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知事記者会見(「高度医療・人材育成拠点」(新病院)基本構想について:令和4年11月16日)

印刷用ページを表示する掲載日2022年11月16日

 記者会見などにおける知事の発表や質疑応答をブランド・コミュニケーション戦略チームでとりまとめ,掲載しています。
 なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
 動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。

会見日:令和4年11月16日(水曜日)

発表項目

〔動画〕

  • 「高度医療・人材育成拠点」(新病院)基本構想について

質問項目

  • 「高度医療・人材育成拠点」(新病院)基本構想について

会見録

 (司会)
 それでは,ただ今から,高度医療・人材育成拠点の基本構想にかかる合同記者会見を始めます。説明者は湯崎知事となります。また,本日は,広島県医師会の松村誠会長,広島大学病院の工藤美樹病院長,広島大学医学部の粟井和夫医学部長にもご同席いただいております。 それでは,はじめに,高度医療・人材育成拠点基本構想について,湯崎知事からご説明いただきます。

「高度医療・人材育成拠点」(新病院)基本構想について

 (知事)
 それでは,私の方から,「高度医療・人材育成拠点」基本構想について,これまでの検討結果として取りまとめたものをご説明させていただきたいと思います。まずはじめに,広島県の医療体制の現状や課題について,主なものをこちらに〔モニターを示して〕挙げていますけれども,ご覧いただいたとおり,今回の基本構想で課題として挙げているものでありまして,既に顕在化しているものもありますし,今後直面していくであろうという課題についても挙げております。いずれにしても,県民が広島県で安心して暮らしていくというためには,解決していかなければいけない課題だと考えております。〔それ〕で,こうした課題を引き起こす,2大要因と言いますか,二つの大きな原因が,「医師不足」と「医療資源の分散」にあると考えています。まず,「医師不足」の要因ですけれども,多くの症例が集まる魅力的な病院が集中している首都圏の病院に若手の医師がいる,流出するということがあります。そして,「医療資源の分散」の要因としては,病気や怪我の治療を一つの病院だけで完結するために,病院ごとの役割分担が不明確なことにあると考えております。こういった課題がある中で,広島県地域保健対策協議会,我々〔は〕「地対協」と呼んでいますけれども,「地対協」から,本年の3月に,「高度医療・人材育成拠点ビジョン」が提言されました。そのビジョンの実現可能性について,広島大学や医師会など関係者で構成する「拠点ビジョン推進会議」,それから関係医療機関の病院長で構成される「病院長会議」,それに加えまして,11の「分野別分科会」を設置いたしまして,延べ42回の会議を開いて検討を重ねてまいりました。熱心にご議論いただきました関係者の皆さまに,心から感謝申し上げます。今回,発表する基本構想は,そうした会議で議論されたことの取りまとめを中心に構成しているものであります。この基本構想の位置付けですけど,先ほどご説明した「拠点ビジョン」を踏まえて,この拠点に必要な医療機能や,広島都市圏における医療機能の分化,連携,再編の方向性,それから医療人材の確保,育成,循環の仕組みについて,県の考え方を示したものとなります。〔モニターを示して〕こちらが基本構想で示された内容を示したもので,高度医療と人材育成の拠点整備による目指す姿であります。まず,一つ目の円で示したものが,この赤い円で示してあります〔が〕,「全国トップレベルの高度・先進医療の提供」を実現して,次に,この新たな高度医療の拠点が整備されることにより,若手医師を中心とした「医療人材を確保」,〔これは資料の〕左の青い円で〔示していま〕すが,〔医療人材を確保〕することができるというものです。そして,集積した人材を地域に派遣することで,「地域の医療提供体制を確保」,〔これは資料の〕右側の緑の円になりますが,そういうことが可能となるということです。さらに,地域の医療提供体制の確保により,地域の拠点病院との連携を密にしまして,拠点に多くの症例が集積されて,さらに高度な医療が提供できるというものです。こうした好循環を生み出すことで,本県の抱える医師不足と,医療資源の分散といった課題を解決していくと考えているものであります。