9月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,本県を取り巻く情勢などについて,御報告いたします。
まず,現在台風16号が接近中でございます。
広島県は,現在のところ,暴風域に入る見込みではなくなっておりますが,所によって激しい雨が降るおそれがあり,今月17日からの雨により地盤が緩んでいる箇所があることなどから,土砂災害に対する一層の警戒及び河川の増水に警戒が必要であるとともに,浸水害,高潮,強風,高波に注意が必要です。
このため,引き続き,県民の皆様に安全確保のための行動を呼びかけるとともに,市町,関係機関と連携して警戒体制を継続いたします。
まず,本年6月に発生いたしました災害への対応についてでございます。
6月20日から25日にかけて,梅雨前線による激しい雨が断続的に降り,県東部地域を中心に,多くの箇所で浸水や土砂崩れ,山腹崩壊等の被害が発生いたしました。
とりわけ,福山市におきましては,市内の6河川において,越水あるいは決壊,県道等の通行止めが発生するなど,地域住民の生活や経済活動にも,多大な影響が生じました。
応急対策の必要な箇所については,市町と連携して迅速な対応に努めており,特に甚大な被害のあった福山市の瀬戸川流域につきましては,再度災害の防止を図るための治水対策検討会を設置し,具体的対策を講じることとしております。
その他の地域におきましても,災害関連緊急事業等の実施に向けた準備を進めるとともに,本格的な災害復旧を図り,安全・安心の確保に向け,鋭意取り組んでいるところでございます。
本定例会におきましては,早期の災害復旧及び防災・減災対策を進めるため,補正予算を提出したところであり,引き続き,住民の方々の安全・安心の確保に努めてまいります。
次に,経済・雇用の情勢についてでございます。
県内の景気は,一部に弱めの動きがみられるものの,全体としては,緩やかな回復基調を続けております。
生産の動向は横ばい圏内の動きが続いており,雇用・労働情勢については,有効求人倍率が5か月連続して1.6倍の高水準となっているほか,雇用者所得も緩やかな増加傾向にあります。
一方で,個人消費は,スーパーや家電販売等にけん引され,全体としては底堅く推移しているものの,乗用車や海外旅行など高額商品を中心に弱めの動きとなっております。
また,設備投資や住宅着工などの民間投資は,緩やかに増加しているものの,リーマンショックを契機とする大幅な下落前の水準には至っておらず,現在の回復基調を軌道に乗せる必要があると考えております。
このため,国が8月に閣議決定した「未来への投資を実現する経済対策」に呼応して,一億総活躍社会の実現の加速,21世紀型のインフラ整備,安全・安心,防災対応の強化など,将来の基盤となる社会資本整備に向けた投資を行うため,必要な経費を9月補正予算に計上しております。
次に,本県ゆかりのスポーツ選手の活躍についてでございます。
今月10日,広島カープが25年ぶりのリーグ優勝を決め,県内は大いに盛り上がっております。
広島カープは,県内に多大な経済効果をもたらしているだけでなく,多くの県民の心のよりどころとなっており,被爆後の広島の復興の象徴でもあります。
その広島カープで,今年,黒田博樹投手が,野茂投手以来の日米通算200勝を達成し,新井貴浩選手が,プロ野球史上47人目,カープでは5人目となる2,000本安打を達成しました。
今月22日,マツダスタジアムにおいて,お二人への県民栄誉賞授与式を行います。
お二人の野球に対する真摯な姿勢や,カープ,そして広島に対する愛情に感謝を込めて,県民の皆様と共に,その偉業をたたえたいと思います。
また,先般,南米地域で初めて開催されたリオデジャネイロオリンピックにおいて,競泳・女子200m平泳ぎで金メダルに輝いた金藤理絵選手にも,県民栄誉賞をお送りすることとしております。
金藤選手は,世界ランキング第1位の重圧や,腰痛による不調の時期を乗り越え,決勝レースでは圧倒的な強さを発揮されました。
リオデジャネイロオリンピック及びパラリンピックでは,陸上・男子400mリレーで,抜群のスタートダッシュを見せ,史上初の銀メダルを獲得した山縣亮太選手を始め,パラリンピック・自転車競技の川本翔大選手や,車椅子卓球の別所キミヱ選手など,両大会合わせて12名の本県ゆかりの選手が活躍し,ジュニア選手を始め,多くの県民に勇気と感動を届けてくださいました。
このリオデジャネイロ大会の盛り上がりを,4年後の東京大会に向けた県内の機運醸成につなげていくため,来る12月,3大会ぶりの団体金メダルを獲得した日本体操選手団による報告演技会の広島開催が決定いたしました。
世界水準の技を間近に感じていただけるよう,体操協会と連携して開催に向けた準備を進めるとともに,引き続き,東京大会を見据え,地域の活性化につながる取組を,一層推進してまいります。
