2月定例県議会の開会に当たり,県政運営の基本的な考え方や来年度における施策の概要等を申し上げた上で,ただいま提出いたしました平成30年度当初予算案を始めとする議案等の概要を御説明いたします。
まず,経済・雇用の情勢について御報告いたします。
県内の景気は,生産,輸出,設備投資ともに増加傾向にあり,個人消費も持ち直すなど,全体として,引き続き緩やかに拡大しております。
雇用・労働情勢につきましても,昨年12月の有効求人倍率は43年ぶりに2倍を超え,雇用者所得も緩やかに増加するなど,着実な改善が続いております。
一方で,有効求人倍率の上昇に伴う人手不足の深刻化に加え,先月末から続く世界同時株安や,円高の進行など,不安定な要素もありますことから,こうした情勢が県内企業に与える影響を注意深く見ていく必要があると考えております。
次に,平成30年度の政策の基本方向について申し上げます。
平成21年からの2期8年間,急速に進展する人口減少・少子高齢化や,経済活動を始めとするグローバル化といった,本県の未来を展望する上で重要な社会変化に的確に対応しながら,目指す姿に近付くための施策に取り組んでまいりました。
平成27年には,ひろしま未来チャレンジビジョンを改定し,仕事と暮らしのどちらもあきらめずに追求できる「欲張りなライフスタイルの実現」を掲げ,県民の皆様に共感していただくとともに,希望の実現に向けた行動変容が広がるよう取組を進めております。
今後は,これまでに得られた成果や変化をより確かな軌道に乗せ,次のステージにつなげるため,県民の皆様の欲張りライフの実現を応援する施策として,希望をかなえるための後押し,ゆとりの創出,地域活力の基盤づくり,暮らしを楽しむ機会の創出,災害に強いまちづくり,広島の価値の共鳴・共振の6つの柱に基づいて,総合的に施策を推進してまいります。
とりわけ,社会経済情勢が好調な今,社会的,経済的な格差の顕在化,人手不足や原材料費の高騰などにより課題を抱える人々,地域,企業に対して,しっかりと取り組むことで,誰も置き去りにしない県行政を進めることが重要であると考えております。
このため,来年度は,全ての子供が夢を育むことのできる社会づくり,第4次産業革命を好機とした生産性革命,中山間地域の地域力強化及び都市圏の活力強化,スポーツを核とした地域づくりという4つの視点から,特徴を持った施策を進めてまいります。
続いて,この基本方向に基づき編成いたしました平成30年度の主要施策の概要について,御説明いたします。
一点目は,「全ての子供が夢を育むことのできる社会づくり」でございます。
貧困の世代間連鎖を断ち切るため,全ての子供たちが,家庭の経済的事情にかかわらず,その能力と可能性を最大限高めることができるよう,小学校低学年から,学力に課題のある児童生徒へのきめ細かい指導の充実や,スクールソーシャルワーカーの配置による相談支援体制の強化など,学びのセーフティネットの構築を進めてまいります。
また,一人ひとりの子供が置かれている成育環境に応じた支援を実施するため,各地域の実態に合わせた多様な主体による推進体制を構築するほか,勉強や活動の基盤として重要性が認識されている朝食を欠食している子供たちに,朝ごはんを提供する仕組みを探るためのモデル事業を先行して実施いたします。
次に,誰もが安心して子育てができる環境整備についてでございます。
妊娠,出産,子育て中の親等の子育てと見守りの拠点となるひろしま版ネウボラにつきましては,妊娠期から子育て期に,誰もが必ず訪れる仕組みづくりを進め,モデル市町における取組の成果と,全県への設置促進に向けた課題を検証してまいります。
このため,モデル市町を,中山間地域を含む6市町に拡大するとともに,専門職確保のための研修を行ってまいります。
また,乳幼児期の教育・保育の充実につきましては,国の待機児童解消対策により,平成32年度末までに,保育の受け皿を32万人分確保することとされております。
一方で,教育・保育の無償化が議論されており,更なる保育ニーズの拡大も懸念されます。
本県では,子供たちの教育・保育には,無償化による負担軽減と併せて,量的拡大及び質の向上のベストミックスが重要であると考え,他県と協調して国への提案活動等を行っております。
この考え方に基づき,保育士の勤務労働条件の改善に積極的に取り組んでいる保育施設の支援や,若手保育士等への実習の実施など,保育の受け皿の核となる保育士の確保と,保育の質の向上につながる取組を重点的に行うことにより,待機児童の解消を目指すとともに,質の高い保育サービスの提供を進めてまいります。
