平成17年度
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第1回 「地方自治体の電子化と文書管理改善の課題―中国地方の事例から考える―」
- 安芸高田市総務課 森川 薫
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- (株)富士通中国システムズ自治体ソリューショングループ 福富博庸
(株)岡山情報処理センター公共ソリューショングループ 大塚浩文
(平成17年10月4日,於 広島県情報プラザ第三研修室)
→『広文協通信』第8号1~6頁。
- 電子化を導入した自治体の課題を把握するため,システムを導入した自治体(安芸高田市,北広島町)と,導入元の企業体(株式会社岡山情報処理センター・株式会社富士通)の双方から報告していただきました。
- 岡山情報処理センターからは,自治体への導入実績をもとに,電子と紙の両者の存在を前提として,紙文書原本の優位性への配慮や紙の文書管理を考慮した電子化を主張されました。また,歴史的資料の保存を含めた文書管理システムの必要性を話されました。
- また,電子決裁を導入している広島県の現状報告も行われました。
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第2回 「地方自治体の資料整理と文書管理の課題―合併後の課題を中心に―」
- 廿日市市教育委員会文化スポーツ課 田宮憲明
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- 廿日市市総務課 武田 晃 (平成18年2月10日,於 廿日市市役所)
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- →『広文協通信』第9号3~4頁。
- 廿日市市における旧役場文書の保存・整理とボランティア活動についての報告。及び,文書管理システム導入後における廿日市市の文書管理の実状についての報告(以下,報告の要点)。
- 廿日市市では,昭和31年の町村合併後も旧町村役場文書が数多く残されていたが,町史編さんに活用された後は一般に利用されず,保管場所も転々とする状況が長く続いた。
- 平成9年の郷土資料室開室により保管場所は確保されたが,プレハブ施設であり,環境面での難がある。
- 廿日市市では,郷土資料室での展示業務を地元郷土史団体に委託し,資料整理もしていただいている。資料の取り扱い方など,問題もあったが,話し合いや研修を通じて理解が得られるようになった。
- 廿日市市の文書管理システムについては,平成2年に導入したが,パソコンの配置が不十分であり,データによる現物管理もうまくいかなかったため,一旦挫折した。
- 平成9年の新庁舎建設を機に再構築して運用を開始し,情報公開・個人情報保護の制度実施に伴い本格化した。文書管理は情報公開・個人情報保護との3点セットで考えることにより緊張感を持たせている。
- 情報公開用に公文書目録を行政資料室に備え,対応している。
- 電子化実施に向け,次年度から基本計画を樹立する運びになっている。
- 合併時には文書保存の研修を行っており,書庫が手狭ではあるが,とにかく文書を捨てないよう依頼している。
平成16年度
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第1回 「広島市公文書館の現状と課題」
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- 広島市公文書館 岡本昭子 (平成16年11月12日,於 広島市公文書館)
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- →『広文協通信』第6号3~4頁。
- 新館移転を終えた広島市公文書館における業務についての報告。
- 広島市公文書館は,市町村レベルでは全国で最初の「公文書館」(昭和52年開館)ですが,暫定的な施設の状態が長く続いていました。このたび新館移転が実現し,分散保管していた資料の大部分が館内で集中管理できる体制が整いました。
- 報告では,「文書館」・「行政情報センター」・「現用文書の中間書庫」・「市史編さん室」等,様々な機能を担っている同館の現状が紹介されました。
- また,市町村合併時の役場文書の収集や個人・団体所蔵文書の収集,さらに保存管理に向けた課題などについて述べられました。
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第2回1 「市町村合併時の公文書廃棄を救う―岡山県邑久町の実践から―」
- 岡山県瀬戸内市教育委員会 村上 岳 (平成17年2月25日,於 広島県立文書館)
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- →『広文協通信』第7号1~5頁。
- 岡山県旧邑久町において,市町村合併時に取組まれた公文書保存作業についての報告。
- 岡山県の旧邑久町は,平成16年11月に邑久郡3町が合併して瀬戸内市となり,邑久町役場が新市の本庁舎となりました。途中,合併協議会の休止・再開という曲折を経る中で,岡山県総務学事課文書館整備班から,合併時の公文書保存についての試案が提示され,それを受けて,邑久町総務課では公文書保存に取組む方向が明確化しました。
- 報告では,選別・保存作業の実務にあたった町史編さん担当の方が,公文書選別・保存作業の経過,選別内容,成果と反省点について話されました。
第2回2 「岡山県における“アーカイブズ”設立と行政文書保存の課題」
岡山県総務部総務学事課文書館整備推進班 定兼 学
- 岡山県総務学事課文書館整備推進班における岡山県内市町村の公文書保存活動についての報告。
- 岡山県では,平成17年9月に県立記録資料館が開館することになりました。開館に至るまでには曲折があったようですが,その間,公文書・古文書の収集・整理・公開に携わってきたのが県総務学事課の文書館整備推進班でした。
- 文書館整備推進班では,県内市町村の公文書保存にも力を入れ,精力的に市町村役場を廻って,公文書保存の啓発と選別基準作りなどを行っています。報告では,これらの取組みについて紹介されました。
平成15年度
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第1回 「福山市における歴史的公文書保存のとりくみ」
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- 福山市市政情報課 小川雅朗 (平成15年10月3日,於 福山市役所)
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- →『広文協通信』第4号1~4頁。
- 福山市における行政文書保存に向けた取組みについての報告。
- 福山市は県内最初の合併が実施されることから,合併後の公文書保存について対応が注目されましたが,同市では平成4年の庁舎新築に伴って保存年限満了文書を一括廃棄する仕組みが明確になっていました。そのような中,地元の郷土史団体から古い行政文書の閲覧と保存の要請がなされ,情報公開制度に基づいて文書を点検する過程で,地域の歴史資料となりうる行政文書の存在を実感することとなり,合併町の公文書保存に向けた取組みが始まりました。
