記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課でとりまとめ,掲載しています。
なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。
会見日:令和5年4月21日(金曜日)
定例記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課で取りまとめ,掲載しています。なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
会見日:令和5年4月21日(金曜日)
(司会)
それでは定刻になりましたので,ただいまから,知事会見を開催いたします。本日の発表項目は,核軍縮等に関する「ひろしまレポート2023年版」についてでございます。なお,本日の会見には,国際平和拠点ひろしま想推進委員会座長,元国連軍縮担当事務次長,前内閣府原子力委員会委員の阿部信泰(あべ のぶやす)様,そして,公益財団法人 日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター所長の戸崎洋史(とさき ひろふみ)様にご同席いただいております。終了時間は15時45分を予定しております。これより,説明に移らせていただきます。ご質問は,知事,阿部様,戸崎様の説明終了後に,まとめてお願いいたします。それでは,説明をよろしくお願いいたします。
(知事)
それでは,「ひろしまレポート2023年版」を発表いたします。ただいまご紹介ありましたように,本日,阿部大使そして戸崎さんにご同席いただいております。「ひろしまレポート」は,「国際平和拠点ひろしま構想」を具体化する取組の一つとしまして,各国の核軍縮等に向けた取組状況を,国内外に発信するということで,国際社会における核兵器廃絶のプロセスを着実に進めるための機運醸成を図ることを目指しております。取りまとめは,日本国際問題研究所に委託して,行っているところです。評価対象の国また評価項目についてですけども,今回の「ひろしまレポート2023年版」は,平成24年の作成開始から10年が経過して,10回目の作成となるのですが,国際情勢も大きく変化をしておりますし,2022年に開催されました核兵器禁止条約の第1回締約国会議,あるいは,第10回核兵器不拡散条約運用検討会議等を踏まえまして,評価対象国,評価項目,それから評価基準などにについて,時勢に合わせて見直しを行っております。まず,評価対象国につきましては,非核兵器国を一部見直すことによって,前年より2か国少ない34か国となっております。評価項目と評価基準の主な見直し内容としては,ロシアのウクライナ侵略における核恫喝や原子力施設への攻撃,TPNW第1回締約国会議開催における,未署名国のオブザーバー参加,そして,TPNW締約国会議及びNPT運用検討会議でのジェンダーを含む多様性等に関する重要性の強調などを踏まえまして,評価の項目や基準を修正・追加しております。こうした全体的な見直しによりまして,評価項目は,前年の65項目から78項目に増えています。次に,評価の対象となります昨年2022年の主な動向についてです。全体では,2022年2月に始まりましたロシアによるウクライナ侵略や,8月に開催されたNPT運用検討会議におけるロシアの最終文書案への反対等,ロシアを中心に,核問題を巡って,マイナスとなる動向が多くありました。しかし,そのような中でも,NPT運用検討会議や,TPNW締約国会議などにおいて,多くの国が核兵器不使用の継続や,核リスク低減について様々な提案を行って,軍縮・不拡散教育,ジェンダーを含む多様性の重要性を強調するなど,前向きな動向もあったところです。核軍縮分野においては,ロシアによる核恫喝を伴うウクライナ侵略を背景として,核兵器国・非核兵器国間,さらには核兵器国間の亀裂が一層拡大しております。核兵器国と同盟関係にある,非核兵器国も,拡大核抑止への依存度を一段高める動きが見受けられるなど,核軍縮に向けた進展はほとんど見られませんでした。次に,核不拡散分野におきましては,北朝鮮が,引き続き,核戦力の高度化を積極的に行っている他,イランが核合意の規定を大きく超えて,濃縮ウランの貯蔵量を増加させるなど,義務の不履行を引き続き拡大させています。またロシアのウクライナ侵略はウクライナでのIAEA保障措置にも影響を与えました。