さらに,昨年2月に策定いたしました「遊び 学び 育つひろしまっ子!」推進プランに基づいて,県庁内に,仮称ではございますが「幼児教育センター」を設置し,このセンターを基点に,家庭教育や教育・保育施設への支援などの施策を総合的に実施してまいります。
次に,広島版「学びの変革」の推進についてでございます。
広島叡智学園中学校・高等学校の平成31年4月の開校に向けて,第1期建設工事を進めるとともに,万全な体制で開校を迎えることができるよう,校長を中心とした開校準備のための組織体制を整え,生徒募集に向けた説明会の実施や,授業案の試行など,準備を進めてまいります。
また,本年4月に開校いたします広島みらい創生高等学校につきましては,個々の生徒の進路希望やライフスタイル等に応じた柔軟な学びの提供に向けて,引き続き,広島市と連携を図りながら着実に準備を進めてまいります。
さらに,備北地域における中高一貫教育の機会を選択できる環境を提供するため,広島県立三次高等学校内に設置いたします中学校につきましては,校名案を「広島県立三次中学校」とし,広島県立高等学校等設置条例の改正案を提出しております。
今後,施設等の整備や中・高6年間を見通した教育カリキュラムの策定など,平成31年4月の開校に向けた準備を着実に進めてまいります。
二点目は,「第4次産業革命を好機とした生産性革命」でございます。
生産年齢人口の減少や経済のグローバル化の進展など,著しい環境変化に対応するためには,第4次産業革命に的確に対応し,本県産業における効率性の向上や付加価値の創出などにより,持続的な成長を実現していく必要がございます。
IoT,AI等のデジタル技術を活用し,生産性の向上又は新たな商品やサービスの創出に向けて,あらゆる実証実験を行う場を構築し,県内外の多様な人材や企業が集まる好循環を作り出してまいります。
中小企業・小規模企業の持続的な成長につきましては,昨年10月に制定された広島県中小企業・小規模企業振興条例を踏まえ,地域経済を支える重要な担い手として,社会経済情勢の変化に対応する総合的な支援を行ってまいります。
このうち,中小企業の人材確保に対する支援といたしまして,従業員の奨学金返済を支援する経費の一部補助や,県内企業への就職を希望する第二新卒者とのマッチング機会の提供を行ってまいります。
あわせて,人手不足の課題が顕著な運輸業界に対し,女性ドライバー確保に向けたセミナーの開催やイメージ向上の取組など,モデル支援事業を実施してまいります。
また,市町の産業用地開発を後押しするため,調査費や造成費の助成制度を設け,企業ニーズに対応する産業用地の確保に努めるなど,産業振興や雇用創出に取り組んでまいります。
次に,働き方改革の推進についてでございます。
企業の取組段階に応じて,外部専門家によるアドバイスなどの支援を実施し,また,今年度,46社が働き方改革実践企業として認定されるなど,取組への機運も高まっております。
引き続き,優良事例の見える化を始め,企業のニーズや状況に応じたきめ細かい支援を実施するとともに,経済団体等との連携により,経営者層への働きかけを強化し,働き方改革に取り組む企業の裾野を拡大してまいります。
さらに,企業の生産性向上への支援といたしまして,とりわけ,製造業に比べて
労働生産性が低いと言われているサービス産業を対象に,イノベーションを創出するための組織づくりを学ぶスクールの開催や,ITベンダーとのマッチングの場の提供などを行い,付加価値の創出や業務の効率化を図ってまいります。
三点目は,「中山間地域の地域力強化及び都市圏の活力強化」でございます。
昨年3月から11月にかけて,中山間地域全域で開催いたしました「ひろしま さとやま未来博2017」には,1万3千人を超える方々に御参画いただき,若い世代を中心に,地域づくりに取り組む動きが広がりを見せております。
来年度は,この成果をより確かな軌道に乗せていくため,金融機関,行政等が一体となって地域づくり活動をサポートするコンソーシアムを設置するとともに,クラウドファンディングを活用した地域課題の解決につながる取組を支援し,意欲ある人材の新たなチャレンジを一層積極的に後押ししてまいります。
あわせて,中山間地域における廃校施設や古民家等の地域資源を活用したサテライトオフィスの誘致に取り組む市町を支援し,中山間地域ならではの仕事づくりにつなげてまいります。