次に,平成28年度における主要施策の取組状況について,御報告いたします。
一点目は,災害に強いまちづくりでございます。
平成26年8月の土砂災害発生から2年が経過し,被災された方々の生活再建に向けた対策は,地域の安全性を高めるための砂防ダムの追加設置など,緊急事業と一体的に実施する事業につきましても全ての箇所において工事に着手しており,おおむね計画どおりに進捗しております。
引き続き,国・広島市と連携を図りながら,被災地の一日も早い復旧・復興に取り組んでまいります。
土砂災害防止法に基づく基礎調査結果の公表や土砂災害警戒区域等の指定につきましては,昨年3月に策定した基礎調査実施計画に基づいて取り組んでおり,これを着実に進めるため,国の経済対策を活用した9月補正予算を提出したところでございます。
基礎調査を平成30年度,土砂災害警戒区域等の指定を平成31年度までに完了させることを目標に,引き続き,全力で取り組んでまいります。
さらに,熊本地震の発生など大規模な震災に対する不安が高まる中,全国に比べて大きく遅れている私立幼稚園及び私立保育所の施設の耐震化に緊急に取り組むため,必要な経費を9月補正予算に計上しております。
広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動につきましては,今年度から,県内各企業の経営者や労働安全担当部署を訪問し,企業に勤める会社員とその家族が,避難場所,避難経路の確認や防災訓練等の実施,非常用持出品の準備や備蓄など,具体的な減災の取組を実施されるよう,働きかけを行っております。
私自身も,先月30日にマツダ株式会社を訪問し,小飼社長に具体的な取組の実施を要請して御快諾いただくなど,これまで訪問した50社以上で減災に向けた具体的な取組が進むこととなり,手ごたえを感じているところでございます。
引き続き,こうした企業での防災教育の取組が県内全域で実施されることで,災害への備えや対処方法を「知る」取組の輪が更に広がり,県民の皆様の防災意識の向上につながるよう,着実に取り組んでまいります。
二点目は,地方創生の取組についてでございます。
まず,「新たな経済成長」について御報告いたします。
多様なつながりの中で新たなアイデアや価値が創造され,新しい事業が次々と生まれる環境の構築を目指すイノベーション・エコシステムの基盤強化につきましては,これまで約3,000人が参加し,民間の自発的な動きにつながっているイノベーション・ハブを更に強化するため,7月からグーグル株式会社が進める「イノベーションジャパン」に地方自治体では初のパートナーとして参加するとともに,今後は,グーグル株式会社の協力も得ながら,県内のスタートアップ企業の育成にも取り組むこととしております。
次に,医療関連産業クラスター形成につきましては,これまで,製品開発の促進やひろしま発のビジネス創出等に取り組み,医療機器等製造企業数の増加などの成果につながっております。
本年10月には,シリコンバレーの企業や国内大手医療機器メーカー,大学,研究者などが参集する「日米医療機器イノベーションフォーラムin広島」を開催し,県内企業とシリコンバレー企業等とのコラボレーションや投資の促進により,県内企業の更なる成長を図り,医療関連産業クラスターの形成に向けた取組を加速してまいります。
次に,新成長分野の支援についてでございます。
市場の拡大が期待される航空機関連産業分野におきまして,7月に英国で開催されたファンボローエアショーで本県が初めて実施した個別商談会に,県内航空機関連企業5社が参加し,合計190件の商談が行われました。
その結果,継続商談案件が創出されるなど,市場の大半を占める海外での受注獲得に向けた動きが生まれつつあります。
引き続き,県内航空機関連産業の裾野拡大に向けた取組を進めてまいります。
次に,観光地ひろしまの推進についてでございます。
平成27年の県内総観光客数は6,618万人,外国人観光客数は166万人と,いずれも4年連続で過去最高を更新いたしました。
引き続き,観光客数の増加に向けた取組を実施するとともに,地域経済の活性化につながる観光消費額の一層の増加を図るため,宿泊消費額や飲食消費額の増加に向けた取組を進めてまいります。
とりわけ,観光消費額単価の高い外国人観光客の誘致につきましては,昨年度,アクセス件数が前年度比約1.6倍と大幅に増加した外国人向けホームページの充実強化などの取組を進めているところでございますが,広島への観光客数が急激に伸びている台湾において,一層の誘客強化を図るため,11月から12月までの間,集中的なプロモーション活動を実施することとし,必要な経費を9月補正予算に計上しております。
