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第二音戸大橋(だいにおんどおおはし)

印刷用ページを表示する掲載日2015年3月11日

第二音戸大橋  

諸元

路線一般国道487号(警固屋音戸バイパス)
所在地呉市警固屋~呉市音戸町(音戸ノ瀬戸)
完成平成25年3月27日(供用開始)
橋長492m
最大支間長280m(アーチ橋では国内第4位)
設計荷重B活荷重
上部工形式中路式ニールセンローゼ固定アーチ橋
アーチライズ65.0m
有効幅員10.0m(暫定2車線)
車道幅員7.0m
歩道幅員2.0m
桁下高さ(航路)39.0m
塗装色朱赤(日招きレッド)
管理者広島県
愛称日招き大橋

広島県の橋梁技術を結集した我が国初の「空中ジョイント」

 昭和36年の音戸大橋の開通により,生活が一変した島民は様々な場面で橋の恩恵を受ける一方,音戸大橋周辺では,車両の大型化や通行料の無料化をはじめとした交通環境の変化により,徐々に渋滞が慢性化していくのであった。

 また,かつて異彩を放った螺旋型の取付道路には歩道がなく,その大きな高低差ゆえに歩行者から敬遠され,交通の安全確保や災害時の緊急輸送道路の確保が課題となっていた。

 このため広島県では,これらの課題克服と周辺地域の交流促進による観光の活性化などを目的として「第二音戸大橋」を建設することとして,平成7年度より事業に着手した。

 架橋位置は,警固屋音戸バイパスのほぼ中央,音戸大橋の北側約350mの音戸ノ瀬戸であり,渡海部となるアーチ橋の支間長280mは,アーチ橋としては国内第4位の規模である。

 本橋は,アーチ基部を固定しケーブルをニールセン構造とすることで,全体剛性を高めるとともに,適度な変形性能を確保しており,常時荷重に対する構造性と,高い耐震性を両立している。

 特に,耐震設計においては,架橋地点に最も大きな影響を及ぼすと想定される,1905年に発生した芸予地震について,土木学会の提言による『活断層を考慮した地域特性を有する入力地震動の必要性』に基づき,強振動の評価を行なっている。

 その後,平成13年に発生した芸予地震は,呉市周辺にも甚大な被害をもたらす大変な出来事ではあったが,この地震のデータによる検証において評価の妥当性が裏付けられ,本橋における耐震設計の信頼性をより深めることとなった。

 施工にあたっては,技術検討委員会において,安全性・安定性・確実性などを慎重に検討した結果,工場製作した大ブロックをフローティングクレーン船(FC船)で一括架設する方法を採用しており,音戸ノ瀬戸航路内に設置した仮設ベントに大ブロックを仮置き後,あらかじめ架設した両岸の陸上側アーチとの隙間を計測し,調整ブロックを製作・架設して閉合する計画であった。

 これに対し,受注者であるJVより,航行する船舶への影響を最小化し,更なる工期の短縮とコスト縮減を図るため,仮設ベントを省略し大ブロックを陸上側アーチに直接結合させるという,我が国では前例のない「空中ジョイント」による大ブロック一括架設が提案された。

 この前例なき「空中ジョイント」を成功させるため,ジャンボジェット機9機分にも相当する3500tの大ブロックの荷重を,陸上側アーチに確実に伝達するための大型ジャッキや,正確な位置合わせのための「砲弾型鋳物かんぬき」を独自に開発するとともに,複雑な解析や通常では行わないレベルの高度な精度管理を繰り返した結果,全長192mの大ブロックの製作誤差は,許容値±26mmに対してわずか2mmであった。

 平成23年4月24日早朝,国内最大級の3700t吊FC船に吊り上げられた大ブロックは,圧倒的な偉容で音戸ノ瀬戸へ進入を開始した。今回の空中ジョイントでは,4つの結合部を同時に合わせることが最も重要であったが,刻々と昇る太陽の熱を受ける大ブロックが,温度変化で膨張することも計算し尽くしたミリ単位の一発勝負であった。

 この作業は15000人を超える見物人が見守る中で慎重に行われ,9時30分にかんぬきが大ブロックを捕らえると10時50分にはジャッキが荷重の伝達を完了し,ここに我が国初の空中ジョイントは成功を見たのである。この成功は製作架設の技術はもちろんのこと,幾重にも練られたフェールセーフや徹底したヒューマンエラー対策に至るまで,これまで我が国の橋梁建設技術を牽引してきた広島県の粋を結集した成果でもあった。

 この一括架設の模様は,広島県が施工する土木工事としては初めてインターネットライブ中継され,現在はダイジェスト映像を広島県のホームページから閲覧することができるようになっている。

 (仮称)第2音戸大橋 大ブロック一括架設 (youtube.com)

 (仮称)第2音戸大橋 大ブロック浜出し (youtube.com)

 平成24年10月の,呉市制施行110周年を記念して公募された第二音戸大橋の愛称は,「音戸の瀬戸にまつわる最も特徴的な伝説にちなんだ愛称で,新名所にふさわしい」として,全国1405件の応募の中から「日招き大橋」と名付けられた。

 平成25年3月27日に開通した警固屋音戸バイパスにより,音戸大橋の交通量は分散され,現在では朝夕の交通渋滞は解消されている。また,音戸大橋との景観的調和を図るため,朱赤に塗装された第二音戸大橋は,日没から22時までライトアップしており,光源には環境に配慮しLEDを採用している。また,東京ゲートブリッジなどでも採用された「LED高欄照明」を広島県が管理する橋梁としては初めて採用し,日中のみならず夜のビュースポットとしても「音戸の瀬戸」に新たな楽しみを創り出している。

受賞履歴

  • 平成24年度 土木学会 田中賞(作品部門)
  • 平成24年度 全建賞(道路部門)

パンフレット

位置図

アクセス情報

バス

  • JR呉駅より広電バスにて,昭和町経由・音戸の瀬戸方面行き,「警固屋中学校」バス停下車,徒歩約1.2km
  • JR呉駅より広電バスにて,昭和町経由・見晴町行き,「音戸大橋上」バス停下車,徒歩約1km

お車

  • 広島呉道路(クレアライン)呉ICより,約8km,約20分

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