2月定例県議会の開会に当たり、県政運営の基本的な考え方や来年度における施策の概要等を申し上げた上で、ただいま提出いたしました平成31年度当初予算案を始めとする議案等の概要を御説明いたします。
まず、経済・雇用の情勢について御報告いたします。
県内の景気は、生産や輸出が、昨年の7月豪雨災害前の水準まで回復し、企業による設備投資も高い水準となっているほか、個人消費も持ち直しの傾向を続けるなど、全体として緩やかに拡大しております。
一方、直接被害を受けた企業では甚大な影響が生じており、引き続き、その復旧・復興を支援してまいります。
雇用・労働情勢につきましては、昨年5月以降、有効求人倍率が2倍を超え、引き続き高い水準で推移しておりますが、反面、企業の人材確保が容易ではない状況となっており、これらが企業活動へ与える影響を今後も注視してまいります。
また、昨年末には、TPP11の発効に加えて、米中貿易摩擦などに起因する株価の大幅な下落や円高の進行が発生しております。
さらに、今月1日には日欧EPAが発効するなど、目まぐるしく変化する外部環境が県経済に与える影響についても、注意深く見守っていきたいと考えております。
次に、平成31年度の政策の基本方向について申し上げます。
来年度は、まず、平成30年7月豪雨災害からの「創造的復興による新たな広島県づくり」を力強く推し進めてまいります。
また、従来から取り組んでまいりました、仕事も暮らしもあきらめずに追求できる「欲張りなライフスタイルの実現」に向けましても、決して歩みを止めることなく、着実に取り組んでまいりたいと考えております。
昨年7月に県内各地で発生した記録的豪雨では、多くの人的被害、家屋やインフラなどの物的損害など、戦後最大級の被害がもたらされました。
この未曾有の災害から速やかに復旧・復興し、更なる発展に向けて集中的に取り組むため、県では、昨年9月に、「平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興プラン」を策定し、「安心を共に支え合う暮らしの創生」「未来に挑戦する産業基盤の創生」「将来に向けた強靭なインフラの創生」「新たな防災対策を支える人の創生」の4つの柱により、取組を進めてまいりました。
災害発生から7か月が経過いたしましたが、直接被害を受けられた被災者や企業の皆様の回復はまだ道半ばでございます。
こうした方々の一日も早い生活や事業活動の再建に向けて、個々の状況やニーズに寄り添ったきめ細かい支援を引き続き行ってまいります。
また、道路や鉄道など主要なインフラは順次回復し、県民生活や経済活動は徐々に通常に戻りつつありますが、被災した公共土木施設等については、復旧の早期完了を目指すとともに、再度災害防止の観点から、被災前の構造にこだわることなく、今回の被災要因を踏まえた工法の選定や、改良復旧事業に積極的に取り組むなど、強靭化を進めてまいります。
さらに、県内全域においても、今後の災害に備えるため、「社会資本未来プラン」に掲げる防災・減災対策を加速して実施するなど、将来にわたって、災害に強く、安全・安心に暮らせるまちづくりを推進してまいります。
加えて、災害が発生した際に、県民一人ひとりが適切に判断し、適切に避難行動をとることで、命を守っていけるように、自助、共助、公助の観点から、より効果の高い被害防止策の構築を図ってまいります。
こうした取組により、この度の災害からの復旧・復興を、単に被災前の状態に戻す原状回復で終わらせず、更に良い状態に広島県全体を力強く押し上げていく確かな軌道を描き、新たな広島県づくりを成し遂げてまいります。
また、「欲張りなライフスタイルの実現」に向けて、本年度は「すべての子どもが夢を育むことのできる社会づくり」「第4次産業革命を好機とした生産性革命」「中山間地域の地域力強化及び都市圏の活力強化」「スポーツを核とした地域づくり」など、特徴を持った取組を進めております。
こうした緒についたばかりの取組を一層深化させるとともに、継続して取り組んできた施策についても、これまでの成果や課題を踏まえながら、「欲張りなライフスタイルの実現」に向けて、全力で取り組んでまいります。
