このところ急に暑くなり,エアコンを使うようになった方も多いのではないでしょうか。エアコンの室内機は普段から目にしますが,エアコンの室外機がどこにあるかを気にされたことはありますか。
ご想像のとおり,県庁の中にもたくさん,エアコン等の空調機器があります。「県庁エアコン室外機探し」をしたら,いろいろなタイプのものが,「こんなところに!」と思うような場所にあります。ちょっとした,エアコンツーリズムです。何故このようなことをしているのでしょう・・・
実は,平成27年4月1日にフロン法が改正施行され,フロン類を使用した業務用のエアコン等の空調機器や冷蔵・冷凍機器(第一種特定製品)を使用している事業者の方には,フロン類の漏えいを防ぐための点検や点検記録簿の保存,多量にフロン類を漏えいした場合は,国への漏えい量の報告等が義務付けられました。
これに伴い,第一種特定製品については,全ての機器について3月に1回以上(四半期毎)の室内機や室外機の目視検査が義務付けられました。(家電リサイクル法対象の家庭用機器及び自動車リサイクル法対象のカーエアコン以外の,フロン類を使用した業務用のエアコンや冷蔵・冷凍機器等が点検対象となります。)また,一定規模以上(圧縮機の定格出力が7.5kW以上)の機器については,十分な知見を持つ有資格者等による点検が必要です。
これらを適切に実施するには,まず,室外機の銘板等を確認し,使用している機器が点検の対象となるかどうかを確認する必要があります。
※ 詳細は,広島県のHP「エコひろしま」やリーフレットをご覧ください。
広島県HP「エコひろしま」
第一種特定製品の管理者リーフレット(広島県版) (PDFファイル)(686KB)
広島県でも,事業者として,フロン類を使用した業務用のエアコンや冷蔵・冷凍機器等について,簡易点検や定期点検を実施する必要があり,機器の確認調査や点検の実施,記録簿の作成を行っています。
本庁の機器を管理している財産管理課や営繕課に協力してもらい,本庁内の機器を確認しました。
本庁内のメインの冷房機器には,フロン類は使用されておらず,中央熱源方式で運転されています。熱源である吸収式冷温水発生機内で水を蒸発させ,気化する際に熱を奪うことで冷やされた水を庁内のファンコイルユニットに送り,執務室で室内の空気を取り込み,冷水により冷やされた空気を出すことで涼しくします。
フロン類を使用していないため,フロン法の点検等は不要な機器です。
この機器は開庁時間内のみ稼働しますので,開庁時間外でもやむをえず空調が必要な場所へは,別途エアコン等が設置されています。
来庁していただいた県民の方に快適に過ごしていただくため,メインの冷房機器に加え,エアコンが別に設置してあります。ふれあいコーナーは南館1階にありますが,室外機は離れた位置に設置されています。
エアコンは,一般的に室外機に圧縮機があり,冷媒のフロン類を圧縮します。室外機で圧縮し液体となったフロン類は,室内機へ送られ,フロン類が気化する際に室内の空気の熱を奪うことで,室内を涼しくします。
フロン類を使用した業務用エアコン等は,全ての機器について3月に1回以上の点検が必要で,室内機及び室外機に異常な音や振動がないか,室外機周辺の油漏れがないか,熱交換器に霜つきがないか等について目視確認を行います。フロン類は室外機と室内機の間を循環していますので,この間に異常があればフロン類の漏えいが疑われるため,速やかに専門業者に点検をしてもらい,フロン類の漏えいを防ぐ必要があります。
点検の結果フロン類の漏えいを確認した場合は,速やかに修理を行う必要があります。漏えい箇所の修理を行わずにフロン類を充填することは,原則として禁止されています。
ここの室外機は,階段のない屋上部分に設置されており,近付くことが非常に困難です。簡易点検のように管理者自ら実施する点検については,このような場所に設置されている室外機の点検は大変危険ですので,可能な範囲で確認をしていただき,機会を捉えて専門業者等に点検をしてもらうことになります。
電算機器を置いている部屋は,室内を24時間一定の温度に保つ必要があり,エアコンが別に設置してあります。
改正フロン法では管理者に対し,機器の設置及び使用する環境が,機器に損傷等を与えるおそれがなく,点検及び修理を行うのに必要な作業空間や通路等が適切に確保することを義務付けています。
ここの室外機は,作業空間や通路が十分に確保されているので,室外機の設置場所としていい環境といえます。
平成14年のフロン法施行以降に販売された機器には,右の写真のように,室外機の銘板やシールに,第一種特定製品であること,フロン類の種類,量などが記載されています。また,圧縮機の定格出力も確認することができます。
