6月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,本県を取り巻く情勢及び本年度主要施策の取組状況について,御報告いたします。
まず,平成28年熊本地震により犠牲となられた方々に対しまして,謹んで哀悼の意を表しますとともに,今なお避難所での生活を余儀なくされている方々を始め被災された皆様に,心からお見舞いを申し上げます。
この国内最大クラスの地震発生に際し,本県では,被災県からの要請を受けて,捜索・救助活動を支援するための消防・防災ヘリコプターや消防・警察部隊の派遣,緊急医療を行う災害派遣医療チームや災害時公衆衛生チームを派遣いたしました。
その後も,刻々と変化する被災地のニーズに応じ,被災者の心のケアや生活再建に向けた支援として,災害派遣精神医療チームや被災建物・宅地危険度判定士の資格を有する県市職員の派遣,また,避難所の運営支援や行政機能の早期回復支援のための行政職員の派遣など,多岐にわたる支援活動を展開してまいりました。
一昨年8月に広島市で発生した土砂災害において,全国から心温まるたくさんの御支援をいただいた感謝の気持ちも込め,今後とも,被災された方々に寄り添い,被災地のニーズを的確に把握しながら,できる限りの支援を行ってまいります。
次に,主要国外相及び米国大統領による広島訪問についてでございます。
本県では,これまで,広島の使命として,世界の政治指導者に被爆地を訪問していただき,被爆の実相に触れていただくための様々な取組を行ってまいりました。
4月に広島市で開催された主要国首脳会議外相会合では,G7各国外相が慰霊碑への献花,平和記念資料館の見学などを行われ「広島宣言」を発出されました。
さらに,5月の主要国首脳会議に併せて,オバマ米国大統領が,被爆地・広島を訪問され,「広島演説」ともいうべき,力強いメッセージを発出されました。
これらは,停滞している核兵器廃絶の動きを再起動させる大きなインパクトを持つ歴史的な成果であり,今後,広島に世界の注目が更に集まり,核兵器のない平和な世界に向けて,広島の役割はますます高まるものと考えております。
次に,経済・雇用の情勢についてでございます。
県内の景気は,輸出は一部に弱めの動きがみられるものの,設備投資は緩やかに増加し,住宅投資は持ち直しており,全体として緩やかに回復しております。
雇用・労働情勢につきましては,4月の有効求人倍率が1.67倍と5か月連続で上昇しており,着実に改善が進んでおります。
また,1月から3月期の国内総生産の速報値では,成長率が1.9%と2期ぶりにプラスとなっております。
しかしながら,円高への不安感や中国経済の減速など,先行き不透明な面もありますことから,引き続き,県内企業への影響を注視してまいりたいと考えております。
次に,平成28年度における主要施策の取組状況について,御報告いたします。
一点目は,災害に強いまちづくりでございます。
平成26年8月の土砂災害発生から,まもなく2年を迎えます。
被災された方々の生活再建に向けた対策は,防災施設整備を始め,おおむね計画どおりに進捗しており,引き続き,被災地の一日も早い復旧・復興に取り組んでまいります。
土砂災害被災地域における防災施設の緊急事業のうち,県が実施する砂防ダム及び治山ダム等23箇所につきましては,昨年度末までに全て完成しております。
さらに,地域の安全性を高めるための砂防ダムの追加設置など,緊急事業と一体的に実施する事業につきましても順次工事に着手しており,引き続き,国や広島市と連携を図りながら取り組んでまいります。
土砂災害防止法に基づく基礎調査結果の公表や土砂災害警戒区域等の指定につきましては,昨年3月に策定した「基礎調査実施計画」に基づき,着実に進捗しているところでございます。
今年度計画している98小学校区全てにおいて,予定どおり調査に着手するとともに,昨年度調査を完了し,結果を公表した地区につきましては,順次,説明会を開催し,今年度中に区域指定を完了させることとしております。
基礎調査を平成30年度,土砂災害警戒区域等の指定を平成31年度までに完了させることを目標に,引き続き,全力で取り組んでまいります。
さらに,熊本地震では,公共施設や多くの人が集まる建築物が損壊しております。
本県においても,県庁本庁舎及び地方機関庁舎の耐震改修につきまして,実施設計を行う中で,工期が短縮できる要素を検討するなど,可能な限り早期に完了できるよう努めてまいります。
