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講演2「気候変動が農業に及ぼす影響とその対応策」質疑応答

印刷用ページを表示する掲載日2023年3月28日
番号   質問事項・回答欄
1 質 問 “適応”という面から言うと,これまで作れなかった作物が作れるようになるというメリットもあるのではないかと思うのですが,そのような期待はしても良いのでしょうか。
回 答 長期的には可能性はあるかもしれませんが,私共は今,生産者が困っている所にアプローチしています。気候変動により産地が動く可能性もあり農作物の安定的な生産のためにどういった対応ができるか考えることも課題と思っています。
2 質 問 施設投資をするより,露地や季節野菜を作る方が,温暖化対策効果が見込めるのではないか?
回 答 ご意見いただいたとおり,長期的な視点では気候にあわせた農作物の栽培は温暖化に適応する方策となります。現在の気候変動は,異常高温,少雨,集中豪雨などの突発的な事象により安定的に農作物が生産できないことが問題となっています。環境制御技術は植物の生産力を最大限に引き出し,農業経営だけでなく,生産物供給の安定化に寄与できる技術と思っております。
3 質 問 ブドウの着色について,着色不良や着色遅延があるとのことでしたが,味にも変化があるのでしょうか?
回 答 産地では出荷規格(糖度,房の重さ)を満たしているものが出荷されており,着色不良でも味は変わりません。ただ,外観が劣るため,単価が下がり,生産者の経営に影響を及ぼしています。
4 質 問 農産物などの消費者が取るべき対応は,何かありますか?
回 答 運ばれる食べ物の量とその輸送距離を掛け合わせた「フードマイレージ」という数値があります。輸送に限定していますが,二酸化炭素などの排出量を想定しており,温暖化への影響の目安になる数値です。2001年の試算では,日本の数値が世界第一位となっています。地域で生産したものをその地域で消費する(地産地消)は,消費食料自給率向上だけでなく,温暖化対策にも貢献します。
5 質 問 農家の高齢化と耕作放棄地が,地球環境へどのような影響を与えるか,教えて欲しいです。
回 答 高齢化や労働力不足は,耕作放棄地増加の大きな原因です。耕作放棄された水田では,雑草の有機物由来の土壌炭素は増加しますが,耕作放棄前の水稲栽培時に貯留された土壌炭素の減少量が大きく,10年間放棄された圃場では土壌炭素量は少なくなるというデータが公表されています。また,雑草の繁茂,病害虫の温床になり,近隣の農地にも影響を与えてしまいます。
6 質 問 足場管ハウスの耐久年数は,どれくらいでしょうか?今年の夏のような常に暑い状態が続いていく場合や台風等の自然災害でも,どれくらい耐えることができるのでしょうか?
回 答 足場管ハウスの耐久年数は15年以上あり,現地で20年前に建設した足場管ハウスは現在でも利用されています。また,これまで県内に設置された足場管ハウスは,台風や積雪による倒壊などの被害は受けていません。
7 質 問 現場の生産者や農協等から気候変動に適応できるような作物の研究や開発のニーズはあるのでしょうか?また,今後農業技術センターとして,気候変動に対応できるような作物やハウス等の研究への取組がありましたらお教えください。
回 答 生産者や農協等からは,気候変動に対応するため,収量・品質向上技術や適応品種育成の他に,化学農薬の使用低減,有機質資源の活用などの低コスト化につながる技術開発の要望もあり,取り組みを進めているものもあります。これらは,見方を変えると環境負荷軽減,気候変動緩和策つながる技術開発と考えています。

 


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