また,現在実施している観光プロモーション「カンパイ!広島県」につきましては,6月に発表した究極のガイドブック第3弾が多くのメディアに取り上げられ,広告換算額にして約3億円程度の効果がございました。
引き続き,本県が多彩な魅力にあふれていることを県内外の皆様に知っていただけるよう,効果的な情報発信を実施し,一層の観光客誘致につなげてまいります。
次に,広島空港の航空ネットワークの充実についてでございます。
広島-ソウル線につきまして,10月からアシアナ航空に代わり,エアソウルが就航することとなりました。
昨年10月に就航した香港エクスプレスに次ぐ国際線へのLCCの就航であり,新たな需要の掘起しにつながるものと期待しております。
また,広島空港の空港経営改革につきましては,今月6日に広島県空港振興協議会に設置された空港活性化部会から,「広島空港の将来像と今後の運営のあり方」について提言を頂きました。
提言の趣旨は,「広島空港が,中四国地方の拠点空港として更なる成長を遂げる手段として,早期に空港経営改革を導入すべきであること」,そして,「その導入プロセスを地域と適切に共有するとともに,広島空港の拠点性を高めるための戦略的な取組を進め,地域の機運醸成を図っていくこと」といった内容でございます。
空港経営改革は,広島空港の機能強化や航空ネットワークの充実といった面で大きく貢献する可能性があるものと考えており,提言の内容を踏まえつつ,幅広い御意見を伺いながら,県としての方針を決定してまいりたいと考えております。
次に,担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立についてでございます。
農業分野では,「2020広島県農林水産業チャレンジプランアクションプログラム」に基づき,平成27年度から平成29年度の3年間を集中期間として,キャベツやレモン団地の整備,生産体制の確立,新たな人材育成によるトマト産地の拡大などに向け,重点推進地区を選定し,取組を進めております。
特に,キャベツにつきましては,16億円産地計画の実現に向け,大規模農業団地として,まずは庄原市と安芸高田市で取組を進めているところでございます。
今年度は,庄原市持丸地区の10ヘクタールに加え,安芸高田市において70ヘクタールの大規模団地の造成を目指し,第一段階として,8月から原山地区で3ヘクタールの栽培が開始されました。
このような県中北部の取組に加え,実需者ニーズに応える周年供給体制を確立するため,尾道市因島地域など県南部での取組につきましても,引き続き推進してまいります。
次に,「人づくり」の分野でございます。
働き方改革の推進につきましては,県内企業の取組実態調査のほか,コンサルティングの実証事業に取り組んでおり,実証企業において,経営者や 従業員の意識の変化,業務改善といった,改革の初期段階として期待される効果が生じているかなどについて,現在,検証作業を進めております。
これらの結果を踏まえ,県内企業が働き方改革の取組を進めるに当たっての課題を明らかにし,具体的な施策を検討してまいります。
また,働き方改革や女性の活躍促進を一体的・効果的に推進するため,「働く女性応援隊ひろしま」を発展改組し,「働き方改革推進・働く女性応援会議ひろしま」を新たに立ち上げることといたしました。
10月に実施するキックオフイベントをスタートとし,経済団体・労働団体・国・県・市町等が一丸となって,働き方改革や女性の活躍促進に向けた機運の醸成,企業への働きかけに,一層取り組んでまいります。
次に,東京圏等から広島への定住促進につきましては,ひろしまらしいライフスタイルの魅力発信,移住希望者と地域のマッチング,移住者に対する受け皿づくりの一体的な展開を進めているところでございます。
今年度は,こうした取組を重点的に展開する地域として,呉市御手洗地区など6地域を「移住者受入モデル育成・支援地域」とし,今月上旬までに,6地域全てについて,地域が求める人材を確保するためのイベントを東京で開催いたしました。
また,東京での移住相談者は,平成26年度は1か月当たり90名であったところ,昨年度は120名に増加しており,こうした状況を踏まえて,本年6月,東京に設置した「ひろしま暮らしサポートセンター」の相談員を1名増員いたしました。
県内各地域の紹介や,移住希望者の最大の関心事である仕事のマッチングなどを充実させ,広島への移住促進に向けた取組を進めております。
県外学生のUIJターン就職の促進につきましては,本年8月,就職活動開始前の1・2年生を対象に,県内企業訪問や社員との交流のほか,広島でのライフスタイルの体験などを通じて,広島で住み・働く魅力を知るサマーワークショップを初めて開催いたしました。
実施後のアンケートでは,参加学生の9割以上に,UIJターン就職への意識の高まりが確認できました。
