャレンジプラン」を策定し,地域の核となる経営力の高い担い手の育成や,加工・業務用に対応できる新たな産地形成など,本県独自の取組を進めているところでございます。
一方で,これまで50年近く続いた米の生産調整の見直しや日本型直接支払制度が創設されるなど,国の農業政策が,大きな転換期を迎えていることから,本県農業にとって,これからの数年間は,特に重要な意味を持つ時期であると認識しており,農業の構造改革を更に強力に進めていくため,これまでの成果や課題をしっかりと検証し,「チャレンジプラン」の見直しを行うこととしております。
こうした農政の転換期にあたり,来年度におきましては,農地の有効利用や農業経営の効率化を進めるため,新たに設置する農地中間管理機構を活用した担い手への農地集積や,キャベツ・アスパラガスといった収益性の高い園芸作物の導入による複合経営の推進,2次・3次事業者とも連携した農林水産物のブランド化・高付加価値化による販売力の強化などを,積極的に取り組んで参ります。
また,県内の木材生産量は,平成21年度の7万立方メートルから,昨年度は20万立方メートルへと順調に拡大しておりますが,チャレンジプランにおいて目標とする40万立方メートルを達成するためには,県産材の需要拡大を更に進めていくことが必要となって参ります。
このため,地域単位での効率的な木材生産や,製材工場などのニーズに応じた流通システムの構築,木材の特性を活かす設計技術者の育成などを進め,県内の林業・木材産業の活性化を図って参ります。
また,水産業につきましては,新規就業者の確保及び定着,並びに次世代を担う経営力の高い担い手の育成が課題となっているため,就業相談から研修・就業・自立に至るまでの一貫した人材育成を進めると同時に,漁業者自らによる直接販売や加工品の開発など,経営力向上の取組支援を進めて参ります。
併せて,水産資源の維持増大も課題であり,藻場・干潟の造成や,特徴ある魚種のブランド化を見据えた効果的な栽培漁業のあり方についての協議を関係者と進めるとともに,海砂利採取後の海域における環境調査を平成26年度からの3年間で実施し,漁場環境の回復に向けた計画的な取組を進めて参ります。
(社会で活躍する人材を育てる学校教育)
次に,「社会で活躍する人材を育てる学校教育」についてでございます。
まず,学力向上の取組といたしましては,全国でも高いレベルにある小学校段階の学力を,中学校で更に伸ばしていくため,小学校と中学校が連携して,小中9年間を見通したカリキュラムの作成などに取り組むとともに,中学校同士が連携し,授業研究などに継続して取り組んで参ります。高等学校におきましては,県立高等学校全体の更なる学力向上を図るため,外部講師を活用した教員の指導力向上対策や,合同学習会の実施などの取組を,引き続き実施して参ります。
また,グローバル社会に対応できる人材の育成に向けた取組といたしまして,来年度は,グローバル教育を先導的に実践する学校の具体化や,新たな教育内容の方向性など,今後10年間の展開構想を取りまとめるとともに,グローバルリーダーの育成に向けて,新たに小・中・高の系統的な教育プログラムを開発いたします。また,安全で質の高い短期留学プログラムを開発し,高校生の留学経験者数の大幅な拡大を図って参ります。
さらに,大学段階におきましては,県内大学が連携し,グローバル人材など社会が求める高度人材を継続的に輩出するための教育内容などについて検討して参ります。
このほか,今年度中に策定する「今後の県立高等学校の在り方に係る基本計画」を着実に推進し,地域の特性や社会のニーズに対応した魅力ある高等学校を整備するため,1学年1学級規模の高等学校において,地域とともに活性化策を実施していくほか,フレキシブルスクールの設置の検討などを行って参ります。
また,幼少期から社会人を含む本県における今後の教育施策全体の企画検討につなげていくため,専門的な知見を有する方々から意見を伺うための懇談会を開催し,幼少期から社会人までを見通した「人づくり」の進むべき方向性について議論を行って参ります。
安心して学べる教育環境の確保に向けた取組といたしましては,今年度に引き続いて,教育委員会と警察が連携しながら,問題行動が多発している学校に集中対策を実施し,学校の組織的な生徒指導体制の確立を図ることとしております。
