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平成26年広島県議会6月定例会(平成26年6月18日)

印刷用ページを表示する掲載日2024年6月7日

6月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,当面する県政の課題などについて御報告申し上げます。

1 当面する県政の課題

まず,経済・雇用の情勢と対策についてでございます。

県内の景気は,個人消費について,消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているものの,基調的には緩やかに回復しており,企業決算も,輸出型の製造業を中心に,改善の動きが広がっております。

また,雇用・労働情勢につきましては,4月の有効求人倍率が1.22倍と,7年3か月ぶりの水準となり,職種間で差があるものの,着実に改善しております。

しかしながら,業種や企業規模によるバラツキが引き続き残っており,円安による原材料高や,海外景気の減速による輸出・生産の落ち込みが懸念されるなど,中小企業を中心に依然として予断できない状況にあることから,今後も,県内企業への影響を注視して参ります。

こうした経済情勢を踏まえ,経済・雇用対策につきましては,6月補正予算において,基金を活用した事業を実施するなど,雇用の拡大や在職者の処遇改善に努めて参ります。

次に,鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。

 鞆の再生・活性化に向けたまちづくりにつきましては,鞆地区振興推進費について,福山市や住民の皆様との調整を図りながら,調査・検討を進めております。

今後は,福山市と連携し,住民の皆様のご意見も伺いながら,できるだけ早期に取りまとめて参りたいと考えております。

一方で,県の方針につきましては,引き続き,住民の皆様との様々な話合いの機会を通じ,丁寧な説明を行う中で,御理解をいただくよう,誠心誠意,努力して参ります。

次に,広島市東部地区連続立体交差事業につきましては,この事業に求められている都市内交通の円滑化や市街地の一体化などの効果を早期に発現していくことが重要であると考えております。

このため,5月30日には,海田町及び海田町議会からの視察要望を踏まえ,高垣副知事が現地視察並びに海田町及び海田町議会との意見交換を行い,海田町と引き続き協議を行っていくこととなりました。今後も,共同事業者である広島市と連携し,早期に事業を推進できるよう取り組んで参ります。

次に,広島高速道路についてでございます。

3月には,広島高速3号線を含む広島南道路の開通や,東広島バイパスの一部区間の開通など,広島都市圏における幹線道路網の整備は,着実に進んでいる状況でございます。

このような中,広島高速5号線につきましても,着実に整備を進めていく必要があり,今後は,住民説明会等において,沈下の管理基準値や計測方法など,住民の皆様の安全安心に係る具体的施策について説明を行い,御理解・御協力を得ながら,広島市,広島高速道路公社と連携して事業推進に取り組んで参ります。

次に,広島市との連携についてでございます。

先月26日,広島市長と会談し,広島駅周辺における美しい川づくりや紙屋町・八丁堀地区を中心とした都心部の賑わいの創出,東京オリンピック・パラリンピックを契機とした観光や,選手団の事前合宿誘致などについて意見交換を行い,それぞれの事業を県・市でしっかり連携して進めていくことを合意いたしました。

引き続き,これまでに合意した事項も含めてその実現に向け,連携・協力して取り組んで参ります。

次に,TPP協定交渉に係る本県の対応についてでございます。

TPP協定交渉に関する情報収集をこれまで以上に強化し,本県への影響や対応を検討するため,4月に,TPP情報連絡本部を設置し,先月,第1回目の会議を開催したところでございます。

今後も,TPP協定交渉の進捗状況に応じて,会議を開催し,住民への情報提供や国への提案など,適時,適切に対応して参ります。

次に,地方分権改革の推進についてでございます。

先月成立した第4次一括法につきましては,地方が強く移譲を希望している農地転用等に係る事務・権限の移譲が実現しておらず,道半ばの状況でございます。

このため,地方が,事務事業を自らの判断と責任で実施することができるよう,財源の確保等の必要な措置を講じた上での,更なる移譲を国に提案するなど,引き続き,地方分権改革の推進に取り組んで参ります。

 また,現在,国政において,道州制推進基本法案について,国会提出に関して検討が行われておりますが,本県といたしましても,地方分権型の道州制の実現に向けた議論を進めるため,法案の早期成立を求めて参ります。

 

2 平成26年度主要施策の状況

 次に,平成26年度における主要な施策の取組状況について,御報告いたします。

 まず,政策の基本方向の一点目「イノベーションが生まれる最適環境」を創る取組についてでございます。

「多様な創業・新事業展開」につきましては,昨年度,目標を上回る362件の創業を実現した「ひろしま創業サポートセンター」等による支援に加えて,今年度は,地域の支援機関では解決が困難な課題に対応するために,ひろしま産業振興機構内に新たに開設した「よろず支援拠点」と,既存の各種支援機能を連携させることによって,高度で,先進的な課題解決を行うなど,支援体制の強化を図っているところでございます。