続いて,核セキュリティ分野においては,原子力施設に対するサイバー攻撃や,ドローンを用いた妨害破壊行為の脅威は,引き続き注視が必要な状況であるということに加えまして,ロシアがウクライナの原子力施設を攻撃,占拠するなど,紛争下で,国家が原子力施設に対してもたらす脅威への対処という新たな課題が浮き彫りになったところです。続いて発信力向上のための取組についてですけれども,まずスラウビネンNPT運用検討会議議長による特別寄稿を掲載しています。NPT運用検討会議での最終文書の採択をめぐる関係国とのやりとりは,非常に臨場感があります。まさに,核問題をめぐる合意形成の難しさを表した内容となっています。また,「ヒロシマ・アクション・プラン」の推進と,G7広島サミットの意義,原子力施設に対する武力攻撃,若い世代から見た2022年の核問題など,最近の情勢を反映したトピックスについて,第一線で活躍する専門家,有識者,それから若者の視点からのコラムを掲載しました。さらに一般市民向けの小冊子を,G7広島サミット開催に伴う,国内外からの来広者の増加を見込んで,訪れる方の手に取ってもらいやすいような,表紙デザインなど,変更するとともに,新たに英語版を作成しました。「ひろしまレポート」の本編については,各国の国連代表部や大使館に送付しまして,核兵器廃絶に向けた機運の醸成を図る一助となるように,広く発信してまいりたいと考えています。また,7月下旬から開催予定のNPT運用検討会議準備委員会に参加することができれば,各国の政策担当などへの配布や,会場において各国の評点率をまとめたバナー展示などを実施したいと考えています。さらに,一般の方向けの小冊子については,G7広島サミットの関連イベントなどで配布する他,サミット後においても,国内外から広島を訪れる方に手に取ってもらえるよう,広く配布していきたいと考えています。本県では引き続き,このような取組を通じまして,核兵器のない平和な世界の実現が着実に進められるように取り組んでまいります。それでは,2022年の核軍縮,核不拡散・核セキュリティをめぐる動向につきまして,まず,阿部大使,それから続きまして,戸崎所長にご説明をお願いいたします。それでは,阿部大使,よろしくお願いいたします。
(阿部大使)
阿部でございます。「〔ひろしま〕レポート」は,2012年から作り始めまして,もう10年を越すわけですけれども,最初はこの報告を作ることによって,核兵器のない世界を目指して,核軍縮・不拡散,各セキュリティに取り組む各国の動向を調査して,そういう意味では,ある程度客観的な成績表を作ることによって,各国の努力を奨励するという目的を持っていたのですが,実際10年間やってみると,なかなかこの成績の向上は芳しくないというのが現状でございます。ただ,最初の頃は,報告書〔ひろしまレポート〕に対して,いやうちの国はこういうことをしているとか,いろいろな反応がありましたので,それなりに各国はこれ〔ひろしまレポート〕を受け止めて,「よし,もう少しよいことをやろう」というような動きがあったこと,反応があったこと〔に対して,〕私はよかったと思っております。去年については,こういった動きにある種,逆行する動きがたくさんありまして,核軍縮・不核拡散・セキュリティの面で,著しく状況が悪化した年だったと見ております。この薄いパンフレットの8ページ,9ページにこの成績の点数表の比較表が出ておりますけれども,こういうことで,各国の評点を比較してみますと,実は10年が経つということで,私は10年間に成績がどういうふうに動いてきたのかなと,何か面白い傾向が出るかなと思って,試しにグラフを作ってみたのですけれども,残念ながら,ほとんど,この改善の方向はあまりはっきり出ませんでした。これはグラフを作っても,余り面白いことにはならないなということで諦めたことがあります。去年については,ロシアのウクライナ侵攻,しかもそもそも核兵器を放棄したウクライナに対して,その安全を保障するということをブダぺスト覚書で約束したにもかかわらず,そこ〔ウクライナ〕に侵入して,核兵器の使用を脅かすということが行われ,さらには,原〔子力〕発〔電所〕を占拠すると,攻撃するというような,いろいろな動きがありました。このたび北朝鮮・イランの問題などもあいまって,情勢は非常に悪化したという年であったと思います。そして,8ページ〔について〕,この評定をみていますと,ロシアについては,軍縮は雨が降っていて,核軍縮・不拡散については,ちょっと日が差しているような,点になっているのですけれども,実は私は,もっと状況は悪いのではないかなというふうに感じております。