また,中山間地域を始めとする各地域の特色に沿って,県民の安全・安心を確保するため,県土保全対策に重点的に取り組み,公共土木施設の長寿命化に資するインフラ老朽化対策と併せ,県土の基盤である社会資本を適切に維持管理してまいります。
特に来年度は,道路環境を効率的に維持するための除草対策や,近年の豪雨災害等を踏まえた河川の浚渫などを一層推進してまいります。
これらの対策を担う地域の建設産業等の担い手確保に向けて,若手技術者スキルアップセミナーの開催や業界団体等と連携した学生向け説明会などにも,引き続き取り組んでまいります。
次に,都市圏の活力強化についてでございます。
広島市都心の拠点性向上を図るため,広島市と共同で策定いたしましたひろしま都心活性化プランに掲げる将来像の実現に向けて,中枢都市にふさわしい都市機能の充実・強化に取り組んでおります。
引き続き,広島市や経済界などと一体となって,紙屋町・八丁堀地区におけるエリアマネジメント組織の設立支援や民間の投資を呼び込むための仕組みづくりなど,
都心の活性化に向けた取組を推進してまいります。
また,備後圏域の玄関口である福山駅前地区の活性化を図るため,福山市が今年度策定する福山駅前再生ビジョンの検討に参画しております。
来年度から,福山市がこのビジョンに基づき行う,福山駅前の賑わい創出に向けた,まちづくりをけん引する人材の育成や機運醸成などの取組を支援してまいります。
サッカースタジアムにつきましては,広島みなと公園,旧広島市民球場跡地に中央公園広場を加えた三つの候補地について,引き続き,県,広島市,広島商工会議所の三者が連携して,地元の方々との意見交換やまちづくりの観点からの検討を進め,方向性を打ち出していけるよう努めてまいります。
広島空港の経営改革につきましては,国において,昨年10月に基本スキーム案の公表やマーケットサウンディングが実施されるなど,平成33年の事業開始に向けた手続が本格化してまいりました。
来年度は,事業者の公募が開始される予定となっており,空港ビルや空港周辺県有施設を含めた一体的な運営に向けた検討を進め,地域の活性化に資する空港経営改革の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に,東京圏等から広島への定住促進についてでございます。
東京圏で高まりつつある地方移住の機運を取り込み,広島への移住につなげる大きな流れを作り出すため,AIを活用した相談対応と情報提供の仕組みづくりに着手し,ひろしま暮らしサポートセンターを訪れることができない多くの移住希望者の移住を後押ししてまいります。
引き続き,市町や地域,企業等と連携し,広島らしいライフスタイルの魅力発信,
移住希望者と地域のマッチング,移住者に対する受け皿づくりの三つの柱を総合的に進めてまいります。
四点目は,「スポーツを核とした地域づくり」でございます。
メキシコオリンピックチームの東京オリンピックに向けた事前合宿の受入れにつきましては,早くも本年4月から9月までに13競技の合宿が,県内10市町で実現いたします。
これに向けて,各合宿地において受入準備組織を設立し,合宿受入れと交流の準備を進めております。
さらに,メキシコオリンピック委員会から,2020年までの合宿計画が提示されたことを受けて,合宿受入れに係る共通課題の解決や,スポーツ・教育など,多方面での交流効果を全県に波及させる観点から,今月8日にメキシコ選手団キャンプ受入・交流全県推進会議を設立いたしました。
引き続き,万全の受入体制の実現に向けて,準備を進めるとともに,多くの県民の皆様に御参加いただけるよう,幅広い分野の関係者と連携して,機運醸成に努めてまいります。
また,本年4月6日から8日までの3日間,都市型スポーツの世界大会「FISEワールドシリーズ広島2018」が開催されます。
先月16日に設立された主催団体と連携し,県・広島市を始め関係団体一丸となって,大会のPR及び観客の周遊促進,また,広島の魅力発信など,海外50か国へ映像配信されるこの大会の特徴を最大限に活用した取組を進めてまいります。
このほか,来年度は,女子テニスやフィギュアスケートなど,多くの国際競技大会が開催されますことから,これらの大会を通じて,県民の皆様に多様なスポーツを楽しんでいただく機会を提供するとともに,スポーツを核として,観光,文化,教育などの多方面に渡る施策の推進を図り,地域の活性化につなげてまいります。
