果樹研究部　これまでの研究内容

これまでの研究内容

温州ミカン「石地」の早期多収を目指す主幹形栽培技術の確立

　県内で発見された浮皮の発生が少なく食味のよい「石地」の振興を図るために，早期多収技術の開発に取り組んでいます。当部で研究実績のある主幹形整枝は，作業性が良く，定植初期から安定して多収が可能となります。「石地」の品種特性にマッチした主幹形栽培技術体系の確立を目指しています。

左：温州ミカン「石地」の主幹形仕立て栽培
右：主幹形仕立ての模型

県独自性の高いカンキツ類の新品種育成

　新しい時代のニーズに対応できる，優れたカンキツ新品種の育成を行っています。近年，「果研11号」，「安芸の輝き 」，｢イエローベル｣，｢黄宝｣を育成して話題を呼んでいます。

種子の少ないレモン「イエローベル」 

光反射マルチを利用したブドウの収量増加技術

　近年は夏季の高温などでブドウ果実の着色不良が発生し，房数を増やすと果実品質が低下する状況となっています。このため，光反射マルチを被覆して葉に当たる光を多くすることで，房数を増やしても着色などの果実品質を維持できる技術開発に取り組んでいます。

光反射マルチの被覆状況

株枯病抵抗性台木を活用したイチジク「蓬莱柿」の省力安定生産技術の開発

　イチジク株枯病は，成木を短期間に枯死させ，大幅に収量を低下させます。
また，土壌を汚染するため防除効果が安定せず，再生産が困難になります。本病は産地の消滅につながる危険性があり，全国のイチジク産地が最も警戒しています。株枯れ病の生態解明と防除技術の開発に取り組んでいます。

イチジク「蓬莱柿」

急傾斜地のテラス面に植栽された主幹形仕立て温州ミカンで機械化を実証

　温州ミカンの主幹形仕立ては樹高2.2mの1本の主幹に，長さ60cmの側枝を直接25本程度発生させた樹形であり，早期成園化が可能で果実品質が優れています。コンパクトな樹形のため，急傾斜地のテラス面でも作業道が確保でき，そこへ省力機械を導入できます。 クローラ型防除機を利用すると防除や葉面散布の省力化が可能です。

クローラ型防除機による防除作業

カンキツ「はるみ」の安定生産技術

　カンキツ「はるみ」は，隔年結果性が強く裏年，表年を繰り返し，安定した収量を得ることが難しい品種です。この問題を解決するために，着果方法，施肥量や枝管理の方法について技術開発を行いました。着果方法は樹の上部1/3は全て摘果し，下部2/3に着果させて樹勢を維持します。

「はるみ」の樹冠上部摘果

レモンの周年供給および省力栽培技術の開発

　広島県のレモン生産量は日本一で，さらに「広島ブランド」を高めるための研究を行っています。レモンの長期貯蔵や，脚立に登らなくても収穫が出来る低樹高化の技術開発を目指しています。

レモン貯蔵の調査風景

「レモンの収穫と取扱い方法について」 (PDFファイル)

ナシの高品質・大玉果実生産技術

　ナシでは，排水不良園の透水性を向上させる技術として，安価で根傷みが少ないボーリング処理技術や，早生種の「愛甘水」の小玉や低糖度果実対策のための，短果枝を利用した高品質果実生産技術等を開発しました。

ナシ「愛甘水」

ブドウの根域制限栽培

　一般に果樹を植え付ける際には，土を深く耕して樹を大きく育てるように管理します。しかし，根が広く分布するため，きめ細かな肥料や水の管理が難しく，樹勢の不安定による果実品質等の低下を招いています。根域制限栽培は根の範囲を制限し，水と肥料を理想的な状態で管理する栽培方法です。このことにより高品質，省力・軽労化，多収を実現しています。

ブドウの根域制限栽培

気候温暖化に対応したブドウの着色向上技術の確立

　ブドウは着色期に高温となると果実の着色が不十分となり，商品性が低下します。これまでに，気温と着色との関係を解明し，広島県の着色適地を解明してきました。また，高温条件下での着色向上技術として環状はく皮の処理技術を開発してきました。現在は涼しい時期に成熟期を迎えるための熟期制御技術を開発中です。

ブドウ「安芸クイーン」
▼詳細情報，マニュアルはページ下部からダウンロードできます。 

ダウンロード

• ブドウの着色向上技術(PDFファイル)