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【開催レポート】「AIで未来を切り拓く~「地域×AI」 広島からの挑戦~」

印刷用ページを表示する掲載日2026年2月27日

イベント概要

令和8年2月10日、広島大学東千田キャンパスにおいて、「AIで未来を切り拓く~「地域×AI」広島からの挑戦~」を開催し、多くの方にご参加いただきました。

イベントでは、これまでの広島AIラボの探究活動を発表するとともに、学生による大崎上島町における課題に対するAI活用のアイデア発表も行いました。

また、最後の企業や自治体のトップリーダーによるパネルディスカッションでは、人口減少社会において、地域課題の解決にとっていかにAIが重要か、行政に求められる役割は何か、我々に求められる力は何かなどについて、熱い議論が繰り広げられました。

熱狂の210分をレポートします。

 

パネラー集合

日時

令和8年2月10日(火) 13:30~17:00

会場

広島大学東千田キャンパス SENDA LAB
(広島市中区東千田町一丁目1番89号)

参加者

企業・大学・自治体・学生など、会場80名、オンライン374名にご参加いただきました。
※当イベントは、中国経済産業局主催のIT イベント「Tech To The Future 2026」の中で開催したものです。

セッション1 「広島AIラボ」探究報告

■広島AIラボ発表の様子

江盛川崎森永大島

 

■発表者1:情報主事 江盛 翔太

表題:AIを活用した BPR(業務改革)の探索的検証

内容:職員が自発的・自律的にBPRを進めやすくするため、AI技術を活用し、業務プロセスの可視化など業務整理の支援や、改善提案の可能性について検証。

資料:資料1(江盛) (PDFファイル)(2.31MB)

 

■発表者2:情報主任 川崎 恵祐

表題:AIを用いた県庁業務の生産性向上に向けた段階的アプローチの実証

内容:進化するAI技術を活用し、生産性向上を実現するため、AIエージェントなどの技術と現場の課題との最適な適合を段階的に見出していくアプローチを検証。

資料:資料2(川崎) (PDFファイル)(8.6MB)

 

■発表者3:情報主任 森永 雄一朗

表題:進路支援におけるAI活用の可能性

内容:学生の関心のあるキーワードの入力を元にAIが様々な切り口から研究テーマを提案することを通じて、漠然とした思いを具体的な進路選択肢へと繋げられるかを検証。

資料:資料3(森永) (PDFファイル)(6.12MB)

 

■発表者4:情報主事 大島 風雅

表題:AIによる法面崩壊予測に関する取組

内容:モルタル吹付の法面を対象に、画像診断AIを用いることによる、法面のクラックや植生などの変状の検出を通じて、法面崩壊リスクの評価に繋げる可能性の検証。

資料:資料4(大島) (PDFファイル)(7.65MB)

セッション2 アイデア発表「次世代クリエーターが提案する”大崎上島×ゆるっとAI”」

アイデア発表の様子と内容

■アイデア発表の様子

学生1学生2

チーム名:佐々木造船チーム(写真左)

発表者:広島大学 石黒琥太郎、広島工業大学 河村駿太、広島商船高等専門学校 祐本剛輝 

内容:造船現場における、外国人実習生に対する安全指示などを含む「確実な指示伝達」という課題に対し、多言語翻訳AIアプリの可能性について、使用する環境に合わせた機能など現場の声も踏まえて検討しました。

チーム名:観光協会チーム(写真右)

発表者:広島市立大学 増田理裕、広島市立大学 向井健悟、広島工業大学 赤瀬空良、 広島商船高等専門学校 味呑大成

内容:人とのつながりを大切にしたい大崎上島町観光協会の意向を踏まえ、島のファンを増やすという課題に対し、能動的な観光体験につながる観光情報アプリの可能性について、人を動かすための仕組みを考えながら検討しました。

特別ゲストによるコメント

 

宮坂副知事石山代表理事

谷川町長横田知事

 

□宮坂 学 氏(東京都副知事)
宮坂氏は、学校教育と仕事の最大の違いは「自ら問題を探すこと」にあると指摘しました 。正解のない不確実な状況で悩む際、生成AIを「巨人の肩に乗る」ツールとして活用し、世界中の知見を瞬時に取り入れる重要性を強調 。失敗を恐れず経験から学び、AIを駆使してより遠くを見通す提案をしてほしいと、学生たちの今後のエンジニアリング活動に期待を寄せました 。

 

□石山 アンジュ 氏(一般社団法人シェアリングエコノミー協会 代表理事)
石山氏は、AIを目的ではなく課題解決の「手段」と捉え、現場でのフィールドワークを通じたリアルな悩み把握に時間を割いた姿勢を高く評価しました 。理想と現実のギャップに向き合い、問題を再設定する修正力を称賛 。一つの地域課題を社会全体の課題とリンクさせて考える視点を持つことで、より多くの支援が集まり、世界と繋がる活動に発展すると助言しました 。

 

□谷川  正芳 氏(大崎上島町長)
谷川氏は、造船や観光という島の基幹産業に学生が注目したことに感謝を述べました 。伝統と新しい視点が混在する現場で、AI活用の前に自ら「歩き、見て、聞き、感じる」ことの重要性を強調 。5ヶ月間の体験を通じて地域のファンになり、人間を深く知ることで真の課題が見えてくると説き、学生たちの主体的なテクノロジー活用を後押しするエールを送りました 。

 

