安芸大橋(あきおおはし)
諸元
路線 | 一般県道府中祇園線 |
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所在地 | 広島市東区戸坂~広島市安佐南区祇園(太田川) |
完成 | 昭和43年3月 |
橋長 | 364.8m |
最大支間長 | 110.0m |
設計荷重 | 2等橋 TL-14 |
上部工形式 | ニールセンローゼ橋 |
アーチライズ | 17.0m |
有効幅員 | 6.0m |
車道幅員 | 5.5m |
管理者 | 広島市 |
アーチ橋に新風を吹き込んだ我が国初の本格的ニールセンローゼ橋
昭和30年代後半,木造の吊橋であった旧安芸大橋は,太田川河川改修工事により改築を迫られていた。
度重なる河川の氾濫に対応するため河幅を拡げ,複断面化した高水敷は緑地として活用することとされていた。
このため広島県は,新たな橋梁を計画することとなったが,河川改修によって近代的な風景に生まれ変わろうとする場所に相応しい「美しい橋」を架けたいと考えた。
そこで注目した形式が,音戸大橋などのように鉛直吊材を配置したアーチ系橋梁とは異なり,吊材を斜めに配置したアーチ橋である「ニールセン型橋梁」であった。
ニールセン型橋梁は,鉛直吊材のアーチ橋に比較し構造的な優位性があるほか,ロックドコイルロープと呼ばれるワイヤーロープを使用した場合の投影面積が1/10程度と少なく,風荷重を受けにくいことと同時に,開放感があるため美観に優れることが特徴である。
こうした形式は1960年代より海外では数十橋の施工実績があったが,国内では斜吊材にパイプを用いた橋が先行して完成した例があるものの,ロックドコイルロープの使用は例がなく,安芸大橋はロックドコイルロープを使用した我が国初の本格的ニールセン型橋梁とされている。
ニールセン型橋梁では,完成系の状態で吊材のロープに計画通りの張力が導入されているかが最も重要である。
本橋においては,その複雑な設計や解析にあたり,当時としてはまだ一般的ではなかった電子計算機を複数種類使用することで計画値の精度を高めたほか,架設方法も比較検討を重ね最も効率的な方法を追求した。
ロープへの張力導入にあたっても,有効と考えられる複数の方法を併用し,架設完了後には振動実験を行うとともに,張力変化を定期的に追跡調査して有害な変化のないことを確認している。
こうして完成した安芸大橋は,広島市が政令指定都市に移行したことに伴い,現在では広島市へ管理を委ねてはいるが,我が国初のこの経験は,その後に広島県が架設した内海大橋や第二音戸大橋の建設において,大ブロック一括架設の技とも融合し,発展・継承されていったのである。
受賞履歴
- 昭和42年度全建賞準賞(道路部門)
位置図
アクセス情報
電車
- JR芸備線戸坂(へさか)駅より,徒歩約1km
バス
- JR広島駅より広交バスにて,高陽団地・深川台方面行き,「千足(せんぞく)」バス停下車,徒歩約100m
お車
- 山陽自動車道広島ICより,約3km,約7分