今年度,集中的な対策を実施した学校では,暴力行為発生件数が前年度に比べ大幅に減少するなど,着実に成果が現われており,来年度におきましても,新たに16校に対し,集中対策を実施し,更に取組を推進して参ります。
(ファミリーフレンドリーな魅力創造)
次に,人材集積を後押しする環境としての魅力づくりである「ファミリーフレンドリーな魅力創造」に向けた取組についてでございます。
まず,「女性の働きやすさ日本一への挑戦」に向けては,女性が仕事と子育てを両立して,いきいきと働き続けられる環境の整備や,一旦離職しても,経験や能力を活かして正規雇用で再就職できる仕組みづくりが必要であると考えております。
このため,具体的には,来年度,新たに,先進企業の優良事例を収集し,業種や規模,各企業の個別事情に合わせて応用できるノウハウ導入手引書を作成するとともに,経済団体を中心に,行政,労働団体で構成する推進組織を設置し,県内企業全体へ女性の活躍促進の取組を展開して参りたいと考えております。
また,女性の社会参画を促し,安心して仕事と家庭の両立ができる環境を整備するためには,男性を含め,長時間労働を前提とした働き方の見直しなど,企業のより積極的な取組が必要となることから,「いきいきパパの育休奨励金」の支給等に加えまして,イクメンを応援する企業経営者による「イクメン企業同盟」の活動を推進して参ります。
さらに,仕事と子育ての両立への不安解消等を目的とした研修会等の実施,一般事業主行動計画の策定支援についても,引き続き,取り組んで参ります。
また,出産・育児等を理由に離職している女性の再就職を支援する「女性の就職総合支援事業」において,出張相談を開始し,県内全域において,潜在的に就職を希望している子育て世代の女性に対して,就職活動の後押しをしていきたいと考えております。
これらの取組とともに,子どもを保育所等に預けて安心して働けるよう,待機児童の解消も積極的に進めて参ります。
次に,地域特性を活かした広島らしい生活スタイルの確立に向けた取組についてでございます。
イノベーションの原動力となる多様な人材を惹きつけ,定着を促すためには,家族も含め,広島で暮らしてみたいと思える,魅力ある地域環境を創出することが必要と考えております。
こうした観点から,「都市と自然の近接性」という広島が持つ地域特性を活かし,充実した都市機能と海・山・川等の豊かな自然の双方の魅力を日常的に楽しむ広島ならではの生活スタイルを,大都市圏にはない地域の魅力として情報発信していくとともに,更なる魅力向上に取り組んで参ります。
また,本県への定住を促進するため,広島暮らしの魅力や支援施策等を広く発信するとともに,首都圏からの定住促進について,より効果的な手法の検討を行って参ります。
さらに,地域の賑わい創出に向けて,魅力ある景観などのデザイン性のある都市空間の形成を図るため,市町が行う魅力ある「まちなみづくり」を支援するなど,人材集積の核となる都市圏の魅力向上に取り組んで参ります。
【広島の強みや基盤を活かす】
次に,二点目といたしまして,内外から人が集まり,活力に溢れる広島県を実現するため,「広島の強みや基盤」を活かす取組についてでございます。
(広島の強みを活かす)
まず,「瀬戸内 海の道構想」の推進につきましては,7つの戦略テーマに沿った取組を着実に進めるとともに,7県で構成する「瀬戸内ブランド推進連合」のもと,広域でのプロモーションや,サイクリング・瀬戸内の食などのテーマに沿った連携事業の実施により,瀬戸内ブランドの浸透を図り,構想の具体化を推進して参ります。
とりわけ,瀬戸内海国立公園指定80周年にあわせ,広島・愛媛両県が一体となって 3月21日から開催する「瀬戸内しまのわ2014」につきましては,開幕に向け,多くの方々をおもてなしできるよう,幅広い地域での,季節に応じた200を超える様々なイベントの展開や,10月26日に開催を予定している「瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会(仮称)」などの取組を通じて,瀬戸内の魅力を国内外に発信し,誘客促進を図って参ります。