もし,銘板やシールで確認できなかった場合は,その機器のメーカーに確認していただくことになります。
設置場所によっては,家庭等でもよく見かける空冷式ではない,水冷式のエアコンが設置されている場合もあります。
この水冷式エアコンは,室内機に圧縮機が組み込まれています。室内の熱は,室内の空気であたためられた水を屋上の冷却塔まで送り,屋上の冷却塔でシャワーにより冷やすことで逃がしています。(ちなみに空冷式エアコンでは,室外機で排気することで熱を逃がしています。)
室内機から冷却塔まで,室内の熱で温まった水をポンプで送り,冷却塔で冷えた水を室内機へ戻しているので,途中の水漏れが懸念されますが,フロン類については室内機のみに存在するため,室内機の点検のみの対応でよいということになります。
この機器の場合,室外機を置く場所が近くになく,離れた屋上に置く必要があったため,設置当時の技術では距離的に空冷式のエアコンでの対応が不可能で,水冷式の機器になったということです。外気温が高い際は,空冷式よりも水冷式の方が熱を逃がすのに有利だということです。
写真の2台の室外機のうち,右側の室外機は,県庁内で最も古いエアコンだそうです。フロン類が使用されているため,この機器も点検対象となります。
古い機器によっては,現在製造されていないフロン類が使用されている場合もあります。このような場合,機器を使用することはできますが,修理の際に充填するフロン類の入手が難しくなる場合があります。また,機器に使用されているフロン類の代わりに,異なる種類のフロン類を充填すると,機器の故障の原因となることもありますので,異なる種類のフロン類の充填を行う場合は,メーカーに充填の可否について確認する必要があります。
室外機が3台並んだ,大型の熱源機器もあります。
5.5kWの室外機が2台,7.5kWの室外機が1台設置されていますが,冷媒系統が1つですので,この機器の圧縮機の定格出力は,合算して,5.5kW+5.5kW+7.5kW=18.5kWとなり,簡易点検に加えて,十分な知見を有する有資格者等による定期点検が必要な機器です。(空調機器で7.5kW~50kW未満:3年に1回以上に該当。ちなみに,空調機器で50kW以上の機器及び7.5kW以上の冷凍・冷蔵機器については,1年に1回以上の点検が必要。)
この機器は,チラー方式で,室外機にはフロン類が使用されていますが,室外機で冷やされた水を室内のファンコイルユニットへ送ることで室内を涼しくしているので,室内機からフロン類が漏れるおそれがないため,室外機のみフロン法の点検を行うことになります。
この機器は,圧縮機の定格出力が15kWあり,こちらも十分な知識を有する資格者等による定期点検が必要な機器です。定期点検では,目視確認に加え,直接法や間接法といった専門的な検査を実施することになります。
写真のように,廃棄された冷凍冷蔵庫の室外機が,今も残っています。わかりにくいですが,下の方に車の通る道があり,壁の高い部分に設置してあります。このような場所にあるため,銘板の確認や点検も難しく,フロン類が残っているかどうかも不明です。
このような場合,フロン類が残っている可能性が否定できませんので,3月に1回以上の頻度で簡易点検は実施する必要があります。
十分な知識を有する資格者等による定期点検については,使用していない期間が当該機器の定期点検を行うべき期間を超える場合,当該使用していない期間の定期点検は不要ですが,再度使用する前に定期点検を行う必要があります。
なお,使用していない機器で,フロン類を抜き取り機器にフロン類が残っていない場合は,フロン法の簡易点検及び定期点検の対象とはなりません。
庁内に入っている別機関では,お客様に快適に過ごしていただくために,独自でエアコンを設置されています。このような機器については,庁内に機器があっても,別機関で管理されている機器ですので,点検も別機関が実施することとなります。
テナントが入っているビル等では,機器の所有者が誰であるか,保守・修繕の責務が誰にあるか等により,管理者が誰であるかを確認し,その管理者の方が適切に点検等を実施する必要があります。
県庁内(本庁のみ)を少し回っただけでも,これだけ多様なエアコン等があります。
皆様の事務所等にあるエアコン等には,まだまだたくさんの例があり,悩まれることも多いと思います。
改正フロン法について,疑問点等がありましたら,県環境保全課又は県内7か所にある県厚生環境事務所・支所へお問合せください。
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