続いて、この基本方向に基づき編成いたしました平成31年度の主要施策の概要について、御説明いたします。
まず、政策の基本方向の第一、「創造的復興による新たな広島県づくり」に向けた取組でございます。
はじめに、「安心を共に支え合う暮らしの創生」についてでございます。
被災者の皆様の生活再建への支援につきましては、13市町に開設された「地域支え合いセンター」におきまして、戸別訪問や相談支援により被災者個々の状況に応じた個別支援計画を作成するとともに、サロン活動によるコミュニティづくりなどを実施しております。
センターへの相談では、自宅の建替えなど住宅再建に係る問題や生活機能の低下による要介護度の上昇、被災のショックやストレスなどによる心身の健康問題に係る相談が多くなっております。
このため、弁護士や司法書士などの専門家による現地相談会に加えて、心身の健康の問題については、市町の保健部門と連携した対応や、「こころのケアチーム」による家庭訪問、心の相談会などを実施しております。
引き続き、被災された方々が一日でも早く、日常の生活を取り戻していただけるよう、一人ひとりにより添った、きめ細かい支援を実施してまいります。
また、この度の災害を受けて、地域コミュニティによる共助の大切さが再認識されており、この機会を捉え、地域住民それぞれが役割を持ち、自分らしく活躍し、お互いに支え合う「地域共生社会」の実現を目指してまいります。
このため、地域住民や行政等が一体となって地域課題を解決に導くことができる包括的な支援体制の構築を進めていくための方策とロードマップを整理する地域福祉支援計画を来年度策定いたします。
さらに、地域における支え合い活動の促進や、子供・障害者・高齢者など多様な主体が交流できる地域共生型サロンを新たに設置するなど、住民主体のコミュニティづくりに取り組んでまいります。
災害廃棄物の処理につきましては、県の災害廃棄物処理実行計画に基づき、昨年末までに、県民の皆様の生活環境の保全上支障となる一次仮置場が、予定どおり解消されたところでございます。
今後、二次仮置場における選別を進め、処分先への搬出など、処理が本格化することから、市町への専門家派遣による技術的支援を行うとともに、市町の災害廃棄物処理計画の策定支援により、災害廃棄物処理体制の強化を図ります。
引き続き、国や市町と連携して、本年12月までの全体の処理完了を目指し、全力で取り組んでまいります。
次に、「未来に挑戦する産業基盤の創生」についてでございます。
被災企業への支援といたしましては、これまでグループ補助金に係る復興計画を、49グループ認定し、そのうち補助金の活用を希望されている806者に対し、順次、交付決定を行っております。
被災事業者の方々には、漏れなくこの支援制度を活用していただくため、グループ認定申請の受付期間を延長しており、市町と連携して更なる周知を図ってまいります。
また、被災した小規模事業者への販路開拓支援として、国の持続化補助金の採択を受けた464社に対し、順次、県の補助金を交付するほか、被災企業への金融支援として、昨年8月に新設・拡充いたしました保証料を不要とした特別資金等につきましては、先月末までに893社に対し、125億6千万円を融資しており、今後とも被災企業の復旧・復興に取り組んでまいります。
来年度は、新たに、災害等の緊急時に企業活動を継続するための事業継続計画、いわゆるBCPの策定が進んでいない中小企業等を対象に、ワークショップ形式での策定講座の開催や図上訓練の実施など、実効性の高い策定支援により、今後起こりうる非常時においても、強靭かつ柔軟に企業活動を継続できる環境を整備してまいります。
観光地ひろしまの推進につきましては、豪雨災害の影響により落ち込んだ観光客を取り戻し、観光産業を再び成長路線に戻すために、まずは観光地としてのイメージ回復と誘客強化を図るため、テレビやウェブサイトなどのメディアを活用した大都市圏、近隣県及び県内に向けたプロモーションなどを行うとともに、来年秋のJRグループと連携したせとうち広島デスティネーションキャンペーンに向けて準備を進めてまいります。