直感的にはそう感じるのですけれども,この評定方法については,去年起こったいろんな時点を踏まえて,ここに紹介していますように,いくつか新しい項目を加えて,減点をしたりしたのですけれども,いかんせんながら,ある程度,客観性を持たせるという観点からすると,事実関係に基づいたところだけで評価するということになりますし,今までに使ったいろんな評価方法と並べて,足して平均点を出しますので,ロシアのような,非常に悪いことしたのだけれども,その点数には,大きな変化には挙がらなかったということありますので,ここは,なかなかこの評価〔について〕客観性を持たせ,かつ,年ごとの比較できる状況にするという観点からすると,ここはなかなか悩ましいところかなと思います。〔このように〕申し上げた上で,ロシアが,今この成績を見て,「自分の成績が悪いなと,少し行いを改めようかな」ということは,正直なかなか私は期待出来ないと思いますけれども,しかしながら,いくつか中,評価できるかなと思うとこもあります。例えば,ロシアは,新START条約の核兵器制限条約の履行を停止するということを言いました。しかしながら同時に,その条約の数の制限は守り続けるということを言っております。ですから,そこ〔数の制限を守ること〕だけはやろうと〔ロシアは考えています〕。それから,最近ICBMの発射実験をしましたけれども,それについても,ちゃんと事前にアメリカに「〔発射実験を〕やります」ということを予告したのです。ということで,ある程度,履行を停止すると言いながらも,守るべきところは守るということで,将来に望みをつなげられる手も打っているということはよいことかと思います。それから,最近,ロシアは,CTBT,核実験全面禁止条約の発効の促進の努力を続けると言っています。これもある意味では前向きの姿勢であって,そもそもこの条約は,アメリカはまだ批准していないわけです。そういう意味においては,何らか,これから前向きにつなげるという意思を持ち,それをまた表そうとする動きがロシアの中はあるのではないかという気がしております。これがざっと私がこの表を作成した後,現在の情勢について感じたところであります。以上です。
(戸崎所長)
ありがとうございます。日本国際問題研究所軍縮・科学技術センターの戸崎と申します。よろしくお願いいたします。まず,10年以上にわたりまして,このような重要なプロジェクトをお任せくださいましたことにつきまして,湯崎知事,それから平和推進プロジェクトチームの皆様,平和創造機構ひろしまの皆様に,心より,お礼申し上げます。今回,2022年度の動向ということでございますけれども,核を巡る極めて重大な重要な出来事,あるいは会議が皆様ご存じのように相次いだということで,今回刊行する2023年版,そのボリュームは,例年よりも,1.4倍~1.5倍ぐらいになってしまったと,それぐらい,いろいろなことが起こった年だったと思います。私からは,もう既に湯崎知事・阿部大使からもお話いただいたポイントもあるかと思いますけれども,繰り返しの部分も出てくるかと思いますけれども,その2022年度の主要な動向について,かいつまんでご紹介させていただければと思います。皆様のお手元には,ハンドアウト〔関係資料〕をお配りしておりますので,そちらを見ながら,ご説明申し上げます。まず,核軍縮ですけれども,やはりロシアの核恫喝を伴うウクライナ侵略というものが与えるインパクトというのが非常に大きかったのだろうと思います。スライドにも書きましたブダペスト覚書あるいは非核兵器国に対しては,核兵器の使用または使用の威嚇を行わないという消極的安全保障,そうしたことに反する行為でもありましたし,さらにロシアが実際に核兵器を使用する可能性があるのではないかということが,繰り返し懸念されてきましたし,そうした中,核保有国・同盟国がその影響として,核兵器の国家安全保障における役割というものを再定義していく,再認識していく,そうした状況も見られましたし,核軍縮の軍備管理を巡る核兵器国間の亀裂,これまでは核兵器国と非核兵器国の亀裂ということがよく言われていましたけれども,2022年,とりわけ,NPT運用検討会議などでは,核兵器国間での亀裂というものも,非常に目立ったというところでありました。核兵器のトータルの数はSIPRI〔ストックホルム国際平和研究所〕の推計などでも見られるように,減ってはきていますけれども,運用中の核弾頭,その削減については停滞していると指摘もされていますし,この傾向は,近く逆転するだろうと,むしろ増えていくということも言われているということ〔です〕。質的な核戦力の近代化の評価については,ロシア,中国,北朝鮮,そこが新たな運搬手段を積極的に開発するので,非常に活発な活動を行っていったところであります。