- 報告では,福山市側の働きかけと合併町側の献身的な協力によって公文書廃棄が免れたことや,保管施設の確保に向けた取組み,保存年限満了文書の継続的な移管を実現するための取組みと努力の過程が明らかにされました。
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第2回1 「行政文書管理とアーカイブズ管理」
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- 熊本県福岡事務所 田尻清孝 (平成16年2月10日,於 広島県立文書館)
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- →『広文協通信』第5号7~8頁。
- 熊本県宇土市における文書管理施策についての報告。
- 熊本県宇土市は,平成9年から13年にかけて,ファイリングシステムを導入し,情報公開条例と文書管理条例を施行するなど,文書管理関係の重要施策を実施してきました。特に,文書管理の条例化は全国でも例がなく注目されています。
- 報告では,国の文書管理法制上の問題点が指摘され,その上で宇土市の文書管理条例の説明とファイリングシステムの導入について説明がなされました。
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第2回2 「大阪府枚方市における保存年限満了文書の収集について」
- 枚方市総務部法制室 鈴江 智
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- →『広文協通信』第5号8頁。
- 大阪府枚方市における公文書選別収集の実状についての報告。
- 枚方市では,総務部法制室に市史担当が置かれ,その業務のひとつとして廃棄文書からの選別収集があります。しかし,同市には廃棄文書の選別収集についての規程がなく,また規程どおりの集中管理もなされていないため,収集業務には様々な苦労や問題点があります。報告では,廃棄文書目録が作成されないことから生じる問題と意外な利点,収集基準策定の必要性や規程整備の必要性について述べられました。
平成14年度
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第1回 「坂町文書管理の電子化について」
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- 坂町総務課 大畠英司 (平成14年8月2日,於 坂町町民センター)
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- →『広文協通信』第2号2~4頁。
- 電子自治体化を進める坂町の,文書電子化の取組みについての報告(以下,報告の要点)。
- 坂町では,平成5年の庁舎移転時に文書管理を刷新し,新たな文書分類表を作成して,ファイリングする文書の内容を整備し,総務課への文書引継による集中管理を実現した。
- 坂町では,書庫管理を厳重にしており,総務課の保存文書目録である文書索引簿や貸出申請の電子化による出納管理を今後進めていく。
- 報告では,今後に向けた課題についても述べられました。
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第2回 「現代資料の整理について―広島平和記念資料館における河本一郎氏資料ほかの整理をめぐって―」
- 広島平和記念資料館 濱本康敬 (平成15年2月7日,於 広島平和記念資料館)
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- →『広文協通信』第3号8~9頁。(参加記)
- 広島平和記念資料館が収集した河本一郎氏所蔵資料の整理をめぐる問題についての報告。
- 被爆者援護や市民平和活動,広島折り鶴の会世話人として足跡を残した河本一郎氏の所蔵資料を,広島平和記念資料館が収集・整理することになりました。その整理は,書籍・写真・活動日誌・手紙・メモ・チラシ等,多様な資料を含む現代資料の整理を考える上で参考になるもので,報告では,機械的に整理できる書籍に対し,写真などの整理では,氏の活動内容に対する理解と知識が何より重要であることが述べられました。
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第3回 「歴史的記録資料の情報取り扱いの基礎―標準化と文書群概要をめぐって―」
- 広島県立文書館 長沢 洋 (平成15年3月20日,於 広島県立文書館)
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- →『広文協通信』第3号9~10頁。
- 文書史料についての情報記述の実践と考え方についての報告。
- 文書館などの史料保存利用機関では,文書史料を広く社会全体の共有財産化していく課題を負っていますが,報告では,文書史料の情報記述の方法としてどのような実践があるのか,事例紹介されました。
- 広島県立文書館では,国立史料館が作成した『史料館収蔵史料総覧』に倣って文書群概要の作成に取りかかっていますが,収蔵文書全体のガイドにはなっていません。文書史料についての知識や記述をどのように扱っていけば広く共有化できるのか,国内外の例に学びつつ考えることの必要性が述べられました。
平成13年度
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第1回「市町村史(誌)編さんの実務」
- 千代田町教育委員会 六郷 寛 (平成14年3月5日,於 芸北民俗芸能伝承館)
→『広文協通信』第1号2頁。
- 『千代田町史』を例に,市町村史編さん事業をめぐる問題点についての報告(以下,報告の要点)。
- 市町史編さん事業では,町民の歴史的認識を深めるといった事業目的を掲げつつも,実際には目先の仕事に追われがちである。
- 『千代田町史』の残部について新聞報道で批判されたことがあるが,編さん事業は「費用対効果」で単純にはかれないものであり,将来に残る仕事である。
- 資料編の重要さについて認識すべき。
- 編さん事業では,本を発刊することに主眼が置かれ,資料保存について課題を残している。
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第2回「古文書の保存と装備」
- 広島県立文書館 長沢 洋 (平成14年3月13日,於 広島県立文書館)
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- →『広文協通信』第1号3頁。
- 古文書の保存についての考え方と装備の実践についての報告(以下,報告の要点)。
- 古文書の保存には,目的を明確に定めることが必要で,思いつきな考えで動いてはいけない。
- 与えられた条件の中で最善の方法を見つけることが重要。
- なお,装備については,厚手の古文書を保存するための秩の製作を実践し,留意点が指摘されました。
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