12月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,本県を取り巻く情勢などについて,御報告申し上げます。
まず,経済・雇用の情勢についてでございます。
県内の景気は,輸出は自動車を中心に増加しているほか,設備投資は緩やかに増加し,住宅投資は持ち直しており,全体としては緩やかに回復しております。
雇用・労働情勢につきましては,10月の有効求人倍率が1.54倍と,8か月ぶりに低下したものの,高水準が続いており,着実に改善しております。
しかしながら,人手不足による経営への影響や,中国経済の減速による輸出減少に伴う生産の落ち込みも懸念されることから,今後とも県内企業の動向等を注視してまいりたいと考えております。
次に,TPP(環太平洋パートナーシップ)協定についてでございます。
10月にTPP協定交渉が大筋合意に至ったことを受け,国は,総合対策本部を設置して,国内への影響の分析を進めるとともに,必要な対策を検討し,先月25日,TPPの効果を我が国の経済再生に直結させるために必要な政策や,国民の不安を払拭する政策の目標を明らかにした,「総合的なTPP関連政策大綱」を決定したところでございます。
本県は,自動車産業などグローバル経済に強く連鎖した輸出型産業のウエイトが高いことから,TPP協定は,輸出の拡大等,国際競争力の強化や,県内産業の維持に寄与するものと考えております。
一方で,零細な個別経営が大半を占める本県農業においては,関税の削減・撤廃や輸入枠の拡大で,安価な輸入農林水産物の増加による影響も懸念されるところです。
このため,国に対し,リスクへの不安などからこれまで海外展開に踏み切れなかった中小企業の支援や,農林水産業の持続的発展に向けた体系的な対策及び経営安定のための対策の実施を提案してまいりました。
今後は,TPPを契機とした中小企業の一層のイノベーション促進や,担い手が将来の生活設計を描くことのできる農林水産業の確立に向けた取組を,近々示される国の対策とも連動させながら,着実に進めてまいります。
次に,「一億総活躍社会」の実現に向けた国の動きについてでございます。
国においては,少子高齢化に歯止めをかけて50年後も人口1億人を維持し,誰もが,家庭,職場,地域で生きがいを持って,充実した生活を送ることができる一億総活躍社会の実現に向けて,「GDP600兆円」「希望出生率1.8の実現」「介護離職ゼロ」の3つを目指すこととしており,先月26日,その緊急対策を決定いたしました。
対策には,投資促進や生産性革命の実現,結婚・妊娠・子育て支援の充実等が盛り込まれておりますが,これらは,「イノベーションの創出」や「子育て支援」,「女性の活躍促進」など,人口減少を克服し,成長力の確保を目指す本県の「地方創生」の施策の方向に合致するものでございます。
現在,本県ばかりでなく,全国の自治体が,強い覚悟を持って地方創生に取り組んでおりますが,地方創生なくして一億総活躍社会の実現はあり得ないことから,その流れを緩めてはならないと考えております。
このため,国においても,同じ認識に立ち,東京一極集中の是正など,国としての役割を積極的に果たしていただくことを要請しますとともに,ひろしま未来チャレンジビジョンに基づく本県の対策を着実に進めてまいります。
また,チャレンジビジョンの改定に合わせ,この度,目指す姿の実現に向けて,新たな挑戦を支える行財政面での基盤づくりの指針となる「行政経営の方針」及び「中期財政運営方針」の2つの方針案を取りまとめました。
「行政経営の方針」案では,県民起点・現場主義の原則のもと,戦略・組織・資源配分の全ての取組において,一貫して成果の獲得を追求することとし,「戦略構築力の向上」,「ミッション重視の組織体制の構築」,「職員の力を引き出す人材マネジメント」などに取り組むこととしております。
「中期財政運営方針」案では,社会保障関係費の増加や,公債費の高止まり,土地造成事業会計及び港湾特別整備事業費特別会計における資金不足への対応など,様々な財政運営上の制約がある中,施策や事業等のプライオリティをより一層踏まえ,経営資源のマネジメントを行うとともに,財産の売払い,基金の活用などにより,ビジョンの実現を支えるための政策的経費を確保してまいります。
次に,広島市との連携についてでございます。