また,イノベーション・マインドの醸成や多様な人材が集まる場づくりとして,新たなアイデアを構想するためのワークショップの開催などに取り組むとともに,「ひろしまイノベーションリーダー養成塾ワーキンググループ」を4月に設置し,リーダーシップの実践教育のあり方や,養成塾の運営方法等について検討しているところでございます。

今後も,新たなアイデアが生まれ,それを形にするための創業や新事業展開が容易な,環境づくりを進めて参ります。

次に,「産業競争力の強化」についてでございます。

産業クラスター形成に向けた取組のうち,医療関連産業分野につきましては,医療・福祉機器開発など110件を超えるプロジェクトに精力的に取り組んでおり,現在,医療現場のニーズに即した,むくみ対策効果のある弾性ストッキングなど,10件以上の製品化が進んでいるところでございます。

また,環境浄化分野につきましては,国際的な情報発信の場である「シンガポール国際水週間2014」へ県内企業6社が出展し,270件余りの商談を行いました。この中で,30件の有望案件を発掘したほか,ベトナム国ソクチャン省の幹部を広島に招聘し,ベトナム南部での商談会に向けた準備を進めるなど,東南アジア地域を中心に県内企業の海外展開を積極的に支援して参ります。

次に,「世界と直結するビジネス支援」についてでございます。

先月,安倍首相の訪英に合わせて,ロンドンにおいて,ジェトロが開催した「対日投資セミナー」に参加し,広島県への投資を呼びかけるプレゼンテーションを行うとともに,来場者に対して広島県産品のPRを行って参りました。国内外から広島県への投資は重要であり,今後も,こうした機会をとらえ,広島への投資を,積極的にPRして参ります。

 また,日本酒のブランド力向上につきましては,フランスにおいて,有名レストラン等への販路開拓の取組を進めるほか,メディアを活用したプロモーションの実施やイベントの開催経費を,6月補正予算に計上し,その取組を更に進めて参ります。

次に,イノベーションの担い手となる「人材」を集め,育てる取組についてでございます。

 イノベーションの原動力となる人材を集積するためのプロジェクトの第1弾として,ウェブをテーマに,現在,県内外から事業化のアイデアを持つ人材を募集しております。

来月からプロジェクトを開催し,ウェブデザイナーの鷹野雅弘氏を指導者として,個別に,事業の収益性を高める手法の検討や技術的アドバイスなどを実施することにより,アイデアの実現やステップアップを支援して参ります。

また,大学生等の県内企業への就職促進に向けて,今月,本県では5校目となる,同志社大学との就職支援協定を締結いたしました。これらの協定を活用し,関西での合同企業説明会の開催などにより,県内企業へのUターン,Iターン就職を一層促進して参ります。

更に,地域で活躍する若者を地域で育てるため,インターンシップについても,受入企業や参加学生の拡大を図るなど,積極的に取り組んで参ります。

次に,「産業として自立できる農林水産業」についてでございます。

 国の農業政策が大きな転換期にある中,安定的な力強い経営体が農業生産の大半を担う農業構造への転換を図るため,3月に設置した農地中間管理機構を活用し,担い手への農地集積の加速化に取り組んで参ります。

また,収益性の高いキャベツについて,大規模な生産団地の形成や周年安定供給体制の構築などを進め,県内における付加価値の高い生産品目の生産・販売連携拡大のモデルとして参りたいと考えております。

更に,販路拡大に意欲的な生産者を支援するため,新たに県産農林水産物の登録制度を創設し,PRや販路開拓,首都圏への輸送支援を開始したところであり,この取組を契機に,県産農林水産物のブランド化による販売力の強化を進めて参ります。

また,国においてJA改革等が議論されているところでありますが,本県農業の発展を支える体制について,県とJAなど関係団体で構成する「元気な広島県農業戦略会議」での議論を深め,本県の実情を踏まえた農業構造改革を強力に推進して参ります。

林業につきましては,需要ニーズに応じた効率的な生産や安定供給体制の構築を図るため,今年度から,大規模製材工場等への安定供給に向けた直送システムの整備などを開始したところであり,10年後の主伐期を見据え,川上から川下まで一体となって,県産材を最大限活用する取組を進めて参ります。

水産業につきましては,新規就業者の増加・定着や,経営力の高い担い手の育成を図るため,就業から自立に至るまでの,就業相談や研修などを,関係者と一体となって進めて参ります。

