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平成29年広島県議会12月定例会(平成29年12月7日)

印刷用ページを表示する掲載日2024年6月7日

知事説明要旨

12月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,私の三期目の県政運営に当たっての基本的な考え方を申し述べ,議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

私は,今回の選挙期間中,県内の旧86市町村を巡り,多くの県民の皆様と接し,本当に暖かい御声援をいただきました。

これまでの取組の成果を基盤に,課題にしっかりと取り組むことにより,活気あふれる広島県を実現してほしいという皆様の御期待と,責任の大きさを強く感じております。

思えば,私が知事に初当選いたしました平成21年は,日本全体が人口減少局面に突入し,リーマンショック後の世界的不況もあって,先行きに対する閉塞感が漂っていたように思います。

厳しい社会経済情勢に直面し,とりわけ「人づくり」及び「新たな経済成長」の分野で重点的な取組を進めてまいりました。

その結果,子供たちの学力の定着が進み,さらには広島版「学びの変革」を進めております。

また,イノベーション立県に向けた取組を通じ,経済・産業面は全国を上回る回復を続けております。

これらの成果を定着させ,更に押し上げながら,広島叡智学園中学校・高等学校の開校,第4次産業革命への的確な対応といった,一歩先の取組へ踏み出してまいります。

さらに,社会的・経済的環境から十分な成長や学びの機会を持てない子供たちを始め,急速な人口減少に伴い暮らしの基盤が弱まりつつある中山間地域など,課題を抱える人々や地域に対して,しっかりと取り組むことで,誰も置き去りにしない県行政を進め,中長期的な広島県の発展を目指してまいります。

今後,改めて初心に返り,県民の皆様,議員の皆様,そして県職員と共に,「広島に生まれ,育ち,住み,働いて良かった」と心から思える広島県の実現に向けて,全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 

1, 本県を取り巻く情勢と認識

続きまして,本県を取り巻く情勢と認識について御報告いたします。

先月26日から30日にかけて,広島市にて,ユース非核特使フォーラム,核軍縮の実質的進展のための賢人会議及び国連軍縮会議が連続して開催されました。

核兵器禁止条約の採択や,国際NGO「ICAN」のノーベル平和賞受賞により,核軍縮への国際的な機運が高まると同時に,核兵器国と非核兵器国との間の溝が深まる中,世界で最初の被爆地であるここ広島に,世界中から,政府高官や軍縮問題の専門家,次代を担う若者が集い,議論が行われたことは,大変,意義深いことと考えております。

中でも,賢人会議では,来年春のNPT運用検討会議第2回準備委員会に向けて,国際社会の協力と信頼を再構築し,核兵器のない世界に向けた現実的かつ実践的な道筋の進展に資する提言を行うため,活発な議論が行われたところです。

本県といたしましても,本年8月のひろしまラウンドテーブルで,核軍縮に向けた具体的なプロセスを進展させる方策としてまとめた議長声明を,賢人会議にて各委員に配付いただいたところであり,今後も,こうした具体的な貢献ができるよう,積極的な取組を進めてまいります。

また,平成31年に日本で開催されますG20関係閣僚会議につきまして,先般,広島市との共同誘致を表明いたしました。

G20を構成する主要先進国及び新興国の政治リーダーに,広島の地で被爆の実相に触れていただくことを願っております。

次に,経済・雇用の情勢についてでございます。

県内の景気は,生産,設備投資,住宅投資が緩やかに増加しており,また,個人消費も持ち直しを見せるなど,全体として,緩やかに拡大しています。

雇用・労働情勢につきましても,有効求人倍率が1.8倍を超える高水準で推移し,雇用者所得も緩やかな増加傾向にあるなど,着実な改善が続いております。

一方で,県内の中小企業では,燃料や原材料の値上がりによる収益の悪化が懸念されており,また,様々な業種において,人手不足の声もございます。

県内経済の好況感が,より多くの企業に好影響をもたらし,県民の皆様お一人おひとりが欲張りなライフスタイルを実現できるよう,引き続き,様々な分野で欲張りライフを応援する施策を展開してまいります。