また、ひろしま観光立県推進基本計画に基づき、観光客の消費額単価を上昇させるための夜神楽やアートといった地域の特色を活かした観光プロダクトの開発・育成や、満足度を向上させるための観光地のトイレ等の受入環境整備に着実に取り組んでまいります。
さらに、観光産業の更なる成長を実現させるため、災害からの早期復興やオリンピック・パラリンピックといった今後の大規模イベントを見据えた観光振興施策の充実と、そのために必要な財源や体制の検討を進めてまいります。
農林水産業の復興につきましては、農業用ハウスや機械等の修繕・再整備等の支援に取り組むほか、農地・農業用施設や林道などの復旧に係る市町の災害査定が円滑に進むよう支援を行い、先月末に、国の補助率かさ上げのための一連の手続きが終了したところでございます。
また、土石流などにより大規模な被害が発生した農地等につきましては、生産性の高い農地へと再生できるよう、大区画化による復旧や農地の集積などの提案を行ってきた結果、将来的な地域の営農活動の在り方について検討が進められ、その実現に向けて調整が進められているところでございます。
引き続き、市町が実施する災害復旧・復興に伴う事業が円滑に執行できるよう支援し、早期の生産活動の再開に取り組んでまいります。
次に、「将来に向けた強靭なインフラの創生」についてでございます。
甚大な被害が発生いたしました公共土木施設につきましては、早期の復旧・復興を目指して各種事業に取り組んでおり、災害復旧事業では、優先度の高い箇所から順次復旧工事を進め、先月末時点で、今年度発注予定の853件のうち326件の工事を発注したところでございます。
この災害復旧事業に係る災害査定が先週末に終了し、県分の災害復旧事業費は2,550箇所630億円に決定いたしました。
改良復旧事業や災害関連緊急事業などにつきましても、採択を受けたものから順次、事業に着手しており、砂防ダムや治山ダム等の緊急整備では、先月末時点で170箇所全ての設計を進め、来年3月末までの完了を、坂町小屋浦地区などの重点地区の砂防ダムでは本年12月末までの完了を目指して着実に取り組んでまいります。
また、国の直轄事業による県内12地区の砂防ダムや治山ダム、市町による72箇所の小規模ながけ崩れ対策事業等につきましても、早期の工事着手に向け、取り組まれているところでございます。
さらに、家屋への浸水被害や護岸の崩壊等が著しい沼田川や三篠川につきまして、緊急的・集中的に治水機能の強化を図るため、川底の掘り下げなどを先行して実施しており、今後、速やかに改良復旧区間の設計に着手してまいります。
今後の水害・土砂災害対策の在り方につきましては、昨年12月末に開催した第3回検討会において最終取りまとめを行い、先月、県土の強靭化と防災力の強化に向けた御提言をいただきました。
この提言も踏まえ、再度災害防止に最優先で取り組むとともに、ハード対策としては、新たな補助制度や有利な財源の活用などによる事業の加速化を図り、中・長期的な視点に立った計画的な事前防災を進めていくための実施方針の検討を進めてまいります。
また、ソフト対策として、水害や土砂災害リスクの理解を深めるための取組や情報提供の内容・手段の充実にも取り組んでまいります。
引き続き、被災された住民の皆様の一日も早い日常の回復が図られるよう、全力で取り組むとともに、県土の強靭化に向けた取組を計画的に実施してまいります。
ため池の総合対策につきましては、市町からの意見を踏まえながら、現在、「ため池の整備・廃止・管理等に関する方針」の検討を進めており、今年度末までに具体的な対策を取りまとめ、公表することとしております。
この方針では、農業利用の有無や下流への影響などにより県内のため池を類型化し、今後も利用されるものは、適切な管理体制の確保や補強工事などを行っていくこと、また、利用されないため池は、当面の安全性を確保しながら、順次、廃止を進めること、あわせて、迅速な避難行動につなげていただくための浸水想定区域図等の作成や公表などの対策を示すこととしております。
また、この方針の実施に向け、現在、地域の実情を踏まえて、国が示した新たな基準に基づく「防災重点ため池」の選定を市町が進めており、本年5月末までに取りまとめられるよう、市町と連携して取り組んでまいります。