更に,水産資源の維持増大に向け,戦略的な魚種の選定や,効率的な種苗の生産について,関係者と十分協議した上で,新たな栽培漁業計画に反映し,収益性の高い栽培漁業を推進して参ります。

次に,「社会で活躍する人材を育てる学校教育」についてでございます。

社会経済の急速なグローバル化が進展する中,本県が発展していくためには,地域の振興を支える人材から,国境を越えて活躍し世界を牽引するグローバル・リーダーまで,厚みのある人材層の形成が不可欠であり,その実現には,小学校,中学校,高等学校を通して育成する教育プログラムや,短期留学プログラムの開発,更にはグローバル教育を先導的に実践する学校の具体化など,様々な取組を総合的に推進していく必要があると考えております。

現在,上半期中を目途に,10年程度先を見通したグローバル教育の展開構想の策定を進めているところであり,引き続き,グローバル化の視点も含め,将来の広島県と日本を支える人づくりに向けた取組を推進して参ります。

次に,「ファミリー・フレンドリーな魅力創造」に向けた取組についてでございます。

まず,結婚から子育て,働く女性への支援についてでございます。

急速な人口減少が進む中,国においては,「50年後の安定した人口構造の維持」など具体的な政策目標に向け,少子化対策への大幅な予算拡充の方針を示されたところでございます。

また,私を含めた11県知事による「子育て同盟サミット」においても,森少子化担当大臣と議論を深め,少子化対策として,「結婚支援,移住促進,子育て支援」の取組の強化を宣言するとともに,女性の活躍促進の重要性を確認したところであります。本県においても,結婚,妊娠,出産,子育て,そして結婚から子育て期を含めた女性の活躍促進まで,切れ目のない支援を一体的に推進して参ります。

このため,まず,結婚支援として,8月に「ひろしま出会いサポートセンター」を開設し,婚活に関する情報発信や企業間交流事業などを実施するとともに,妊婦・出産期においては,保健師等による妊産婦への早期の支援や産後ケア支援体制の検討を実施して参ります。

また,若者や子育て家庭を社会全体で応援するため,今月から毎月19日を「出会い・育児の日」,愛称を「イクちゃんの日」と定め,「若者のステキな出会いの日」,「家族とのふれあいの日」として,県民の皆様と一緒に機運醸成を図って参ります。

女性の活躍促進については,3月に,イクメンを応援する企業経営者で構成する「イクメン企業同盟」を結成するとともに,4月には,経済団体が主体となり「働く女性応援隊ひろしま」を結成し,シンポジウムや担当者への研修会を通じて,企業の取組を支援して参ります。

今後も,国,地方自治体,企業等と連携しながら,取組を進めて参ります。

「ファミリー・フレンドリーな魅力創造」の二点目として,多様な人材が集まる魅力ある地域環境の創出に向けた取組でございます。

県内外から,イノベーションの原動力となる多様な人材やその家族を惹きつけ,定着を促すためには,「都市と自然の近接性」という本県の地域特性を活かした生活スタイルの魅力発信や,質の高い地域環境の形成を促進していくことが必要であると考えております。

このため,県と市町で構成する「ひろしまスタイル研究会」を4月に設置したところであり,今後,広島らしい生活スタイルのコンセプトの確立や,大都市圏等への情報発信,魅力的な地域づくりの検討を進めて参ります。

次に,政策の基本方向の二点目「広島の強みや基盤」を活かして,内外から人が集まり,活力に溢れる広島県を実現するための取組についてでございます。

まず,「瀬戸内 海の道構想」の推進につきましては,4月に「瀬戸内ブランド推進連合」関係県の知事が集まる代表会議を開催し,今年が瀬戸内海国立公園指定80周年の節目を迎えることを契機に,2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け,海外観光客の誘致に向けた取組を強化することとしたところであり,今後,関係7県が連携して推進して参ります。 

また,「瀬戸内しまのわ2014」につきましては,3月21日の宮島での開幕を皮切りに,各地でメインイベントを展開するとともに,地域の方々や,企業・自治体で企画運営するイベントを実施し,5月末までで,広島・愛媛両県併せて,前年に比べても約72万人の増加につながるなど,多くの皆様にご来場いただいているところでございます。

今後は,夏・秋と,季節に応じた様々なイベントを展開するほか,フィナーレを飾るイベントとして,「瀬戸内しまなみ海道」を舞台に,国内外から約8千名のサイクリストをお迎えして,国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ」を開催いたします。

県民の皆様をはじめ,国内外の多くの方々に楽しんでいただけるイベントとなりますよう鋭意努力して参ります。

 また,愛媛県等沿線自治体との連携を強化して,しまなみ海道サイクリングロードの利用環境の向上と利用促進を図るため,「しまなみ海道自転車道利用促進協議会」を設置したところであり,自転車通行料金無料化に必要な経費を,6月補正予算に計上しております。

