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組織の持続的経営と個人の生涯活躍に向け,人材育成,マネジメント,キャリアの分野でコンサルティングに従事。テーマは「イノベーションとダイバーシティマネジメント」,「人生100年時代のキャリア開発&継続」等。メーカーにて国際部門・人事部門勤務後,人材育成子会社を経営。内閣府「女性リーダー育成のためのモデルプログラムの効果の調査研究」企画委員,文部科学省中央教育審議会専門委員,神奈川県教育委員,日本生産性本部評議員,日経「企業の女性活用度調査(女性が活躍する会社BEST100)2018」審査委員等も務める。
上を向ぅいてぇ~♪歩るこぅおぅ〜♪♪
‘キャリアアップ’と聞くとちょっと引いてしまいがちですが,あなたのキャリア・能力について「低下・停滞・向上」の三択を迫られたら,向上(アップ)を選ぶ人は多いのではないでしょうか。そこで,ここでは「マネジメント力」の向上や「管理職」について考えてみたいと思います。
第4次産業革命※1)・Society 5.0※2)で必要な力は?
2030年頃からIoT・ビッグデータ・人工知能・ロボット等により社会が相当に変わります。「新産業構造ビジョン」※3)によると,製造や調達に関する仕事は減り,新たなビジネス・市場が拡大するための仕事,例えば経営企画・商品企画・マーケティング・R&Dなどは増えるであろうと予測されています。また各種事業やサービスも「多職種連携」がカギになります。そのような中,管理職になる・ならないに関わらず,組織で社員(職員)として働く以上,マネジメント力が不可欠になります。
マネジメント力を鍛える
日々の仕事の悩みや課題はマネジメント力向上のための生きた教材とも言えるでしょう。業務の課題を「解決」するのみでなく「課題を発見する力」や,自ら業務を「こなす」だけでなく「他者を育てて活かす力」も身に付けることが可能です。そのためには,現場の仕事を「経営の視点」で見ることが大切です。大きなリスクに対しても,「自分ならどう判断するだろう」と考える癖をつけておくとよいですね。経験を重ねながら,マネジメント力をアップさせていきましょう。
新しい管理職スタイルを創ろう
とは言え,「今の管理職のような働き方はちょっと・・」という声もよく耳にします。であれば,皆さんが新たな管理職スタイルを創っていけばよいのです。もちろん組織の長である以上,組織の目標達成や業務上の責任は外せませんが,実現の仕方は変更可能です。ダブル店長制,管理職の補佐要員配置など,今まで有り得なかった発想も期待される時代です。これからは働き方に制約の出る社員が増えてきます。「誰でも,どんな時でも,力をフルに発揮できる職場を創る」,これこそ次世代リーダーに託されたミッションです。
管理職に「なってよかった」9割,理由に「モティベーション」
広島県の調査※4)によると,女性管理職の7割は管理職になりたいと思っていなかったようです(因みに男性も4割が同様)。しかし就任後はナント9割が「なってよかった」と感じており,その理由の一つに「モティベーション」をあげています。組織で65歳70歳まで働く可能性を考えると,責任の重さや仕事の大変さばかりに目を向けず,事業展開の面白さやマネジメントのやりがいにも目を向けることをお勧めします。達成感はもちろん,人から頼られたり期待されることは,モティベーション維持につながるからです。
ごく自然体で管理職に,まだまだ先には役員も!
クラス委員・生徒会委員に男女いたように,組織の管理職に男女いるのはごく自然です。また初級管理職はマネジメント層のほんの入り口ですから,さほど物怖じする必要もありません。まだまだ先は長く,役員まであるのです。そこで私のオススメは,「オファーが来たら,まずやってみよう!」です。きっと見える景色が階段(階層)を上がるごとに変わっていきます。これからの皆さんのご活躍をお祈りしています。
※1)第4次産業革命:第1次産業革命(18世紀末以降,水力・蒸気機関による工場の機械化),第2次産業革命(20世紀初頭,分業に基づく電力を用いた大量生産),第3次産業革命(1970年代初頭,電子工学・情報技術を用いたオートメーション化)につづく4番目の産業時代のこと。特徴は,ロボット工学,人工知能,ブロックチェーン,ナノテクノロジー,量子コンピュータ,生物工学,モノのインターネット,3Dプリンター,自動運転車など多岐に渡る分野においての新興の技術革新。(参考:内閣府ホームページ)
※2)Society 5.0:第5期科学技術基本計画で提唱された日本が目指すべき未来社会の姿。狩猟社会(Society 1.0),農耕社会(Society 2.0),工業社会(Society 3.0),情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会を指すもの。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)を示す。(参考:内閣府ホームページ)
※3)新産業構造ビジョン:ビッグデータやIoT,AI,ロボットなどの第4次産業革命における技術革新を利用しながら,日本社会の構造的課題(子高齢化や経済停滞,地方の疲弊,エネルギー・環境問題など)の解決を目指し,さらに経済成長も狙うという目的のもとに経済産業省で取りまとめた(2017年5月末)ビジョンと戦略。(参考:経済産業省ホームページ)
※4)広島県女性活躍推進企業実態調査:今後の県内における女性活躍推進に向けた取組や施策を進めていく上での基礎資料を得ることを目的とし,県内企業等における「女性活躍推進」への取組状況や従業員の「キャリア形成」への意識等について把握するべく広島県が実施した調査。(『広島県女性活躍推進企業実態調査報告書(平成29年3月)』(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/ouensaito-sub/josei-chosa-houkoku.html)