人が被害と思わない「エサ」
管理者のいない柿や栗
稲刈り後のひこばえ(二番穂)
収穫残渣
廃棄した野菜…
これらはいずれも,みなさんにとっては食べ物ではありませんよね。これをいくら鳥獣に食べられたところで,全く「被害」とは感じないでしょう。
しかし,鳥獣にとってはこれらは全て,とても魅力的な食べ物です。こうした食べ物を覚えた鳥獣は,「管理者のいる柿や栗」「収穫前の稲」「収穫前の野菜」などを,同じように食べることになります。彼らには,「食べてもいいエサ」と「食べてはいけないエサ」を区別することは残念ながらできません。
また,被害がないからといって,こうした状況を放置しておくと,集落や農地に鳥獣を呼び寄せることになってしまい,結果的に被害の温床となってしまうのです。
こうした無意識の「餌付け」を,気付かないうちにしていませんか?
ひこばえ(二番穂)
ひこばえを食べるイノシシ
冬にも残ったままの柿
収穫後に出荷できないミカンが廃棄されている
ビニールハウス脇の野菜捨て場にやって来るカラスやイノシシ
安全な隠れ場を提供していませんか?
基本的には鳥獣は,とても警戒心が高く,えさ場のできるだけ近くに自分の身を隠せる安全な場所があると安心します。
農地の近くにある耕作放棄地や管理不足の林,藪などは,こうした鳥獣の隠れ場となります。こうした隠れ場を解消するだけでも,大きく被害が減ることもあります。
隠れ場となっている藪を伐採して,見通しをよくするだけでも,隠れ場は解消する
集落での環境改善の取組
鳥獣を呼び寄せている放任果樹の伐採,稲刈り後のひこばえの隙込み,収穫残渣や廃棄した野菜の適切な処分,などを行いましょう。
このような取組の中には,個人では難しいものもあります。また,管理者のいない柿や栗などは個人で伐採するのはかなりハードルが高いですよね。こうした取組を進めていくためには,地域での取組も必要な場面も出てくるでしょう。「集落での取組手順について」も参考に進めていくとよいでしょう。