続いて,その他の欲張りライフを応援する施策について御説明いたします。
まず,観光地ひろしまの推進についてでございます。
昨年12月に策定いたしました新たなひろしま観光立県推進基本計画に基づき,特に観光消費額単価の高い外国人宿泊客の誘客など,本県観光産業の拡大に向けた取組を一層進めてまいります。
具体的には,宿泊につながる夜や早朝の魅力づくりとして,外国人観光客向けの夜神楽など,ナイトエンターテイメントの実施や,滞在時間の延長につながる体験プログラムの開発に取り組むとともに,効果的なプロモーションを実施することにより,平成34年の観光消費額5,250億円の目標達成に向け,積極的に取り組んでまいります。
次に,担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立についてでございます。
本県農林水産業が将来にわたって持続的に発展することを目指す「2020広島県農林水産業チャレンジプラン アクションプログラム」に基づき,キャベツやレモンの大規模農業団地の整備などの取組を推進し,中山間地域の基幹産業である農林水産業の雇用創出を図ってまいりました。
大規模農業団地の整備や,担い手のニーズに即した優良農地の集積を引き続き進めるとともに,経営規模の拡大に向けたICTやGAPの導入支援,県内企業の農業参入促進などを通じて,経営力の高い担い手の育成・確保を推進してまいります。
かき養殖の安定化に向けては,今年度発生した採苗不調に関する科学的根拠の究明と,採苗エリアの拡大に向けた取組により,種苗の確保対策を進めてまいります。
また,新たに県東部海域の殻付きかき養殖を推進し,生食用殻付きかきの周年出荷に向けた体制を構築してまいります。
さらに,日EUのEPA及びTPP11による本県農林水産業への影響が最小限となるよう,畜産物や木材製品等の国際競争力の強化に取り組んでまいります。
次に,信頼される医療・介護提供体制の構築についてでございます。
団塊の世代の方々が75歳以上となり,医療や介護の需要が大きく増加する
2025年を見据え,県民の皆様の生活の質の向上を目指して,健康ひろしま21,広島県保健医療計画,ひろしま高齢者プラン等の策定を進めております。
これらの関連する計画全体の総括目標を「健康寿命の延伸」として,一体的に策定し,施策を推進することにより,心身ともに健康で,安心して暮らせるよう,信頼される医療・介護提供体制の構築に取り組んでまいります。
地域包括ケアシステムにつきましては,今年度末までに県内125の全ての日常生活圏域での構築に向けて,専門職の派遣等の支援に取り組んでおります。
今後は,このシステムの強化に向け,医療・介護連携の充実,介護予防の推進,高齢者本人の意欲を引き出す自立支援型ケアマネジメントの普及などに取り組んでまいります。
がん対策につきましては,がん検診を実施していない企業への働きかけや,がん検診一斉受診月間の設定など,がん検診受診率向上対策と,働く世代のがん患者が治療と仕事を両立できる仕組みづくりに取り組んでまいります。
国民健康保険の制度改革につきましては,来年度から6年間の運営方針となります広島県国民健康保険運営方針を策定し,市町ごとの納付金及び標準保険料率の算定などの準備を進めてまいりました。
来年度からは,県が財政運営の責任を負う保険者として,市町と連携し,県内の保険料水準の統一を目指して,新たな国民健康保険制度の円滑な運営に努めてまいります。
次に,「災害に強いまちづくり」の分野でございます。
平成26年8月の土砂災害被災地域における防災施設整備につきましては,引き続き,地域の安全性を高めるため,国や広島市と連携を図りながら整備を進めてまいります。
土砂災害警戒区域等の指定に向けた取組につきましては,区域指定を平成31年度までに完了させることを目標に,現在,調査対象である377小学校区のうち288校区の調査に着手しております。残る89校区につきましても,発注手続を前倒しして行うなど,基礎調査を計画どおり来年度内に完了させるよう,着実に進めてまいります。
また,昨年7月の九州北部豪雨などの近年の豪雨災害を踏まえて,流木対策に重点を置いた土砂災害防止対策や河川監視体制の充実強化を図るための水位計の増設を推進してまいります。
次に,広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動についてでございます。
