行政・住民協働型のまちづくり(広島型ランドバンク事業)
事業の背景と目的
広島県では、人口減少下においても県民生活や地域経済等の持続性を維持するために、災害リスクが低く利便性が高いエリアへ居住が誘導された集約型都市構造の形成に向け、取組を実施しています。加えて、中心市街地では、利便性が高いエリアであるにも関わらず、空き地や空き家などが増加し、都市のスポンジ化が進んでいます。
そこで、ランドバンク事業により、空き地や空き家などの未利用ストックを活用した居住環境を整備することで、「立地適正化計画」で示されている居住誘導区域への居住を誘導し、集約型都市構造の形成を図ることを目的としています。
ランドバンク事業(小規模連鎖型区画再編事業)とは
ランドバンク事業とは、空き家や空き地などの未利用ストックについて、隣接地や前面道路と一体として捉え、小規模での区画再編を連鎖させて、接道状況や土地形状の改善を図り、良好な居住環境整備につなげることにより、土地に付加価値を与え、市場性のあるストックを生み出す事業です。
広島型ランドバンク事業スキーム
地元住民組織と自治体で事業を進める「ランドバンク協議会」を設置し、区画再編エリアの設定、整備方針の決定、関係者調整、事業者選定等を担い、再編エリアの土地買収、工事、再編後の土地販売を選定された住宅関連事業者(民間)が行います。
事業の進め方
事業スキームに基づき、モデル事業により実例を重ね、スキームの有効性を検証しながら改善を図っていきます。令和7年度を目処に検証結果を基にマニュアルを作成し、全県へ展開していくこととしています。
モデル事業の実施について
令和3年度から、三原市本町地区をモデル地区として決定し事業を進めています。県内のランドバンク事業の普及に向けて、都市規模に応じた事業スキーム検証を進めるために、令和5年度から府中市府中・出口地区、令和6年度から海田町海田市駅北口地区を新たにモデル地区として決定しました。
モデル地区<三原市本町地区>
(1)取組期間
令和3年度~
(2)決定理由
三原市本町地区は、JR三原駅に隣接した地域で利便性が高いエリアですが、地域住民の高齢化が進行し、地区内道路が狭あいであることなどにより空き家が増加している地域であることから、ランドバンク事業による効果が高い地区です。
また、平成29年度より、県の魅力ある「まちなみづくり」支援事業のモデル地区に選定され、地域住民で策定したまちづくりのコンセプトの実現に向け、官民連携でまちづくりが進んでいます。
モデル地区<府中市府中・出口地区>
(1)取組期間
令和5年度~
(2)決定理由
府中・出口地区は、JR府中駅の北西に位置し、駅と隣接した利便性が高い地域ですが、既成市街地のため道路が狭あいであることなどにより、住宅の建て替えが進んでおらず空き家が増加している地域であることから、ランドバンク事業による効果が高い地区です。
また、令和5年3月に策定された府中市住生活基本計画では、区画再生による利便性の高い市街地への居住誘導のための施策としてランドバンク事業が位置づけられるなど機運が高まっています。
モデル地区<海田町海田市駅北口地区>
(1)取組期間
令和6年度~
(2)決定理由
海田市駅北口地区は、JR海田市駅の北側に位置し、駅と隣接した利便性が高い地域ですが、狭あい道路や未接道宅地が散在し、建替えが難しいことなど、今後、まとまって空き家が発生する可能性のある地域であることから、ランドバンク事業による効果が高い地区です。
また、令和5年3月に策定された海田町中心拠点まちづくり基本構想では、住み続けたい居住環境の形成施策としてランドバンク事業が位置づけられるなど機運が高まっています。