今月2日に,広島市長と会談し,災害に強いまちづくりに向けた連携,広島都市圏の活性化などについて意見交換を行い,それぞれの事業を,県・市でしっかり連携して進めていくことを合意いたしました。
本県の魅力向上に欠くことのできない広島都市圏の活力強化や中枢拠点性の向上を目指し,これまでに合意した事項も含めて,その実現に向け,引き続き,連携・協力して取り組んでまいります。
次に,海外との交流の取組について御報告いたします。
10月下旬に,県議会団や広島グアナファト親善協会などの皆様とともに,メキシコ合衆国グアナファト州を訪問いたしました。
セルバンティーノ国際芸術祭では,本県神楽団が会場から拍手喝采をいただくとともに,国際食のフェスティバルでは,広島の和食やお好み焼き,日本酒が大変な好評を博したところでございます。
また,かねてより要望しておりました,現地進出企業の駐在員やその家族が緊急時などに日本語で通報できる窓口を,訪問に合わせて開設いただいたところです。
今後とも,グアナファト州と様々な分野の交流を促進することにより,経済交流が更に促進されるよう努めてまいります。
また,ブラジル,ペルー,パラグアイ,アルゼンチンの各広島県人会が開催する周年記念行事などにも県議会団の皆様とともに参加し,交流を深めてまいりました。
各国の発展に貢献されている皆様方と懇談させていただき,改めて,県人会の存在は,本県がグローバル化の中で発展していくための大きな資産であると認識したところであり,今後とも,青少年の交流を中心に,交流の維持・強化を図ってまいります。
次に,平成27年度における主要な施策の取組状況について,御報告いたします。
一点目は,「災害に強いまちづくり」の取組でございます。
昨年8月の土砂災害の被災地域における防災施設整備につきましては,今年度中の完成を目指す緊急事業のうち,県が実施する砂防ダム及び治山ダム等23箇所については,順調に事業を実施しており,このうち13箇所については,年内に完成する見通しでございます。
更に流域の安全を高めるため,災害関連緊急事業と一体となって実施する事業につきましても,準備が整った箇所から,順次工事に着手しているところであり,引き続き,国・広島市と連携を図りながら,被災地の一日も早い復旧・復興に取り組んでまいります。
また,ハード面からの防災・減災対策に関しましては,ひろしま未来チャレンジビジョンが目指す県土の将来像を実現するため,平成22年度に策定した「社会資本未来プラン」を,この度のビジョン改定やこれまでの取組の成果,課題等を踏まえて,見直すこととしております。
この中で,グローバルゲートウェイ機能など,交流・連携基盤の強化とあわせ,昨年の土砂災害を踏まえた防災・減災対策の加速化や,公共土木施設の適切な維持管理等の視点を重視した骨子案を,先月お示ししたところであり,今年度内の策定に向けて,取組を進めてまいります。
「みんなで減災」県民総ぐるみ運動につきましては,県民一人ひとりが「災害から命を守る行動」を適切にとることができるよう,「知る」「察知する」「行動する」などの5つの行動目標と,県民の行動を促すために,県,市町,事業者などの各主体が,平成32年度までの5年間に取り組むべき指針を定めた「行動計画」を,
10月に策定いたしました。
現在,来年度から実施するこの計画の実効性を高めるよう,計画の推進主体である推進会議を通じて,各主体における減災に向けた具体的な取組内容の検討を進めております。
引き続き,5つの行動目標について,県民の皆様への一層の普及浸透を図るとともに,県民運動の輪が県内全域に広く行き渡るよう,地域において市町や事業者などと連携・協働した実践を積み重ね,県民総ぐるみ運動を着実に進めてまいりたいと考えております。
二点目は,「地方創生」についてでございます。
まず,「新たな経済成長」の取組を御報告いたします。
企業立地は,近年の景気回復などを背景に好調に推移していることから,企業用地が減少しており,特に県東部地域においては,企業の引き合いへの対応が困難な状況になっております。
このため,アクセスや雇用確保の面で,早期に企業ニーズに応えることが可能で,他県との競争力を有する三原市本郷地区を事業候補地とし,7月に取りまとめた「土地造成事業の今後のあり方」に基づき,3つの新たな視点から事業化評価を行いました。
この評価で,事業化可能との結果が得られましたことから,三原市と共同で造成事業に着手することとし,必要な経費を12月補正予算に計上しているところでございます。
