帝釈橋(たいしゃくばし)
印刷用ページを表示する掲載日2015年3月11日
技と技の融合で新たな技を生み出した橋
広島県北東部の中国山地に位置する帝釈峡は,比婆道後帝釈国定公園の主要景勝地であり,世界三大天然橋のひとつに数えられる「雄橋」など,自然豊かな地形が特徴である。
この帝釈峡の上流に架かる,中国縦貫自動車道・帝釈橋は,当時の日本道路公団が施工する初めてのRC固定アーチ橋であり,この形式としては建設当時我が国最大となるものであった。
従来のRCアーチの架設工法としては,セントル工法,メラン工法,ピロン工法,トラス工法などが採用されてきたが,帝釈橋ではピロン工法とメラン工法双方の利点を生かした,世界初の「ピロン・メラン併用工法」を採用した。
施工は,両側アーチアバット部の橋脚上に,鋼製の仮支柱(ピロン)を立て,これにより斜吊りした支保工の上にアーチリングの約1/4を張り出し製作し,残りの中央部1/2は斜吊り支保工を補強材(メラン)として転用して先行架設してアーチを構成した後,メラン材を移動作業車により順次コンクリートで巻き立てていくというものである。
これにより,架設時の耐震性の向上,工費縮減・工期短縮・施工管理の簡素化などに成功するとともに,我が国におけるコンクリートアーチ橋の長大化に向けた契機ともなったのである。
受賞履歴
- 昭和53年度 土木学会 田中賞(作品部門)
位置図
アクセス情報
お車
- 中国縦貫自動車道東城ICより,九州方面へ約10km,約10分