〔次に〕目指す姿を実現することでの具体的な効果を挙げてみましたけれども,ちょっと〔資料の字が〕小さくて申し訳ありませんが,まずは,症例が集積されることで,治療成績が上がり高度医療が提供できるということ。そして,多くの症例が経験できる環境を整備することで,県外から医師が集まるということ。また,マンパワーを充実させて,救急患者の応需率が高まるということ。また,新興・再興感染症への対応力が高まると〔いうこと〕,これ〔の重要性は〕今回のコロナで実感されたところです。そして,医療従事者の負荷が減る。さらには,医療機能の分化,連携を行うことで,切れ目のない,質の高い医療を提供できるということ。また,広域的な人事交流によって,医師の偏在解消が図られる〔ということ〕,こういったメリットを見込んでおります。そして,ここから,「高度医療の拠点整備」と「医療人材の集積」を実現するための取組についてご説明したいと思いますが,まずステップ1として,医療資源の集約をしまして,多くの症例が集積される「ハイボリュームセンター」を作って,高度医療が実践される環境を整備いたします。次に,ステップ2として,多くの経験を積みたい若手医師は,多くの症例が経験できる医療機関に集まる〔ため〕,若手医師にとって魅力的な環境を作ることで,県内の医師数増加,特に若い医師ですが,〔増加〕を目指してまいります。ステップ3として,多くの医師が集まってマンパワーが増えれば,救急応需率がさらに高まるなど,本県が抱える医療体制の課題の解消に繋がるものと考えております。新病院では,医療資源を集約しまして,広島大学病院と連携することで,全国トップレベルの高度・先進医療を提供したいと考えています。新病院で提供する医療機能を挙げてみますと,「断らない救急」の実現,それから中国地方初のER機能を併設した「小児救命救急センター」,「成育医療センター」,「がん治療センター」,「脳卒中センター」,「心臓病センター」,「児童・思春期病床」,新興・再興感染症拡大時に機動的に対応できる体制,「基幹災害拠点病院」としての貢献,「次世代スマートホスピタル」などなど,全国トップレベルの高度・先進医療を提供していきたいと考えています。次に,「機能分化・連携による地域完結型医療」ですけれども,大きな病院を一つ作れば,全ての課題が解決するかというわけではないわけです。個々の病院が全ての医療ニーズに対応するというのが従来の「病院完結型医療」なのですけれども,この「病院完結型医療」というものでは,医療資源が分散してしまうと,役割が重複して競争関係に陥ってしまうというようなことになっています。今後は,医療機関の役割をはっきり分けて,得意分野を活かしながら,お互いの連携によって,患者さんを地域全体で治して,また支える,〔これを〕「地域完結型医療」と言っておりますが,国全体としても,この「地域完結型医療」というものを目指しているところですが,ここに転換することで,医療資源の全体最適を図っていくと〔いうことになり〕,また,患者さんの状態に応じた,切れ目のない,質の高い医療を提供できると考えています。こうした病院の機能分化と連携による「地域完結型医療」の実現を目指していきたいと考えています。〔それ〕で,「高度医療の拠点整備」と「地域完結型医療」の実現のために,急性期機能を新病院に集約します。〔そして〕周辺の病院には,回復期病床を増やしていただくという方向で,関係医療機関と検討を進めているところです。具体的には,県立広島病院とJR広島病院に加えまして,中電病院の3病院が一体となって新病院を構築いたします。舟入市民病院は,小児医療の機能を新病院に集約して,残った急性期病床を回復期に転換していきます。土谷総合病院は,小児循環器の部分を新病院に集約して,残った急性期病床を削減いたします。広島記念病院と吉島病院は,この二つの病院で1か所に統合して,一部機能を新病院に集約して,急性期の一部を回復期に転換していくと〔しています〕。マツダ病院は,一部の機能を新病院に集約して,急性期病棟の一部を回復期に転換していく〔としています〕。以上のような方針で検討を進めているところであります。今後,新病院に集約する医療資源について,再編対象病院と議論を深めまして,診療科の編成や,必要な医療機器などを盛り込んだ基本計画を策定することとしております。また,実際に新病院ができるまでは,県立広島病院はもちろんですが,JR広島病院や中電病院についても,引き続き,地域に必要な医療を提供していただくこととしておりまして,そのために,医師を派遣していただいている広島大学に対して,その継続をお願いしたいと考えております。