次に,「イノベーション・エコシステムの共通基盤の強化」に向けた取組でございます。
創業や新事業展開の支援では,「ひろしま創業サポートセンター」などを利用した平成25年度からの創業件数は,800件以上となっております。
しかしながら,更に「強く,多様で,多数の」創業を創出していくためには,県,市町,経済団体,金融機関,産業支援機関等の関係機関が一層連携・協力して,県内全域で創業支援を強化していく必要がございます。
このため,各関係機関のトップが参加する「オール広島創業支援サミット」を今月22日に開催し,創業希望者が,県内どこにおいても専門的な支援を受けることができる,全県を挙げた創業支援ネットワークの構築に取り組んでまいります。
次に,「産業競争力の強化」に向けた「医療関連産業のクラスター形成」についてでございます。
医療・福祉関係機関,大学,企業及び行政などの関係者が一体となって,県内外の企業の製品の臨床試験やモニタリング評価など,全国でも例のない取組を行う「ひろしまヘルスケア推進ネットワーク」を5月に設立して以降,これまで,手術用器具や病棟用品の評価など,30件あまりの実証プロジェクトを実施し,企業の製品の改善,改良につながっているところでございます。
今後も,こうした取組により,ひろしま発のビジネス創出と医療・福祉現場の課題解決を図ってまいります。
次に,「観光地ひろしま・瀬戸内 海の道構想の推進」についてでございます。
観光プロモーション「カンパイ!広島県」の一環として,9月から,本県の観光地の魅力を紹介する「広島 CAT STREET VIEW(キャットストリートビュー)尾道編」を公開したところ,米国など海外からのアクセスも多く,公開後1か月でアクセス数が212万ページビューとなるなど,国内外から大きな反響をいただいております。
こうした創意工夫による情報発信に加え,冬季の観光客誘致促進のため,スキー場でのイベント開催やパーク・アンド・ライドで手軽に参加できるスキーバスを実施するなど,本県の観光地としての魅力向上を図り,更なる誘客につなげてまいります。
「瀬戸内 海の道構想」の推進につきましては,「瀬戸内ブランド推進連合」を,来年4月を目途に,新法人に発展改組することに向けて,現在,海の道プロジェクト・チーム内に,せとうち観光推進機構設置準備室を置き,組織の設計などの作業を進めております。
先月,新法人の経営トップとなる会長及び事業本部長を内定したところであり,今後は,この両者の民間企業での豊富な経験を活かし,マーケティングに基づく経営視点での具体的な戦略づくりを進めるなど,着実に準備を行ってまいります。
次に,「担い手が将来の生活設計を描ける農林水産業の確立」についてでございます。
TPP協定締結による関税の削減・撤廃に伴い,安価な輸入農林水産物の増加が予測されることから,特に,影響が懸念される米や,牛肉・豚肉などの畜産物,かんきつ類については,中長期的な対策を含めて,経営体の競争力の強化を図るため,担い手への農地集積や収益性の高い品目への転換など,経営体質の強化を進めていく必要がございます。
今後は,国の政策大綱に基づく国内対策なども活用しながら,「2020広島県農林水産業チャレンジプラン アクションプログラム」を一層加速させ,本県農林水産業の構造改革を強力に推し進めてまいります。
一方で,農業を産業として自立させる役割を担っているJAにおかれましては,先月20日に開催された「第27回JA広島県大会」で,将来的に1県1JAを目指すことを基本として,今後取り組んでいくことが決議されました。
小規模で零細な農家が多く,高齢化も進んでいる本県において,農業を収益力の高い生産構造に変えていくためには,JAグループが組織全体の力を結集し,生産から販売まで一体となった事業を展開し,農業者の経営発展と安定を支えていくことが必要であると考えております。
地域の核となる担い手に対する生産指導や,販売チャネルの多角化による販売力の強化など,新たなJAの姿を早急に具体化し,将来にわたって本県農業が更に発展していくよう,役割を果たしていただくことを強く期待しているところでございます。
次に,「人づくり」についてでございます。
まず,「少子化対策」といたしましては,未婚化・晩婚化に対応するため,若者の結婚に対する意識の醸成や結婚支援などを進めております。