水道施設の強靭化につきましては、被災した水道施設の本復旧や改良復旧に取り組んでいるところであり、特に、被害の大きかった本郷取水場につきましては、次の出水期までの工事完了に向けて浸水防止対策を進めております。
これらに加えて、災害や事故等に強い水の供給体制を構築するため、浸水や土砂災害等により被災のおそれのある水道施設の未然防止対策にも取り組んでおり、緊急度及び優先度の高い施設から順次、着実に対策を実施してまいります。
災害時の医療救護体制につきましては、この度の災害の検証を踏まえて、被災地に派遣する医療チームDMATの技能向上や関係機関との連携強化に取り組み、大規模災害等に迅速に対応する体制を確保してまいります。
次に「新たな防災対策を支える人の創生」についてでございます。
県民の避難行動等に関する研究につきましては、昨年10月から12月にかけて、7月豪雨災害時の避難行動とその理由などについて、約500人を対象に面接調査を実施いたしました。
現在、この調査結果について、防災や行動科学等の有識者で構成する研究チームにより、詳細な分析を行っており、本年4月には約5,000人を対象とする郵送調査を実施するなど、県民の皆様が命を確実に守るために必要となる条件や要素を導き出すための研究を進めてまいります。
また、この度の災害を踏まえ、新たに、初動・応急対応に係る課題の解消に向けて、市町と一緒になって、短期集中して取り組むことにより市町の防災体制の強化を図るほか、効果的な避難の呼びかけ方法を構築するため、自主防災組織による避難の呼びかけの体制づくりを支援いたします。
次に、政策の基本方向の第二、「欲張りなライフスタイルの実現」に向けた取組でございます。
一点目は、「すべての子供が夢を育むことのできる社会づくり」でございます。
学びのセーフティネットの構築につきましては、子供たちがたくましく育ち、生きていく資質・能力を身に着け、自らの可能性を最大限高めることができるよう、小学校低学年からの学習のつまずきの要因・背景を把握するための、新たな学力調査の研究開発を進めており、平成32年度からの本格調査に先立ち、来年度、一部の学校で先行調査を実施いたします。
また、不登校の未然防止や不登校の児童生徒への支援として、個々のペースに応じた学習支援や心のケアなどを行う校内適応指導教室を3市町6中学校区に設置いたします。
さらに、そうした資質・能力を身に付ける上で基礎となる生活習慣づくりとして、朝ごはん推進モデル事業に取り組んでおります。
昨年11月に取組をスタートした廿日市市の小学校では、朝食を食べに来る子供たちが増えるなど順調に進んでおり、来年度は実施個所を増やし、運営体制や成果の検証を進めてまいります。
あわせて、安定的かつ継続的に企業などから食材が提供され、希望する家庭や地域でも食材が受け取れる仕組みづくりにも取り組んでまいります。
これらの取組に加えて、目まぐるしく変化する社会情勢のなか、子供たちが生まれ育つ環境によって様々なリスクが顕在化していることから、リスクを抱える子供たちの情報を幅広く把握し、子供の成長過程に携わる関係者がその情報を共有して、できるだけ早い段階から子供たちを見守り支援する仕組みの検討を、府中町と協働で進めてまいります。
「ひろしま版ネウボラ」の構築につきましては、現在、中山間地域を含めた6市町において全ての子育て家庭を対象とし、地域の実情に応じて様々な工夫を凝らしながらモデル事業に取り組んでおり、リスクを抱える家庭に対する早期の支援につながるなど、成果の兆しも見え始めております。
来年度は新たに、地域特性や人材不足等の課題に対応した試験的な取組や、ネウボラに従事する相談員の体系的な育成プログラムの作成などに取り組み、「ひろしま版ネウボラ」の基本型の形成を目指してまいります。
これらの取組により、全ての子供たちが、生まれ育った環境に左右されることなく、健やかに夢を育むことができる社会づくりに向けて、着実に取り組んでまいります。
二点目は、「第4次産業革命を好機とした生産性革命」でございます。