また,大規模建築物や広域緊急輸送道路沿いの建築物について,耐震化状況の公表,耐震診断の義務付け,所有者の費用負担の軽減につながる支援を実施することにより,耐震化の促進を図るとともに,住宅の耐震化についても,市町と連携した所有者への意識啓発など,取組の加速化を図ってまいります。
減災に向けた取組といたしましては,昨年度から,市町,自主防災組織,事業者など,あらゆる主体と連携・協働し,広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動に取り組んでおります。
本年も,5月16日から6月5日までの3週間にわたって,県内の企業,学校,地域など,様々な主体が一斉に防災教室を開催し,災害種別に応じた避難場所,避難経路の確認などに,昨年度を上回る約52万人の皆様が取り組まれました。
この度の熊本地震の発生を受け,改めて,どこでいつ起こるか分からない自然災害から,県民一人ひとりが「命を守る」行動を適切にとることの重要性を認識したところでございます。
引き続き,県民の皆様が日常生活において入手しやすい防災情報を提供している報道機関を始め,推進会議の各主体と連携し,災害への備えや対処方法を「知る」取組を重点的に実施し,県民の防災意識をより一層高めてまいりたいと考えております。
二点目は,地方創生の取組についてでございます。
まず,「新たな経済成長」について御報告いたします。
産学金官や県内外の多様なつながりの中で,新たなアイデアや価値が創造され,新しい事業が次々と生まれる環境の構築を目指すイノベーション・エコシステムの共通基盤の強化につきましては,これまで,延べ2,600人以上が参加しておりますイノベーション・ハブの取組を引き続き行うとともに,新たに,中高生を対象としたIT起業家育成プログラムなどを実施し,更なる参加者の拡大を図ってまいります。
また,次世代の経営者等を対象に,戦略構築に向けた思考プロセスなどを習得するための「イノベーションリーダー養成塾 第2期」を6月から開講し,引き続き,イノベーションを生み出す多彩な人材の育成を行ってまいります。
多様な創業の促進につきましては,本年2月に,行政,経済団体,産業支援機関等により設置いたしました「オール広島創業支援ネットワーク協議会」により,創業支援担当者のレベルアップや,創業を通じた地域課題の解決を図る取組などを実施してまいります。
次に,多様な投資誘致の促進についてでございます。
昨年の工場及び流通施設の立地につきましては,件数,敷地面積ともに前年に比べ増加しております。
今後は,産業団地への企業立地による,雇用の拡大を主眼とした従来型の企業誘致に加え,企業ニーズや投資環境の変化を踏まえて創設した新たな企業立地促進助成制度を活用して,本社機能や研究開発機能の移転,さらには,ベンチャー企業や地域活力創出オフィス等,人材・機能・地域活力に着目した新たな投資誘致に戦略的に取り組んでまいります。
また,政府関係機関の地方移転につきましては,昨年7月,全国第1号として東広島市へ移転した酒類総合研究所東京事務所に続き,理化学研究所の機能の一部を東広島市へ移転し,中四国地方で初めての共同研究拠点を設置する方針が示されました。
今後,具体化に向けて関係省庁等との詳細な協議を進めてまいります。
次に,観光地ひろしまの推進についてでございます。
今年度は,世界遺産登録20周年の観光キャンペーン事業として,記念コンサートや巡回パネル展のほか,原爆ドームと宮島を巡るプレミアムツアーなどを広島市や廿日市市と連携しながら実施しているところでございます。
また,知られざる広島県の魅力を紹介し,旅の楽しみ方を伝えるプロモーションにつきましては,引き続き,「カンパイ!広島県」として,6月から新たな展開を図ることとしております。
こうした取組を通じまして,周遊促進や滞在時間の延長など,総観光客数と観光消費額の増加を図ってまいります。
次に,担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立についてでございます。
本県では,農林水産業が将来にわたって持続的に発展することを目指し,「2020広島県農林水産業チャレンジプラン アクションプログラム」に基づく取組を進めているところでございます。
このうち,農業分野につきましては,本年3月に,ほうれんそうやトマトなどの事業計画をアクションプログラムに追加し,平成32年度のチャレンジプランの目標をより着実に実現するための取組を強力に推し進めているところでございます。
その取組の一つとして,JAグループ等と一体となって,ひろしま型の農業を創り出す新たな担い手育成の仕組みの構築に着手いたしました。