引き続き,就職活動時における県内企業との効率的なマッチング機会の提供など,県外学生のUIJターン就職者数の増加に向けた取組を進めてまいります。
「学びの変革」を先導的に実践し,県全体の教育水準向上を牽引する学校,いわゆるグローバルリーダー育成校につきましては,平成31年4月の開校に向けた諸準備に,鋭意取り組んでいるところでございます。
現在,教育カリキュラムの検討や教員の人材育成,海外とのネットワーク拡大と併せて,学校施設の設計に関する業者選定等に取り組んでいるところであり,今後,こうした取組を加速させてまいります。
次に,7月末から開催いたしました全国高等学校総合文化祭につきましては, 秋篠宮殿下並びに眞子内親王殿下の御臨席を賜り,約2万人の高校生が参加し,8万人を超える方々に御来場いただきました。
また,全国高等学校総合体育大会につきましては,県内では7市において,8競技9種目に約1万人の選手・監督が参加し,熱戦が繰り広げられ,アーチェリー競技には,高円宮妃殿下並びに絢子女王殿下の御臨席を賜りました。
両大会とも,高校生たちが主体的に企画・運営に取り組み,全国から訪れた方々をおもてなしの心で迎え,盛大に開催することができました。
これらの大会の経験を通じて,学校における文化活動の振興及びスポーツの推進に一層取り組んでまいりたいと考えております。
次に,「安心な暮らしづくり」の分野でございます。
被害が潜在化していると言われる性犯罪等の被害者が,被害を抱え込まず,安心して被害直後から総合的な支援を受けることができる環境の実現を目指し,8月30日に,「性被害ワンストップセンターひろしま」の運用を試行的に開始したところでございます。
24時間365日,専用電話により相談に応じ,被害者等が必要とする支援を実施することで,心身の負担軽減,健康の回復を図ることを目的としております。
この試行実施の状況を検証することで,本県の実情に適した支援体制の実現に取り組んでまいります。
次に,社会福祉施設の防犯対策の強化についてでございます。
神奈川県相模原市の障害者支援施設での痛ましい事件を受けて,施設入所者等の安全・安心を確保するため,国の経済対策を活用し,県内の障害者支援施設,児童養護施設等における非常通報装置や防犯カメラ等の設置を支援するために必要な経費を9月補正予算に計上しております。
最後に,「豊かな地域づくり」の分野でございます。
中山間地域の地域力強化につきましては,活性化の原動力となる人材の育成に重点的に取り組んでいるところでございます。
具体的には,昨年度に引き続き,地域の担い手の確保を目指す「ひろしま『ひと・夢』未来塾」を7月から開講するとともに,地域貢献に高い意欲を有する首都圏の若者と県内の実践者とをマッチングする事業についても,市町と連携を図りつつ,現地実習を来月スタートさせることとしております。
また,こうした人材のネットワークづくりを加速するとともに,中山間地域の活性化を図るため,来年3月から,県民参加型の交流プロジェクト「ひろしま さとやま未来博2017」を開催することとしており,先般,実行委員会におきまして,全体計画が策定されたところでございます。
このプロジェクトでは,中山間地域において,小学校の廃校舎など一定の役割を終えた施設を再生し新たな価値を生み出すリノベーション事業や,地域づくりに取り組む県民の皆様の多様な活動を後押しする「ココロザシ応援プロジェクト」などを通じて,地域をより元気にするための活動の輪を大きく広げてまいりたいと考えております。
次に,JR三江線をめぐる動きについてでございます。
今月1日,沿線6市町で構成する三江線改良利用促進期成同盟会の臨時総会において,JR西日本米子支社長から,鉄道としての存続ができないことの表明がなされました。
県といたしましては,地域のニーズを踏まえて,必要な生活交通が安定的に確保されるよう,引き続き,沿線市町や島根県と連携して対応してまいります。
次に,サッカースタジアムについてでございます。
先月と今月の2度にわたり,広島市長,広島商工会議所会頭とともに株式会社サンフレッチェ広島の久保会長との意見交換を行いました。
この意見交換では,建設候補地について,県,広島市,広島商工会議所と株式会社サンフレッチェ広島のそれぞれが改めて検討を行った上で,サッカースタジアム検討協議会の提言で挙げられた旧広島市民球場跡地と広島みなと公園の2か所を残しつつ,サッカースタジアム検討協議会の議論の 経過も踏まえ,中央公園広場をその他の候補地として,4者が協力して検討することを合意いたしました。
この意見交換の結果を踏まえ,引き続き,関係者と連携して検討を進め,方向性を打ち出していけるよう努めてまいります。
三点目は,広島の使命としての「国際平和拠点ひろしま構想」の推進についてでございます。