また,サイクリングの更なる魅力向上対策につきましては,国に対し,「しまなみ海道サイクリングロード」に関する要望を重ねており,今月6日には,私自ら,国土交通大臣に再度要望をしたところ,認定制度については,全国に係る制度であるため,今後,全体を見ながら検討を行うとともに,自転車料金無料化の早期実現に向けて,調整することとなりました。
今後も,引き続き,制度創設と利用環境整備に向けて取り組むほか,サイクリングの広域ネットワーク形成に向けて,「やまなみサイクリングロード(仮称)」における利用環境の向上についても検討して参ります。
また,クルージングの促進につきましては,需要の掘り起こしや環境の創出のための情報発信や体験乗船会等を行うとともに,チャーターボート事業の振興のため,事業者を支援するほか,大型客船等の誘致を促進するため,新たに「広島港客船誘致・受入委員会(仮称)」を設置し,積極的なセールス活動と併せて客船の誘致・受入体制の充実を図って参ります。
さらに,港の賑わいづくりに関連する施設整備につきましては,広島港宇品・出島地区において,プロムナード等の整備により,県民が海に憩える賑わい空間の回遊環境の向上を図り,厳島港宮島口地区においては,護岸・浮桟橋整備等を行い,施設の利便性・快適性の向上等を図って参ります。
次に,観光振興の取組につきましては,総観光客数や観光消費額の増加に向け,昨年 10月に策定した「ひろしま観光立県推進基本計画」に基づき,「魅力ある観光地づくり」,「観光情報発信の強化」,「おもてなしの充実」,「国際観光の推進」に取り組んで参ります。
具体的には,市町と一体となった観光資源の価値向上や戦略的なプロモーションによる観光客誘致の一層の推進や,事業者等が実施している優良な取組を表彰することなどを通じた「おもてなし」の向上などの取組を進めて参ります。
外国人観光客の誘致につきましては,これまでの台湾,中国,フランスに加え,近年,訪日観光客が増加しているタイを重点国に位置付け,各国の状況やニーズに応じたプロモーション活動等を進めて参ります。
次に,「国際平和拠点ひろしま構想」の推進につきましては,昨年10月に策定した「国際平和拠点ひろしま構想推進計画」に基づき,引き続き,「核兵器廃絶」と「復興・平和構築」の取組を包括的に進めて参ります。
こうした取組の一環として,来年度は,NPDI広島外相会合や,NPT運用検討会議準備委員会の場において,広島の平和の取組を発信するほか,ひろしまラウンドテーブルやひろしまレポート,復興・平和構築人材育成などの事業を実施して参ります。
また,「国際平和のための世界経済人会議」につきましては,会議開催に向けた検討や調整を行うとともに,平和構築における企業活動の重要性等について議論するミニフォーラムを開催することとしております。
また,ひろしま平和発信コンサートにつきましては,これまで実施してきた「ピース・アーチ・ひろしま」プロジェクトの検証結果を踏まえ,今後のコンサートのあり方について検討していくとともに,平和のメッセージ発信の取組を継続的なものとするため,来年度は,地元のアーティスト等によるミニコンサートを開催することとしております。
今後とも,人類史上初の被爆地である広島が,国際平和拠点として核兵器のない平和な国際社会の実現に貢献できるよう,取組を進めて参ります。
次に,本県が魅力ある地域として選ばれるようになるためには,地域資産の価値向上を図るとともに,本県の認知・評価を高めていくことが必要であると考えております。このため,中期的な視点に立って広島県のブランドを確立し,その価値を向上させていくための包括的な取組を進めていくこととし,まず,来年度は,「ひろしま」ブランドに対する共通理解の促進や参画意識の醸成を図る取組を進めて参ります。
また,こうした取組の一環として,料理関係団体などと協力し,広島に優れた料理人を育成していくための仕組みづくりなども実施して参ります。
(生活基盤を強化する)
次に,「生活基盤を強化する」取組についてでございます。
まずは,「中山間地域の地域力強化」についてでございます。
豊かで持続可能な中山間地域を実現することを目的とした中山間地域振興条例を9月定例会において御議決いただいたところでございますが,県庁内の中山間地域振興推進本部や,県と市町の協議の場である中山間地域振興協議会において,中山間地域の振興に関する総合的な計画の策定に向けた議論を進めているところです。