昨年,災害の種別に応じた避難場所・避難経路の確認などの「知る」取組につきまして,更に高い目標に引き上げたことを踏まえ,全ての行動目標の起点となる「知る」取組を継続して推進してまいります。
未だ目標に達していない,防災・減災活動を「実践する」取組につきましては,勤務先,子育て世代,高齢者などのコミュニティ単位での防災教室の開催など,多様な場で防災活動が実施されるよう,重点的に取組を進めてまいります。
次に,「広島の価値の共鳴・共振」の分野でございます。
先月23日から26日までの4日間,世界経済フォーラム年次総会,いわゆるダボス会議への招待を受け,参加してまいりました。
世界各国の政治指導者や経営者など,各界のリーダーが参集するこの会議におきまして,本県の取組を紹介し,また,多くの参加者と議論する中で,広島県の課題と世界の課題は実はとても近く,共通するものが多いことを改めて実感いたしました。
国際的安全保障に対する核の脅威についてのセッションでは,参加者を通じて各国の皆さんに被爆地訪問を呼びかけるとともに,核抑止とは何のためのものか,より詳細な議論が求められること,また,核保有国がステップ・バイ・ステップ・アプローチのステップを具体化することの必要性を主張いたしました。
引き続き,核軍縮に向けた具体的なプロセスの進展に貢献できるよう,本年4月からジュネーブで開催されるNPT運用検討会議準備委員会において,昨年のひろしまラウンドテーブルでまとめた議長声明を発信するとともに,世界的な研究機関との連携を更に深めてまいります。
また,世界の人々が,被爆の実相と核軍縮,復興・平和構築について学ぶことのできるオンライン講座を製作・提供し,平和の担い手の育成機能の強化を進めてまいります。
さらに,ダボス会議で参加を呼びかけた方々を始めとする国内外の経済人等を広島に迎え,ビジネスと平和構築の在り方の関係を多面的に議論する国際平和のための世界経済人会議を本年11月に開催し,平和に関する拠点性の向上を図ってまいります。
第4次産業革命が急速に進展し,人々の暮らしや社会の在り方が大きく変化する現在にあって,分断と格差の縮小や,人々の行動変容の促進は,世界共通の課題となっております。
こうした中,広島という地域の強みを生かし,世界に目を向けながら,少子高齢化時代におけるイノベーションの促進を目指す,本県の様々な取組は,積み重ねてきた成果と併せて,世界を先導する役割を担えるものと自負しております。
今後も,国際平和や地域経済に対する本県ならではの貢献と発信力の向上に向けた取組を,着実に進めてまいります。
次に,当面する県政の諸課題への対応について,御報告いたします。
まず,鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。
先月21日に鞆町の住民の方々を対象とした説明会を開催し,現在取り組んでいる事業の進捗状況や県の全体方針に掲げた諸事業の事業効果等について丁寧に御説明し,住民の皆様と意見交換を行いました。
また,福山市長との会談では,引き続き,鞆のまちづくりについて連携・協力していくことを確認したところでございます。
こうした中,今月に入り,福山市長及び地元町内会から,県が現在取り組んでいる町中交通処理対策や高潮対策の着実な推進や,山側トンネルに関して具体的な事業内容をもって説明を行うことなどを求める要望書が提出されました。
こうした地元の要望を踏まえまして,バイパス機能としての山側トンネルについて,地元の皆様とより具体的な議論を進めるための各種調査に着手いたします。
今後とも,現在取り組んでおります町中交通処理対策や高潮対策の早期完成を目指すとともに,住民の皆様と意見交換を重ねながら,鞆町のまちづくりの諸課題の解決に向けて,しっかりと取り組んでまいります。
次に,広島高速5号線についてでございます。
現在,二葉の里地区では,施工ヤード造成工事が概成し,トンネル掘削に向けてシールドマシンの現地組立を進めているところでございます。
また,地域住民の皆様の安心の構築に向けて,昨年6月に設置いたしました現場ステーションに加え,工事の施工状況や計測結果等についての情報共有や意見交換を目的に,住民代表,広島高速道路公社,施工業者等で構成する安全・安心対策協議会を今月3日に開催いたしました。
引き続き,広島市及び公社と連携して,丁寧な情報提供に努めるとともに,住民の皆様の御理解と御協力を得ながら,着実な事業推進に取り組んでまいります。
