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大学院時代のネットワークがあってこその​新部署誕生

印刷用ページを表示する掲載日2023年3月16日

広島県未来チャレンジ資金利用者の声

氏名

松原かほり(マツバラカオリ)氏

職種

医療(パートナーシップ推進室 室長)

Q. これまでのキャリアと、大学院に進むことに決めた背景を教えて下さい。

A.もともとは、病気や怪我で言語や聴覚に障がいを持った方にリハビリを行う言語聴覚士としてキャリアを積んでいました。病院内での専門職としての経験が長くなる一方で、患者さんには様々な背景の方がおられることもあり、より広い視野を持つべきと感じてオーストラリアにて生活をしていた時期もあります。現地では介護施設でのボランティアを通じ、日本と海外の介護への考え方や死生観の違いなど、新たな視野を得て帰国しました。
言語聴覚士は医師の指導のもと医療行為を行う専門職ですが、リハビリは医師、看護師、理学療法士や作業療法士などとのチーム医療で効果を発揮します。そのためチーム内でのリーダーシップの必要性を感じる場面は以前からあったのですが、その後リハビリテーション部の科長という役職につき、自部署でさらに広い職種の人材をまとめる立場となると、より「マネジメント」を意識するようになりました。もともと理論の上に実践を行いたいタイプだったこともあり、今後人材育成や人材管理といった方向にも活かせると考えました。

Q.大学院にて,どんなことを学んだのかをお聞かせください。​

A.未来チャレンジ資金について知ったのは、県立広島大学大学院でマネジメントを学ぶことができると知ったのと同時でした。講義では、人材マネジメントや財務など、私が求めていた「理論」としての学びに加え、経営の要となる財務についての知識、さらには様々な職種の同級生とのチームでのビジネス創造演習、ファシリテーションの手法など、幅広い分野について実践も交えながら学ぶことができました。とりわけ心に残っているのは工場などでの生産管理についての授業です。全く違う業種ながら、工場で効率よくスムーズに生産を行うための緻密な生産管理のメソッドは、病院内で患者さんが外来から入院、退院まで治療をつなげていくオペレーションに活かすことができると感じました。また同級生たちとのディスカッションや、実際の経営者の方々からの講義を通じ、自分だけでは知り得なかった発想や経験を伺うことができたのも大きな収穫でした。全体としては、「新しい発想を生むための引き出し」や「ベース」を得たという表現が一番しっくりと来る表現だと思っています。
また、医療介護福祉分野の仕事は自身の感情を強くコントロールする「感情労働」だと言われますが、私の研究テーマ「社会福祉事業の新たな展開を支える報酬管理~感情労働の視点から~」では、感情労働を行う就労者のマネジメントについて、ヒアリング調査からの考察も行いました。

プロフィール1

Q.大学院で学んだことを,どのように生かしたのかお聞かせください。

A.大学院修了後、経営陣と学んできたことを共有する中で、私を室長として新な部署も誕生しました。地域の利用者さんと、法人、そして職員と皆にとって快適な関係とより良い環境を築くための部署「パートナーシップ推進室」です。働き方改革や教育研修制度を初めとして様々な改革や取組に関わって、大学院で学んだ手法や理論、知識に何度も立ち戻りながら各プロジェクトを構築しました。
また、ひとりひとりが専門家でもある同級生たちや教授には、アドバイスや企業・セミナーの紹介など様々な方面から支援いただき、ICT導入や広報の拡充、外国人人材の導入、情報システムの整備など多岐に渡る新規の取組をスタートさせることができました。大学院時代のネットワークがあってこそのパートナーシップ推進室だと思っています。

Q.仕事において、大学院での研究が具体的にどのような成果につながったのか、可能であれば具体的にお聞かせください。​

A.パートナーシップ推進室では、大学院の研究で行ったように、まず最初に職員へのアンケート調査やヒアリングから着手しました。働き方改革を念頭に置いてのアンケートでしたが、その中で職員の方々が多様な働き方を求めていることがクリアとなったことから、法令順守や時代錯誤な制度の改革といった基本的な事柄だけでなく、副業の許可を始めとしたそれぞれが自分に合った働き方を「選べる」制度を整えました。現在ではさらにその先の、感情労働と金銭報酬ではない「働きがい」の関係性に着目した仕組について検討中ですが、離職が大きな課題となっているこの分野において、副業を選択した従事者に離職者がいないことを考えると、一定の成果を出すことができていると感じています。
教育研修制度では、従来どおりの集合研修に加え大学院で行われていたようなグループワークを行う際に大学院で学んだファシリテーションを活用しています。職員が今後チームとして仕事をする場面でも、互いの力を認めあい引き出し合いながらそれぞれの力を仕事に活かせるような人材・組織開発ができていると思います。また、大学院の教授から紹介されたセミナーをきっかけに知り合った株式会社ZIP CAREと共同で、ICTを利用した見守りを支援する介護ロボットの実証研究を行っており、ICTの導入を単なる業務の効率化で終わらせない「働きがい」へとつなげていく取組も進行中です。

Q.未来チャレンジ資金を利用して大学院への進学を考えている方へのメッセージをお願いします。​

A.新しいことを学ぶということは、自分の人生において「面白い」と感じる機会を増やし、より日々を生きやすくするものだと考えています。私の場合は、大学院で学んだことで自分自身の内面が広がり、さらにネットワークや周囲の方々からの知恵や知見を得ることで、外へとどんどんつながりが広がっていった、という感覚です。
入学を考えている今こそ「一人」だと感じているかもしれませんが、大学院は同じ志を持った仲間が集まり、切磋琢磨しながら支え合い学び合う場所です。そして、私のように、卒業後には大学院に進んだからこそできるチャレンジが目の前に広がるはずです。一歩踏み出すことで、仕事でも、そして人生でも、様々な可能性をつかむことができるのが、大学院だと思います。

プロフィール2

入学前から現在までのスケジュール

ロードマップ

 

 

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