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講演1「気候変動の現状と適応について」質疑応答

印刷用ページを表示する掲載日2023年3月28日

番号   質問事項・回答欄
1 質 問 “緩和”については全世代を通じて必要性が理解されていると思いますが,“適応”については浸透していきにくいと考えています。特に次代を担う若い世代に情報発信していく必要があると考えますが,成功例等があれば紹介していただけないでしょうか。
回 答 ご指摘の通り,情報発信は非常に重要と考えています。成功例といわれるとなかなか難しいのですが,例えばこちらでは学校で使える教材として「ミステリー」といったものや「すごろく」「未来ガチャ」などを製作提供しています。その他スマホアプリでの情報提供やイベントを行っていますが,もっとメディア利用が必要かもしれません。その他自治体で工夫して熱中症に対して発信している例として,例えばお年寄りの方に「今日は暑いよ」といったことを,民生委員の方や宅配便業者のような個々にアクセスできる方に協力していただいて伝える例が見られます。
2 質 問 年間の降水量はあまり変化がないのに,一度に大量の雨が降るというのも気候変動(温暖化)による影響なのでしょうか?
回 答 空気中の水蒸気量は気温によって決まっており,温度が高いほど飽和水蒸気量は増加します。水蒸気が溜まった状態で雨が降るため大雨となります。一方で無降水日(1mm以上の雨が降らいない日)も増加傾向にあります。そのため温暖化の影響により,年間の降水量に変化はなくても,雨が降る際には大雨となり,一方で雨の降らない日も増加するということになります。
3 質 問 農産物等の消費者が取るべき対応は,何かありますか?
回 答 農産物に関しては,今後の栽培適地が変わってくる可能性があります。また,新たに国内で採れる作物もあれば,国内産が難しくなる農産物もあるかもしれません。既に高温耐性の水稲も新たなブランドとして市場に出ており,消費者は温暖化の影響を考慮して対応していく必要があると思います。例えば,新たな適応品種の積極的購入は、より適応を進める原動力になります。
4 質 問 国民や県民に対する,気候変動問題等への意識調査や課題等があれば,教えて欲しいです。
回 答 弊所では,2021年3月に「気候変動適応に係る国民の理解度調査」を実施しました。その調査結果が以下URLに掲載されていますので,そちらが参考になると思います。
https://adaptation-platform.nies.go.jp/archive/report/20220308.html
5 質 問 農家の高齢化と耕作放棄地が,地球環境へどのような影響を与えるか,教えて欲しいです。
回 答 ご指摘の通り,特に高齢化によって耕作放棄地が拡大しており,全国的な課題となっています。耕作放棄地により食料自給率の低下,害虫の発生,またEco-DRRの観点から防災機能の低下などの影響があると考えられています。一方で,耕作放棄地の拡大は,土地利用転換の機会と捉えることもできます。未利用地の条件によって利用する方法は様々ですが,自然再生湿地による防災機能の拡大など,有効活用を視野に入れた取組みが検討されています。

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