計画においては,豊かな自然や景観,県民にとっての「ふるさと」などの中山間地域の有する価値や,地域の継承者の減少などの中山間地域の課題等についての認識を共有しながら,豊かさを心から実感できる中山間地域の実現に必要な施策を盛り込むべく,検討を行っております。
豊かで持続可能な中山間地域の実現に向けて,地域の強みを活かしつつ,雇用機会の創出や定住に必要な環境の整備を図ることを盛り込むなど,実効性のある計画の策定に,引き続き取り組んで参ります。
また,未来創造計画の支援につきましては,これまで,庄原市や世羅町をはじめとする全域過疎9市町において,過疎地域の根本的な課題解決に向け,就業機会の創出を図り,将来的に若者が定着できるよう,産業対策を基本とした取組を支援しており,それぞれ,地域産品の開発や新規就農者の育成,地域資源を活用した観光振興などの取組が進んでいるところでございます。
来年度は,こうした取組を更に拡大し,全域過疎9市町につきましては,既存計画の変更や新たな取組への支援を行うとともに,一部が中山間地域指定された8市を対象に,産業対策を基本とした未来創造計画の策定を支援することとしております。
中山間地域においては,人口減少,高齢化の進行や生活交通の縮小など,地域によって様々な課題が存在していることから,こうした課題の解決に向けた県民の自主的な取組を促進するため,住民自治組織が主体となって行う「地域づくり計画」の策定とその実施を支援していくこととしております。
また,併せて,住民自治組織における地域づくり活動を支援するため,大学生など,外部からの視点を持って地域を支援できる人材の派遣を通じて,地域活性化の取組を促進して参ります。
次に,「少子化危機突破対策」でございます。
急速に進行する少子化の流れに歯止めをかけ,若い世代が家族を持ち,子育てに喜びを感じることができる社会の実現に向けて,県として主導性を持ち,市町とも連携しながら,「結婚・妊娠・出産への支援」の取組を強化して参りたいと考えております。
これまで,広島県方式として企業等の協働による子育て応援を進めてきたところでございますが,この取組を結婚支援にも取り入れて,社会全体で若者の婚活を応援する環境づくりに取り組んで参ります。
具体的には,「イクちゃん出会いサポートセンター(仮称)」を創設し,結婚を望む若者に対する情報提供や,結婚観の醸成を図るとともに,企業等に対しても社員の婚活を応援する機運づくりを呼びかけて参ります。
また,不妊に悩んでおられる夫婦が,医療保険が適用されない不妊治療を受けた場合の経済的負担を軽減するため,治療費助成の拡充を図って参ります。
次に,「信頼される県内医療体制の構築」に向けた取組といたしましては,今後,高齢化の一層の進展に伴って医療需要の急増が見込まれる中,県民がどこに住んでいても将来に渡って安心して暮らせる医療体制を構築していく必要があると考えております。
このため,とりわけ医療資源が集中する広島都市圏における,基幹病院等の機能連携強化等によって,医療提供体制の効率化と高度化が図られるよう,将来の医療体制のあるべき姿の実現について検討して参りたいと考えております。
次に,「がん対策日本一」に向けた取組といたしましては,第2次がん対策推進計画に基づき,予防,検診,医療,緩和ケア,情報提供及び相談支援,がん登録の6つの柱により,県民のあらゆる場面に対応する総合的ながん対策を,引き続き推進するとともに,平成27年度運営開始に向けた「高精度放射線治療センター(仮称)」の整備を着実に進めて参ります。
次に,「防災・インフラ老朽化対策」についてでございます。
建築物の耐震化の促進の一環として,耐震改修促進法の改正により,一定の民間の大規模建築物について,耐震診断及び診断結果の報告が義務づけられたことから,所有者が耐震化に取り組みやすい環境を整備するため,耐震診断の補助を行う市町を支援して参ります。
また,公共土木施設の老朽化対策につきましては,トンネル,河川堤防・護岸などの主要な施設について,施設ごとの修繕計画とこれらを統括する広島県公共土木施設維持管理計画の策定を進めており,今後は,これらの計画に基づいた適切な修繕を行いたいと考えております。同時に,ソフト対策として,県や市町の施設規模等に適合し,施設の長寿命化にも資する新技術等の活用によるコスト縮減を図るとともに,情報共有や技術力の向上・補完などに資する市町との連携・共同体制の構築を検討して参ります。