2022年にはアメリカが核体制の見直しを発表しまして,基本的には継続性の強い,核体制だったのだろうと思いますけれども,注目されていた「核兵器の先行不使用」,あるいは「ソロパーパス」〔唯一の目的について〕それらを採用するかどうかというところで,結局採用しなかった,オバマ政権の時に出てきた,ファンダメンタルロール,基本的役割という言葉が,復活したということでありました。スライドは次のページにいっていただきまして,主要な会議ということで,2022年8月には,第10回NPT運用検討会議,こちらはロシアが最終文書に反対しまして,最終文書は採択出来なかったということと,それから,例年以上に,中国の非常に攻勢と書きましたけれども,様々な問題で,同盟,日本,あるいは西側諸国,オーストラリアも含めて,これらの活動について,適当かどうかというのは別にして,非常に,攻撃的な発言を繰り返したというところが目立ったのだろうと思います。それから岸田総理が,現職の総理として初めて,NPT運用検討会議に出席し,演説されたことで,「ヒロシマ・アクション・プラン」は非常によい提案だったと思いますし,今度のG7の首脳会議でも,この「ヒロシマ・アクション・プラン」というものをベースにしたG7としての取組というのが出てくるのではないかと言われていますけれども,この「ヒロシマ・アクション・プラン」はとてもよい提案だったと思います。その2か月前には,核兵器禁止条約の第1回締約国会議が開催されまして,こちらは3日間ですかね,4日間ですかね,非常に短い期間の会議でしたけれども,その場合の事前の準備が非常にインテンシブ〔短期集中的〕に,素晴らしく行われたのだろうと思います。宣言・行動計画・決定という,3つの非常に重要な文書が出てきました。こちらも注目されたのは,この条約に反対するあるいは加盟・加入していない国々の動向でありましたけれども,一部のアメリカの同盟国,それからスウェーデン・スイスなどがオブザーバー参加したということで,こちらも注目を集めたのだろうと思います。新START〔条約〕については,ロシアが,現地査察の受け入れを一時停止と,かっこ書き〔を〕しましたけれども,こちら2023年に入って,より大きく動いているわけでありますけれども,去年からこの問題が続いてきたということですあります。こうした安全保障環境が非常に厳しい中で,核兵器の使用可能性,あるいはその将来の動向への不安,核リスクの高まりというものを踏まえて,これをどのようにするかということが,NPT運用検討会議などでも,非常に重要なテーマだったのだろうと思います。その中で核戦争に勝者はありえず,核戦争は決して戦われてはならないというフレーズを含め,核兵器を使用してはならない,あるいは恫喝のために使ってはならないといったようなことも,ある意味,その原則性といいますか,そこを再確認する。安全保障環境は厳しいけれども,核兵器を使用,核兵器が使用されてこなかった歴史あるいは,〔核兵器を使用しないように〕継続していかなければならないという認識を,より強めていこうとする動き,こちらは,一つ重視すべきなのかなと思います。知事のご発言の中でもございました核軍縮・不拡散教育,ジェンダー,統率性,市民社会の参加の重要性というもの,こちらがNPT運用検討会議でも,核兵器禁止締約国会議でも,繰り返し強調されたと〔いうことです〕。そして,これまで発言してこなかったような国も,発言していたということ。このあたりも,去年の一つ注目すべきポイントだったのかなと思います。不拡散につきましては,北朝鮮の核問題は,繰り返し日本でも報じられておりますけれども,積極的な,特にミサイルの実験が非常に頻繁に行われた,そして核戦力政策ということで,新たな政策を法令として打ち出してくる,その中で抑止としてだけではなくて,戦争遂行,戦争に勝利するための戦術的活用と書きましたけれども,そうした核兵器の役割をより広くとらえ,位置づけているということが,昨年非常に注目されたところでありました。イランについては,ご存じのように,核合意の復活というものが交渉されてきましたけれども,これも,ロシアのウクライナ侵略が一つ契機となって,なかなか交渉が進まなくなり,現在はほぼ,凍結状態というようなところであります。それから,不拡散との関係では,オーストラリアが,原子力潜水艦の導入を今計画しているところであり,こちらの保障措置について,原〔子力〕潜〔水艦〕に使う核燃料に,どのようにして保障措置を行っていくのかというところについて,IAEAとの議論が開始されたということで,これは恐らく,今年遅くとも来年には,一つの結論が出てくるのであろうと思います。