「ひろしま出会いサポートセンター」の会員数は3,500名を超え,県内各地で実施した交流会付きセミナーは,募集人数の2倍以上の応募があるなど,大きな反響をいただいているところであり,引き続き,県内の多くの若者に出会いの機会を創出してまいります。
次に,「女性の働きやすさ日本一への挑戦」についてでございます。
女性の活躍促進に向けましては,女性の就業継続や再就職支援のほか,企業の積極的な取組の促進や,男性の働き方の見直しなどに取り組んでまいりました。
こうした中,女性の活躍に対する社会全体の機運醸成を目指し,昨年3月に企業経営者で結成した「イクメン企業同盟ひろしま」のメンバーが,結成当初の3倍に拡大したため,この機会に,「イクボス同盟ひろしま」に発展させ,活動をより活発化させることといたしました。
今後は,経営者・管理者層を対象に,「イクボス」を養成する講座なども開催し,経営者の意識改革を更に進めてまいります。
また,保育サービスの充実につきましては,保育コンシェルジュの配置,認可外保育施設の活用など,いつでも安心して子供を預けて働くことができる保育環境の整備に向け,様々な取組を工夫して実施しております。
このうち,事業所内保育施設の設置促進を目指し,県庁内にモデル的に開設する保育施設につきましては,公募していた施設の愛称が,県民投票を経て「イクちゃんち」に決定いたしました。
現在,改修工事を行っておりますが,3月の開所に向けて,着実に準備を進めてまいります。
次に,「若者の定着・就業の徹底支援」についてでございます。
県外の大学生の県内への就職を促進するため,これまで,関東や関西で,県外学生と県内企業社員との交流会や,県外大学の就職支援担当者と県内企業との情報交換会などを開催し,学生のUIJターン就職につなげてきたところでございます。
しかしながら,多くの若者に,就職先として本県を選択してもらうためには,広島での就職を具体的にイメージできる情報を,より幅広く発信する必要がございます。
このため,最新の新卒大学生向けの求人情報を始め,広島で働き,暮らす魅力などをワンストップで発信する,UIJターン就活応援サイト「Go!ひろしま」を,10月に開設いたしました。
今後も,こうした取組を通じ,県外の学生の県内への就職を一層促進してまいります。
次に,「社会で活躍する人材の育成」についてでございます。
本県教育の目標や施策の根本となる方針を定める「教育に関する大綱」につきましては,総合教育会議において教育委員会と議論を重ね,大綱案を取りまとめたところでございます。
この中では,「一人一人が,生涯にわたって主体的に学び続け,多様な人々と協働して新たな価値を創造する人づくり」を,幼児期から大学・社会人までを貫くコンセプトとし,各段階における取組などの基本的方針を明らかにしております。
今後は,関係の皆様への説明を経た上で,できるだけ早く,策定・公表してまいりたいと考えております。
また,「広島版『学びの変革』アクション・プラン」の推進につきましては,「OECD広島創生イノベーションスクール」の実施や,学びの変革パイロット校におけるカリキュラムの開発など,「主体的な学び」を促す教育活動の全県展開に向けて,計画的に取組を進めているところでございます。
これを更に加速する観点から,現在,教育委員会において,「新たな学び」を先導的に実践し,県全体の教育水準向上を牽引する学校である「グローバルリーダー育成校(仮称)」の創設に向けた検討が進められており,この学校の早期設置に向けて,積極的に支援してまいります。
次に,「安心な暮らしづくり」の取組でございます。
まず,「信頼される医療・介護提供体制の構築」につきましては,効率的で質の高い医療提供体制と地域包括ケア体制の構築に向け,医療従事者の確保や救急医療体制の強化,在宅医療の充実などを計画的に進めておりますが,さらに,地域における医療と介護の総合的な確保を目的とした「地域医療構想」の策定を進めてまいります。
なお,この「地域医療構想」を実現するための各種事業の財源となる「地域医療介護総合確保基金」の積立について,12月補正予算に計上しているところでございます。
次に,治安の向上に関しましては,これまで展開してまいりました「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動の成果を継承し,更に発展させていくため,今後5年間の運動指針として「『めざそう!安全・安心・日本一』ひろしまアクション・プラン」を策定いたしました。