さらに,医療再編の影響が予想される地域につきましては,地域完結型医療を補完する身近な医療機能の整備などを,地域のご意見もお伺いしながら検討していきたいと考えております。そして,新病院の整備予定地ですが,JR広島病院が立地している土地を想定しておりまして,病床規模は1,000床程度と考えています。二葉の里地区は,交通利便性も高くて,県内・県外からのアクセスも良い〔ことや〕,南海トラフ地震が発生した場合にも浸水の想定がないので,基幹災害拠点病院の立地場所に適していると判断しています。病床規模につきましては,症例の集積効果などに鑑みまして,1,000床程度を想定していますが,新病院がターゲットとする患者数の推計などを精査して,引き続き検討したいと考えています。運営形態については,「運営形態のあり方検討会」から,一般地方独立行政法人が望ましいという提言を受けております。この提言を踏まえて,ふさわしい運営形態について,引き続き検討してまいります。〔新〕病院の〔建設〕スケジュールですが,今後,この基本構想を踏まえまして,基本計画,基本設計,実施設計,建設工事と進めていって,こういったスケジュールに基づいて進みますと,2030年頃の開院の見込みとなっていますが,このスケジュールはあくまで現時点での想定でありますので,今後,再編対象病院と議論して,診療科の編成や必要な医療機器などを整理するとともに,新病院建築に必要な財源確保など,財務面の見通しをしっかりと立てて,新病院整備への道筋を付けてまいりたいと考えております。そして,地域医療体制の確保を実現するための取組が,「ネットワーク型人事交流」でございます。広島大学病院や新病院の医師を,地域の拠点病院に派遣して,その拠点病院から,さらに週に何日か,中山間地域の医療機関に診療支援に行くといったような二重のネットワークの中で,医師が循環しながらキャリアアップしていけるよう,地域のニーズ,〔つまり〕医療需要と,シーズ,〔つまり〕派遣候補の医師といった人事に関する情報を収集,共有して,効率的なマッチングを行う仕組みを整備してまいります。地域におけるネットワーク型人事交流というのは,これは全く新しいものではなくて,その好事例としては,安佐市民病院の取組というのがございます。安佐市民病院では,常勤として勤務する医師が,週に数日,豊平診療所や安芸太田病院など,中山間地域の医療機関に診療応援に行っています。また,こうした中山間地域で働く医師に対して,ベテラン医師から支援を受けられる体制を敷いておられます。こういった体制を,他の圏域でも横展開していきたいと考えております。新病院に集まってきた医師や,自治医〔科〕大〔学〕の卒業医師,大学医学部の地域枠の医師などに,総合診療など地域医療に必要なスキルを身に着けていただいて,中山間地域など医師不足の地域へ派遣できるようにしたいと考えています。これまでバラバラに医師の人事を行ってきた,広島大学の各医局や広島県に新病院を加えて,3者が連携して,医療人材を確保,育成,循環する仕組みを作っていきたいと考えているところであります。具体的には,人材の確保という面からは,新病院に若手医師を惹きつけるために,豊富な症例数や専従の指導医の配置など,魅力ある研修体制の整備,ライフステージに応じた勤務場所や勤務形態,近年増加している女性医師が働き続けることができる環境の整備,こういったことを進めて行くと〔しています〕。人材の育成としては,超高齢社会でニーズが高まっている総合診療医の育成を行っていく〔としています〕。人材の循環としては,人事情報の集約,共有による効率的なマッチングなど医師派遣の仕組み,それから,地域内の医師などの交流や共同研修をはじめとする相互協力体制の仕組みづくりなど,こういった機能を整備することで,県全体の医療提供体制を確保していきたいと考えております。ちょっと駆け足でご説明させていただきましたが,最後に,まとめとなります。まず,高度医療の拠点整備と医療機能の分化,連携を進めることで,高い水準の医療と,患者の状態に応じた切れ目のない医療を提供していきます。また,人材育成の拠点整備によって,医療人材を確保して,県内の地域医療提供体制を確保する。そして,この新たな拠点を整備することにより,全ての県民が,質の高い医療・介護サービスを受けることができ,住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる広島県の実現を目指してまいります。私からの説明は以上でございます。