また,今年度から実施しておりますかんきつ産地競争力強化緊急対策事業,いわゆる高接ぎによるレモンへの早期転換事業につきましては,4月から作業を開始し,これまでに約6ヘクタールの高接ぎを実施したところでございます。
引き続き,市町及びJAなどで構成する産地協議会と連携し,年間計画20ヘクタールの達成に向けて取り組んでまいります。
畜産業につきましては,本県の強みの一つであります体外受精卵作出技術を生かして広島県産和牛頭数の増加を図ることとしており,現在,和牛の体外受精卵の増産に必要な施設の整備を進めております。
また,水産業につきましては,6月から東部海域において,ガザミの集中放流を開始するとともに,操業区域や漁獲サイズを自主的に制限するなど,資源管理の推進によって資源の増大を図る取組を本格化することとしております。
次に,「人づくり」の分野でございます。
結婚支援につきましては,昨年度,県の主催する婚活イベントに1,350人の参加があり,ひろしま出会いサポートセンターの会員から,昨年度末までに15組の成婚報告を受けたところでございます。
今年度は,インパクトのあるイベントを開催し更なる機運醸成を図るほか,地域のレストラン等が主体となって出会いイベントを実施する「こいのわカフェ」の普及や,婚活を応援する個人ボランティアの養成など,多様な主体による取組が促進されるよう支援してまいります。
次に,多様な保育サービスの充実についてでございます。
3月に開所した事業所内保育施設「イクちゃんち」には,現在,従業員以外の地域枠で入園した6人を含む12人の乳幼児が通園しております。
「イクちゃんち」をモデルに,県内で事業所内保育施設の設置が進み,現在合計20か所が開所するなど,着実に保育の受け皿拡大に寄与しております。
また,3月に締結いたしました安田女子大学との連携協力協定に基づき,保育士資格取得に関する特例講座を8月に開講するなど,保育人材の育成にも力を入れ,施設・保育士ともに充実させることで,いつでも安心して子供を預けることができる保育環境の整備を促進してまいります。
次に,働き方改革の推進についてでございます。
仕事も暮らしも,どちらもあきらめることなく追求することができる社会の実現に必要な働き方改革を効果的に進めるため,局横断の推進体制として,働き方改革推進チームを設置し,関連施策の総合的な推進と県内の機運醸成に取り組んでおります。
県内企業における働き方改革の取組状況について,実態調査を実施したほか,働き方改革に関心を持つ企業に対するコンサルティングの実証事業を実施し,その有効性を検証しているところでございます。
今後,実態調査や実証事業の結果を踏まえ,働き方改革を促進するための具体的な施策を検討してまいります。
あわせて,「イクボス同盟ひろしま」の活動を通じて,経営者層へのイクボスの普及拡大を一層進めてまいります。
さらに,職場での女性の活躍推進につきましては,昨年9月に女性活躍推進法が施行されたことに伴い,女性管理職登用に向けた県内企業の業種別・規模別の実態調査及び課題分析を進めております。
また,再就職など働くことを希望する女性に対しては,「わーくわくママサポートコーナー」において,きめ細かい相談対応や両立支援に係る情報提供による再就職支援に取り組んでおります。
昨年度は,過去最高である,延べ約1,500人の方に来所いただき,約260人の方の再就職に結び付いたところでございます。
今後も引き続き,企業の取組促進や女性の再就職支援等,様々な視点から,女性の活躍推進に取り組んでまいります。
次に,東京圏等から広島への定住促進についてでございます。
ひろしまらしいライフスタイルの魅力発信,移住希望者と地域のマッチング,移住者に対する受け皿づくりの一体的な展開を進めた結果,昨年度は,ふるさと回帰支援センターによる「移住希望地域ランキング」の順位が大幅に上昇したほか,県や市町による移住相談などを経て県内に移住した世帯数も,前年度の68世帯から109世帯に大幅に増加しております。
今年度は,ひろしま暮らしサポートセンターの相談体制の強化や,新たに創設した「モデル地区制度」を活用したセミナーの実施など,移住希望者のニーズを捉えて,広島への移住促進に取り組んでまいります。
次に,子供たちの命を守る教育の充実についてでございます。
昨年12月,県内の公立中学校の3年生が自殺をするという,大変痛ましい事案がございました。
将来のある生徒が自ら命を絶つという事案の再発を防止するため,5月31日に開催しました総合教育会議におきまして,子供たちの命を守る教育の充実について,有識者を交えて議論しました。