 

2, 平成29年度主要施策の取組状況

続きまして,本年度の主要な施策の取組状況について,御説明いたします。

【欲張りなライフスタイルの実現に向けた取組】

(成育環境の違いにかかわらず,全ての子供が健やかに夢を育むことのできる社会づくり)

一点目は,「成育環境の違いにかかわらず,全ての子供が健やかに夢を育むことのできる社会づくり」でございます。

多くの方々に御協力をいただきました子供の生活に関する実態調査につきましては,暫定値ではございますが,昨日,結果の速報を公表いたしました。

この調査では,生活の状況を,「世帯の所得」のみでなく,子供の成育環境全体で把握すべきと考え,経済的な理由から,必要な食料が買えなかった経験があるなどの「家計の逼迫」や,習い事やレジャー,子供用品の不足など「子供の体験や所有物の欠如」という三つの要素に着目して分析いたしました。

この三つの要素のうち,いずれか一つに該当し,生活が困難な状況にあると思われる世帯は,小学校5年生の家庭で25.6%,中学校2年生の家庭で27.8%となっています。

家庭の経済的事情が,子供たちの学び,生活,健康面に影響を及ぼしていると考えられることから,引き続き,詳細な分析を進めるとともに,今後,これまで有識者から頂いた御意見等を踏まえ,学びのセーフティネット構築など,次年度以降に実施する具体的な施策について検討してまいります。

 

(個人の状況やライフスタイルに応じた多様な働き方の促進)

二点目は,「個人の状況やライフスタイルに応じた多様な働き方の促進」でございます。

県内における働き方改革及び女性の活躍を推進するため,県内企業の取組を身近な優良事例として発信するウェブサイト「Hint!ひろしま」を10月に開設いたしました。

働き方改革実践企業の認定を受けた企業や,女性の活躍に関して先進的な企業の
取組内容や成果などを広く発信することで,県内企業の取組を牽引してまいりたいと考えております。

また,企業への個別支援として,働き方改革を実践するノウハウの不足など,課題を抱える企業40社以上を対象とした外部専門家によるアドバイスや,企業内で取組の中心となる人材の養成講座を実施しております。

各企業においては,専門家の支援を受けながら,自社の課題を分析し,従来の取組の見直しや新たな実行プランの作成などを進めており,引き続き,企業のニーズや状況に応じたきめ細かい支援により,県内企業の取組を後押ししてまいります。

 

(雇用や強い地域経済をつくるためのイノベーションの加速)

三点目は,「雇用や強い地域経済をつくるためのイノベーションの加速」でございます。

10月に開設いたしました,ひろしまデジタルイノベーションセンターにつきましては,地域産業の競争力強化を目的に,クラウド型スーパーコンピュータや解析用ソフトウェア等の利用環境を提供しており,現在,7社が利用登録をされております。

既に多くの方に受講いただいております研修事業と併せて,引き続き,デジタル分野におけるイノベーションを推進してまいります。

次に,多様な投資誘致の促進についてでございます。

昨年度から,本社機能を本県に移転した企業等に対する新たな企業立地促進助成制度を創設し,人材や機能に着目した企業誘致を積極的に展開しております。

これまで,五つの企業の本社又は研究機関が,この助成制度を申請し,県内への移転が実現いたしました。

12月1日には,三菱重工業株式会社とドイツ・シーメンス社による合弁会社の日本法人である「プライメタルズテクノロジーズ ジャパン株式会社」が,本社を東京都港区から広島市西区に移転し,業務を開始したところです。

また,県内産業団地への従来型の企業誘致につきましては,三原市と共同で整備を進めております本郷産業団地で,来年1月から造成工事に着手することとなりました。

企業の立地ニーズを取り込み,早期の企業立地を図るため,工事着手と同時に公募分譲を開始したいと考えており,そのために必要な財産処分の議案を提出しております。

次に,広島空港の拠点性強化についてでございます。

10月に,国において,空港経営改革に係る基本スキーム案が公表され,マーケットサウンディングが実施されるなど,平成33年の民営化事業開始に向けた制度設計が本格化しております。