さらに,昨年の信号柱倒壊事故も踏まえ,老朽化した信号柱の倒壊事案を防止し,道路交通の安全を確保するため,緊急に建替えの必要性が認められる約280本の信号柱を更新し,県民の安全・安心を確保して参ります。
【緊急経済・雇用対策】
次に,当面する緊急経済・雇用対策についてでございます。
「雇用対策」といたしましては,緊急雇用対策基金を活用し,新たに約800人の雇用機会の創出を図るほか,民間の教育訓練機関に委託して,約3,000人規模で職業訓練を実施するなど,離職者や新規学卒者等の就業に結びつけて参ります。
次に,「地域経済活性化対策」といたしまして,企業立地促進助成に総額56億円余の助成枠を,預託融資制度では,設備資金の貸出利率を引き下げた設備資金に11億円余の融資枠を設けて企業の設備投資を促進して参ります。また,消費税率の引上げなど経営環境の変化により経営が悪化している中小企業者等に対しましては,164億円の融資枠を設けて支援を行って参ります。
次に,「地域生活基盤の整備」といたしまして,「社会資本未来プラン」で短期集中戦略に位置付けた広域的な交流・連携基盤の強化等に寄与する社会資本に加え,県民の安全・安心の確保対策として,防災・減災対策の充実・強化や,インフラ老朽化対策の推進等に貢献する社会資本の整備を推進するほか,学校や社会福祉施設の耐震化,民間の保育所や医療施設の整備等を支援して参ります。
次に,「暮らしの安心緊急確保対策」といたしまして,救急医療や医師確保など地域医療体制の確保を図るほか,経済的理由により修学が困難な高校生への修学支援などを実施して参ります。
次に,当面する県政の諸課題への対応について,御報告申し上げます。
【鞆地区道路港湾整備事業】
まず,鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。
鞆の再生・活性化に向けたまちづくりにつきましては,生活利便性の向上や安全・安心の確保などを図るために,すぐにでも取り組まなければならない鞆地区の地域振興に係る町中交通の処理方策や防災対策,まちづくり基金について,地元の御意見を踏まえながら,来年度,調査・検討に取り組んで参りたいと考えております。
一方で,県の方針につきましては,今後も引き続き,住民の皆様との様々な話合いの機会を通じ,丁寧な説明を行う中で,御理解をいただくよう,誠心誠意,努力して参ります。
【広島市東部地区連続立体交差事業】
次に,広島市東部地区連続立体交差事業につきましては,現在,見直し検討を行っているところでございますが,広島都市圏東部地域のまちづくりや地域経済の活性化を図るためにも,この事業に求められている都市内交通の円滑化や市街地の一体化などの効果を早期に発現していくことが重要であると考えております。
県といたしましては,引き続き,現在の検討状況などについて丁寧な説明をしていく中で,関係の皆様の御理解が得られるよう努力していくとともに,出来るだけ早く事業の方向性を固め,早期に事業を推進できるよう取り組んで参ります。
【広島高速道路】
次に,広島高速道路についてでございます。
広島高速道路のうち,仁保ジャンクションから観音を結ぶ3号線につきましては,この3月に全線供用されることとなりました。
この供用により,広島都市圏での交通の円滑化が図られるとともに,都市機能の向上も図られるなど,都市としての中枢拠点性が高まるものと考えております。
温品ジャンクションから広島駅北口を結ぶ5号線においても,同様な効果が期待されることから,早期整備の必要性が高まっていくものと考えており,引き続き,広島市や広島高速道路公社と連携し,関係住民の皆様に対して丁寧な説明を行うなど,円滑な事業推進に向けて取り組んで参ります。
これまで申し上げました重点施策等を実行し,目標の着実な達成に道筋をつけていくためには,今後,人や財源などの経営資源がますます制約される中で,これまで以上に,無駄の排除や効率化の追求,職員一人ひとりの企画力,実行力の向上を図る必要があります。