また,大型客船の誘致につきましては,受入体制やおもてなしの一層の充実を図るため,4月に,地元経済界や交通事業者等,26団体で構成する「広島港客船誘致・おもてなし委員会」を設立したところであり,「オール広島」での取組を進めて参ります。

次に,観光振興につきましては,平成24年は,大河ドラマ「平清盛」の影響などにより,県内の総観光客数が過去最高になったところでございますが,平成25年においても,「おしい!広島県」キャンペーンによる戦略的なプロモーションや,菓子博の開催,JRグループや県内各市町一体となって,デスティネーションキャンペーンなどに取り組んだことにより,6,109万人と2年連続で過去最高を更新したところでございます。

今年度は,観光地としての広島のブランドイメージの定着に向け,「ひろしま」ブランドの取組方針のコンセプトを踏まえながら,本物の広島の魅力・旅の楽しみ方を発信する新たなプロモーションを7月から展開するなど,更なる観光客の誘致に努めて参ります。

次に,国際平和拠点ひろしま構想の推進につきましては,4月に,NPDI広島外相会合や,米国でのNPT運用検討会議第3回準備委員会の場において,各国の政府関係者等との意見交換やシンポジウムを通じて,本県の平和の取組を世界に発信することにより,広島が一定の存在感を示すことができ,核兵器のない世界の実現のための具体的なプロセス進展に向けた一つのステップとなったのではないかと考えております。

引き続き,来年のNPT運用検討会議に向けて,国や広島市などと連携しながら,核兵器廃絶と復興・平和構築に向けた機運醸成に努めて参りたいと考えております。

次に,「中山間地域の地域力強化」についてでございます。

まず,中山間地域振興計画の策定につきましては,昨年10月の「中山間地域振興条例」制定以降,庁内各局で構成する推進本部で検討を重ね,目指すべき中山間地域の姿,施策推進に当たっての基本的な考え方などを「中間まとめ」として,整理したところでございます。

今後は,11月に予定しております計画策定に向けて,全庁的な体制の下で,関係施策の取組方向を中心に検討を重ねて参ります。

また,3月に三次市において,多数の県民の皆様の参加を得て,シンポジウムを開催いたしましたが,今年度も,更に県内9か所で開催し,中山間地域の振興に向けた地域づくりへの参画意欲の醸成を図って参ります。

次に,がん対策日本一に向けた取組につきましては,「Teamがん対策ひろしま」登録企業制度を4月に創設し,行政と企業が一体となって,予防,検診,就労支援,患者団体支援などの総合的ながん対策に取り組む仕組みを構築したほか,5月には,市町のがん検診窓口へ自動音声案内でつなぐナビダイヤルを開設し,がん検診の受診促進に向けた取組を強化しております。

また,今次定例会において,質の高い高精度放射線治療を提供するリニアックの購入に関する契約の締結議案を提出するなど,「高精度放射線治療センター(仮称)」の平成27年秋の運営開始に向けて,着実に準備を進めて参ります。

 次に,防災・インフラ老朽化対策につきましては,県が管理する公共土木施設の維持管理をマネジメントするための「インフラ老朽化対策の中長期的な枠組み」や,トンネルや港湾などの主要な施設毎に「修繕方針案」を策定いたしました。先月には,県・市町等で構成する公共土木施設等老朽化対策連絡会議を設置したところであり,計画的な維持管理・更新にさらに努めて参ります。

 

3 6月補正予算案等の概要

 さて,今回提出いたしました議案について,その概要を御説明申し上げます。

 まず,一般会計補正予算案につきましては,平成26年度予算編成後の状況変化等を踏まえ,必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として,編成したところでございます。

具体的な補正の内容でございますが,「ひろしま未来チャレンジビジョン」の原動力となる取組などに,時機を逃さず対応するための経費のほか,「経済・雇用対策」に要する経費などに,予算を計上しております。

これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は,3億5,793万円の増額となり,本年度予算の累計額は,9,446億7,793万円となります。

 次に,予算以外の議案といたしましては,「児童の身元保証に関する条例の一部を改正する条例」などの条例案6件,人事案件としては,「広島県公安委員会委員の任命の同意について」など2件,その他の議案では,高精度放射線治療装置などを整備するための「財産の取得について」など6件を提出しております。

 また,報告事項として,専決処分のほか,平成25年度繰越明許費繰越計算書,県が資本金の四分の一以上を出資等している法人の経営状況説明書などを提出しております。

 どうぞ,慎重にご審議いただいたうえ,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

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