こうした中,県では,広島空港コンセッションセミナーを開催し,全国から御参加いただいた110社220名を超える方々に,空港経営改革に向けた県の取組を直接発信したところです。

今後も,引き続き,国等と連携し,地域の活性化に資する空港経営改革の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。

 

(都市の魅力向上と中山間地域の地域力強化)

四点目は,「都市の魅力向上と中山間地域の地域力強化」でございます。

本年3月に開幕いたしました,「ひろしま さとやま未来博2017」は,先月

26日のクロージングイベント「さとやま3つ星未来フェスタ」をもちまして,

8か月間の会期を終了いたしました。

会期中には,約1万2千人の御参画をいただき,来場者増加数は70万人を超えるなど,当初の目標を上回る多くの方々に「さとやま未来博」に関わっていただくことができました。

中山間地域の価値に共鳴し,地域の人たちとつながりを持ちながら,里山に関わる人が増えたことに,手応えを感じております。

今後は,中山間地域で地域づくりに取り組む人や活動をつなぐプラットフォームである「ひろしま里山・チーム500」を通じ,人と人の輪を広げ,地域を支える人材による実践活動が一層活発化するよう,引き続き,支援してまいります。

次に,都市圏の活力強化についてでございます。

現在,広島都市圏では,1千人規模の国際会議を開催できる会議場や,その参加者の多くと観光客が宿泊するホテルが不足しており,これらの機能の充実強化を図ることが急務となっております。

広島市都心部のにぎわいと交流を生み出し,更なる観光振興を図る観点から,中区富士見町の広島東警察署からエソール広島までの区画において,会議場やホテルなどの機能を有する施設の進出を受け入れる環境の整備を進めてまいります。

これに伴い,エソール広島について,県が有する区分所有権等を売却する議案を提案しております。

引き続き,広島市と共同で策定いたしました「ひろしま都心活性化プラン」に基づいて,地域資源と都心空間の魅力向上を図り,他の地方都市に対する競争力と,広島の国際的なブランド力の向上に努めてまいります。

次に,サッカースタジアムについてでございます。

今月1日,中央公園広場の実現可能性調査の結果を含む各建設候補地の比較資料を公表いたしました。

引き続き,地元の方々と意見交換を行いながら,県,広島市,広島商工会議所の三者が連携して,三つの候補地について,まちづくりの観点などからの検討を進め,方向性を打ち出していけるよう努めてまいります。

次に,東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした地域活性化についてでございます。

メキシコオリンピックチームの事前合宿の受入れにつきましては,早くも来年,13競技団体が,本県で事前合宿を実施する意向を表明されました。

10月中旬以降,合宿地に決定した10市町において,これらの競技団体の視察が行われたところでございます。

各合宿地の関係者との間で,選手団の受入期間及び規模を確認するとともに,合宿に係る詳細な支援内容や,合宿と併せて実施する地域の方々との交流内容について,合意署名されました。

今後,各合宿地において,市町を中心に,競技団体,施設管理者等の関係者による受入準備組織を設立し,この合意に沿った合宿受入れと交流の準備を着実に進めていただくこととしております。

県では,通訳の確保など,合宿受入れに係る共通課題の解決や,教育・スポーツなど多方面での交流効果を県域で最大限に発揮させる観点から,全県的な推進体制を整備し,多様な分野の関係者と連携して,各合宿地における取組を支援してまいります。

また,先月20日,東京オリンピックの追加種目であるスケートボード,スポーツクライミングを始めとする都市型スポーツの世界最高峰の大会が,日本で初めて,
来年4月に「FISEワールドシリーズ広島2018」として開催されることが発表されました。

若い世代を中心とする多くの方々に,広島の国際平和に対する願いに触れていただく絶好の機会であり,また,県内スポーツの裾野の拡大,東京オリンピック・パラリンピックに向けた機運醸成につながることから,広島市を始め関係団体等と連携してこの大会の成功に向けて取り組んでまいります。

