番号 | 質問事項・回答欄 | |
1 | 質 問 | 早生樹コウヨウザンの利用はとても有効に感じましたが,一方で外来種(?)で,在来種の木とかが,減ってしまったりとかないのか?と少し疑問に思いました。 |
回 答 | ・植林したコウヨウザンが自然に増殖して他の在来樹木を減らす危険性は非常に少ないと考えています。 ・理由としては2点が考えられます。まず1点目は庄原の約60年生コウヨウザン林では自然散布された種子が発芽しても苗に育たず,自然に周囲に広がっていない点で,この主な原因としては厚く堆積した落葉落枝の影響で,発芽しても根が地面に届かず消失する事が見られています。 ・もう1点はコウヨウザンの種子や芽生えは土壌菌に非常に弱く,人が手助けしなければ健全に育たないことです。コウヨウザンの植林用の苗木を育成するためには,清潔な土壌に種子を撒きつけて,殺菌剤を散布しないと根腐れを起こして枯れたり,成長が悪く弱い苗になります。 ・理由は異なりますが,これに近いことは同じ科のスギやヒノキでも見られており,植林地以外に広がって問題となった事例は稀有と思います。 |
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2 | 質 問 | 今日の話は,コウヨウザンを増やしていこうという話だと思っていたが,質問で外来種だが落樹が多いので,広がる恐れはないと答えていた。増やしたいのか,警戒しているのか,どちらだったのか? |
回 答 | ・(問1質問回答再掲:植林したコウヨウザンが自然に増殖して他の在来樹木を減らす危険性は非常に少ないと考えています。 ・理由としては2点が考えられます。まず1点目は庄原の約60年生コウヨウザン林では自然散布された種子が発芽しても苗に育たず,自然に周囲に広がっていない点で,この主な原因としては厚く堆積した落葉落枝の影響で,発芽しても根が地面に届かず消失する事が見られています。 ・もう1点はコウヨウザンの種子や芽生えは土壌菌に非常に弱く,人が手助けしなければ健全に育たないことです。コウヨウザンの植林用の苗木を育成するためには,清潔な土壌に種子を撒きつけて,殺菌剤を散布しないと根腐れを起こして枯れたり,成長が悪く弱い苗になります。 ・理由は異なりますが,これに近いことは同じ科のスギやヒノキでも見られており,植林地以外に広がって問題となった事例は稀有と思います。) 上記のように自然に広がる恐れは低いので,コウヨウザンの利用を増やしませんかという提案です。 ・ただし,スギやヒノキに代えて大々的な植林を勧めるものではありません。目的・用途,土地の状況に応じて使い分けを行う事が肝心です。特にコウヨウザンは成長が早いため,伐って出しやすい場所に植えないと早生樹としての利点が活かせません。また,苗は滞水に弱いため,雨の時に水に浸かるような水捌けの悪い場所には育ちません。適地適木を基本として,植林木の選択肢にコウヨウザンが加わる考え方です。 |
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3 | 質 問 | 針葉樹の植林が多いようですが,広葉樹は何故植林されないのでしょうか? |
回 答 | ・我国ではスギやヒノキといった針葉樹の方がケヤキ,ナラ・カシ・クリ類,カンバ類,カエデ類などの広葉樹よりも成長が早く幹が通直で加工性が高く,柱や板などの建築材として使い易いため,針葉樹が主に植林されています。 ・また,広葉樹は枝を大きく広げられないと良く育たないなど育て方が難しい一方で,自然に生えるので,天然性林の中から目的に合った木を探して伐り出す方が容易であったとも考えられます。 ・なお,広葉樹にもセンダン,ユリノキ,ハコヤナギなどの早生樹があり,他県等での研究事例がありますので,今後,家具用材やバイオマス用材としての植林が広がる可能性もあります。 |
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4 | 質 問 | スライドの最後に,センターの役割が述べられており,そこに“CO2の貯蔵技術の開発”とありました。これは,どういった取組であるのか?気になりました。 |
回 答 | ・これは,都市部の建築物に木材を利用することで,建築時のCO2排出量の削減と共に建築物の中に木材の形でCO2を貯蔵しようとの考えに基づいた建築材料の開発を進めようとするものです。 ・当センターの木材強度試験施設では大型の木造建築物用材料等の開発を進める県内企業の支援を行っています。 |
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5 | 質 問 | コウヨウザンはヒノキ,スギと比べても成長速度や森林保全の面で利点が多いようですが,災害や炭素貯蔵といった気候変動の観点も含め,今後植栽が増加していくのでしょうか? |
回 答 | ・林業は経済活動ですので,早生樹として経済性の高さが活かされる場所ではコウヨウザンの植林は増加すると考えます。 ・環境面でのメリットはスギ,ヒノキなど従来の樹種にも共通する部分がありますが,コウヨウザンの特徴である萌芽再生能力や表土保持能力が求められる場所への植林も広がる可能性はあると考えます。 ・なお,コウヨウザンはノウサギの食害を受けやすく,スギやヒノキよりも大きな被害を受けるため,当センターでも効果的なノウサギ食害防止技術の開発を現在進めています。ノウサギの生息区域内ではこの食害防止費用も含めた経済性の検討が必要です。 |