 (司会)
 続きまして,高度医療・人材育成拠点ビジョン推進会議の会長として,この基本構想の取りまとめを行っていただきました広島県医師会の松村会長からコメントをいただきたいと思います。

 (松村会長)
 長年,広島県の地域医療をいかに守っていくか,維持していくかということに腐心してまいりました。その中で,今回,〔広島県〕地域保健対策協議会で議論してきましたビジョンが,やっと基本構想という形でまとまり,今,湯崎知事から説明していただきましたけれども,まさに,今まで私たちが,広島県,広島市も含めまして,それから広島大学,〔本日は〕医学部長もおられますけれども,広島大学を挙げて協力いただきました。そして,私たち地域医療を支える民間であります医師会,これも〔一体となって〕,オール広島で取り組んでまいりました。そういった中で,官学民一体という,オール広島体制が実現したのが,このビジョン〔であり〕,そして今回〔発表を〕やっていただいた基本構想にまとまっているのです。さまざまな課題がある中で,いかに広島の医療を守って発展させるかということの一つの構想がまとまりました。これからは,まさにスタートするわけですので,官学民一体となって,引き続きこの基本構想を実現する〔こと〕,それに向かって,力強い第一歩を今日は踏み出したと思っております。以上です。

 (司会)
 続きまして,医療関係者を代表しまして,工藤病院長,粟井医学部長からコメントをお願いできればと思います。最初に工藤病院長からお願いいたします。

 (工藤病院長)
 〔広島〕大学病院の病院長の工藤です。長年,こういうことが必要だという考えはあったのですけれども,やっとこれが皆さんに提示できるような状況になったのだと思います。広島県におきましては,医師を養成する医育機関というのは広島大学のみでありまして,広島ぐらいの人口規模の街と言いますか,地域において,医学部が一つしかないというのは広島だけで,圧倒的な人材不足の中で,これまで医療提供してきたということになっています。そのような中で,高度の医療を提供することを目標として,この新しい高度医療・人材〔育成〕拠点というのができたのですけれども,まさに医療資源とか医療人材の重点化,集約化に向けて,これから,その実現に向かって,広島大学としては一丸となって協力していかなければいけないと思っています。大学の立場から言わせていただきますと,高度の医療を提供するだけではなくて,その高度の医療を開発するとか,高度な医療機器でありますとか,そういうふうな開発というのも大事な役割となっていまして,こういう新しい拠点ができると,そこと一緒になって,そういうことが進められていくのではないかということで,非常に大きな期待をしているところであります。もう一つ,皆さま方もご存知かと思いますけれども,医師の勤務体系の改革というのを進めなければいけない時期に来ていまして,これは,いわゆる医師の働き方改革といったことになりますけれども,それに対応できるような仕組みを作っていくということも同時に進行していかなければいけないことだと考えております。私からは以上です。

 (粟井医学部長)
 広島大学医学部長の粟井と申します。新病院に期待することは,新病院で優秀な医師をたくさん育成して,これらを県内全域に循環させることによって,県内の医療の均てん化をするということが非常に重要なことと考えています。このためにも,新病院には,意欲のあるような若手医師を,どんどん呼び込めるような魅力的な研修環境を,広島大学も協力して構築していきたいと考えております。また,中山間地も含めた地域医療を確保するためには,新病院,それから我々の広島大学,それから県内各地の拠点病院が協力して,地域間の医師の交流や,共同研修などの相互協力体制の仕組みを構築していかないといけないと思っています。以上です。