さらに,先月12日には,「2018NHK杯国際フィギュアスケート競技大会」の開催地が発表され,27年ぶりの広島開催が決定いたしました。

加えて,「ジャパンウイメンズオープンテニス2018」が9月に開催されるなど,
来年は,多くの国際競技大会が広島で開催されます。

いずれの競技も,近年,日本人選手の活躍が目覚ましく,非常に人気が高まっていることから,これらの大会の開催が,本県のスポーツ振興に向けた大きな力になるものと期待しております。

 

【その他の主要施策】

続いて,その他の主要施策について御説明いたします。

 

(災害に強いまちづくり)

災害に強いまちづくりの分野でございます。

平成26年8月の土砂災害被災地域における防災施設整備につきましては,引き続き,地域の安全性を高めるため,国や広島市と連携を図りながら整備を進めてまいります。

土砂災害警戒区域等の指定に向けた取組につきましては,基礎調査を平成30年度,区域指定を平成31年度までに完了させることを目標に,現在,調査対象である377小学校区のうち,288校区の調査に着手しており,計画的に調査を進めております。

また,急傾斜地や土石流の現地調査における業務量の増加等に対応するとともに,来年度が最終年度となる基礎調査を確実に完了するため,調査を前倒しして実施することとし,必要な経費を12月補正予算に計上しております。

次に,広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動についてでございます。

本年10月から,地域の子育て支援に関わる方や育児サークルの運営者などを対象に,女性向けの防災教室の推進役を育成する講座を開催いたしました。

これらの方々に,それぞれの所属団体等で実践していただくことにより,これまで参加機会の少なかった子育て世代等の女性に対する防災・減災の取組の拡大を図ってまいります。

 

3, 当面する県政の諸課題への対応

次に,当面する県政の諸課題への対応について,御報告いたします。

まず,鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。

鞆のまちづくりを促進するため,町中の交通処理対策として,電線の地中化工事や江之浦から焚場間の用地交渉等を進めるとともに,防災対策として,雁木の復元工事や江之浦から焚場間の護岸整備に係る調査・設計等を進めております。

また,先月28日には,鞆地区の約8.6ヘクタールが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され,10月には,ユネスコの「世界の記憶」への朝鮮通信使に関する記録の登録が決まりました。

今後とも,鞆の歴史・伝統を尊重した上で,住民の皆様が,将来にわたって安心して住み続けることができるよう,福山市と連携・協力し,鞆のまちづくりの諸課題解決に向けて,全力で取り組んでまいります。

次に,広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。

現在,広島市において,船越地区住民の皆様の御理解が得られるよう,JR西日本等の関係者と協議を行いながら,鉄道の一部高架化を含めた対応策について検討が進められており,できるだけ早い時期に検討結果を示したいとされています。

県といたしましては,引き続き,共同事業者である広島市と共に,できるだけ早期に事業効果を発現できるよう,取り組んでまいります。

 

4, 12月補正予算案等の概要

次に,今回提出いたしました議案について,その概要を御説明申し上げます。

まず,一般会計補正予算案につきましては,9月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ,必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として,編成しております。

具体的な補正の内容でございますが,欲張りなライフスタイルの実現や災害に強いまちづくりに向けた取組に時機を逃さず対応するための経費などについて,予算を計上しております。

また,職員の給与について,去る10月6日に行われました,人事委員会の勧告等の趣旨を尊重し,給料月額や勤勉手当などを引き上げる措置を講ずることといたしております。

これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は,16億4,717万円の増額となり,本年度予算の累計額は,9,894億3,386万円となります。

次に,予算以外の議案といたしまして,職員の給料月額等を改定する条例案など7件,人事案件といたしまして「広島県収用委員会委員及び予備委員の任命の同意について」の1件,その他の議案では,「工事請負契約の変更について」など10件を提出しております。

また,報告事項として,専決処分報告を提出しております。

どうぞ,慎重に御審議いただき,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

 

追加提出議案(平成29年12月18日)

知事説明要旨

ただいま追加提出いたしました議案は,教育長の任期満了に伴う後任教育長の任命について,県議会の同意を求める議案でございます。

どうぞ,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

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