AI、IoT等のデジタル技術を活用した実証実験「ひろしまサンドボックス」につきましては、選定した9件の実証実験が進められている中、これらの取組を広く発信し共有することにより、県内外の更なるプレーヤーを呼び込み、広島発の新たなソリューションの創出を目指してまいります。
あわせて、来年度は、640を超える企業などが参加する「ひろしまサンドボックス推進協議会」が、より活性化していくために、事業化に向けた支援の実施など会員のメリットを拡充し、県内外の多様な企業や人材が集積する好循環を作り出してまいります。
ものづくりのプロセス全体のデジタル化を推進するひろしまものづくりデジタルイノベーション創出事業につきましては、引き続き、産学官の連携の下、地域の大学の機能・知見を活用し、先端研究を実施する「広島大学デジタルものづくり教育研究センター」の設置などの環境整備に対する支援や研究成果の検証・実証環境の整備等を進めてまいります。
あわせて、データサイエンス分野の人材育成について、県内大学の連携によるプログラムを実施するなど、ものづくり全体のデジタル化を支える人材を育成することにより、地域産業の振興と高度専門人材の育成に取り組んでまいります。
さらに、幅広い産業への応用が期待されるゲノム編集技術など、20年、30年先を見据えた基礎研究への支援について、産学官連携による取組を検討・展開してまいります。
三点目は、「中山間地域の地域力強化及び都市圏の活力強化」でございます。
これまで、地域をリードする500人の人材の育成・確保を目指して、実践的な研修の場となる「ひろしま『ひと・夢』未来塾」や首都圏から若い世代を呼び込む「ひろしま里山ウェーブ拡大プロジェクト」など、活力の原動力となる人づくりに向けた取組を重点的に進めてまいりました。
こうした取組により、現在、人材のプラットフォームとして設置しております「ひろしま里山・チーム500」には、約290名の方々が将来の地域づくりリーダーとして登録され、空き家を活用したゲストハウスの開業や、耕作放棄地の茶畑への再生など地域の課題解決につながる活動を積極的に実践しておられます。
今後とも、地域づくりリーダーの活動が主体的かつ継続的に展開されるよう支援してまいります。
また、中山間地域における仕事づくりとして、今年度から市町と連携して、古民家や遊休施設などを活用したサテライトオフィスの誘致を進めてきたところでございます。
昨年末には、東京から、その第1号として安芸高田市へのオフィス進出が決定し、現在、サテライトオフィスの開設に向けた準備が進められているところでございます。
引き続き、地方進出に関心の高いターゲット企業への誘致活動や企業ニーズに応じたきめ細かな受入体制の強化などに取り組み、更なるオフィス誘致につなげてまいります。
次に、都市圏の活力強化についてでございます。
広島市都心の拠点性向上を図るため、広島市と共同で策定いたしました「ひろしま都心活性化プラン」に掲げる将来像の実現に向けて、中枢都市にふさわしい都市機能の充実・強化に取り組んでおります。
引き続き、広島市や経済界などと一体となって、紙屋町・八丁堀地区での都市再生緊急整備地域による支援措置などを活用した民間投資の呼び込みや、エリアマネジメント活動の支援など都心の活性化に向けた取組を推進してまいります。
また、広島地域におけるMICE誘致の拡大に向けて、国内のみならず国際的な競争力を持つ施設となり得る大規模展示場について、広島市や経済界と連携して実現可能性を検討してまいります。
また、福山駅前地区の拠点性向上を図るため、福山市が策定した「福山駅前再生ビジョン」の実現に向けて、福山駅前デザイン会議に参画するとともに、旧キャスパを含む三之丸町地区の再生についても、福山市や事業者と連携しながら備後圏域の玄関口にふさわしい機能について検討しているところでございます。
引き続き、福山市が「ビジョン」に基づき行う、福山駅前のにぎわい創出に向けたまちづくりを牽引する人材育成や機運醸成などの取組のほか、三之丸町地区の再生に向けた市の取組についても、福山駅前全体の再生を牽引し、備後圏域の活性化を図る観点から、支援してまいります。
