高齢者のための住宅改修ポイント【ポイント1】
ポイント1 失敗しない工事見積書の読み方
住宅改修を成功させるために《建築士からのメッセージ》
- 着工後に予定額を超える金額を請求された(見積があいまい)
- 不要の工事を行い数百万円を要求された
- 工事のやり直しに応じない
このような苦情が消費者相談に多く寄せられております。
金額に見合った正当な工事がなされるためには、事前に見積書の内容を確認しておくことが大切です。
事業者により見積はこんなに違います
A事業者…間違いを起こしにくい見積り
A社の見積りは手すりの取付工事ですが、どこに、どんな品質の材料を使って工事をするのかがこと細かく記入されております。
どのような材料を使って、どのような工事が行われるのかわかり易くなっています。
B事業者…間違いやすい見積り
B社の見積りは便所の改修工事ですが、○○セットの金額しか記入されておりません。業者の体質が疑われ,後でトラブルが起きやすい例です。
どのような材料を使っ て、どのような工事が行われるのかはっきりしません。
工事見積書は、なぜ必要なのでしょうか
「見積書の内容が良くわからない」などの理由で、よく確かめないで、工事をしてもらった。当初に考えていたのとは違っていたので、事業者に変更を頼んだら高額な支払いを求められた。
このようなトラブルを起さないためにも見積りは必ず確認しましょう。
工事見積りとは
どんな工事にどのくらいの費用がかかるか。あらかじめ工事に必要な「材料」、「品質」、「工賃」などを見積もることです。
見積りは必ず取る
どんな小さな工事でも、必ず書面にして確認しておくことです。また、工事内容がわかる図面や製品のカタログなど添付資料も必要です。
工事見積りの用語を理解しましょう
一般によく使われていますがわかりにくい用語の説明です。
用語 | 説明 |
---|---|
○○一式 | 工事がごく小規模で、工事金額がほぼ一定の場合、材料・工賃を合わせて「一式」とする場合があります。 |
別途工事 | 見積書の範囲にない工事です。見積りに含まれる工事か否か、よく見極めておく必要があります。 便所の手すり取付工事のみ見積りの場合、便器の取り替えは別途工事になります。 |
追加工事 | 見積り時点では正確な費用が出せない場合、後日清算するものです。 たとえば、床の張り替えで、工事を始めたら床下が腐っていて補強が必要になった場合は、「追加工事」となります。 |
諸経費 | 施行業者が工事をするうえで必要な経費です。 工事規模に応じて諸経費率は違ってきますが、増改築工事の場合は、新築工事より割高となります。 |
廃材処分費 | 建築工事の際に出る廃材は勝手に処分できません。産業廃棄物処理業者に処理してもらう費用です。 |
材料費と工費 | 材料費とは、使用される材料、製品、部品など。工費はそれらを取り付ける技術料などです。 |
見積金額の違いは、なぜ起るのでしょう
金額の違いは、材料や商品などの製品の違いや仕入れ価格が異なること、工賃、諸経費の違いなどから生じます。見積金額が安いだけで、工事の良否は判断しにくいものです。手すりや便器など、メーカーによって品質も価格も違います。カタログなどで納得してから決めましょう。
大切なことは、金額に相当した良心的な工事をしてくれる事業者を選ぶことです。
工事内容明細の見方
小規模な住宅改造では、初めから工事箇所別に具体的な工事内容が書かれています。材料費、商品名、数量などに加えて、工賃や諸経費などがあります。出来れば、図面やスケッチなどもあると工事の出来上がりを想定しやすくなります。
特に良い見積りの事例
手すりなどの取付工事ですが、手すりの材料は何か、どれくらいの長さのものを、どこに取り付けるのか、これに伴う付属部品などがこと細かく記入されております。これに加えて、改修箇所の平面図には、取り付ける位置やかたちまで表示されております。
具体例と見積り
Aさんは86歳(要介護認定・4)、なんとかひとり暮らしをしています。住宅内で転倒するなどのケガをしたことから、介護支援専門員(ケアマネージャー)に勧められて住宅改造し、排せつ、入浴が自分でできるようになりました。
玄関土間と上がりかまちの段差解消と手すり
廊下と同一床面にして洋式便所にした
住宅状況
一戸建て木造・(2階建て)・持ち家
改修箇所
便所と廊下の床段差を無くして寝室から手すりを伝って歩行可能にした。 洋式便器にして、手すりを設置した 玄関土間に低い床を設けて外出しやすくした 。浴室に踏み台と浴槽の縁にハンドグリップを取り付けた。
建築士からのコメント
かなり分かり易い見積りですが、もう少し具体的な指摘をすると…