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「キャリアアップ」と聞いて…
女性にとって追い風の今はチャンス!私も頑張るわよ!と思った方と,あ~私はちょっとそんなタイプじゃないので応援する側に回ります!と思った方と,大別すると2つに分かれるのではないか。タカ派ハト派になぞらえて(…ちょっとちがうか)前者をタカコさん,後者をハトコさんと呼ぶことにして,以下にこの二つタイプの女性たちにアドバイスを差し上げてみたい。読者の皆さんにはどこかこの二人と共感するものがあると思う。
キャリアアップしたら何が嬉しいのか
タカコさんにとって一番嬉しいのは,世界が広がるということだろう。ひとコマ上がるだけで今まで得られなかった情報が手に入り,スッキリと全体が展望できる。問題の所在もわかる。高い山に登って雲よりも上に行くと,雨雲がどこで雨を降らせているのかが上から展望できる。麓を歩いていたときには,ただ雨に降られて辛かっただけなのにね。それから,肩書きが付くのも嬉しい。子供や夫に「かっこいい!」と言ってもらえるだけでなく,肩書きによって今まで会えなかった人に会え,遠くから見るだけだった会のメンバーにもなれる。
ハトコさんにとってありがたいのは,毎日の仕事が楽しくなるということ。上司から一つひとつ指示されて,内心「それ最初に言ってよ~」とか,「今やろうと思ってたとこなのに!」とイラッとしながらやっていた仕事が,階段を一つ上がって自分の考えでできるようになると,やらされ感がなくなる。同じ大変な仕事でも,人に言われてやれば「ストレス」,自分の考えでやれば「やりがい」になるのだ。
タカコさんにもハトコさんにも共通して実感できるのは,キャリアアップすると自分の知らない自分に会えるということだ。ずっとできないと思っていたことができるようになる。例えば大勢の人の前で堂々とプレゼンをしたり,苦手な人たちとも自然な笑顔で話せたり。それは,責任ある仕事を任され,部下から頼られることによって,自然と自分自身が成長するからだ。何事にも自信が持てるようになった自分を,前よりも好きだと思えることが嬉しい。
オジサンたちの知恵
でも,まわりを見ると,キャリアアップして管理職になった人はそんなに嬉しそうじゃないって?「課長なんかになるもんじゃないよ。残業手当もつかなくなったし,仕事はきついし責任は重いし…」そうボヤく新任課長は,男の嫉妬のオソロシさを知っているから,昇格できなかった人たちの妬みを買わないように,敢えて負の側面を強調しているだけなのだ。「課長になったもんね,仕事は充実したし管理職手当も大きめの机も部下が増えたのも,みーんな嬉しいぞ!」とは絶対に言わない。組織を生き抜くこのオジサンたちの知恵は学ぶべきものではあるが,決して鵜呑みにしてはいけない。
自信を持って!
けれどもやっぱり自分にはリーダーシップもないし経験もないしキャリアアップなんて無理,と思っているハトコさんも,頑張るとは言ったものの先輩の女性管理職のようなスーパーウーマンに自分もなれるのだろうかと実は不安なタカコさんも,勘違いしてはいけない。あなた方がリーダーや管理職にふさわしいかどうかは,あなた方が決めることではない。会社の人事のプロが決めることなのだ。プロが太鼓判を押してくれたのだから,自分を過小評価したり誰かの真似をする必要などない。そのままのあなたで良いのである。
キャリアアップは朝の通勤電車のようなものだ。あなたがためらって入り口でモタモタしていると,後に続く人たちも電車に乗れないことになる。だから後輩たちのためにも,自信を持ってもう一歩,大きく踏み出してみよう!