この議論を踏まえ,学校,関係機関などが連携して,悩みを抱えた子供たちが必要な支援を受けられるよう,県全体で取り組んでまいります。
次に,幼児教育環境の充実に向けた取組についてでございます。
県として目指す幼児の姿や,全県的な幼児教育の質の確保に向けた県施策の方向性などを具体化するため,「幼児教育アクション・プラン」を策定することとしており,現在,県内外の様々な分野の有識者等から幅広く意見を聴取し,具体的な取組について検討を進めているところでございます。
広島版「学びの変革」アクション・プランの推進につきましては,「学びの変革」を先導的に実践し,県全体の教育水準向上を牽引する学校,いわゆるグローバルリーダー育成校について,本年2月に基本構想を策定し,5月には,豊田郡大崎上島町大串への設置を決定したところでございます。
現在,国内外の教育研究機関などと連携し,教育カリキュラムの検討や,先進事例の調査・研究,教員の人材育成,海外とのネットワーク拡大等に取り組んでいるところであり,早期開校に向けて,更に取組を加速させてまいります。
次に,7月末から開催いたします,本県で初となる全国高等学校総合文化祭と,12年ぶりとなります全国高等学校総合体育大会につきましては,現在,高校生たちが主体的に大会の企画・運営に携わり,一所懸命,大会PRや準備に取り組んでおります。
両大会を通じて,学校における文化活動の振興及びスポーツの推進に一層取り組んでまいりたいと考えております。
次に,県内の高等教育機関における人材育成についてでございます。
本年4月,県立広島大学に中国地方で初めて経営専門職大学院,いわゆるMBAを開設いたしました。
本年度は30人の社会人学生が入学し,授業を開始しております。
次に,「安心な暮らしづくり」の分野でございます。
まず,信頼される医療・介護提供体制の構築につきましては,病床機能の分化・連携の促進,地域包括ケアシステムの確立,医療・福祉・介護人材の確保・育成を基本方針とする地域医療構想を3月に策定したところでございます。
この構想を推進するため,地域医療介護総合確保基金の積立を行うとともに,基金を財源とした各種事業の実施に必要な経費を6月補正予算に計上しております。
また,がん対策日本一に向けた取組につきましては,4月1日から,広島県がん対策推進条例により,公共施設における禁煙又は分煙の措置や,飲食店等における受動喫煙防止対策を義務化したところであり,引き続き,県民総ぐるみでがん予防に取り組む体制づくりを進めてまいります。
次に,性犯罪被害者等ワンストップ支援センターの設置についてでございます。
被害が潜在化していると言われている性犯罪の被害者等が,被害を抱え込まず,安心して,被害直後からワンストップで総合的に支援を受けることができる環境を実現するため,現在,準備を進めているところでございます。
今年度は,試行的な取組として,民間団体と連携し,性犯罪被害者等の支援のための相談窓口を設置することとしており,この利用状況等を検証することで,真に広島県の実情に適した支援体制の実現に取り組んでまいります。
最後に,「豊かな地域づくり」の分野でございます。
まず,中山間地域の地域力強化につきましては,現在,取り組んでいる人材育成や機運醸成の取組と連動して,多様な人材の交流とネットワークづくりを加速するため,県民参加型の里山交流プロジェクトを実施することとしております。
このプロジェクトは,参画者数6千人,来場者数60万人の増加を目標に掲げ,平成29年3月から11月にかけて実施する予定としております。
そのための官民一体となった実行委員会を4月20日に設立するなど,今年度は,プロジェクト実施に向けた諸準備を行うこととしており,今後,県,市町,民間団体などが連携し,中山間地域をより元気にしていくための活動の輪を大きく広げてまいります。
次に,広島西飛行場跡地活用についてでございます。
平成25年5月に広島市と共同で策定しました広島西飛行場跡地活用ビジョンの実現を目指し,昨年度,幅広い跡地利用提案を民間から募集いたしました。
今後は,選考した優秀な提案を参考としながら,本年秋頃を目途に,ビジョンをより具体化し,実現可能なものとしていくため,広島西飛行場跡地利用計画を策定してまいりたいと考えております。
引き続き,県議会を始め,県民の皆様から御意見を伺いながら,広島市と連携して,広島西飛行場跡地の活用を進めてまいります。
次に,サッカースタジアムについてでございます。
