「たまたま受けたがん検診で胃がんが発覚」
2016年、カープが25年ぶりのリーグ優勝を決めた後のオフに、胃がんが発覚。胃の半分を切除し、半年間に及ぶ抗がん剤治療も経験されました。引退発表前の8月25日に、1軍復帰を目指していた赤松選手の想いに迫りました。
1982年生まれ、京都府出身。2004年に阪神タイガースに入団し、2008年に広島東洋カープに移籍。俊足を生かした走塁や守備などで存在感を発揮し活躍。2016年のリーグ優勝にも大きく貢献した。右投右打の外野手。2019年9月7日に今季限りでの引退を発表。
あの時、「検査していなかったら」と考えるとゾッとする。
また野球をするためにまずは「生きる」ことを選んだ
僕の胃がんが見つかったのは、妻のお陰です。毎年、シーズンオフには人間ドックを受けていましたが、胃カメラは苦しいイメージがあり、「まだ大丈夫。もう少し歳をとってから」と言い訳をして避けていました。見かねた妻が、勝手に胃カメラの予約を入れていたため、半ば強制的に受けたのです。そんな経緯があったので、医師から「胃がんの可能性がある」と告げられたときは、とても信じられませんでした。自覚症状は全くないし、数ヶ月前までは何の問題もなくペナントレースを戦っていたのだから「そんなはずない」という思いだったのです。精密検査でがんが確定してからも、手術をすれば元気になってすぐに野球もできるだろうと、あまり深刻にとらえていませんでした。しかし、手術で摘出された腫瘍は、病理検査の結果、予想以上に進行しており、ステージIII。「5年生存率が約50%」と聞かされたときの衝撃は、今も忘れられません。
手術後、すぐに抗がん剤治療を始めることになりました。野球を続けながら治療を行うのであれば、副作用の少ない抗がん剤もあると医師から説明を受けたのですが、僕は手足にしびれが出るかもしれない抗がん剤を選びました。それは、後者の方が統計的な生存率が高かったから。生きていなければ野球もできません。まずは「生きる」ことに専念しようと思ったのです。
約半年間かけて行う抗がん剤治療は副作用との戦いで、苦しい闘病生活でした。それでも、体調の良い日には子供と遊んだり、妻の手料理を味わったり、家族と過ごすことが日々の喜びとなりましたし、また全国のファンやがんと闘っている人から届く励ましも、大きな支えとなりました。チームメートでは、特に菊池涼介選手が何度も電話をくれ、他愛もない会話で、辛さを吹き飛ばしてくれました。
プロとして野球ができる、だからこそ挑戦したい
多くの人に支えられ、手術から約半年後の2017年夏、練習に戻ることができました。そして2018年のシーズンには、2軍のグラウンドに復帰。復帰後の最初の公式戦では、緊張で足の震えが止まらなかったことを覚えています。がんになったことで、様々な価値観が変わったように思いますね。以前は、普通に生きることも野球ができることも当たり前に感じていましたが、今はそれらが決して当たり前ではなく、ましてやプロとして野球を続けられることがいかに贅沢で幸せなことであるかということを噛み締めながら過ごしています。
今シーズンも僕は2軍でプレーしています。チームには優秀な若手もたくさんいる中で、ベテランの自分が試合に起用されるチャンスは限られていますが、「赤松、行けるか?」といつ呼ばれてもいいように、常にベンチで準備を整えています。「今年がラストチャンス」という気持ちでここまでやってきました。挑み続ける僕の姿を見て勇気付けられる人がきっといると思いますし、今まで支えてくれた人たちに恩返しもしたいと思っています。
「本当にがんだったのかな」って思う時もある
僕は本当にラッキーだったと思っています。胃を切ったので食事には気を使いますが、おいしく味わうことができます。体力も戻り、チームメートと同じ練習もできている。時々「本当にがんだったのかな」と笑って話をするほど。最近は、チームメートも「大丈夫か?」って以前ほど言ってくれなくなりました(笑)。それでも、「もし検査していなかったら」と考えるとゾッとします。がんは治療にも時間がかかるし、僕も家族や周囲に負担をかけたと思っています。だからこそ、家族のためにも、皆さんにはがん検診を受けてほしいですね。
「今までのデーモン閣下のがん検診ポスターも注目していましたが、デーモンかかぁもすごいインパクトですね。皆さん、すごくいい顔をされています(笑)。僕もがん検診の受診率が高まることを願っています」と赤松選手。
自覚症状のない健康な人こそ「がん検診」へ!
日本人の死亡原因の1位は「がん」ですが、早期発見・早期治療によって社会復帰を果たし、健康を取り戻した人も珍しくありません。がん検診は、自覚症状のない「がん」を発見するための唯一の方法です。定期的に受診しましょう。
早期発見すれば高まる生存率
かつては不治の病といわれたがんですが、医療は目覚ましく進歩しており、早期発見・治療によって、生存率が飛躍的に高くなります。
3.7人に1人が「がん」で死亡
広島県では1979年から、死亡原因の第1位はがん。近年では日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなっています。
デーモンかかぁ 増加中!!
10月は女性のための「がん検診一斉受診月間」
※今年は11月10日(日)まで
広島県がん検診啓発特使「デーモン閣下」の「がん検診へ行きたまえ!」という言葉は届いていますか? 広島県では男性より女性のがん検診の受診率が低く、また女性特有のがんである子宮頸がんや乳がんの検診受診率は低下傾向にあります(※)。そんな中、昨年、デーモン閣下の教えを受け、自らもがん検診を受診し、検診への理解度が高まった女性「デーモンかかぁ」が誕生。今年は、その「デーモンかかぁ」が増加しています。10月は「がん検診一斉受診月間」。皆さんも、この機会にがん検診を受けて、「デーモンかかぁ」になりましょう。※国民生活基礎調査
POINT!
広島県内32の医療機関で日曜日にがん検診が受診できます。
うち20の医療機関では、女性の医師・スタッフが子宮頸がん検診または乳がん検診を担当します。
STEP1
受けることができるがん検診を確認
広島県が勧める5種類のがん検診の中で、対象年齢や性別などの条件が当てはまるものを確認しましょう。
職場等でがん検診を受診する機会がある人は職場等で検診の予約方法を確認しSTEP4へ
STEP2
各市町の「がん検診窓口」で確認
ほとんどの市町でがん検診費用の多くを公費で負担し、少ない自己負担金で受診することができます。自治体によってがん検診の受け方や費用が異なるので、お住まいの市町からの案内やホームページ、広報誌などで、検診時期や方法を確認しましょう。
個別検診(医療機関で受診)の場合
STEP3
検診の予約
電話、郵送、インターネット等、各自治体の指定の方法で予約をしましょう。
集団検診(検診車等で受診)の場合
STEP3
会場や日時を確認
地域を巡回して実施している場合もあるので、都合の良い会場や日時を選びましょう。
STEP4
検診当日に医療機関や検診会場へ
検診によっては食事制限など条件付きのものもあるので、事前によく確認しておきましょう。検診で「要精密検査」と診断された場合は、必ず精密検査を受けてください!
●休日がん検診実施医療機関は下記のサイトでご確認ください。
肺がん検診、胃がん検診、大腸がん検診も掲載。
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