 (司会)
 それでは,記者の皆さまからのご質問をお受けしたいと思います。質問を行う際には,社名とお名前を名乗ってから質問をお願いします。また,湯崎知事,松村会長,工藤病院長,粟井医学部長のうち,どちらへの質問かを最初に必ずおっしゃっていただきますよう,お願いいたします。それでは,質問をお受けいたします。

 (NHK)
 NHKの石田と申します。湯崎知事と松村会長にお伺いしたいのですが,今回の基本構想が取りまとまったということについて,まず率直な受け止めから,あらためてお伺いいたします。

 (知事)
 まず,この元々の議論のスタートからは,もう10年ぐらいかけて議論が進んできたものでありますけれども,本当に,広島大学,それから医師会,松村会長をはじめとする皆さまの,広島の医療を,将来に向かって,しっかりとしたものに作り直していくというか,再構築していく必要があるという,そのリーダーシップと熱意のおかげで,ここまで辿り着いたものだと思っていまして,本当に,心から感謝を申し上げたいと思いますし,取りまとめに当たっては,県の方では,浅原先生,広大学長でもあり,その後,我々の,県の医療〔病院〕事業の管理者にもなっていただいたのですが,〔その浅原先生〕にも汗をかいていただいて,行政と皆さまを繋いでいただく,そういう中での実現というか,ここまでやってきたというものであります。本当に,関係の皆さまに,まず感謝申し上げたいと思います。説明を,今,縷々させていただいたように,医療〔を〕高度化するということと,それから人材〔を〕確保するということと,地域医療をしっかりと守っていくということが,目的,目標になっているわけですけれども,そのために,このような新拠点を作っていく,いろんな病院の協力をいただきながら連携し作っていくということは,先例がないことだと思います。広島のような都市圏で,こういったものを作っていくというのは,全国でも初めてだと思いますし,最も先進的な取組で,これは本当に,医療関係者の皆さんのご理解とご協力がないと絶対に実現しません。ここまでの議論〔に〕来るだけでも,ほとんど不可能に近いぐらいではないかと思います。それぐらい重大なものでありまして,逆に言うと,それぐらい,我々行政としても,この新病院に期待しているところであります。将来に向けての広島県の医療〔を〕本当に良くしていくために,みんなが力をあわせて,ここまで来たというのを,私は感慨深く思っております。これからが実現〔に向けて取り組んでいくところ〕なので,これから,まだまだ2合目ぐらいかもしれないですけど,そういう,すごい高い山の2合目なので,ここまでだけでも酸素が欠乏するような高さに来ていると思うのですけど,本当に,これまで来た道,それから,これから行く道〔を〕考えて,でもこれは広島県民のためにやらなければいけないものだということで,これはみんな〔で〕協力してやり遂げていきたいと思っています。

 (松村会長)
 広島県医師会の松村としては,やはりこの大きなプロジェクト,広島の医療をどういうふうに持っていくかといったプロジェクトで一番大事なのは,やはりビジョンです。そのビジョンの取りまとめに,今,湯崎知事がおっしゃいましたように,10年以上かけてきました。その中で,知事のリーダーシップのもと,広島大学,そして,広島県医師会を含めた医師会全体が,先ほど申し上げましたように,官学民一体となって,まさにドリームチームができました。その中で,このビジョンができてきたわけです。したがいまして,このドリームチームである官学民一体のオール広島が,今からビジョンを実現していくというスタート地点に立ちましたので,本当に,気持ちも新たに,本当に闘志が湧いてきて,今からやっていこうという気持ちでいっぱいです。以上です。

 (NHK)
 ありがとうございます。続けて〔質問〕なのですが,松村会長にお伺いしたいのですけど,今回の基本構想がまとまったことで,市民の方には,どういった利点なりメリットなりがあるか,お伺いしてよろしいでしょうか。