サッカースタジアムにつきましては、県、広島市、広島商工会議所の三者が連携し、その建設場所や事業主体など、スタジアム建設に向けた方向性を出してまいります。
広島空港の経営改革につきましては、平成33年4月の運営開始に向け、国において、実施方針と募集要項の公表が今年度末までに予定されております。
地域の活性化につながる空港経営改革の実現に向け、引き続き、事業者向けセミナーの開催などの機運醸成や、空港アクセスの改善に取り組むとともに、来年度に本格化する運営事業者の選定に際しては、空港の利便性向上に積極的な提案を重視するよう国へ要望してまいります。
四点目は、「スポーツを核とした地域づくり」でございます。
本年度改訂いたします広島県スポーツ推進計画におきましては、従来のスポーツ振興に引き続き取り組むとともに、地域振興、健康等の分野との連携・協働を図りながら、スポーツの力を活用して社会の課題解決に積極的に取り組むこととしております。
来年度は、スポーツを通じた魅力ある地域づくりに向けまして、県・市町・スポーツ団体等、様々な主体が一体となって取組を進めていく必要があることから、その推進組織となるスポーツコミッションの設立に向け、準備を進めてまいります。
また、アーバンスポーツの世界大会「FISE」の開催を契機とした、地域の活性化に向けましては、昨年の大会で得られた効果等を一過性のものとしないため、FISE広島大会の継続的な開催を推進してまいります。
さらに、県外からの来場者を広島の観光につなげていく取組や、アーバンスポーツの裾野の拡大、選手の育成・強化を目的としたアカデミーの誘致を進めることにより、国内外でアーバンスポーツに親しむ若者が増えていく流れに連動して、広島をアーバンスポーツの聖地として成長させ、持続的な地域の活性化につなげてまいります。
2020年東京オリンピックに向けたメキシコ選手団の事前合宿につきましては、来年度、県内10市町において、22競技の選手団による合宿が予定されております。
引き続き、関係者と連携して、今年度の合宿における課題の改善や通訳体制の更なる充実に取り組むとともに、より多くの県民の皆様が、この取組に参加していただけるよう、機運の醸成を図り、この合宿を契機としたスポーツの裾野の拡大や、文化、経済、教育など、多様な分野での交流による地域活性化につなげてまいります。
(その他の欲張りライフ応援施策)
続いて、その他の欲張りライフを応援する施策について御説明いたします。
まず、「社会で活躍する人材の育成」でございます。
学びの変革を先導的に実践する広島叡智学園につきましては、本年に開校いたします中学校の入学者選抜を実施し、先月、最終の合格者を決定いたしました。
学校施設の第1期建設工事も今月末に完成予定であり、引き続き、学校の運営と並行して、施設等の整備などを計画的に進めてまいります。
また、備北地域において、学びの変革を牽引する併設型中高一貫教育校である三次中学校・高等学校につきましても、本年4月の開校に向けて、先月、中学校の入学者選抜を実施したところであり、引き続き、校舎の改修工事など、必要な教育環境の整備を着実に進めてまいります。
県立広島大学につきましては、第三期中期目標の実現に向けて、地域創生に貢献できる人材の育成を目指す既存の県立広島大学の学部・学科等の再編と、新しい時代を切り開いていく人材を育てる新大学の設置を両輪とする改革を推進していくため、必要な施設や教員の確保などを進めてまいります。
また、県内企業や大学、国際機関、地方公共団体など、様々な主体と連携した実践的な教育の基盤となるプラットフォームの構築に向け、準備組織を立ち上げてまいります。
次に、「多様な投資誘致の促進」についてでございます。
県内への投資誘致につきましては、積極的な企業誘致や受け皿となる産業用地の確保を進めており、来年度、広島港江波地区において、官民連携による産業用地の新たな確保策に取り組むことといたしました。
この地区において、港湾物流を利用する製造業や、関連する物流企業が集積し、地域経済の発展に寄与するものとなるよう取り組んでいくとともに、今後とも、市町や民間と連携して、企業ニーズを踏まえた産業用地の確保に努めてまいります。