もう一つ,中国については,不拡散と軍縮の両方をまたがるところではありますけれども,不拡散の文脈で,中国などに求められているプルトニウムをどれだけ持っているか,それを公表しろというルールがありますけれども,その報告書を,2018年以降出してないということで,中国が民生用の活動だということで,高速増殖炉,そして再処理施設の建設を行っていますけれども,そちらを純粋に民生用ではなくて,軍事目的にも使おうとしているのではないかというようなことが懸念されていますけれども,このプルトニウム管理指針に基づく報告書を提出していないというのも,その一つの疑念というものを高めてしまっているのかなと思います。最後に核セキュリティについて,ロシアのウクライナ侵略との関係で,ロシアが,ウクライナの原子力施設の攻撃,あるいは占拠を行ったということで,これまで原子力施設への攻撃については,むしろ非国家主体,テロ組織などによって引き起こされるのではないかということで,核セキュリティという概念のもとで,様々な措置が考えられてきましたが,こうした戦争状況,武力紛争において,国家がそうした行動を行うことに対して,どのような対応をしていくべきなのか,いけるのかということが,昨年は非常に重要な議論のポイントになったのではないかと思います。もちろん,答えは出ていませんけれども,今後,引き続き議論されていくのだと思いますし,現在進行形で,この状況が続いているので,その後,攻撃が行われないようにする原子力施設の安全性が保たれるようにすると,こちらの重要性が高まっていると思います。それ以外に核セキリティに関連することでは,これまでも行われてきたような,兵器利用が可能な核物質の保有量を減らしていく,あるいは核セキュリティに関連するような条約への加入,あるいは国内体制にこれを反映していく,ちゃんとテロ体制をやっていく。そうしたところについては,少しずつではありますけれども,前進しているということは見てとれると思います。私からは以上でございます。
(司会)
これより質疑に入りたいと思います。ご質問の際は,社名とお名前をお願いいたします。また,知事,阿部様,戸崎様,どなたへのご質問かおっしゃっていただいてからお願いいたします。それでは挙手をお願いいたします。
(TSS)
テレビ新広島の笹野です。どなたに伺うのが適切か,わからないのですが,まずは,知事にお伺いします。総合的に〔ひろしま〕レポートの評価,例えば,ご報告の中で悪化しているとかいろいろあったと思うのですけれど,一言で評価すると,何というコメントになるのでしょうか。
(知事)
それは,状況についての評価ということですか。
(TSS)
「〔ひろしま〕レポート」の結果,状況について,どう評価するかです。
(知事)
世界の核軍縮だとか,そこはやっぱり非常に厳しい状況になっていると思います。やはり,ロシアの様々な報道の影響もありますし,今,とてもよい状況というふうには受け止められないと思っています。
(NHK)
NHKの石川と申します。湯崎知事にお伺いします。冒頭のお話の中で,核軍縮における進展はなかなか見られなかったということや,なかなか厳しい状況だという言葉もありましたけれども,今後,NPTの準備委員会などで,こういった取りまとめた内容を発表する機会があると思うのですが,改めて,広島として,こういった情報の発信を続けていく,その意義についていかがでしょうか。
(知事)
やはり,先ほど,阿部大使からもお話がありましたけれども,これまでもこういうような国の反応もあり,それなりに反響が寄せられているということがあります。特に専門家の皆様には,しっかりと受け止めていただいて,様々,資料として,活用していただいているというところがあります。今後についても,例年,やっていることですけれども,国連の各国の代表部には,〔ひろしまレポートを〕届けていきたいと思いますし,NPT〔検討運用委員会〕の今回の10委員会が4月にありますけれども,これ出席できれば,その議論を後押しするための一つのツールとして活用していきたいと思っていますし,バナー展示も行っていきたいと思います。それから,一般の皆さん向けの小冊子というものも〔作成〕しますので,今回,より手にしやすくしましたし,英語版も作って,それを配布していくということで,そこまで専門家であるとか,各国の大使館経由で,いわゆるその担当部署等に,作っていたわけですけども,より一般の人にも,ご覧いただいて,理解をいただくということも進めていきたいなと思っています。