 (松村会長)
 この件も,先ほど来,湯崎知事さんが説明されたように,やはり最高水準の,質の高い医療を受ける体制が整うものであるということですので,やはり広島県に住んでいただいて,現在の医療の最高水準のものが受けられるという体制づくりになったということです。特に,市民,県民の皆さんにとっては,救急〔の〕問題が大きいと思うのです。救急についても,この体制で,「断らない救急」,〔つまり〕いつでもどこでも救急を受け入れますという体制づくりに踏み出しておりますし,また来たるべき南海トラフを中心とした災害,広島県は集中豪雨も多いです〔が〕,そういった災害についても,強い医療体制というのを構築することができると思います。その裏づけとして,医師不足に対して,医師の偏在に対して,こういった医療資源を集約することによって実現していくということですので,まさに県民の方にとっては,安心して最高水準の医療を受けられる体制づくりが始まるといったことで,大きなメリットだと思います。

 (NHK)
 最後に1問だけ,松村会長に〔お聞きします〕。一方で,今回の構想の実現にあたって,今後,さまざまな課題や懸念も,指摘が一方であると思うのですけれども,そういったものは,例えばどういったものが挙げられるかというのと,それとどう向き合っていくかというのを,簡潔にお伺いしてもよろしいでしょうか。

 (松村会長)
 私たち,医療現場,地域,地域の医療現場を預かった者として,今回,大きな病院の再編が行われます。再編,統合が行われますので,現時点で,それぞれの地域で,地域包括ケア,医療,介護の供給体制は,ある程度構築されて動いているわけです。それが,この大きな再編によって,病院が移転したり,機能を変化させたりしますので,そこで混乱が生じないように,時間が十分ありますので,この6年,7年,8年,この間に,地域包括ケアを,この大きなプロジェクトの中で守っていくという,極めて重要な課題も持っておりますが,それは,官学民,そしてオール広島で取り組んでいけば,必ず,スムーズに移行できると考えております。以上です。

 (NHK)
 ありがとうございます。

 (司会)
 その他,ご質問はいかがでしょうか。

 (RCC)
 RCCの寺岡と申します。湯崎知事になるか,ちょっとあれなのですけれども,今回の新しい病院で,三つの病院を統合するという形にはなると思うのですが,そうした場合,県立広島病院と中電病院に関しては,その跡地ということになるのか,それともその医療提供体制としては,病院としては,その建物が残るのか,その辺りのことというのは,これからの議論かもしれないですけど,ちょっと教えていただけますでしょうか。

 (知事)
 まず,中電病院の方は,我々〔と〕連携して新病院を作っていくことになるわけですけれども,その跡地については,もちろん,元々中国電力さんのものですから,そこについてどうしていくかということは,今後,中国電力さんが検討されていくことだと理解しています。県病院の方は,今,宇品に広島病院があるわけですけれども,この跡地については,また,地元の皆さまのご意見をお伺いしながら,そこの,その地域に必要な,先ほど「地域完結型〔医療〕」と申し上げましたけれども,そこに貢献するような医療機能というものがどうかということを検討していきたいと考えているところです。

 (RCC)
 すみません。確認なのですけれども,県〔立広島〕病院に関しては,〔再編後も,〕少なくとも医療に関係するような施設という位置づけという〔検討をしている〕ところにあるという〔ことでしょうか。県立広島病院の〕跡地に関しては。

 (知事)
 それも含んで検討していくということです。あそこは,丸々そのままということではないですけれども,どういった機能が必要かとか,地域にとって必要になるかとか,そういったことを検討していくと〔いうことで〕,これは地域の皆さんとも,ご意見を伺いながら検討するという,そういうことになってきます。

 (RCC)
 ありがとうございます。

 (司会)
 その他〔の質問は〕いかがでしょうか。

 (中国新聞)
 中国新聞の平田と言います。湯崎知事にお伺いします。今日,節目として,基本構想がまとまったわけですが,ここを節目として,もう新病院建設を前提に,物事をこれから進めて行くという理解でよろしいでしょうか。

 (知事)
 そこを目指して進めて行くということです。まだまだ,もちろんハードルはあって,先ほど松村先生がおっしゃって〔いたように〕,いろんな病院の皆さんとの課題も克服していかなければいけませんし,さらにその手前として,例えばこの新病院建設にしても,相当なやはり資金が必要になってきますので,そういったものをどう手当てしていくかということもありますし,若手医師をこういう目論見で確保していきたいと考えていますけれども,それも実際にどうやっていくかということもありますので,そういったさまざまな課題を,しっかりと見極めていって,もちろん,それを議会にもご提案した上で具体化していくということです。我々としては,そこ〔新病院建設〕を当然目指していくと〔いうことですが〕,前提というのはどういう意味かということになるのですけど,我々〔は〕そこを目指して,今みたいな,いろんな課題を一つ一つ,つぶしていきたいと考えています。