広島市長,広島商工会議所会頭との会談を開催して,昨年度末までに一定の方向性を出すこととしておりましたが,3月3日に株式会社サンフレッチェ広島の久保会長から,旧広島市民球場跡地を候補地とするスタジアム建設案が公表されたことから,その内容を確認するなど,同社との協議を行うための時間が必要であること,また,広島みなと公園にサッカースタジアムを建設することとした場合の物流機能への影響に関する港湾関係者の懸念の解消に向けて,引き続き協議を行う必要があることなどから,この会談の開催を延期いたしました。
引き続き,広島市等と連携し,株式会社サンフレッチェ広島や港湾関係者との協議に取り組み,できるだけ早く一定の方向性を出せるよう努めてまいります。
なお,広島市との連携につきましては,今月1日,広島市長と会談し,広島港港湾計画の改訂などについて,県・市でしっかり連携して進めていくことを合意いたしました。
県と広島市が緊密な協力関係を構築し,広島都市圏の中枢拠点性の向上に取り組んでいくことは,本県の魅力向上,ひいては,人口減少や東京一極集中の課題克服に不可欠であることから,今後とも,定期的に会談を開催し,広島市との連携を進めてまいります。
次に,瀬戸内 海の道構想の推進についてでございます。
4月から事業を開始した「一般社団法人せとうち観光推進機構」を中心に,同時に設立されました「株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション」や瀬戸内7県とも連携しながら,観光プロダクトの開発や受入環境の整備に取り組んでまいります。
また,10月30日に開催いたします「サイクリングしまなみ2016」につきましては,多くの方から参加申込をいただいたところでございます。
サイクリングロードとして世界に誇るしまなみ海道の魅力を参加者の皆様に存分に楽しんでいただき,また,国内外に強くアピールできるよう,開催に向けた準備を着実に進めてまいります。
さらに,多くの外国人観光客の来訪が期待できる大型クルーズ客船につきましては,本年4月以降,広島港五日市埠頭に既に5回寄港しております。
今年度の広島港の寄港予定は,五日市埠頭には初入港3隻を含め13回,宇品を含めた全体では,昨年度の約1.5倍の49回となることが見込まれております。
引き続き,乗客・乗員の方々に,広島に来て良かった,また来たいと感じていただき,継続的な寄港につなげられるよう,より良いおもてなしに取り組んでまいります。
次に,2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた取組について でございます。
3月30日に,東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の芸術文化活動を推進する知事連盟が,本県を始め,全国13都県の知事により設立されました。
今後,各都県と連携して障害者の芸術文化の魅力を発信するとともに,小・中学校での体験型授業の開催など,広島県障害者スポーツ協会と連携した障害者スポーツ振興の取組を通じ,障害者理解の促進や東京オリンピック・パラリンピックに向けた機運醸成を図ってまいります。
三点目は,広島の使命としての「国際平和拠点ひろしま構想」の推進についてでございます。
先月のオバマ米国大統領の被爆地・広島訪問は,歴史的な演説に加え,自身が折られた折鶴,被爆者との対話など,歴史的な成果を挙げ,国内外で核兵器廃絶に向けた機運が高まっております。
オバマ大統領は,核兵器がもたらす地域社会への悲惨な影響を具体的に述べられ,核兵器国は「恐怖の論理から脱し,核兵器のない世界を目指す勇気を持たなくてはいけない」と呼びかけられました。
本県といたしましても,長年求め続けた米国大統領による広島訪問の実現を,ゴールではなくスタートとして,国際平和拠点としての発信力を高めてまいりたいと考えております。
今年度は,次代の国際平和貢献人材を育成するため,8月から高校生等を対象に開講する「グローバル未来塾inひろしま」と,海外と県内の中・高校生が国際平和について議論し,平和のメッセージを世界に発信する「ひろしまジュニア国際フォーラム」の参加者募集及び選考を進めております。
さらに,平和に関する拠点性の向上に向けた取組を加速するため,国内外の経済人などによる「国際平和のための世界経済人会議」を10月に開催することとし,県内の経済団体等による,実行委員会を設立いたしました。
この会議では,マーケティングの世界的権威であるフィリップ・コトラー教授をお迎えし,世界初となる,企業活動の一環としてのマーケティングによる平和構築の取組が行われるよう,議論を展開してまいります。
