「発達障害」について知ってください~発達障害に係る県民向け啓発パンフレット~
広島県では,自閉症やアスペルガー症候群などの「発達障害」について,県民の皆様に正しい知識をお伝えし,障害を持つ方々への御支援をいただくために,啓発パンフレットを作成しました。
このパンフレットの内容を,より多くの県民の皆様に知っていただくため,インターネット版として公開いたします。
なお,ページ下部のダウンロード欄によりPDFファイルでもご覧いただけます。
「発達障害」との出会い
「発達障害」について知ってください
- 「名前を呼んでも知らん顔をしている幼児」,「友達と遊ばずいつも一人でいる子」など人への関心が乏しい子を見かけたことはありませんか。
- 一方で,「やたらと話しかけてくるが,自分の興味のあることを一方的にしゃべるだけ」など人との距離感がうまくとれない青年に出会ったことはないですか。
- また職場の中で,周囲の同僚の気持ちをくみ取ることができずに,ぎくしゃくしている人はいませんか。
本人には悪気がなく,むしろ一生懸命にやっているのに,人間関係や集団生活で困難に直面している人がいます。その中には,発達障害の特性を抱えている場合があります。
近年の調査では,こうした発達障害の特徴がある人はまれではなく,私たちの身近にもいることが明らかになっています。そのため,県民一人ひとりが関心を持ち,困難を感じている子どもや人達に気付いていくことが大切です。
「発達障害」の原因
発達障害の原因はまだ分かっていませんが,生まれながらの脳機能の障害と考えられています。保護者の育て方や本人の努力不足が原因で起こるものではありません。
「病気が治る」という意味合いでは,発達障害そのものが治るということがありませんが,早期からの適切な支援と周囲の理解,発達障害の特性に合った生活環境の整備により,地域社会で生活を送ることは十分可能になります。
「発達障害」の定義
平成17年4月に発達障害者支援法が施行され,県民の皆様にも「発達障害」について,知っていただくことが求められています。
この法律では,「発達障害」とは「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害(LD),注意欠陥多動性障害(ADHD)その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
「発達障害」には様々な現れ方があります
発達障害がどのように現れ,また,どの程度困難なのかは,人それぞれ異なります。
また,周囲の環境や接しかたによっても,多様に変化します。
ここでは発達障害の特性の代表例を紹介します。
※ただし以下の事例と同じような特性があったとしても必ずしも発達障害があるというわけではありません。
「発達障害」を持つ方々への御理解と御支援をお願いします。
広島県発達障害者支援センター
センター長 西村 浩二
発達障害のある人の生きづらさとは
発達障害のある人はその特性が,社会の中では少数派で,見え方・感じ方・学び方が独特なものとして現れる場合があり,周囲から誤解を受けることも少なくありません。特性が違うことがすぐに「障害」とつながるわけではありませんが,周囲から正しい理解と配慮がなされないことで,結果として本人の生きづらさにつながってしまいます。
どのように理解すればよいの?
もし身近な存在の中に勉強や仕事につまづいている人がいたとすれば,「やろうとしない」と見なすのではなく,「分からなくて困っているのでは」という視点に変えると,その人のおかれている状況を理解することにつながるかもしれません。
本人の得意な面が活かせるような配慮があれば,社会との折り合いをつけていくことができると思われます。
どのような支援が必要なの?
抽象的な概念の理解が苦手なので,具体的な表現で本人にとって分かりやすい伝え方を心がけることが大切です。
以下に一例を示します。
- 話し言葉だけに頼らず,絵・写真・文字などの視覚に訴える方法を心がける。
- いまいな表現を避け,具体的な言葉で伝えてみる。
(例えば,「ちょっと待ってね。」ではなく,具体的に「5分待ってね。」と伝える。) - 一度に複数のことを指示せず,ひとつずつ順番に示す。
発達障害のある人が自己肯定感を得られるためには,周囲の人たちに正しく特性を理解してもらうことが重要です。
できないことをやみくもに努力させるだけでなく,人の支援を得て解決できることがあると実感できれば,本人の不安やストレスの軽減につながります。
特定非営利活動法人
広島自閉症協会
理事長 小野塚 剛
いちばん困っているのは本人かもしれません・・・
いちばん身近の家族でさえ,発達障害のある人の行動には戸惑うことばかりです。外見上同じであっても,発達障害の特性以外の原因が重なっていることもあります。
しかしながら,いずれにしてもいちばん困っているのは「本人自身」である場合が多いのです。必要なのは,本人の気持ちに寄り添っていくことです。
自信をなくして暮らしている人・子もいますが・・・
発達障害特有の困難に気付いてもらえずに,周りの人とのあつれきやすれ違いを人の何倍も経験し,自信をなくしていく人がいます。それがひどくなって自分自身を傷つけるような行動や,反社会的な言動に出る場合もあります。一方で,問題が小さなうちから周りの人が関わり方を工夫したことで,うまく課題をこなせるようになり,明るく前向きに暮らす人もたくさんいます。
みんなのしあわせにつなげていきたい・・・
例えば,発達障害のある子にも配慮した授業に取り組んだ結果,クラスみんなの理解度が向上したという学校があります。発達障害のある作業者に対応した仕事場を創り,他の作業者も働きやすくなった工場があります。発達障害への対応には,すべての人にとってやさしい社会を創ることにつながる可能性があります。
この度,多くの関係者の御尽力で,このパンフレットができました。これをきっかけに,「発達障害」が多くの人たちにとっても身近な問題であると分かっていただき,その結果,笑顔の子どもや人達が増えることを願います。
気になることがあれば,お住まいの市町の窓口や発達障害者支援センターなどで相談することができます。
発達障害に関する相談先
1 広島県発達障害者支援センター
- 所在地 〒739-0001 東広島市西条町西条414番地31 サポートオフィスQUEST内
- 電話番号 (082)490-3455
- Fax番号 (082)427-6280
2 広島市発達障害者支援センター
- 所在地 〒732-0052 広島市東区光町2-15-55 広島市こども療育センター内
- 電話番号 (082)568-7328
- Fax番号 (082)261-0545
その他,18歳未満の子どもの問題についての相談先
1 広島県西部こども家庭センター
- 所在地 〒734-0003 広島市南区宇品東4-1-26
- 電話番号 (082)254-0381
- Fax番号 (082)256-5520
2 広島県東部こども家庭センター
- 所在地 〒720-0838 福山市瀬戸町山北291-1
- 電話番号 (084)951-2340
- Fax番号 (084)951-2379
3 広島県北部こども家庭センター
- 所在地 〒728-0013 三次市十日市町4-6-1
- 電話番号 (0824)63-5181
- Fax番号 (0824)63-9743
4 広島市児童相談所
- 所在地 〒732-0052 広島市東区光町2-15-55
- 電話番号 (082)263-0694
- Fax番号 (082)263-0705
発行:広島県 編集:特定非営利活動法人広島自閉症協会
協力:広島市 監修:広島県発達障害者支援センター
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