次に、「担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立」についてでございます。
経営力の高い担い手が農業生産の大部分を占める力強い生産構造への転換を加速するため、全国の先進経営体への派遣や経営スキルを習得するための実践的な学びの機会を創出するほか、新たに県立広島大学と連携して地方MBAスクールを開講するなど、企業的経営への転換に向けた支援を強化することにより、県内農産物の生産額の増加を加速させてまいります。
また、本年4月に森林経営管理法が施行され、所有者が自ら経営管理できていない森林について、市町や意欲と能力のある林業経営者により持続的に管理を行う「新たな森林経営管理制度」がスタートいたします。
このため、これまでの取組では森林整備を行うことができなかった、所有者の施業意思がない、あるいは所有者の特定が困難な森林の整備の推進に向け、まずは施業意思の把握について、市町を支援してまいります。
次に、「健康寿命の延伸に向けた取組の推進」についてでございます。
健康寿命の延伸に向けては、介護予防のアプローチを強化するとともに、県民自らが意識を改革し、生活習慣病の予防や身体機能の維持・向上を図るなど、生活習慣を改善することが重要となります。
このため、高齢者が通える範囲で集まり、体操などを行う「通いの場」の設置を進め、昨年9月末現在、1,206箇所に拡充しております。
新年度は、団塊の世代が75歳以上に到達する2025年に備えて、「通いの場」の設置をより一層加速させ、身近な地域での介護予防の取組を充実・強化していくとともに、引き続き、重症化予防などの生活習慣病対策を実施してまいります。
次に、「暮らしを楽しむ機会の創出」についてでございます。
本年は、浅野氏広島城入城400年、水野氏福山藩入封400年に当たる節目の年でございます。
これを契機として、県立美術館で浅野氏ゆかりの美術品を展示する特別展を開催するほか、広島市、福山市を始めとした県内市町や民間団体等の事業と連携して、県民の皆様が本県の歴史・文化に親しんでいただける取組を進めてまいります。
また、来年春に開催の「第37回全国都市緑化ひろしまフェア」につきましては、先月、実行委員会を設立し、基本計画を策定したところでございます。
来年度は、県内市町をはじめとする関係機関と連携して、実施計画を策定し、開催に向けた準備を進めてまいります。
次に、国際平和拠点ひろしまの形成についてでございます。
核廃絶へのアプローチをめぐって、核兵器国と非核兵器国との間の溝が一段と深まり、加えて、米国、ロシアがINF条約の破棄を表明するなど、核軍縮を巡る厳しい情勢がある中、核廃絶に向けたより確かな動きを作りだしていく取組が必要であると考えております。
このため、今年開催されるG20大阪サミットや外相会合で来日する首脳の広島訪問が実現するよう、働きかけるとともに、来日されるローマ法王に、広島から、核兵器のない平和な世界の実現に向けたメッセージを発信いただけるよう取り組んでまいります。
また、一昨年ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「ICAN」と連携し、核廃絶の担い手となる人材を育成する講座を試行してまいります。
さらに、世界のトップレベルの研究機関と、引き続き共同研究を実施するとともに、その充実のための国際的なネットワーク会議を立ち上げ、核抑止に頼らない新たなアプローチづくりを進めて、NPT運用検討会議準備委員会等の場で発信してまいります。
あわせて、来年は、被爆75周年に当たり、加えて、東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、広島の取組への賛同者の拡大を図るための重要な機会となると考えており、記念行事の開催準備やウェブサイトの構築等を進めてまいります。
こうした取組を着実に実施し、核兵器のない平和な国際社会の実現に貢献してまいります。
次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