次に,広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。
先月18日,広島市において,船越地区の住民意見に対する対応策を取りまとめ,市長から,平成27年6月に,県,広島市,府中町及び海田町の四者で合意した見直し案を変更したい旨の申入れがございました。
県といたしましては,地元住民の皆様の御理解を得ることが重要と考えており,地元代表者の大筋の合意が得られているとの広島市長からの報告などを踏まえ,今月7日に,広島市の案を基本に検討を進めることを関係四者で合意いたしました。
今後は,引き続き,関係する皆様の御理解を得ながら,共同事業者である広島市と連携し,できるだけ早期に工事着手できるよう取り組んでまいります。
次に,JR三江線をめぐる動きについてでございます。
本年4月1日からの運行に向けた準備を進められている代替バスにつきましては,広島県,島根県,JR西日本の三者で協議を重ねた結果,JR西日本が,初期投資及びおおむね10年分の運行欠損額等に相当する額として,総額17億5千万円余を支援することで合意いたしました。
県といたしましては,三江線沿線地域の交通が将来にわたって確保されるよう,引き続き,沿線市町や島根県と連携して利用促進に努めてまいります。
次に,水道事業の広域連携についてでございます。
本年1月,市町と協議を重ねながら,県において,最適な水道システムを構築するための水道広域連携案を策定いたしました。
来年度は,この案を踏まえて,市町と共同で協議組織を設置し,早期の具体化に向け,積極的に取り組んでまいります。
次に,平成30年度当初予算案の概要を申し上げます。
まず,欲張りなライフスタイルの実現に向けた主要事業に448億円を計上するなど,重点施策へ経営資源を重点的に配分したところでございます。
一方で,国の制度改正により,平成30年度から広島市に個人住民税の一部が税源移譲されることなどから,来年度の一般会計当初予算案の規模は,総額9,539億円となり,対前年度比240億円,2.5%の減となっております。
予算以外の議案といたしましては,「地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第1項の規定に基づく職務権限の特例に関する条例」など条例案34件,その他の議案では,「工事請負契約の締結について」など7件を提出しております。
また,報告事項として,専決処分報告などを提出しております。
どうぞ,慎重に御審議いただき,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。
ただいま追加提出いたしました議案につきまして,その概要を御説明いたします。
まず,平成29年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。
国は補正予算において,生産性革命や人づくり革命,防災・減災対策を主とした公共事業等の対策を打ち出したところでございます。
本県といたしましては,国の補正予算を活用し,平成30年度当初予算と一体的に,「欲張りなライフスタイル」の実現や「災害に強いまちづくり」に向けた取組などを実施することとし,163億6,355万円を追加計上しております。
また,度重なる強い寒波に伴う大雪に対する除雪費として,2億3,400万円を追加計上しております。
このほか,社会保障関係費の事業費の確定に伴い,減額の対応を行うとともに,公共事業につきましても,国の認証などによる事業費の確定に伴う減額を行うなど,416億6,762万円の減額の整理を行うこととしております。
また,本年度予算のうち,やむを得ず,翌年度に繰り越して実施する事業について,繰越明許費を計上しております。
以上の結果,一般会計につきましては,253億407万円の減額となり,本年度予算の累計額は9,641億2,979万円となります。
また,特別会計補正予算案は10会計で,6億82万円の減額,企業会計補正予算案は4会計で,18億9,383万円の減額となっております。
どうぞ,慎重に御審議いただき,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。
ただいま追加提出いたしました議案は,副知事の退職に伴う後任副知事の選任につきまして県議会の同意を求める議案であります。
どうぞ,適切な御議決をくださるよう,よろしくお願いいたします。