 (中国新聞)
 実際には,今回の基本構想の中では,事業費の規模というのは示されていないのですが,県民の方からすると,ある程度,大きなお金が投入されていく中で,大きなプロジェクトの中で,県民全体,県全体に恩恵があるのか,〔恩恵を受けるのは〕一部の広島都市圏だけではないのかという懸念も声としてあるのですが,そういった課題点についてはどうお考えでしょうか。

 (知事)
 それは,全くそういうことではないと思うのです,病院というか,医療体制というのは,やはり,各地域のものが,それこそ,いわゆる診療所とかクリニックとかを含めた,地域の医療体制があって,それをバックアップしていく二次の体制というのがあって,さらにその上に,三次の体制というのがあります。〔それ〕で,この新病院というのは,県全体の三次〔の医療体制〕をしっかりと押さえていくというようなものになりますし,そういう意味で,物理的にはどこかに〔病院の場所を〕決めなければいけないので,広島市ということになりますけど,カバーするエリアというのは広島県全体ですし,場合によっては,おそらく,広島県を越えたエリアもカバーするようなことになると思います。というか,そういうところから患者さんが来たいとなっていくと思いますし,そういうふうにしていきたいと思います。〔それ〕で,さらにはその地域の,今の第一次〔医療〕のフロント〔の部分〕,ないし場合によっては二次の地域の医療を守っていくというところに対しても,先ほどの人材派遣の機能とか,あるいは人材育成の機能だとか,そういったことを通じて,大きく裨益することになると思いますので,こういった中心となる拠点病院がないと,逆に言うと,そういう〔県〕全体〔の医療〕を守っていくということが,なかなか困難になってくるので,何と言いますか,要というか,へそというか,そういうものとして,大きく機能していくと思っています。

 (中国新聞)
 すみません。もう1問〔お聞きしますが〕,先ほどから,課題という話〔があり,課題が〕たくさんあるという中で,松村会長がおっしゃられたように,混乱しないようにというところを考えなければいけないと思うのですけれども,現時点で,医療を集約していったりとか,それによるデメリットというのも確実にあるのだと思うのですが,そういったことに関しては,知事の認識というか,考えていることというのはあるのでしょうか。

 (知事)
 デメリットというのは,もちろん,例えば,これまでここ〔この病院〕に行っていたのが,違うところに行かなければいけなくなる患者さんというのが,個人ベースで見ると,そういった方々が出てくるわけで,せっかく歩いて5分だったのにとか,そういうことも含めて,〔そういった方が〕いらっしゃいます。そういうことが混乱に繋がり得るというのが,松村先生にご指摘いただいたことでして,それは我々〔も〕配慮しながら進めていかなければいけないと思うのですが,これから10年,20年,30年という,こういうところを見た時に,今の医療というのは,いかに,例えば症例を集積していくかというようなこと,それが医療の高度化には必要なことですし,それを軸に,人が,医師が,医療関係者が集まってくるということになるので,集約というのは,これはある意味で言うと,集約というか集積です〔が〕,集約というとちょっと何か集めるみたいに聞こえるのですけど,〔ここで言うのは〕集積です。集積していくというのは,これはもう,これまでもそうだったのですけど,ますます重要になっていく〔と考えています〕。1個1個では〔なくて〕,何と言いますか,腎臓でも,腎臓の中でも三つとか四つとか五つとか〔専門分野が〕分かれているわけです。実際にいくつに分かれているのか私は知らないですけど。そういうものになってきているので,集まらないと治療が成り立たないとか,〔医師としての〕技が磨かれないとか,そういうことが起きるのです。なので,集積するということが非常に重要になっているので,そういう意味で,あまりデメリットというのは,私としては,先ほどの話以外あまり認識がないのですが,先生方はいかがでしょうか。