□横田 美香 (広島県知事)
横田知事は、AI活用の発表を通じて、時代が変わっても試行錯誤し成長する「人の学びの本質」は変わらないと語りました 。結論が出なかった過程も含め、新しい事態に直面した際の葛藤や喜びを「学びのリアル」として高く評価 。蓄積された知見を学びながら、今回のプロジェクトで感じた「ワクワクする気持ち」を忘れずに、さらに一歩先の未来へ挑戦し続けてほしいと激励しました 。

セッション3 パネルディスカッション「地域未来の再設計:AIが拓く地域の力」

多くの課題を抱える地方において、AI活用で新たな地域の未来を設計することができるかについて、多様な視点でご議論いただきました。
まず、各パネラーの取組状況や、AIが秘めている可能性や期待感についてそれぞれの立場から紹介した後、人口減少社会において地域に山積する課題に対して、主体的にAIを活用していく必要性などについて意見交換を行っていただきました。

□パネラー
・広島県知事 横田 美香
・東京都副知事 宮坂 学 氏
・グーグル・クラウド・ジャパン日本代表 三上 智子 氏
・一般社団法人シェアリングエコノミー協会代表理事 石山 アンジュ 氏
・株式会社エクレクト代表取締役 辻本 真大 氏

□モデレーター
広島県デジタル特別参与 須山 勇

パネルディスカッションの様子

 

パネリスト2パネリスト1

パネラーの主なコメント

宮坂氏
□宮坂 学 氏
・現場感覚の重要性: エンジニアではなく、現場の課題を肌身で知っている職員が「どうデータを分ければ使いやすいか」と試行錯誤することが、質の高い回答を生む鍵となる。
・労働人口減少への唯一の対策: 将来、公務員の数は確実に減るが、サービスを維持するには、テクノロジーに頼る以外に選択肢はない。
・人件費の投資: 将来的に浮くはずの人件費を、今のうちにテクノロジーへ投資できるかどうかが勝負だと考えている。
・「思考の電動自転車」: 昔、パソコンが「思考の自転車」と言われたように、AIは「思考の電動自転車」だ。歩くか普通の自転車に乗るかは自由だが、新しい世代に「電動自転車」という選択肢を伝える義務が我々にはある。
・AIに意欲がある人: 「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」というイギリスのことわざがあり、周りが環境を整えたとしても、実際にやるかやらないかは本人次第だ、という意味である。このことわざのように、AIを無理に使わせることはできないので、まずはAIに意欲がある人に対して、AIを使いやすい環境を作ることが行政の重要な役割だ。
三上氏
□三上 智子 氏
・AIを使うことが目的ではなく、課題を解決することが目的。AIを使いこなせる人材育成、AIで世の中をもっとよくするための支援をしている。
・エージェント型AI: 議事録作成などの単純タスクから、今後はAIが自律的に動いて業務プロセスに組み込まれる「エージェント」が本格化する 。
・フィジカルAI: ホワイトワーカーの生産性向上だけでなく、物理的な世界でもAIが浸透していく。これは日本が強い領域であり、注力したいと考えている 。
待ったなしの状況: 欧米ではAIが仕事を奪う恐怖心もあるが、人口減少に直面する日本はAIを活用して変わらざるを得ない状況にある。
・マインドセット: 失敗を恐れず、AIを使って課題を解決するプロセスを楽しむ姿勢が重要だ。
辻本氏
□辻本 真大 氏
・大崎上島での拠点展開: 自然豊かな大崎上島町に、人間力を高めながらテクノロジーを融合させる人材開発拠点を構築している 。
・生産性の劇的向上: AIを駆使することで、一人の人間が従来の十倍の成果(十馬力)を出せる世界が当たり前になると予見している 。
・人間力とAI: AIを使いこなすために必要なのはテクノロジーの知識だけではない。コミュニケーション能力や共感力、非認知能力といった「人間力」が高い人こそが、AIを最大限に活用できる。
・思考の深化: AIを「相棒」として対話(壁打ち)に使うことで、かつては専門家や哲学者に問わなければ得られなかったような高い視座を得られる時代になった。
・主体性の維持: AIに「使われる」人間にならないためには、相手(AI)の特性を理解し、正しい問いを立て、得られた答えを自分で咀嚼することが不可欠である。
石山氏
□石山 アンジュ 氏
・超シェア化社会: AIの普及により、誰が何を必要とし、誰が余剰資産(スキルや空き家など)を持っているかを瞬時に結びつける「超シェア化社会」が到来している。
・見えない資源の可視化: 地方には「人手不足・お金がない」という課題がある一方で、使われていない施設や元気な高齢者のスキルといった「遊休資産」が眠っている。これらの資源を、AIを活用して動かすことで、地域の活力を引き出せる。
・公民連携の必要性: 首都圏のテレワーク等の普及率が40%程度であるのに対し、地方の中小企業は10%程度に留まっているという実態を危惧している。民間企業にAIを実装するには、第三セクターや業界団体による後押しと公民連携が不可欠である。
・ゴール(豊かさ)の共有: AIによる業務代替が既存の組織や地域で「脅威」と見なされると、社会実装は進まない。まず「地域や社会をより豊かにするもの」という共通のゴールを提示し、丁寧にコミュニケーションを重ねることが重要だ。
知事
□横田 美香
・AIが発達すればするほど、人には人間力とか共感力とか、人間らしさというのが、より求められてくると感じた。
・答えがない中で問いを探す能力や、情報の真偽を見極めるリテラシーが重要だ。
・広島にはAIを活用してチャレンジできる環境がある。意欲のある人(「乾いた馬」)が広島に集まることを歓迎し、県としてもしっかり支えていくと締めくくりました。
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