引き続き,3つの視座を踏まえた行財政改革に取り組み,健全な財政基盤の確立と日本一強い県庁組織を目指すとともに,県民生活に最も身近な市町や,経済活動の主体である企業等とも連携・協働しながら,共に新たな価値を創造していくための政策を大胆に推進し,より高い成果が実感できる県政運営を目指して参ります。
次に,「ひろしま未来チャレンジビジョン」の見直しについてでございます。
チャレンジビジョンにつきましては,平成22年に策定し,以来3年余り経過しておりますが,その間,東日本大震災を契機としたエネルギー政策,デフレ脱却に向けた国の経済政策,TPP交渉の進展を踏まえた国内対策など,将来を展望する上で,社会・経済の構造的な変化も出始めております。
そこで,おおむね10年を見通したチャレンジビジョンの折り返し後を見据えた見直しに来年度から着手し,これまでの成果や社会・経済情勢の変化等をしっかり踏まえ,より着実に「広島に生まれ,育ち,住み,働いて良かったと心から思える広島県の実現」を目指して参りたいと考えております。
次に,平成26年度当初予算案の概要を申し上げます。
まず,「ひろしま未来チャレンジビジョン」を推進する4つの政策分野における重点施策へ経営資源を重点的に配分することとし,111億円を計上したところでございます。
一方で,財政の健全化につきましては,計画的な職員数の見直しなどによる人件費の削減や,利用計画のない土地等の売却などによる財源対策,徹底的な事業見直しによる政策的経費の縮減などを実施したところでございます。
この結果,来年度の一般会計当初予算案の規模は,総額9,443億円となり,対前年度比222億円,2.4%の増となっております。また,来年度末の実質的な県債残高は,対前年度比で328億円縮減する見込みであり,平成22年度末残高と比べ,1,473億円縮減する見込みとなっております。
これにより,中期財政健全化計画に掲げる目標の「平成27年度末までに1,400億円縮減」を,平成26年度末に1年前倒しで達成する見込みでございます。
また,予算以外の議案といたしましては,「職員の高齢者部分休業に関する条例」など,条例案33件,その他の議案では,「財産の無償譲渡」など13件を提出しております。
どうぞ,慎重に御審議いただき,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。
知事説明要旨
ただいま追加提出いたしました議案につきまして,その概要を御説明いたします。
まず,平成25年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。
国においては,消費税率引上げによる駆け込み需要とその反動減を緩和し,景気の下振れリスクに対応するとともに,その後の経済の成長力の底上げと好循環の実現を図るため,昨年12月,「好循環実現のための経済対策」を打ち出したところです。
こうした中,本県といたしましても,国が発動した対策に呼応し,切れ目ない緊急経済・雇用対策にスピード感を持って,取り組むこととし,道路事業などを中心に,72億7,344万円の公共事業の実施に要する経費を追加計上しております。
このほか,県立学校施設の耐震化等を前倒しして実施する経費などを計上するとともに,緊急雇用対策基金や森林整備加速化・林業再生事業基金などの積立を行うこととしております。
次に緊急経済・雇用対策以外といたしましては,福祉医療関係費など,事業費の確定に伴い,減額の対応を行っております。また公共事業につきましても,国の認証などによる事業費の確定に伴う減額の整理を行うこととしております。
このほか,本年度予算のうち,やむを得ず,翌年度に繰り越して実施する事業について,繰越明許費を計上しております。
以上の結果,一般会計につきましては,14億9,837万円の増額となり,本年度予算の累計額は9,415億443万円となります。
また,特別会計補正予算案は11会計で,5億8,581万円の減額,企業会計補正予算案は4会計で,3億6,460万円の減額となっております。
どうぞ,慎重に御審議いただいたうえ,適切な御議決をくださるよう,よろしくお願いいたします。
知事説明要旨
ただいま追加提出いたしました議案は,副知事の退職に伴う後任副知事の選任につきまして県議会の同意を求める議案であります。
どうぞ,適切な御議決をくださるよう,よろしくお願いいたします。