これにより,子供・女性・高齢者の安全確保や特殊詐欺対策など,県民の「安心感」の向上に有効な対策に力点を置きながら,運動を支える県民の皆様とともに,誰もが穏やかで幸せな暮らしを実感できる「日本一安全・安心な広島県の実現」を目指して,取組を進めてまいります。
次に,「豊かな地域づくり」についてでございます。
「中山間地域の地域力強化」としましては,中山間地域の価値に共鳴する地域内外の方を増やすことに視点を置き,取組を進めております。
こうした中で,地域貢献に高い意欲を持つ人材を首都圏から呼び込むプロジェクトにつきましては,43名の参加を得て,先月,現地実習を実施したところであり,今後は,参加者による実践プランの作成を通じ,地域課題の解決等につなげてまいります。
なお,三次市と島根県江津市を結ぶJR三江線をめぐる動きについてでございますが,10月に,JR西日本から,今後の在り方の検討を行いたいとの意見表明がございました。
現在,沿線6市町で構成する三江線改良促進期成同盟会が中心となって対応を検討されており,先月27日には,JR西日本の社長と面談し,住民説明会の開催等の要望をされたところでございます。
県といたしましては,まずは地元でしっかり検討したいとの意向を踏まえ,その動向を見守っておりますが,一番大事なことは,地域の皆様にとって必要な交通を確保していくことであると考えており,今後要請があれば,沿線市町の行う協議に加わってまいります。
次に,「多様な人材が集まる魅力ある地域環境の創出」に向けた都市圏の魅力創造につきましては,広島市と連携し,中長期的な視点で広島市都心部の目指すべき姿や将来像,その具体化に向けた施策等を示す都心活性化プラン(仮称)の策定に着手しております。
これまで,経済界や学識経験者等で構成する懇談会におきまして,専門的な観点から意見をいただいているほか,先月には,広島の都心について考えるワールドカフェなども開催し,100名を超える方々から幅広い御意見をいただきました。
これらの意見を踏まえながら,来年度のプラン策定に向けて,引き続き検討を進めてまいります。
次に,広島西飛行場跡地の活用についてでございます。
平成25年5月に,広島市と共同で広島西飛行場跡地活用ビジョンを策定した後,その実現に向けて,民間事業者の意見聴取などに取り組んできたところでございます。
この度,ビジョンをより具体化した広島西飛行場跡地利用計画(仮称)を策定することとし,その参考とするために,民間からの幅広い利用提案を,今月下旬から募集したいと考えております。
引き続き,県民の皆様から御意見を伺いながら,広島市と連携して,広島西飛行場跡地活用の具体化を進めてまいります。
次に,「ひろしまブランド価値向上の推進」についてでございます。
「ひろしま」ブランドに対する県内外からの認知・評価を高め,商品選択や観光誘客等において選ばれる地域となることを目指し,統一感のある情報発信を進めるとともに,日本酒のブランド価値向上や,ひろしまの食のイメージ向上などに取り組んでおります。
こうした中,食に関わる一流の人材を発掘・育成する取組として,先月,昨年度までの西洋料理に加え,和食の若手料理人を対象としたコンクールを開催し,計6名の成績優秀者が決定いたしました。
この成績優秀者は,海外の有名レストランでの修業や,国内外で実施する県主催イベントでの「広島の料理」の披露などを経て,将来的には,広島の料理界をリードし,食の魅力向上に貢献していただくなど,この取組を,本県の地域資産の価値向上につなげてまいります。
次に,「東京圏から広島への定住促進」につきましては,高まりつつある地方移住の機運を取り込み,定住につなげるため,相談件数が順調に増加している東京の相談窓口を活用し,4月以降,移住希望者と地域のマッチングを目指す様々な取組を実施しております。
具体的には,市町と連携して定住相談を行うイベントや,地方に関心を持つ人材と県内地域をつなげるためのセミナーを開催し,県内への訪問に結びつけるとともに,地域での移住者の受け皿づくりを促進しているところでございます。
また,先月には,広島での活動を体験するイベントを県内2か所で開催し,県民の皆様と交流する中で,移住に向けた検討を進めていただきました。
引き続き,市町と連携し,新しい工夫を試みながら,広島への移住促進に向けて取り組んでまいります。