 (松村会長)
 医療現場にある者として,やはり病院の再編,こういった大きな中核病院,拠点病院を整備する時に大事なのは,日頃の医療,すなわち,かかりつけ医のもとで行われている日常診療,医療が極めて大きいわけです。ですから,こういった今回のプロジェクトのように,大病院が再編されていっても,かかりつけ機能という,地域包括ケアシステムの中での,そういったプライマリ・ケア,一次医療は,これは変わりません。したがいまして,そう日常の中で医療で困るということはなくて,逆に,メリットと挙げられている,救急でいつでも見られる,それから,高度の,最高水準の医療を集積して受けられるということの方のメリットを考えると,それは,医療供給体制にとっては,メリットが大きくて,デメリットというのは少ないと考えます。

 (中国新聞)
 最後に,工藤病院長にお聞きするのですが,これまで,〔広島〕大学として,医局として,各病院に人材を派遣してきた中で,今回,県から示されているのは,新病院と〔広島〕大学が連携して,という言葉が書いてあって,そこから医師派遣をしていくという仕組みなのですけど,現時点で,具体的に見えている形というのはあるのでしょうか。

 (工藤病院長)
 今,医局単位とおっしゃいましたけど,実際の人事交流というのは,医局単位よりも,大学病院全体で,そういう医療の提供をしているという考え方になっています。それがおそらくは新病院も一緒になってするということで,最終的には,各医局が人を出さなければいけないのだと思いますけれども,それはもう,全体で連携して出さないことには,現在の医療も維持できませんし,先ほど知事もおっしゃいましたけれども,集約化というよりも重点化というふうな考え方で考えていただくと,今回のプロジェクトは,デメリットよりも,明らかにメリットが大きいということが理解していただけるのではないかと思います。

 (中国新聞)
 ちょっと聞き方が良くなかったかもしれませんが,運営していく,医師が集まったらどういうふうに派遣していくという姿というか,イメージというのは具体的にあるのか,それともこれから構築していくものなのでしょうか。

 (工藤病院長)
 今,実際〔には〕ないものですから,今はないというのが多分正しい答で,それを作り上げていくということが,これから重要になってくるのではないかと思います。

 (中国新聞)
 その一つが安佐市民病院〔の取組〕というか,ああいったものが参考になるというお考えでしょうか。

 (工藤病院長)
 それが県全体に拡大できるかどうかは別として,安佐市民〔病院〕の今の派遣〔の仕組み〕というのは,どちらかというと地域医療をサポートする派遣の仕方だと思いますけれども,おそらくこの新しい拠点ができると,地域医療もそうでしょうけれども,やはり高度な医療を,広島県にある程度広げていかなければいけないということもありますので,その辺りの連携という方が,この新しい病院に期待されるところだと思います。

 (粟井医学部長)
 医学部長の粟井です。私からちょっと補足をしますと,今,備北地区とか尾道とか呉地区とか,いろいろ〔な〕医療圏がありますが,その中の情報をある程度集約して,県が中心に〔運営している〕地域医療支援センターというのがありますが,そこを中心に,情報を集約して,それを,新病院,〔広島〕大学病院とかで検討して,最も合理的な人員配置,例えば備北地区に循環器内科医がこのぐらい不足しているから,そこにこういう大学医局と協力して人材を派遣しようとか,そういう形で,近い将来できるようなシステムを,この新病院というよりは,県全体の地域医療を支えるためのシステムを,新病院,〔広島〕大学病院,それから広島県と連携して,そういうシステムを,今,構築するべく検討を進めているところです。

 (中国新聞)
 ありがとうございます。

 (司会)
 その他〔の質問は〕いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは終了いたします。ありがとうございました。

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資料1(記者会見資料) (PDFファイル)(1.91MB)

資料2(高度医療・人材育成拠点基本構想) (PDFファイル)(2.37MB)

資料3(高度医療・人材育成拠点の運営形態について) (PDFファイル)(243KB)

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