(NHK)
一般の方々に,こういった情報を届ける,広島県としてこういった情報を発信していくことは,どういった意義があるのでしょうか。
(知事)
核兵器廃絶に向けては,多面的な活動が必要だと思うのですけれども,こういった「ひろしまレポート」というものは,まさに,核軍縮,あるいは核セキュリティなどについての客観的な事実の一覧性を持って,把握をすることができるということで,より深い理解につながっていくと,そういった理解をベースに,またいろんな議論を進めていただきたい。そういう意味で意義があるものだと考えています。
(司会)
その他,いかがでしょうか。
(共同通信)
共同通信の小作と申します。ちょっと基本的なことで,今回,対象国が二つ減ったのが,チリとナイジェリアなのかな,と思うのですが,この2か国が今回対象から外れた理由としてどういった背景があるのか教えていただきたいです。
(戸崎所長)
ありがとうございます。今回見直しを行う際に考えましたのが,まず一つは,よりその一か国に対し,一つの国に対してより精緻な,調査であったり評価であったりを行いたいということ。そうした中で数はどうしても,減らさざるを得ないというところです。それから,もう一つが,それぞれの分野,とりわけ核セキュリティと核軍縮不拡散の分け方ですけれども,それぞれの特徴といいますかで,国の状況などによって,そこを分けて国を設定するということがまず大事だということで考えました。その中で,今具体的にチリとナイジェリアですけれども,まず,いずれもが地理的な要素として,東南アジアの場合にはインドネシア,アフリカの場合には南アフリカが対象国に入っていますので,そのいずれを選択するかというところで核問題の中でどちらのほうがより積極的に発言しているか,あるいは積極的な活動をしているか,核問題について関係があるか,こういうところで選択した結果ということでございました。よろしいでしょうか。
(共同通信)
あと今回,評価の基準とかを変えたことによって,これまでの満点の数,数字が変わってくると思うのですけれども,そういった去年までと比較する場合に,その得点率をもってすれば,項目に対する比較というのは可能なのですか。
(戸崎所長)
ありがとうございます。昨年の評点率と,今年の評点率で比較すると,全くきちんとした比較が出来ないので,参考として,広島県様のほうにはお渡ししたのですけれども,今年度版の評価基準を使って,昨年版の「ひろしまレポート」の,評価という方法を行ってみたと〔いうわけです〕。全くそれは参考で,昨年のものは,昨年の評価基準で調査していますので,きちんと全てをカバー出来ているというわけではありませんけれども,あくまで参考として,そうしたその評価というものを試しに行ってみたということがございまして,これは後ほど,広島県様にお話しいただくと思いますけれども,そちらを参考にしていただくのが,特に核軍縮について,核軍縮と核不拡散,核セキュリティについては,かなりその項目が変わってしまったので,そういったその換算というのが難しかったので,二つの分野だけではありますけれども。
(司会)
この他いかがでしょうか。
(朝日新聞)
朝日新聞の黒田と申します。先ほどの質問に関連して戸崎さんにお伺いしたいのですけども,評価基準を見直されたところなのですが,大きく比べることがなかなか難しいようなところまで評価を変えてらっしゃるというのは,先ほどその昨年の会議の状況とか,国際会議の状況等を踏まえてと,今おっしゃっていましたが,どのような観点で評価を変えたのか,改めて表を見ていると,なかなか難しいなと思いながら,拝見したのですけれども,ご説明いただけたらありがたいなと思います。
(戸崎所長)
ありがとうございます。二つ大きな要素がありまして,一つは,これまでもある程度行ってきましたけれども,核軍縮に反するような行動などについて,より表に出すような形〔としています。〕これまでは,一つの評価項目の中に紛れ込んでいるような感じの評価だったのですけれども,それ〔核軍縮に反する行動など〕をより表に出すことで,例えばロシアが今回行ったようなことが,どの場面でマイナスになっているのかということをより明らかにするというところが一点でございます。もう一点は,知事のお話の中にもございましたけれども,核兵器禁止条約の中でいろいろ出てきたようなテーマであって,これまでは評価項目表が非常に明確に,評価基準の中に含めていなかったものがございましたので,そうしたようなところ〔評価基準の中に含めていなかったもの〕を,よりこう明確化していくというところで,新しい項目を出したというところでございます。