まず,核兵器廃絶に向けたプロセスの進展につきましては,5月のオバマ米国大統領の被爆地・広島訪問の実現を契機として,世界の政治指導者に,被爆の実相について理解を深め,核兵器の廃絶に向けた決意を固めていただくため,日本,米国及び日本と国交のない北朝鮮を除く国連加盟国190か国に対して,政治指導者の広島訪問を要請いたしました。
また,8月には,東アジアの核軍縮・軍備管理に焦点を当てた多国間協議である「ひろしまラウンドテーブル」を開催し,日本,米国,中国,韓国の核軍縮・国際関係の有識者が,国や立場を越えて,東アジア地域における,核兵器に依存しない安全保障を構築するための具体的な方策について,闊達な議論を行ったところでございます。
今後は,この議論を更に深めていくことで,核兵器廃絶に向けたプロセスの進展に貢献してまいりたいと考えております。
さらに,次代の国際平和貢献人材を育成するため,高校生等を対象とした「グローバル未来塾inひろしま」を開講するとともに,海外及び県内の中・高生等83名が国際平和について議論する「ひろしまジュニア国際フォーラム」を開催し,その成果を「広島宣言」として,世界に発信いたしました。
加えて,10月に開催する「国際平和のための世界経済人会議」では,フィリップ・コトラー教授による基調講演を始め,マーケティングによる平和構築をテーマに,多面的な議論を展開することとしております。
こうした事業を着実に実施し,被爆地である広島が,国際平和拠点として,核兵器のない平和な国際社会の実現に貢献できるよう取り組んでまいります。
次に,当面する県政の諸課題への対応について,御報告いたします。
まず,鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。
鞆のまちづくりを促進するため,福山市と連携・協力し,住民の皆様にも丁寧に御説明しながら,昨年度から具体的な事業を実施しております。
このうち,町中の交通処理対策につきましては,今月始め,県営鞆町鍛冶駐車場の現地工事に着手し,また,江之浦から焚場間の道路機能の確保について,地権者の方々との用地交渉を進めております。
防災対策につきましては,文化財等の取扱いに関する協議や,防災上必要な機能の確保と,景観や歴史的遺構など価値保全の観点から必要な調査を行い,地元の御意見も踏まえながら進めております。
一方で,山側トンネルを含む県の方針につきましては,適切な時期に住民の皆様に対して説明会を行い,御理解をいただくよう,引き続き,努力してまいります。
また,先日,福山市長が就任の御挨拶にお見えになりましたが,福山市は,本県はもとより中国・四国地方においても重要な位置を占める拠点都市であり,福山市の拠点性を高め,活性化させていくことが,本県にとっても非常に重要なことだと考えております。
連携・協力の更なる推進に向け,広島市と同様に,定例的にトップ会談を行うことで一致したところであり,今後,実施に向けて調整を図ってまいります。
次に,広島市東部地区連続立体交差事業でございます。
当事業につきましては,現在,見直し案を基本とした調査・設計を行うなど,関係機関との協議を進めております。
また,広島市の安芸区船越地区につきましては,広島市主催の「船越まちづくりオープンハウス」に参加するなど,広島市と連携して,住民の皆様に対し丁寧な説明を行い,見直し案に対する御理解をいただくよう努めているところでございます。
引き続き,共同事業者である広島市と共に,できるだけ早期に事業効果が発現できるよう,取り組んでまいります。
さて,今回提出いたしました議案について,その概要を御説明申し上げます。
まず,一般会計補正予算につきましては,6月補正予算編成後の状況変化や,国の経済対策に対応することを基本として,編成したところでございます。
具体的な補正の内容でございますが,「災害に強いまちづくり」や「地方創生」に向けた取組に時機を逃さず対応するための経費などについて,予算を計上しております。
これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は,221億7,324万円の増額となり,本年度予算の累計額は,1兆373億4,568万円となります。
次に,予算以外の議案といたしましては,「広島県縮景園設置及び管理条例及び広島県立美術館条例の一部を改正する条例」などの条例案5件,人事案件といたしましては,「広島県教育委員会委員の任命の同意について」など4件,その他の議案では,「工事請負契約の締結について」など4件を,また,報告事項として,専決処分報告などを提出しております。
どうぞ,慎重に御審議いただいた上,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。