三点目は,「国際平和拠点ひろしま構想」の推進についてでございます。
来年4月の主要国首脳会議外相会合の成功に向けて,必要な準備を進めるとともに,内外の機運醸成を図るため,プレイベントの調整を進めております。
具体的には,県内数箇所で,サミットへの理解を深めていただくための講演会を開催するとともに,世界経済フォーラムの若手リーダーと連携し,青少年外相会合広島(仮称)を開催することとしております。
こうした取組を通じて,核兵器廃絶に向けたプロセスの進展に貢献してまいります。
また,警察本部においては,警備のための各種訓練や必要な資機材の調達を行っております。
装備品の整備など,必要な経費につきましては,12月補正予算に追加計上しているところでございますが,引き続き,会議の成功に向けて,外務省とも緊密な連携を図りながら,万全の態勢で受入準備を進めてまいります。
次に,当面する県政の諸課題への対応について,御報告申し上げます。
まず,広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。
この事業の見直し検討に当たりましては,6月に広島市,府中町及び海田町と合意した見直しの方向性について,7月から11月にかけて,関係市町と連携して住民の皆様へ説明を行ったところでございます。
引き続き,関係する皆様の御意見を伺いながら,できるだけ早期に工事着手できるよう,共同事業者の広島市と共に,関係者と協議するなど,取組を進めてまいります。
次に,鞆地区道路港湾整備事業でございますが,鞆のまちづくりが「待ったなし」の中で,「町中の交通処理対策」,「防災対策」,「まちづくり基金」につきまして,福山市と連携・協力し,住民の皆様にも御説明しながら,具体的事業を実施しているところでございます。
このうち,江之浦から焚場間の問題解決に当たりましては,道路機能の確保に向けた具体的対策の4つのイメージ案の中から,できるだけ速やかに,県としての案を住民の皆様にお示しし,御理解をいただいた上で,整備手法を決定することとしております。
一方で,県の方針全体につきましては,引き続き,住民の皆様との様々な話し合いの機会を通じ,丁寧な説明を行う中で,御理解をいただくよう,誠心誠意努力してまいります。
次に,広島高速5号線に関しましては,住民の皆様の安全確保と安心の構築の取組の一つとして,一定の地表面沈下などが発生した場合に,通常の事業損失補償に代えて,広島県土地開発公社が,希望される方の土地の買収などを行う仕組みを構築いたしました。
また,広島高速道路公社においては,広島高速5号線トンネル技術検討委員会での審議を踏まえ,トンネル工事の入札公告を行うとともに,事業認定に向けた手続きとして,土地収用法に基づく事業説明会を開催したところでございます。
引き続き,広島市,広島高速道路公社と連携し,住民の皆様の御理解・御協力を得られるよう丁寧な説明に努めながら,着実な事業推進に取り組んでまいります。
さて,今回提出いたしました議案について,その概要を御説明申し上げます。
まず,一般会計補正予算案につきましては,9月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ,必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として,編成したところでございます。
具体的な補正の内容でございますが,「災害に強いまちづくり」や「地方創生」に向けた取組に,時機を逃さず対応するための経費などについて,予算を計上しております。
これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は,9億3,513万円の増額となり,本年度予算の累計額は,1兆81億5,820万円となります。
次に,予算以外の議案といたしましては,「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用に関する条例」などの条例案11件,人事案件としては,「広島県公害審査会委員の任命の同意について」など2件,その他の議案では,「工事請負契約の締結について」など32件を提出しております。
また,報告事項として,専決処分報告などを提出しております。
どうぞ,慎重に御審議いただいた上,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。