まず、鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。
今月1日に、鞆町の住民の方々を対象とした説明会を開催し、福山市長も出席される中で、鞆町のまちづくりに係る取組状況と今後の取組の方向性について御説明し、住民の皆様と意見交換を行いました。
この説明会でいただいた意見に加え、地元からの要望も踏まえまして、福山市とも連携・協力しながら、バイパス機能としての山側トンネルの整備に必要な調査・設計に着手いたします。
今後とも、福山市と連携・協力し、現在取り組んでいる町中交通処理対策や高潮対策の早期完成を目指すとともに、鞆のまちづくりの取組が着実に進むよう、県としてしっかり下支えをしてまいります。
次に、広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。
当事業については、今月4日に県、広島市において、都市計画変更案を都市計画審議会へ諮ったところであり、都市計画変更に向けた手続きを、鋭意進めております。
引き続き、共同事業者である広島市と連携し、できるだけ早期に工事着手できるよう、取り組んでまいります。
次に、水道事業及び下水道事業の広域化・共同化についてでございます。
水道事業につきましては、現在、広島県水道広域連携協議会において、施設や維持管理の最適化について、効率性だけではなく、危機管理の観点からも、具体的な検討を重ねているところでございます。
引き続き、市町とともに、来年度末の広域連携計画策定に向けて、積極的に取り組んでまいります。
また、新たに下水道事業につきましても、来年度から市町と協議組織を設置し、施設や維持管理の広域化・共同化について検討を進めてまいります。
次に、平成31年度当初予算案の概要を申し上げます。
まず、創造的復興による新たな広島県づくりに1,024億円、欲張りなライフスタイルの実現に向けた主要事業に302億円を計上するなど、重点施策へ経営資源を重点的に配分したところでございます。
この結果、来年度の一般会計当初予算案の規模は、総額1兆551億円となり、対前年度比1,012億円、10.6%の増となっております。
予算以外の議案といたしましては、「短時間勤務会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例」など条例案11件、人事案件といたしましては、「広島県監査委員の選任の同意について」の1件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など13件を提出しております。
また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。
まず、平成30年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。
国は補正予算において、防災・減災や国土強靭化を主とした公共事業等の対策、農林水産業の強化等のTPP対策を打ち出したところでございます。
本県といたしましては、国の補正予算を活用し、平成31年度当初予算と一体的に、「創造的復興による新たな広島県づくり」や、「欲張りなライフスタイル」の実現に向けた取組などを実施することとし、74億4,742万円を追加計上しております。
このほか、社会保障関係費などの事業費の確定に伴い、減額の対応を行うとともに、公共事業につきましても、国の認証や事業内容の調整などによる事業費の確定に伴う減額を行うなど、730億9,254万円の減額の整理を行うこととしております。
また、本年度予算のうち、やむを得ず、翌年度に繰り越して実施する事業について、繰越明許費を計上しております。
以上の結果、一般会計につきましては、656億4,513万円の減額となり、本年度予算の累計額は1兆1,054億742万円となります。
また、特別会計補正予算案は11会計で、24億8,909万円の減額、企業会計補正予算案は4会計で、8億18万円の増額となっております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。