(朝日新聞)
ありがとうございます。資料では,今の項目のことなのですけれども,追加があったということになっているのですけれども,どのぐらい変わったのかなと思いまして,見ていたのですけれども,ただ単に増えたというよりは,中身もかなり,かなりの割合で変わっているという認識ということでしょうか。
(戸崎所長)
かなり〔変わっている〕ということではないです。追加もいくつか,今すいません,手元にございませんので,また後ほどということでお願いできればと思いますけれども,先ほどの核兵器禁止条約のところ,それから国連総会決議のあたりもいくつか,より前に出して追加したものもございましたので,大きなその枠組みとして,がらっと変えたということではありませんけれども,よりその重要な問題については,項目を増やしたというところもございました。
(朝日新聞)
ありがとうございます。すいません最後に,これどなたにお伺いするのが〔いいのか,わからないのですが,〕最終的に評定された方にお伺いしたいのですけれども,今回,非核兵器国の中で,日本の評価もされていると思うのですけれども,〔日本の評価は〕,真ん中というような印象を受けたのですけれども,この総合的な評価については,冊子の中で出てきているのですけれど,どのような判断をされているのか,〔教えて〕いただけたらありがたいです。
(戸崎所長)
まず,真ん中ぐらいというところの評価だったというところについては,全体の印象ではなくて,純然に積み上げていったらこのようなことになったということですので,多分その点数の高い国々というのは,核兵器禁止条約に入っているという意味が多いのかなと〔思います。〕特に西側の,そうしたところでの違いですとかによって,点数が変わってくる,というところで,日本はもちろん現在条約には入っていませんし,反対しているといったようなところでの評価も含めて,中ぐらいの順番になったというところであります。そこに感情とか,そういうのは一切含めずという,基準に沿った形で計算するとそうなった,というところです。
(朝日新聞)
戸崎先生,ありがとうございます。難しい質問〔でした〕。意図があったので,もう一度お伺いしたいのですけど,先ほど戸崎さんがおっしゃっていた「ヒロシマ・アクション・プラン」というような前向きな報道があった中で,先ほどおっしゃっていた,その核兵器禁止条約に入っていない,そういった面もあるという,そうなってくるとそういった評価としてこういう評定になるという理解でよろしかったでしょうか。
(戸崎所長)
「ヒロシマ・アクション・プラン」については,先ほど私が重要な提案だったと申し上げましたけれども,まだ昨年の時点で,それが各国にどれだけインパクトを与えるような提案だったかというところについては,なかなか出てこなかったので,そういう意味で,その評価基準の中に,そうしたその非常に重要なインパクトを与えた提案なり,会議なりというのを書きましたけれども,そこまで至っているのかどうかというところは昨年の段階では恐らくそうではなかったのだろうと思います。今回,G7の問題,G7でも取り上げられる可能性があったり,あるいは今後この「ヒロシマ・アクション・プラン」とういうものが一つの軸になって,軍縮で議論されていくというようなことになっていった場合には,それは非常に重要なイニシアチブであるということになってきますので,それは,昨年の場面では,件数としては評価になっていませんけれども,今後それは変わりうる可能性もあるということだと思います。
(朝日新聞)
どうもありがとうございます。
(司会)
その他,ご質問いかがでしょうか。
(読売新聞)
読売新聞の豆塚です。よろしくお願いします。先ほどの質問に関連してなのですけれども,改めて教えていただきたいのですが,日本の今回のこの結果というのは,主にどういうところがよかった点でと評価されて,どういうところが,評価にはならなかったのか,というところを改めて教えていただけないでしょうか。
(戸崎所長)
それは最終的にはその点数表を見ていただくのが一番わかりやすいのだと思いますけれども,恐らく核兵器禁止条約の絡みの関係の部分というのは,当然入っている国は点数が高くなり,日本のように入っていない国は低くなるということになっています。よかった部分,全般的に悪くはないのだと思いますけれども,極端にここがよかったというよりは,ほかの国々よりは,きちんとした活動を行っているという場面が多くて,それが,今手元にすいません,紙を持ってこなかったのですけれども,そうしたその他の国々よりも少しレベルの高い活動を行っている。他方でそうしたその核兵器禁止条約などについて反対する行動であったり,そこで,点数が下がっていると,それはよかった悪かった別にして,そういうような評価をしたというところであります。
