意見書(アスベストによる健康被害対策の強化を求める意見書)平成17年9月定例会
発議第13号
意見書
アスベストによる健康被害対策の強化を求める意見書
アスベスト関連製品を製造していた事業所の従業員や周辺住民の間で、中皮腫や肺がんなど、アスベストが原因と見られる疾病死が多数発生するなど、アスベストによる健康被害が全国で相次いで表面化し、アスベスト被害への国民の不安は非常に高まっており、正確な情報を求める声が強くなるとともに、健康被害を受けながら労災補償されていない労働者や、家族・周辺住民などから救済を求める声が相次いでいる。こうした事態を受け、国では、「アスベスト問題に関する関係閣僚会合」を設けて、被害の実態把握や相談窓口の設置などの対策を決めたほか、労働災害補償を受けずに死亡した労働者や被害を受けた家族、周辺住民への補償について特別立法の検討を始めたところである。しかしながら、アスベストを原因とする疾病は、発症までの期間が数十年と長く、将来にわたって患者の発生が予測されることから、国民の不安を軽減し安心できる社会にするためには、取り組みの一層の強化が必要である。よって、国におかれては、アスベスト対策の推進に向け、次の措置が早急に講じられるよう強く要望する。
- 総理大臣を本部長とするアスベスト対策本部を設置し、政府を挙げてアスベスト対策を推進すること。
- 関係省庁が実施している各種相談窓口や自治体の窓口との相互連携を強化するとともに、専門的な相談支援体制を充実すること。
- アスベスト関連疾患の早期診断方法や治療法の確立に取り組むとともに、健康障害が救済されるような補償制度を創設すること。
- 過去に事業を実施していた事業所を含むアスベスト取り扱い事業所のすべてに対して、取り扱い作業に従事した者のアスベストによる健康被害の可能性などについて情報提供を行うよう事業者へ徹底すること。
- 周辺住民等の健康被害の実態調査を行い、健康被害を受けた周辺住民等に対する健診、医療費補助等の必要な措置を講じること。
- すべての建築物について、アスベスト利用状況の徹底した調査を行い、利用者への調査結果の開示を行うとともに、建築物の解体・補修に伴うアスベストの飛散防止対策を一層推進するため、対象施設の規模要件の撤廃、建築材料の範囲の拡大、敷地境界基準の設定など、大気汚染防止法等の規制を早期に拡充し、あわせて、解体・補修作業等の情報開示体制の整備や、その監視体制の一層の強化を図ること。
- 国の責任において、アスベスト及び含有製品の製品名・製造期間・製造量・含有量などの情報を把握し、速やかに国民に開示するとともに、アスベストについての環境基準や室内環境における許容基準を示すこと。
- 建築物における残存アスベストの調査、除去等の対策工事等に対する必要な財政措置を講じるとともに、アスベスト廃棄物処理の技術開発、処理体制の整備及び民間の施設整備に対する財政的支援措置について、国を挙げて取り組むこと。
平成17年10月5日