広島の経営者にインタビュー~ユダ木工株式会社 湯田卓さん~

経年美と「ほんものの木」へのこだわり

木製ドア 建物外観 製造工程

パッケージ型インターンシップの参加学生が、住宅・建設業界で働く経営者を取材し、各社の経営理念やSDGsの取り組みなどについて記事にまとめました。

【企業名】
ユダ木工株式会社(廿日市市)
[2021(R3)年度パッケージ型インターンシップ]

【事業内容】
・高級木製ドアの製造販売
・高気密、高断熱木製玄関ドア

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代表取締役 湯田卓さん

湯田社長 

お客さまからはどのような声が寄せられていますか?

 お客さまからはインスタグラムをはじめとするSNSでお声を寄せていただいています。基本的には喜んでいただけていると思います。
 家自体は木造なのにドアだけ金属なのは変だ、ドアも木にしたいと言われるお客さまはたくさんいらっしゃいます。また当社には、木製ドアの経年美を分かってくださるお客さまによくお越しいただいています。
 ドアは家の中で一番クレームが多い部分です。それは、ドアに一番よく触るからです。当社はクレームに丁寧に対応することを大切にしています。クレームが出ればすぐ処理し、なぜ出たか考え、改善しています。これまで出たクレームの積み重ねが、現在の会社のベースになっていると思います。

社長ご自身は普段の生活でも経年美を大切にされていますか?

 私の家のドアももちろん木製ですが、味があるものになっています。フローリングも木材に自然塗料を塗ったものですが、やはりぬくもりがあって安心できます。木材は日が経つと色が変わりますが、それも味だと思っています。京都や奈良の古いお寺は味がありますよね。何百年と歳月が過ぎても綺麗なのは、メンテナンスがあってこそであり、メンテナンスをすることが基本なのです。

社長は昔から木に関心を寄せられていましたか?

 木には昔から興味がありました。小さい頃から遊び場が自社の工場で、木へのなじみがありました。
 今の子どもは木にあまりなじみがないのではないかと思います。子どもたちが木に触れる機会を増やしたいです。また、自社で作っている木製チップはストーブの燃料になるのですが、今は愛着が少ないのではと感じています。木製ドアやチップといった自然素材のなかで住まうことの大切さを、多くにご家族に考えてもらいたいです。

経営者として、どんな時にやりがいを感じますか?また、働く上で大切にしていることはありますか?

 売り上げは経営上必要ではありますが、それ以上に社員が楽しくやりがいを持って働いてくれることが嬉しいです。私たちは少しでも問題のある商品は出しません。絶対大丈夫と思ってもらえるものしか出さないようにしなければ、営業も自信を持って商品を売ることができないからです。
 中小企業なので大したことはできませんが、お客さまにがっかりされたり、クレームをもらったりしても、次につなげて商品に磨きをかけています。私はクレームに目をつぶるのが嫌いです。目をつぶっていては、いつかボロが出て、お客さまからの信頼を失ってしまうからです。これからも正々堂々と、社会的に正しい仕事をしていきたいです。

社長ご自身の将来の夢や、今後挑戦したいことはありますか?

 まずは会社を100年後も200年後も存続させたいと思っています。会社の良い発展によって社員がもっとイキイキし、技術も向上し、さらにお客さまに信頼される会社にしていきたいです。そのための事業の継承や技術の継承を今後も大切にしていきたいです。
 今、木工技術は消滅しつつあります。木製の商品を買ってくれる人も、技術を継いでくれる人もいないからです。私は何とか技術の消失を止めたい、過去の素晴らしい木工技術を現代に活かしたいと思っています。

 

【取材者】
広島市立大学 国際学部3年 浦井ひより
(インタビュー記事・会社概要・プロフィールは2021年9月時点)