(司会)
その他いかがでしょう。
(中国新聞)
中国新聞の久保といいます。関連なのですけども,「ヒロシマ・アクション・プラン」の日本の評価の,核軍縮で項目のところで,軍縮不拡散教育・市民社会との連携というところで,日本が4点と取っていて,ここら辺のNPT〔運用検討会議〕での日本の振る舞いとか,「ヒロシマ・アクション・プラン」を出して提示したことが反映されているのかなと理解していたのですが,そうではないということなのですか。
(戸崎所長)
「ヒロシマ・アクション・プラン」全体としてというのは,別の項目で評価するか,〔評価〕しないかというところで〔あり〕,「ヒロシマ・アクション・プラン」の中で書かれた核軍縮不拡散教育だけではなくて,さまざまな局面で日本はさまざまな提案を行っている,発言を行っている,というところで〔す〕。「ヒロシマ・アクション・プラン」の中の一つに書かれたところというのがありますけれども,そこも含めて,軍縮教育では高い評価が行われていると,〔軍縮教育が〕評定に加わっている,というところだと思います。
(中国新聞)
ありがとうございました。あともう一つ,評価なしの国や項目があるのですけれど,それはどう理解したらよいでしょうか。例えば,アラブ・UAEだと核不拡散の評価がなかったり,全部点数はついているのでしょうか。点数がない項目はないのでしょうか。国別評価も全部拝見していると国によっては,核セキュリティや核不拡散〔の評価〕がない国がありまして,どのように理解したらよろしいでしょうか。
(戸崎所長)
先ほどご説明があったかと思いますけれども,非核兵器国の中で,核軍縮と核不拡散・核セキュリティの3分野を全て調査した国と,それから核軍縮と不拡散だけを調査した国と,それから核セキュリティだけを調査した国というのがありまして,フィンランドなどは確か核セキュリティだけ〔の調査〕だったと思います。そこは分けて,調査したというところです。それが理由です。
(中国新聞)
国別評価のところで,〔掲載がない国は〕調査がなされてないということで理解してよいでしょうか。
(戸崎所長)
そういうことです。
(司会)
時間も参りましたので,よろしいでしょうか。
(共同通信)
戸崎さん,先ほどG7もあってということをおっしゃいましたが,そういった状況の中で,厳しい結果が出てしまったことを受けて,特に核保有国が,今後核軍縮において,どういうふうに取り組むべきかという,この「〔ひろしま〕レポート」を踏まえて,考えられる観点がありましたら教えていただきたいです。
(戸崎所長)
ありがとうございます。核を巡る状況は非常に厳しいので,当然その抑止を重視するという国も既に出てきておりますけれども,他方で,まさに核兵器が使われる可能性というのが高まっている。今後,それ〔核兵器が使われる可能性〕がさらに高まるかもしれないという中で,軍縮・不拡散・核セキュリティ果たす役割は非常に大きくなっております。そうした厳しい状況,〔核を〕使われるかもしれないという状況だからこそ,そうしたルールというものが大事であり,それは日本,それから西側〔諸国〕,アメリカなどを含めた国々が順守しているルールに基づく秩序の非常に重要な一つの取組だと思います。ですから,まさにこの厳しい状況だからこそ,この状況を食い止める,あるいは逆転させていくための取組というものをやらなければならないと思いますし,その意味でも,G7も広島でのサミット,まさにこの広島で行われるということですので,安全保障も当然大事ですけれども,まさにそれを行うからこそ,核軍縮,核不拡散の取組をG7として世界に打ち出していく,非常に重要なものだと思います。
(司会)
それでは時間も参りましたので終了いたします。ただいま,ご説明をいたしました発表内容につきましては,ラジオ・テレビ・インターネットについては,本日の15時,新聞については,明日4月22日の朝刊をもって解禁となります。それでは,以上をもちまして,知事会見を終了いたします。ありがとうございました。
資料1(核軍縮等に関する「ひろしまレポート2023年版」) (PDFファイル)(300KB)
資料2(ひろしまレポート2023年版_本編) (PDFファイル)(5.15MB)
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)