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組織の人材開発コンサルティング・調査研究および人材育成事業に従事。研修講師・トレーナーでは主にビジネススキル,コミュニケーション,キャリアの分野で活動。製薬・医療領域での営業職・専門職(薬剤師)や子育て経験から,理論と実践をもとに現場に即した指導・助言を実施。日本生産性本部「女性活躍力総合診断」「女性人材の活躍」企画実施に携わる。MBA(経営学修士)。東京都出身。
≪仕事の継続 過去~現在≫
研修等でお会いする女性は,国や会社が掲げる女性活躍・管理職登用に微妙な感情を持っている方が少なくありません。尋ねると,日々急な依頼や無理難題に応え,工夫して効率よく業務遂行しているという気持ちの表れで,「きちんとやっています。今の私は不十分なのですか?成果や困りごとに対して支援して欲しいです。これ以上は…」という気持ちのようです。さらに家事・育児・介護等両立をしている人は,一つのことに集中するのとは違う集中力と技術が必要です。
これらの背景を捉えずに「管理職とか,リーダーとか,無理です」という言葉だけを捉えられてしまうのが現在までで,なんとももったいないことです。自業務を主眼にする「私」の視点を理解しつつ,違う視点から見ると,最も潜在力が高く光を当てたい,いや,充てるべきは女性の中に多くいます。
≪管理職?専門性?もしくは今のまま?≫
【管理職になるなんて考えられない】 「きちんとやっています」と思えるだけの経験と実績を積めば,道の一つであることは間違いありませんし,人や業務への関心と理解・対処力は,管理職に大切な要件です。何も特別なことではなく,皆さんの可能性や能力を見定めた会社と皆さんとの共同作業ですし,どのような集団でも,経験と知識を持つ人が大切な役割を担います。
【専門性を高めたい】 会社に頼るだけでなく,自らも時間や金銭的投資をしましょう。専門性を高めることと,管理職になることは,相反することではありません。経験と実績が伴えば,メンバーをまとめ,指導します。成果のために管理責任を持つのは必然です。
【今のままでいい,安定していたい】 加齢によって肌の状態は変わりますので,多くの人が化粧品を変えます。人間の自然摂理に対して工夫・対応をしているのです。社会や会社,仕事も同じで,人生100年時代とか,不確実で予測不可能な社会,技術革新によって人間の仕事が変わるもと言われ,十年単位で職場や顧客,社会環境は変わる時代です。固定電話からスマートフォンに,インターネット等の発達で予約方法が変わったりするように,仕事も生活も変化があることは,キャリアデザイン研修で講師から話がありました。自己管理・自己変革といった,セルフマネジメント能力はこれからを生きるスキルです。
≪自分の未来を「開いて」おく≫
【仕事は継続すること】 経済的に自立していることはとても重要です。
【不安は分ける】 「現状に対する不安・不満」と,「見えない未来への漠然とした不安」は別物です。
【現状は積極的に共有】 ヘルプサインを出し,「困っています」相談・開示しましょう。感情は貯めても言動に現れますし,感情に支配されて適切な自分を維持できません。ちなみに不安や不満は,喜びの感情より多面的で起こりやすいということが感情研究でもわかっています。
【未来の不安は誰でもあるもの】 大きくしすぎないことです。「未来は良くも悪くも想定通りにはならないし,想定外が起こるもの」とは,偶発性理論の中にあります。
日々色々あってもなお,働き続けて今があり,よかったと私は思っています。ですから,言い続けます。
「成長感が得られずとも,今できることを続けよう!」
「もし管理職でも,ちょっと驚く仕事や機会でも,チャレンジ案件は受けてみて。」
人の成長は一直線ではありません。私たちは成人に至る過程で,一定の成長を遂げていますので,ついそれが当たり前のように思いますが,成人は社会との関わりや個人の事情等,環境で成長は変わります。時にはスローペースに,あるいは後退する感覚さえもちますが,「継続は力なり」です。皆さんの個人としての活躍は,周囲や組織,広島県の女性の励みになります。