また,ひろしま平和発信コンサートにつきましては,7月のクラシック・コンサートを始め,8月には,地元アーティスト・コンサートや,レクイエム・コンサートを開催し,世界共通の言語である音楽により平和のメッセージを強く発信してまいります。
こうした事業を着実に実施し,人類史上初の被爆地である広島が,国際平和拠点として,核兵器のない平和な国際社会の実現に貢献できるよう取り組んでまいります。
次に,当面する県政の諸課題への対応について,御報告いたします。
まず,鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。
鞆のまちづくりを促進するため,町中の交通処理対策,防災対策,まちづくり基金につきましては,福山市と連携・協力し,住民の皆様にも丁寧に御説明しながら,具体的な事業を昨年度から実施しているところでございます。
このうち,江之浦から焚場間の道路機能の確保につきましては,地権者の方々と協議した上で,用地測量や調査の立ち入りについておおむねの了解を得て,順次,用地交渉を進めております。
また,防災対策につきましては,防災上必要な機能を確保しつつ,鞆の景観や歴史的遺構など,価値保全の観点から必要な調査に着手しており,地元の御意見を踏まえながら,できるだけ速やかに具体的な計画を決定してまいりたいと考えております。
また,県道の渋滞緩和を目的として,鞆地区に県営の鍛冶駐車場を設置・管理するため,本定例会において,基本的事項を規定する条例案を提出しております。
一方で,山側トンネルを含む県の方針につきましては,適切な時期に,住民の皆様に対して説明会を行い,御理解をいただくよう,引き続き,誠心誠意,努力してまいります。
次に,広島高速5号線についてでございます。
広島高速5号線につきましては,先般,シールドトンネル工事契約を締結し,トンネル本体工事が本格的に動き始めたところでございます。
今後は,シールドトンネル工事に係る具体的な施工方法や,沈下量等の計測管理方法についての地元説明会を開催するなど,引き続き,広島市,広島高速道路公社と連携し,住民の皆様の御理解・御協力を得られるよう,丁寧な対応に努めながら,着実な事業推進に取り組んでまいります。
次に,広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。
当事業の見直し検討に当たりましては,現在,見直し案を基本とした調査・設計などを進めるため,関係機関との協議を進めているところであり,府中町域の準備工事につきましては,5月に着手いたしました。
また,広島市の安芸区船越地区につきましては,引き続き,広島市と連携し,住民の皆様に対して丁寧な対応を行い,見直し案に対する理解を求めているところでございます。
県といたしましては,引き続き,共同事業者である広島市とともに,できるだけ早期に事業効果が発現できるよう,取り組んでまいります。
さて,今回提出いたしました議案について,その概要を御説明申し上げます。
まず,一般会計補正予算案につきましては,平成28年度当初予算編成後の状況変化等を踏まえ,必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として,編成したところでございます。
具体的な補正の内容でございますが,農産物の生産・供給体制の強化,安定的な木材生産体制の構築支援,また,医療・介護サービスの提供体制の充実といった,「地方創生」に向けた取組に時機を逃さず対応するための経費などについて,予算を計上しております。
これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は,95億4,245万円の増額となり,本年度予算の累計額は,1兆151億7,245万円となります。
また,公の施設の管理運営業務を指定管理者に委託するため,一般会計において債務負担行為予算を計上しております。
次に,予算以外の議案といたしましては,「広島県営鞆町鍛冶駐車場設置及び管理条例」などの条例案12件,人事案件といたしましては,「広島県公安委員会委員の任命の同意について」など2件,その他の議案では,「損害賠償の額を定めることについて」など3件を提出しております。
また,報告事項として,専決処分のほか,平成27年度繰越明許費繰越計算書,県が資本金の四分の一以上を出資等している法人の経営状況説明書などを提出しております。
どうぞ,慎重に御審議いただいた上,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。