早生で核割れが少なく,豊産性のモモ新品種「さくひめ」の広島県における栽培特性
背景
広島県内のモモ産地では,早生品種として「日川白鳳」が主に栽培されています。
しかし「日川白鳳」は,生理障害である核割れ※が発生しやすく,収穫期が梅雨時期に当たることから,高品質果実を安定的に生産する上で課題がありました。
そこで,国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門が育成した,モモ新品種「さくひめ」の本県における栽培特性を明らかにしました。なお,本品種は平成29年2月に品種登録出願公表されています。
※核割れ:果実の核(内果皮)が果実肥大に伴って割れることにより,品質が低下したり,果実の外観が変形したりする症状で,特に早生品種で多く発生する傾向があります。
内容
・「さくひめ」は,ブラジルから導入した低温要求時間の短い品種「Coral」と,日本の果実品質に優れた早生品種「ちよひめ」などとの交雑により育成(農研機構,2017)されました(図1)。
・東広島市安芸津町では,「さくひめ」の開花期は,「日川白鳳」より11日程度早くなります。しかし,花粉がある品種のため,単一品種でも十分に結実します(表1)。
・東広島市安芸津町では,「さくひめ」の収穫盛期は,「日川白鳳」より9日程度早くなります。
・果実重は,「日川白鳳」よりやや大きくなります。
・収量は,「日川白鳳」より3割程度多くなります。
・糖度,酸味及びみつ症の発生は,「日川白鳳」と同程度です。
・「日川白鳳」で発生が問題となる核割れは,「さくひめ」ではほとんど発生しません。
留意点
本報は,農研機構,≪研究成果≫西南暖地に向く早生モモ新品種「さくひめ」(2017年6月28日)http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nifts/076023.html(最終検索日2017年9月29日)を参考に作成しています。
「さくひめ」は樹勢が強く徒長的であるため,徒長枝の切除など樹勢を制御するための枝管理が必要になります。また,本県の中北部地域で栽培する場合は,開花期が従来品種と異なり,大幅に前進するため,晩霜害の対策が必要と考えられます。
お問合せ
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